水草の苔抑制には水流調整とエビの併用が有効

水槽内での苔は、アクアリウムの美観を損ねてしまうものであり、多くのアクアリストの方にとって解決したい課題の一つだと思います。

私自身もアクアリウムに復帰してから、何度か水草が苔に覆われて、美しい水草が台無しになってしまったことがあります。

毎日の水槽の管理の中で、苔を抑制する方法を探りながら飼育環境を整えていくことが必要になりますが、この記事では私が最近気付いたフィルターの水流利用とエビの飼育を組み合わせた苔抑制について御紹介します。

様々な苔抑制方法があるかと思いますが「フィルターからの水流」と「コケ取り生体のエビ」を使った方法なので、比較的簡単に試すことができる方法かと思います。


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ボルビティスに発生した黒髭苔を水流の有無で比較

まず最初に、水流の有無で水草の「ボルビティス」の葉に発生している黒髭苔の状況を比較したいと思います。

水槽は45cm水槽ですが、フィルターはエーハイムの2213でフィルターの水流をそのまま水槽へ導入して水流を生んでいる水槽です。

その水槽で、水流が直接当たる場所と水流が弱い場所で黒髭苔の発生に違いはあるのか?

水流が当たる部分では常にボルビティスの葉が揺らされており、水流の弱い場所ではボルビティスの葉が全く揺らされていない状況です。

水流があまりない場所のボルビティス

まず最初に、ボルビティスの葉に水流がほとんど当たらない場所です。

下の写真に示しますが、葉の先端部分に黒髭苔が密集して発生していることがわかります。この場所にこのボルビティスを設置してから約1カ月くらいが経ちます。

最初は黒髭苔は生えていませんでしたが、徐々に時間が経つにつれて目で見て分かるレベルに増殖してきました。

まだ許容レベルなので対処はしていませんが、今後さらに黒髭苔が増殖するようなら、黒髭苔の除去作業が必要ですね…。

フィルターの水流が直接当たる場所のボルビティス

次に同じ水槽内で、フィルターからの水流が直接当たる場所にあるボルビティスの葉を載せてます。

「全く黒髭苔が無い」と言っていいほど綺麗な状態で、青々としたボルビティスの葉を維持できています。

上で紹介した黒髭苔の発生したボルビティスの葉の近くにありながら、黒髭苔の発生に関してこれだけの差が出ているのは、水流の有無が一つの要因としてありそうな気がします。

何かの記事で「コケは水流が当たる方が発生しやすい」という内容を読んだことがあります。その理由には「水流が当たると養分が運ばれてくるから…」と記載があったのを覚えています。

しかし、今回の私の水槽では全く逆の事が起きています。

正直なところ、理系の私の意見としては、水槽内では水流があろうが無かろうが、養分の差など微々たるもので、ほとんど無いと言っても過言ではないかと思います。常にフィルターの水流で水槽内の水質は均一になるので、水槽内では場所による養分の差は無いと言えるでしょう。

そのため、養分の問題ではなく、水流が関わっていることは確かな事実だと思います。

水流のある場所の方が苔が発生しにくい?

上でも記載しましたが、アクアリウムの世界で少し噂のあった「水流が直接当たると、苔が発生しやすい」という点には、個人的には疑問があります。

水流が強ければ、苔が発生した時に吹き飛ばされてしまって着床できないという可能性もありますし、苔が胞子を撒いても水流によって吹き飛ばされてしまったら葉の上で成長することもできません。

私は渓流が好きで夏には良く遊びに行くのですが、流れの強い岩場を見ると、あまり苔が生えて無いんですよね。逆に、少し淀んだ様な場所では茶ゴケが生えていたりします。強い川の流れが直接当たるような岩場には苔はほとんど無く、その岩を足で踏んでも滑りにくいことが多いです。

つまり、アクアリウムの世界で水流があるとコケが発生しやすいと言われてきたのには少し誤解があり、かなり水流が強い場所では苔を抑制することができるのではないかと思われます。

しかし、反例があります!フィルターの給水口です。

下の写真の様に、フィルターの給水口は最も水流が強い場所ですが、実は黒髭苔では無いですが、茶ゴケが成長していることがあります。

そのため、水流が強いというだけでは、コケ自体の発生に効果があるとは言い切れないですよね。

実は、黒髭苔の発生していない水流の当たる場所のボルビティスは、よく観察していると次に紹介するもう一つの事実があることが分かりました。


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水流のある場所にはエビが集まる!?

水流のある場所のボルビティスには、実はエビ達が集まっている傾向にあることが分かりました。

この水槽には、近くの川で採取したスジエビとミナミヌマエビをコケ取り生体として導入しています。

そのエビ達が、水流が強い場所にあるボルビティスに上っていき、葉の先端付近でコケ取りをしてくれているんです。しかも、黒髭苔や茶ゴケなども食べてくれている様子です。

もしかしたら、川で採取したエビなので水流が好きなのかもしれません。事実として、私の管理する子の水槽では、水流のある場所の方がエビ達の集まる密度が高いのです。また、川で捕まえたエビのためか、苔の種類をあまり選ばずに食べてくれている傾向にあります。

逆に、アクアリウムショップで購入したヤマトヌマエビは、水草についているコケをあまり食べず人口飼料ばかり食べるのですが…やはり温室育ちのエビはあまり良くないのか…?(笑)

下の写真は、水流が直接当たる場所でコケ取りしているスジエビ達の姿です。

下の写真は、上の写真を撮った時刻と同時刻に撮影したものですが、水流が当たる場所には他にもスジエビ達が密集しています。下の写真でも2匹のスジエビが確認出来ます。水流で葉が揺れ過ぎてピントが全く合わず、見にくい写真で申しわけないです。

さらに、上の写真を撮影した翌日、会社から帰ってきて水槽ライトをつけると、下の写真の様に水流の強い位置にエビ達がたくさん寄り付いていました。

しかし、水流の少ない場所のボルビティスには、エビ達が集まる姿はほとんどありません。もしかしたら、エビ達は隠れ家になる場所と水流の強いボルビティスの間を往復しているのではないか?と思えるような感じです。

【現時点のまとめ】水流でエビを集めて発生初期のコケを食べてもらう

ここまでのお話をまとめると、水流が強いところにある水草にはコケができにくいというのは、考え方次第ですが正しい事実なのではないかと思います。

従来のアクアリウムの世界で流れていた噂として、水流が強い部分はコケが生えやすいという噂がありましたが、私の飼育環境での事実を考えるとその逆です。

そして、それに加えて水流の大好きなエビ達が、水流の強い場所に集まる傾向があり、発生初期の黒髭苔や茶ゴケなどを食べてくれています。

水流とエビという2つの効果によって、水流の比較的強い所では、苔が生えにくくなっているのかもしれません。

しかし、実は逆の発想で考えることもできます。それは、水流が強い部分に新鮮な若いコケが生えるからエビが集まってくる、という考え方です。

真相はわかりませんが、ボルビティスにコケが生えていないので良しとします!(笑)


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苔の抑制には餌や生体数などの飼育環境の改善も必須です

今回の記事では、水槽内の水草に生えるコケについて、水流やエビによる効果を紹介させていただきましたが、苔を抑えるためには飼育環境を整えることも必要です。

魚の数を過密状態で飼育すれば、餌の量が多くなり糞の量も多くなります。これはコケの栄養分を水槽内に供給することに繋がります。

また、肉食の魚を飼育されている方の場合、餌を生餌にしていると、どうしても人口飼料よりも飼育水が汚れやすいため、苔の生えやすい状況になります。

そのため、苔抑制の対策は、その水槽・飼育環境ごとに最適な解決策が異なることは忘れてはいけません。今回紹介した私の事例は、あくまでも私の飼育環境でのことであるため、皆様の水槽で同じことが言えない可能性も十分にあります。

苔抑制の方法を探るのは、ある意味、アクアリストとしての知識を広げるための課題なのかもしれません。

下のブログ記事では、各コケの種類に応じた対策もまとめています。