アクアリウムを楽しんでいる方であれば、誰もが一度は直面するであろうトラブルの一つが「水槽からの異音」だと思います。
「ガタガタ…」、「カタカタ…」、「ジジジ…」という様々な異音がありますが、どれも不快な異音であるのに加え、原因も様々な部分にあるため対処が難しい場合もあります。
基本的には振動体であるフィルター内のモーターに関連する異音が多いですが、原因を特定できても異音を解消できない場合もありますし、そもそも原因が全く特定できないこともあります。
この記事では、私の管理している水槽で起こった異音について、フィルターのモーター以外の原因で起こっていた異音の一例を紹介します。
解消するのに最も手間を取った異音でしたので、記録の意味でも記事にしておきたいと思います。
水槽の異音にお困りの方にとって、解決策の一つのヒントになれば幸いです。
水槽の異音対策はアクアリウムの課題の一つ
美しくレイアウトされた水槽の中を色とりどりの熱帯魚が泳ぐアクアリウム…
アクアリウムを本格的に趣味にされている方以外でも、美しい水槽は憧れの存在だと思います。
しかし、その水槽から不快な異音がしていたら、折角の美しいアクアリウムも台無しです。
夜の静かなリラックスタイムに熱帯魚を眺めるとなると、耳に入るのは異音だけになるので、気分よく熱帯魚を眺めることができません。
また、寝室に近い場所に水槽がある場合、異音が大きくなると睡眠に影響が出てしまう事もあります。
さらに、リビングに水槽がある場合、お客さんをお迎えした時に水槽の異音は気分の良いものではありません。
そのため、言うまでもないことですが、水槽設備の異音を解消することは、水槽を立ち上げる上での一つの課題と言えるのです。
水槽の異音の原因は基本的にフィルター (モーター) 振動
基本的に「音」は空気を振動させることで発生するものですので、静止しているものからは異音は発生しません。
例えば、金魚を金魚鉢で飼育している場合や、屋外の容器でメダカを飼育している場合には、その水槽からは異音はしないはずです。
そして、アクアリウムの設備で振動を生む装置は、基本的にモーター関連です。
代表的なものではフィルターですね。飼育水をフィルターの中に引き込むために、必ずモーターが使われています。
また、夏に活躍するクーラーも熱を排出するためにモーターを使ってファンを回しているはずです。
「ガタガタ…」、「カタカタ…」、「ジジジ…」という周期的で継続した異音が発生するのも、モーターが一定の速度で常に回転していることに由来している場合がほどんどです。
モーターの振動が何かに伝わる時、例えばフィルター自体と別の設備が接触するような部分があると、異音が発生することになります。また、フィルターを設置してあるラックが振動しやすいものになると、フィルターの振動がラックに直接伝わり、そのラックが空気を振動させて異音を発生するということもあります。
つまり、回転物であるモーターについては、その振動を他に伝えないようにする努力をしないと、自ずと異音を発生する原因となり得るのです。
運が悪い場合、モーターの回転数 (振動数) と水槽やラックの固有振動数がマッチして、異音が想像以上に大きくなってしまう事もあります。
私の以前の記事では、壁掛けフィルターの異音解消方法を紹介していますが、基本的にはこの対策と同じように、振動を他の部分に伝えない対策が必要になってきます。
しかし、実は水槽設備の異音は、モーターに関わるものだけではありません。
私自身、水槽から発せられる異音のほとんどは、フィルター関連が原因だと思い込んでいました。
以下で紹介する例では、フィルターに全く関係ない部分から異音が発生していた例になります。
異音の原因特定の例 -フィルター以外の原因の実例-
異音発生の概要 -キュルキュル音が発生-
私が管理している一つの水槽ですが、フィルターにエーハイム2213 (外部フィルター) を用いており、フィルターと他の設備が接触するようなことは無いため、基本的にはほとんど異音がしませんでした。
深夜になると少しだけモーター音が耳に入りますが、気になるようなものでも無いですし、睡眠を妨げるようなものではありませんでした。
そのような静かな設備状態で約1年ほど管理してきたのですが、突然「キュルキュルキュルキュル…」という異音が水槽からするようになりました。
聞き慣れない異音のため、最初は水槽では無く、別の場所から発せられているものだと思い込んでいました。
しかし、水槽に耳を近づけると、確実に水槽から「キュルキュル…」という音がしていました。
「まぁ、どうせフィルター関連の異音だろう…」と思ったのですが、以下で紹介させていただく通り、この異音の特性には時間がかかりました…。
① 周期的な異音なのでフィルター関連を最初に調査
上で記載した「キュルキュル…」という異音ですが、少し高い音で周期的な異音であり、たまに鳴りやむことがある特徴的なものでした。
そのため、異音の原因はフィルターの振動が、どこかに伝わって鳴っているものだと想定されました。
しかし、フィルターを手で押さえてみたり、水槽を抑えたりしても全く音の状態が変わりません。
また、フィルターの配管に関わる部分に関してもチェックしましたが、異音の原因は発見できませんでした。
そして、そもそもフィルターに関連する音なのかを確かめるため、一旦フィルターの電源を切ってみました。
その結果、フィルターを止めても異音は全く鳴り止みませんでした…。
こうなると、泥沼にはまりそうな予感がしますよね…。
② 考えにくいが水槽用ライトも消灯してみる…
「多分無いだろう…」と思いながらも、水槽用ライトを水槽から外して、水槽用ライトのコンセントも抜いてみました。
しかし、それでも鳴りやまない状態です。
フィルターとライトという2つを完全に停止したので、電気で動く水槽の外部の設備が完全に止まったことになります。
それでも鳴りやまないということは、振動する何かに関わるものではないということになります。
(決して水槽が置いてある家 (建屋) 自体が揺れているわけではありません。)
③ 鳴き声を発する熱帯魚がいる?
「えっ?異音の原因は何なん?」と思いながら、いろんな想像を働かせてみました。
全く異音の原因が分からなかったので、熱帯魚やエビの中に、鳴き声をだすものがいるのではないか?と思い、Google検索で「熱帯魚 無く」「エビ 無く」と入力してみました。
結果として、一部の熱帯魚に鳴き声を持つ魚がいるとのことですが、今回の水槽で飼育している生体には当てはまりませんでした。(ネオンテトラやカージナルテトラが音を発するなんてこと聞いたことも無いですよね…)
グラミーの仲間の一部が鳴き声を上げるものがあるようですが、「ぐ~~」というような音らしいので「キュルキュル…」とは異なりますね。
④ 原因は二酸化炭素ディフューザーから発せられていた
そして、最終的に水槽に導入されている全ての設備を疑い、一つ一つを止めていく作業をしました。
1つ目が水槽用ヒーター、そして2つ目が二酸化炭素添加のためのCO2ディフューザーです。
1つ目のヒーターは、ちょうど夏を前にして止める予定だったので、このタイミングっで水槽から撤去しました。しかし、キュルキュル音は鳴りやむことはありませんでした。
そして、最終的に水槽に残った設備である二酸化炭素ディフューザーを抜くと異音が消えました。
「えっ!予想外過ぎる!」という素直な反応でした。
皆さんは御存じでしたか?
二酸化炭素ディフューザーは異音を発することがあるんです!
私はADA製の二酸化炭素ディフューザーを使っているのですが、この二酸化炭素ディフューザーから異音がしていたんです。
水槽に耳を近づけると異音がしていたのは、二酸化炭素ディフューザーから発せられた異音が、水槽の中を反響していたためだと思われます。
あらためて考えてみると、音を発する原因は振動だけでは無く、空気などの流体の流れによっても起こるんですね。
例えば「口笛」や「ラッパ」など、空気を振動させることが出来れば、モーターなどの振動する装置が無くても音は鳴るんですよね。
これは、完全に盲点でした。
今回の場合には、水槽に添加している二酸化炭素が多孔質な材質でできているディフューザーを通過する時に、異音が鳴るような流量・流れ方になってしまっていたんだと思います。
この異音が発生する数日前に、二酸化炭素の流量を少し変化させたのですが、その時に異音がする流量に変化してしまったのだと思われます。
何はともあれ、原因が判明して良かったです…。
【教訓】水槽の異音は「流れ」のある設備にも注意!
今回の二酸化炭素ディフューザーから発せられる異音は、長いアクアリウム生活においても初めて知ることとなった事実でした。
フィルターの振動で「ジジジジジ…」という異音を経験することは多々あったのですが、「キュルキュル…」という音は経験したことがありませんでした。
その音の特徴 (少し高い音) から「フィルターでは無いかもしれないなぁ…」と初期段階で思うところはあったのですが、いざ異音の原因を調べ始めてみると、水槽から全ての設備を取り外さないと原因が発見できない状況でした。
異音は「振動する装置」が原因と言う先入観があったのですが、気体や液体に「流れ」が生じている場合には、それが原因となって異音が生じる場合があるんですね。
皆さんも、水槽から異音が下ときには、フィルターだけでは無く、気体や液体の流れにも着目すると異音の早期発見に繋がるかもしれませんよ。
この記事の終わりに
この記事では、水槽から発せられる異音の原因の一つとして、二酸化炭素ディフューザーの例を紹介させていただきました。
フィルターの異音であれば比較的早く原因が特定でき、対処が直ぐに行えるのですが、聞いたことが無いような異音の場合には原因の解明が困難になる場合があります。
ただ、普段聞いたことが無いような異音がした場合には、フィルターだけでは無く気体や水の流れがある部分にも目を向けると、異音の早期発見に繋がるかもしれません。
異音でお困りの方に、少しでも御参考になれば幸いです。