【水槽】ヒーターサイズによる温調の違いを実験 -水槽に適したヒーターを選ぼう!-

水槽で熱帯魚を飼育する際に必須となる設備の一つが「水槽用ヒーター」です。

赤道に近い熱帯の国々から輸入される熱帯魚達は、日本の寒い冬 (冷たい水温) に耐えることが出来ないため、日本で熱帯魚を飼育する上ではヒーターが必須の道具となります。

一般的には、夏が終わる10月末頃からヒーターを準備し、次の年の5月頃までの約半年間はお世話になる設備かと思います。

筆者も毎年秋になると、ヒーターを水槽に設置するとともに、正常に動作しているかを確認するのが恒例行事となっております。

そんな水槽用のヒーターですが、水槽サイズに適したワット数のヒーターを用意することが求められます。

45cm水槽で使用していたヒーターを60cm水槽に転用して使ってしまっているという方もいらっしゃるかもしれませんが、弊害は起こるのでしょうか?

そこで、水槽サイズに適合していないヒーターを使用してみて、水槽の水温にどのような変化が起こるのかを実際に実験してみることにしました。

この記事では、その結果を紹介したいと思います。

きっと、水槽サイズに適したヒーターの重要性が御理解いただけるかと思います。

【注意】この記事の実験内容は、筆者が独自に行った実験になります。同じ実験をしても同じ結果が得られないことも考えられますので、あくまでも参考例とお考え下さい。


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実験の内容と方法 -45L水槽で3種のヒーターを試す-

それでは、まず最初に、今回の実験に用いたヒーターの種類や水槽について記載していきます。

また、その後で実験の方法の詳細も紹介します。

実験に用意した3種類のヒーターについて

今回使用した水槽用ヒーターは、下の写真の3種類のヒーターになります。

① エヴァリス プリセットオートヒーター 15 ベタ専用 (4L水槽用)

② GEX スタンディシリーズ 120 (45cm水槽用)

③ GEX スタンディシリーズ 160 (60cm水槽用)

どのヒーターも有名な水槽用ヒーターになるので、アクアリストの方であれば、誰もが一度はお店で見たことがあるシリーズかと思います。

②と③は水温が25℃~26℃になるように自動調整してくれる機能を持った水槽用ヒーターです。

①のベタ用のヒーターは、約27℃くらいに自動温調してくれる製品となります。

実験に使用した水槽について

今回使用する水槽は、下の写真にある通り、コリドラスをメインに飼育している45cm水槽です。

GEX製のスリム水槽のため、奥行きが少し小さく、水量としては15L程度となっています。

水槽の大掃除をするタイミングで今回の実験を行うことにしました。

実験をするに当たっては、水槽の中の生態を全て別の水槽に移して実験を行いました。大掃除の際に生体を傷つけないことや、実験による水温変化が大きくなるため、生体への負担を軽減するための措置です。

実験の方法について

実験の方法についてですが、次の手順で水槽の飼育水の温まり方を確認していきました。3つのヒーターでの実験を行うため、合計で3回の実験を繰り返しています。

① カルキ抜きを行った水道水を入れて約20℃の水温に調整する。

② 水槽にヒーターを投入して、温調を開始する。また、フィルターは稼働させて水槽内の水温が均一になるようにしています。

③ ヒーター投入後、60分間の水温変化を記録していく。

この手順で約20℃の水が、目標水温の25℃~26℃までにどのように温まっていくのかを調査していきます。

水温の測定は、テトラのデジタル水温計を用いて行いました。

室内の温度は約20℃前後です (私の肌感覚で20℃くらい) 。

実験の結果 -水温の変化はヒーターごとに明確に違う-

では、実験の結果をグラフにしたものを下に示します。

3つのヒーターで温調をしてみたのですが、そこには目に見えて大きな差が出てきていますね。

①の4L水槽用のヒーターについては、60分経っても水温が22℃程度にしか上がりませんでした。

逆に60cm水槽用のヒーターでは、最大温度が29℃近くまで上がってしまっています。

そして、水槽サイズに適した45cm水槽用のヒーターでは、若干水温が目標温度より高くなっている時間がありますが、比較的早く目標水温になっていることもわかります。


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実験結果の考察

上記の結果の通り、水槽用ヒーターのサイズ (ワット数) によって、水槽の飼育水の温まり方に大きな違いが出てきています。

実験をやる前から、何となく結果は分かっていたことではあるのですが…。

このような結果になった理由を、簡単にまとめておきたいと思います。

まず、小さな4L水槽用のヒーターでは、45cm水槽の飼育水を温めるのにはワット数が足りず、25℃の目標温度に到達しませんでした。これは、ヒーターで温める熱量と、水槽の外に逃げていく熱量が約22℃程度で拮抗してしまっているからであると考えられます。もしかしたら、更に長い時間をかければ25℃に到達するのかもしれませんが … 。

また、換水の際に25℃に調節した新しい水を入れたとしても、ヒーターのワット数が小さすぎると、水槽の水温を25℃に維持すること自体が不可能になる可能性もあります。

逆に、60cm水槽用の大きなワット数のヒーターを使うと、あっという間に水温は上がります。しかし、水槽用ヒーターには水温を下げる機能は無いため、水温が目標温度に近付いてもヒーターはまだ飼育水を温めようとします。そのため、水温のオーバーシュートが起こり、水温が最大で29℃近くにまで上昇してしまいました。

さらに、水は温まりにくく冷めにくい性質を持っているため、一度温まった飼育水は1時間経過しても26℃まで下がることはありませんでした。

そして、ワット数の大きなヒーターは一度温調スイッチが入ると必要以上に熱量を与えてしまうため、常に水温変化が起こりやすいというデメリットもありますね … 。

この記事の終わりに -水槽サイズに適したヒーターの重要性-

さて、本記事では水槽用ヒーターのワット数の違いによる、飼育水の温まり方の違いを実験的に検証してみました。

今回の結果から、水槽のサイズに適したヒーターを選ぶことの重要性が明確にお分かりいただけたかと思います。

1. 水槽サイズに対して小さなワット数のヒーターを使うと、目標温度に到達しない可能性がある。また、水温の上昇が遅く、素早く適した水温に温調することが難しい。

2. 水槽サイズに対して大きなワット数のヒーターを使うと、水温が目標水温以上に上がってしまう。また、過昇温された水は冷めるまでに時間を要するため、目標水温になるまでに長時間を要する。

水槽サイズに適していないヒーターを使うと、このような弊害が生まれます。これは、飼育している魚に対しても負担を与えることになりかねません。

魚たちに負担を与えないためにも、出来る限り水槽サイズに適した水槽用ヒーターを選んであげて下さいね。

それでは!