サイアミーズ・フライングフォックスが苔を食べない!解決策とは?

水槽の中に発生するコケを食べて、水槽内の美観を維持してくれる生体は「メンテナンスフィッシュ」と呼ばれ、昔も今もアクアリスト達に愛される存在となっています。

淡水アクアリウムのメンテナンスフィッシュとしては、ヤマトヌマエビやオトシンクルス等が有名ですが、黒髭苔も食べてくれる最強のコケ取り生体が「サイアミーズ・フライングフォックス」です。

黒髭苔は苔の中でも増殖力が強く、一度発生すると手に負えない状態になることが多々あるため、その黒髭苔を処理してくれるサイアミーズ・フライングフォックスは本当に強い味方であると言えます。ヤマトヌマエビやオトシンクルスは黒髭苔を食べてくれないため、黒髭苔を処理してくれる生体は本当に重宝します。

私も現在管理しているほぼ全ての水槽にサイアミーズ・フライングフォックスを導入しており、水草や流木に生える黒髭苔を処理してもらっています。

しかし、サイアミーズ・フライングフォックスは飼育環境次第では黒髭苔を食べてくれない場合があります。

その原因は何なのでしょうか?

この記事では、私の経験から、サイアミーズ・フライングフォックスに黒髭苔を食べさせる水槽環境作りを紹介させていただきます。


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サイアミーズ・フライングフォックスによる黒髭苔処理の実例

まず最初に、サイアミーズ・フライングフォックスが実際に黒髭苔を処理してくれている実例を紹介したいと思います。

下の写真は、私の管理する60cm水槽で飼育中のサイアミーズ・フライングフォックスですが、流木に生えている黒髭苔を処理してくれているのがお分かりいただけるかと思います。

この水槽は立ち上げ当初は黒髭苔があまり発生していなかったのですが、黒髭苔が目立ち始めたのをきっかけにして、サイアミーズ・フライングフォックスを導入しました。

すると、導入した次の日から黒髭苔の処理を始めてくれて、あっという間に黒髭苔の生えている面積が小さくなりました。

サイアミーズフライングフォックスを導入する前と後で、流木の状態を比較した様子が次の写真になります。

上がサイアミーズ・フライングフォックスを入れた当初の写真、下がサイアミーズ・フライングフォックスが黒髭苔を処理した数日後の写真になります。

黒髭苔が生えている時は流木の表面が見えていませんでしたが、サイアミーズ・フライングフォックスが黒髭苔を食べた後は流木の表面がしっかりと出ていることがわかります。

黒髭苔が生えている状態よりも、生えていない状態の方が確実に見栄えが良いですよね。

これだけの増殖していた黒髭苔を、わずか数日のうちに処理してくれるサイアミーズ・フライングフォックスは、本当に素晴らしいコケ取り生体だと言えます。

サイアミーズ・フライングフォックスは茶苔や珪藻の方が好き

サイアミーズ・フライングフォックスは、他のコケ取り生体が食べない黒髭苔を食べてくれることで有名ですが、黒髭苔以外の苔や藻も食べてくれます。

例えば、石の表面に発生しやすい茶色の茶苔、ドロドロの状態で発生するアオミドロ、また珪藻なども処理をしてくれます。

つまり、水槽の中に発生する様々な苔や藻を食べてくれる生体なんですね。

黒髭苔だけが大好きというわけではありません。

むしろ、黒髭苔よりもアオミドロや珪藻などの方を好んで食べているように思います。

黒髭苔は流木などに固く頑固にこびりついているので、サイアミーズ・フライングフォックスにとっても食べにくい存在なのだと思われます。

茶苔やアオミドロを食べた後に、食べる物が無くなったら黒髭苔も処理し始めてくれる、といような感じです。

(率先して黒髭苔だけを食べるようなことは、ほとんどありません。)


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黒髭苔を食べないサイアミーズ・フライングフォックスを解決する方法

サイアミーズ・フライングフォックスに黒髭苔を食べてもらうための考え方は、サイアミーズ・フライングフォックスの食べ物が主に黒髭苔だけの環境を作ることになります。

黒髭苔を食べてくれないのであれば、黒髭苔を食べるような環境を飼育者である私たちが作り上げるしかありません。

例えば、上で紹介したように、黒髭苔以外の苔があるのであれば、それらの苔を無くしてしまえば良いのです。

では、その方法を以下で紹介します。

サイアミーズ・フライングフォックスが黒髭苔を食べてくれない方にとって、少しでも飼育方法のヒントになれば幸いです。

① 人口飼料は基本的には与えないこと

まず最初に、人口飼料を食べさせないことは、大前提として必要な飼育環境になります。

「え?餌を与えないの?」と思われるかもしれません。

しかし、考えてみて下さい。自然環境の中には人口飼料の様な高カロリーで美味しい餌は存在しません。

基本的にサイアミーズ・フライングフォックスは、水槽内に発生する苔や藻を食べていれば生命維持は可能です。

人口飼料に慣れてしまうと、苔よりもおいしい食べ物を覚えてしまうため、苔を食べるという習慣を無くしてしまいます。

特に注意すべきは、水槽の底に落ちてしまった沈下性の人口飼料ですね。ネオンテトラ等は水中に浮遊している餌は猛スピードで食べますが、水底に落ちてしまった餌を食べるスピードは落ちます。その水底に落ちた人口飼料をサイアミーズ・フライングフォックスが横取りする場面が結構あります。

また、コリドラスを飼育されている方は、コリドラスタブレット (コリドラスの餌) をサイアミーズ・フライングフォックスが食べているのをよく見ませんか?

このように、他の熱帯魚とサイアミーズ・フライングフォックスを混泳させている場合には、人口飼料の与えすぎが黒髭苔を食べてくれない原因になり得るのです。

とはいえ、他の魚の餌やりとの両立は難しい事が現実です。

しかし、方法次第では解決策はあると思います。

例えば、ネオンテトラと一緒に飼育している場合には、ネオンテトラが餌をあっという間に食べきる量を少量ずつ与えていき、サイアミーズ・フライングフォックスが餌を食べる隙を与えないという方法も効果的です。

② ヤマトヌマエビやミナミヌマエビを多めに混泳させる

次に重要なのはエビ達の存在です。

サイアミーズ・フライングフォックスがいれば、様々な苔を食べてくれるので、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビの導入は不要であると思われるのが普通だと思います。

しかし、それは逆効果でサイアミーズ・フライングフォックスが黒髭苔を食べない環境を作ってしまう可能性が高いです。

少し考えてみると、その理由が見えてきます。

ヤマトヌマエビやミナミヌマエビがいない水槽環境と言うのは、水槽内に発生した苔を全てサイアミーズ・フライングフォックスが独り占めできるということなのです。

上で記載した通り、サイアミーズ・フライングフォックスは黒髭苔よりも茶苔や珪藻などを好んで食べます。

つまり、そこに茶苔や珪藻があったら、黒髭苔の処理は後回しになってしまいます。

そのため、できればヤマトヌマエビやミナミヌマエビを水槽内で混泳させて、エビ達に茶ゴケや珪藻を食べてもらうようにします。

そして、黒髭苔だけが主に残るような状況を作れば、サイアミーズ・フライングフォックスは黒髭苔を食べてくれると考えられます。

実際に、上で紹介した私が管理する60cm水槽の中には、ヤマトヌマエビが4匹、ミナミヌマエビが20匹くらい入っています。結構、エビの密度が高い状態です。

しかし、エビ達が茶苔や珪藻の多くを食べてしてしまうため、サイアミーズ・フライングフォックスは黒髭苔も食べないとお腹が満たせない環境になっています。

人口飼料を与えないこと、そしてエビを多く導入することで、サイアミーズ・フライングフォックスが黒髭苔を食べる環境に近付いてきます。

③ 購入する時は幼魚のサイアミーズ・フライングフォックスを選ぶこと

もう一つ重要なポイントがあります。

これは見落としがちなのですが、意外と重要な事なので紹介しておきます。

アクアリウムショップでサイアミーズ・フライングフォックスを購入する時、なるべく幼魚の状態のものを選びましょう!

サイアミーズ・フライングフォックスは、成魚になると体長が10cmくらいになります。

そして、大人になったサイアミーズ・フライングフォックスは、食生活がほぼ確立されている状態になります。

アクアリウムショップで大きく育ったものは、場合によってはアクアリウムショップで人口飼料を与えられており、黒髭苔を食べるという食習慣を持っていない可能性があります。

また、アクアリウムショップの水槽は、黒髭苔が無く綺麗な状態の場合も多いので、黒髭苔を食べ物であるという認識を持たないまま大きく育っている可能性もあります。

幼魚の頃かっら黒髭苔を食べて育っていれば、大人になっても黒髭苔を食べ物であると認識してくれるはずです。

そのため、サイアミーズ・フライングフォックスを水槽に導入する場合には幼魚を購入し、自分の水槽で黒髭苔を食べさせながら育てる事をお勧めします。

「サイアミーズ・フライングフォックスは大きくなると苔を食べなくなる。」という内容をネット上でも見ることがあります。これは少し大きく育ったサイアミーズ・フライングフォックスを購入したため、黒髭苔を食べる習慣を持っていない個体を購入してしまったのではないかと考えられます。

ここで言う幼魚とは、体長4cm程度の小さなサイアミーズ・フライングフォックスになります。

アクアリウムショップに入荷された直後のサイアミーズ・フライングフォックスは、丁度そのくらいの大きさですので、アクアリウムショップの入荷情報を見ながら購入の機会を待ちましょう!

サイアミーズフライングフォックスの注意点

サイアミーズフライングフォックスは、非常に優秀なコケ取り生体であることは間違いないのですが、水槽内で他の魚と混泳させるときに、少し注意が必要です。

サイアミーズフライングフォックスは、成長すると10cmを越える大きな魚になります。

すると、他の魚よりも自分の体が大きなことを理解し、ネオンテトラ等の小型の魚を追い回すような仕草をするようになります。

私の管理する水槽でも実際に起こっていることですが、小さなサイアミーズフライングフォックスは混泳に何の問題も無いのですが、体長が10cm級になると上記の問題が出てきます。

コケ取り生体として、水槽の美観維持に貢献してもらっているので文句は言えませんが、一応の注意点として紹介だけしておきます。


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この記事の終わりに

この記事では、サイアミーズ・フライングフォックスが黒髭苔を食べない理由と、黒髭苔を食べさせるための飼育環境について紹介をさせていただきました。

黒髭苔は水槽の美観を著しく低下させる存在であるため、サイアミーズ・フライングフォックスによる黒髭苔の除去がとても強い味方になります。

しかし、人口飼料を与え過ぎたり、黒髭苔以外の苔が沢山発生している状況では、サイアミーズ・フライングフォックスが黒髭苔を食べてくれない場合が見受けられます。

そのため、人口飼料を与え過ぎない事や、黒髭苔以外の苔を減らし、サイアミーズ・フライングフォックスが黒髭苔を食べる環境を作ることが重要になってきます。

サイアミーズ・フライングフォックスと上手く付き合って、水槽内の黒髭苔を撲滅できるようにしましょう!

また、同じくコケ取り生体として有名なオトシンクルスが苔を食べない理由について、以下の記事で紹介しています。