アクアリウムという趣味を楽しむ中で、様々な情報をネットから取得される方は多いかと思います。
水槽のサイズやフィルターの種類、水槽の立上げ方や魚の飼育方法まで…
現代は高度に発展したインターネット社会ですので、様々な情報を簡単に瞬時に入手できる時代です。
しかし、私がアクアリウムに復帰してからこれまで、様々な場面で感じたことがあります。
それは「インターネットで収集できる一般的な情報はどれだけ信憑性が高いのか?」と言う疑問です。
今回はアクアリウムに関するネットの情報について、私が疑問に思った情報とその理由について私の言葉で記載したいと思います。
賛否両論はあるかと思いますが、あくまでも個人の意見としてご覧いただければと思います。
現代は正しい情報を得るのが難しいのが現実
冒頭でも述べたように、現代はインターネット技術が急速に発達し、ありとあらゆる情報を簡単に入手できる世の中になりました。
検索エンジンに知りたい単語を入力すれば、AIがその内容を理解して最適な答えや探し物を紹介してくれます。
私が小学生の時は、アクアリウムの情報は雑誌で読んで得るのが一般的でしたので、現代はとても便利な世の中であることは間違いないと思います。
しかし、皆様ご存じの通り、ネットの情報には正しい情報も間違った情報も掲載されているのが事実です。
アクアリウムの世界においても、情報の信憑性に対する考え方は同様かと思います。
私が投稿しているブログ記事も、一部の方には有益な情報であっても、別の一部の方にとっては信憑性の低い情報に思われているかもしれません。
インターネットの情報の中には、参考になる多くの情報がありますが、鵜吞みにして良いのか判断を迷う情報もたくさんあります。
私がここ数年、インターネットで得られた情報に対して気を付けていることは、インターネットの情報はあくまでも参考事例であり、全てを正しいと思わないということです。
特にアクアリウムの様に、生物や植物を育てている以上、同じように実験・管理をしても同じような成果に結びつかないことがほとんどだと思います。
それぞれの水槽や管理環境には、それぞれの最適な条件があるので、ネットの情報が的確な答えになることは少ないです。
私のブログでは、さまざまなアクアリウムに関する情報や実験結果を発信していますが、それらが皆様の管理する水槽に完全に当てはまるわけではありません。あくまでも私が行った実験や飼育の記録、そして商品の使用感の紹介であり、それらは参考事例にしかなりません。
もちろん、可能な限り有益な情報になるように心掛けておりますが、足りない部分もあり少し間違った考えを持ってしまっている場合もあるかと思います。(自分の記事のネガティブキャンペーンをしているわけではありませんが…。)
誰もが簡単に多くの情報を得られる現代だからこそ、自分でその情報の正しさを見極めて、実際に自分の手でやってみることが重要なのだと常日頃から思っています。
以下では、私がアクアリウムと言う趣味を楽しんでいて、疑問に思ったネット情報を紹介します。また、それに対する私の意見も記載したいと思います。(あくまでも私個人の意見です。)
①「餌は5分で食べきれる量」という情報は正しいの?
この餌やりに関する情報は、アクアリストの誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
個人的に知りたいのは、この情報は誰が最初に発信したのか!?という事実です (笑) 。
ネットの情報だけでは無く、餌のパッケージの説明文章にも記載されている場合もあります。
しかし、適切な餌の量は魚の種類にも依りますし、魚の体の大きさ (幼魚なのか成魚なのか) にも依存します。
また、魚ごとに餌を食べる速度が大きく異なのも事実です。
そのため、「餌は5分で食べきれる量」という時間による目安は、かなり曖昧な指標だと思います。
私の飼育する金魚は、餌を食べ過ぎるとお腹を上にして転覆病になったような状況になってしまいます (下のリンクを参照ください) 。
この事例は餌以外の飼育環境 (水温など) も影響している可能性はありますが、餌の与え過ぎで良い影響は無いことは事実なのでは無いかと思っています。
つまり、餌やりは「5分」と言う時間管理では無く、その魚に適した「量」を日々の管理の中で見極めていくことが重要になるのです。
餌の与え過ぎは、水槽の水面に浮かぶ「油膜」の原因にもなりますし、熱帯魚が消化不良を起こすと様々な病気の原因となり得ます。
魚を飼育し始める時、魚をお迎えしたらまず優先的に知るべき情報の一つが餌の量だと考えています。
②「水草水槽の二酸化炭素添加は3秒に1滴」は正しいの?
水草水槽を楽しんでおられる方の中には、二酸化炭素ボンベを用いて飼育水に二酸化炭素を添加している方も多いのではないでしょうか?
水草が光合成を行うためには水中の二酸化炭素が欠かせませんので、それを補う目的で二酸化炭素の添加されるのが背景となります。
二酸化炭素を添加するときの添加量としては「何秒に1滴」という指標を用いるのが一般的です。
気体の使用量は、一般的には流量 (L/minやsccm等の単位) で表される場合が多いですが、一般家庭のアクアリウムには流量計の様な高価なものは用いられません。その代わりとして、二酸化炭素ディフューザーに二酸化炭素を気泡として供給し、何秒で何滴使用したかを添加量の指標にしています。
例えば「水草水槽の立ち上げの初期には2秒に1滴が良い」「立ち上げ後は3秒に1滴くらいに減らす」等の記載を見たり、聞いたりすることがあるかと思います。
CharmさんのYoutube動画に、二酸化炭素添加 (1秒に1滴以上) を行った水槽と二酸化炭素添加をしていない水槽での水草育成の違いを紹介した動画があります。→ Charmさんの動画
この動画は二酸化炭素の添加以外が全て同じ条件であると思いますが、確かに二酸化炭素の添加で水草育成に差が出ています。(二酸化炭素の添加以外は全て同じ条件であると信じたい。)
つまり、二酸化炭素の添加で水草の育成に違いが出るのは確かな事なのだと言えます。
添加量については、上記の動画では多量の二酸化炭素を添加しているように思えますので、飼育水の二酸化炭素の濃度は飽和濃度に到達していると思います。
しかし、二酸化炭素ボンベも購入が必要な消耗品です。二酸化炭素に費用をかけたくない方からすると、本来知りたいのは「どのくらいの添加量にするのが最も効率が良いのか?」という点です。
この点については、定量的な実験結果はネット上には見つかりませんでした。(もし御存じであれば教えていただけましたら幸いです。)
10秒に1滴でも効果が出てくるのか? それとも、5秒に1滴以上の添加が必要なのか?…
二酸化炭素を添加して水草が育つのは明確な事実ですので、次に欲しい情報と言うのは「何滴添加すれば良いのか?」という点だと思うんですね。
これに関してはネット情報を信じて3秒に1滴で管理する方もいれば、添加量を制限して10秒に1滴の方もいるでしょう。
以前、私の記事でアマゾンソードの育成で二酸化炭素の有無で実験をしたことがあります。その時のデータは、データ量が少ないので信憑性が低いですが、二酸化炭素の影響があまり見られませんでした。
また、その他にもロタラ・ベトナムを二酸化炭素の添加無しで育てましたが、美しい赤色に染まってくれたのも事実です。ネット上ではロタラを赤くするには二酸化炭素が必要と紹介されていましたが、二酸化炭素が無くても赤く染まる例もあります。
つまり、当たり前のことかもしれませんが、「何秒に1滴」という指標はあくまでも参考であり最適解は自分で見つけるしかないのかと…。
3秒に1滴の添加量が正解の水槽もあれば、3秒に1滴は最適では無い水槽もあります。
二酸化炭素を使用しなくても、水草が綺麗に発色するケースもあります。
私が二酸化炭素の添加を始めた頃は、二酸化炭素の添加量が多かったので、二酸化炭素ボンベの使用量も多かったです。そのため、「1秒に1滴と言うのはメーカー側が二酸化炭素ボンベを売りたいだけのデモンストレーションなんじゃないか?」と思った時期もありました。
二酸化炭素の添加量に関しても、御自身の水槽で最適な量を確認し、答えを見つけていきましょう!
③「初心者でも飼育可能な魚」というキャッチフレーズに注意
初めて熱帯魚の水槽を用意し、水槽の立ち上げが終わった初心者の方が、実際にアクアリウムショップへ熱帯魚を魚を購入しに行ったとします。
そこに「初心者でも安心」とか「初心者向けの熱帯魚」という表示があったとします。
それを見ると、そのタグが付いた熱帯魚は、誰もが安心して飼育ができるのだと思いますよね!?
でも、そのような表示がされている熱帯魚の中にも、初心者が飼育すると困ってしまうような熱帯魚も多くいます。
例えば、熱帯魚の女王と呼ばれる「エンゼルフィッシュ」。
私もアクアリウムに復帰した時には飼育した魚です。
エンゼルフィッシュは、確かに初心者でも飼育ができる魚であることは事実かと思います。
しかし、水質の違いが原因であったり、環境が合わないことでお星様になってしまう個体が多かったのも事実です。私の管理能力が悪かったことも否めませんが、初心者に勧めるような魚ではないと思います。
エンゼルフィッシュは、同一水槽に複数匹入れると命がけの喧嘩をしますし…エンゼルフィッシュはネオンテトラの様な小型の魚を食べてしまいます…。
何も知らずに「初心者でも安心」の表示だけを見て購入するのは、かなり安易な考えであり、それは販売する側にも情報周知を徹底すべきと感じたで、ここで記載させていただきました。
また、プラティも初心者用の熱帯魚として知られていますが、こちらも私が実際に飼育して後悔した魚の一種です。
詳細は過去の記事で紹介しているので、そちらをご覧ください。とりあえず、繁殖力が強すぎて、数が増えすぎます…。
④「ワイルドの熱帯魚は見た目が全然違う!」という意見
アクアリウムショップに行くと、値札に「ワイルド (WILD) 」と記載された熱帯魚を見ることがあるかと思います。
これは南米のアマゾン川などで採取された熱帯魚であることを表す表記です。
例えば、ブラジルのアマゾン川からやってきたカージナルテトラには、「○○川のワイルドのカージナルテトラ」という表記がされている場合があります。ネグロ川あたりが有名でしょうか…。
しかし、私もアクアリウムを長く楽しんでいますが、ワイルドとブリードの違いを見分けることがほとんどできません。
上のリンクの記事では、カージナルテトラのワイルドとブリードの違いを比較していますが、見た目だけで判断することは困難です。
「ワイルドの方がシャープな体型をしていますよ」と言われることもありますが、ブリードも育て方次第でシャープな体つきになります。
もちろん、ワイルドの熱帯魚の流通により商売をしている方々がいるのであまり大きな声では言えませんが…個人的にはワイルドを選ぶのは「自己満足の世界」かと思います。
ワイルドのカージナルテトラが100匹、ブリードのカージナルテトラが100匹の合計200匹が泳ぐ水槽で、ワイルドとブリードを8割くらいの正解率で仕分けられる能力があればワイルドを楽しむ意味はあると思います。
初心者や特に気にしない人はブリード品種で十分アクアリウムを楽しめます。
この記事の終わりに -疑問に思うことは自分で試してみるのが一番-
この記事では、アクアリウムの一般的な情報に関して、私が疑問に思った経験のある情報を紹介させていただきました。
ここで紹介した情報は、どの情報も一度は耳にしたことがあるものかと思います。
しかし、あらためて考えてみると、どれも確かに「一般的」な情報なのですが、全ての水槽に完全にマッチしない情報でもあることは事実です。
アクアリウムと言う生物を飼育する趣味は、それぞれの水槽に最適な飼育方法を自ら考えていくものです。
良く言えば「自分だけのアクアリウムが作れる」ですが、悪く言えば「自分で全てを解決しなければならない趣味」でもあります。
飼育環境下崩れれば、魚がお星様になってしまったり、水が濁ってきたり、水面に油膜が出てきたり、様々なトラブルが生じます。
私自身、アクアリウムを長く楽しんでいますが、いまだに管理している水槽の水面に油膜が発生してしまいます。
その都度、原因を調べながら解決しているのですが、その状況を見ると「何年経っても反省することがあるなぁ」と感じます。
問題が起きた時、ネットの情報を鵜呑みにして適当に処理するのではなく、一つ一つの管理方法や変化点を理解し考えながらアクアリウムを楽しんでいきたいものですね!