熱帯魚のプラティを飼育して分かった困り事とその対策

「プラティ」はアクアリウム初心者にも熟練者にも人気の熱帯魚です。

カラフルで鮮明な模様に加え種類も多く、愛くるしい体型で、アクアリウムではグッピーに肩を並べる人気な存在です。

私自身もアクアリウムに復帰した時に、子供と一緒にプラティを飼育していました。

しかし、初心者でも簡単に飼育できるプラティの飼育には、色々と困りごとがあったんです…。

多分、その困りごとは実際に飼育してみないとわからないことです。

特に困ったことは「大食漢で糞が非常に多く水が汚れる」「水草レイアウトを荒らし放題」「他の熱帯魚を追い回す」「繁殖力が強すぎる」等々ですが、詳細は以下で記載したいと思います。

また、私が行った対策についても紹介します。

プラティの飼育を検討している方には、事前に知っておいて欲しい注意点と対策としてまとめておきます。

【注意】この記事はプラティの販売・不買を促すものではありませあん。あくまでも私個人が飼育してみて分かった事実を紹介するものです。気になる方は「困った事」という見出しだけでも読んでいただければと思います。


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熱帯魚のプラティについて

まず最初に、プラティという熱帯魚にあまり詳しくない方もいらっしゃるかと思いますので、プラティについて簡単に御紹介しておきます。

プラティの見た目や生態

プラティは、見た目は少し異なるのですがメダカの仲間で、生まれ故郷は南米のメキシコになります。

温かい国のメキシコというお国柄にも似合うような陽気で活発的な魚です。

体長は大きなものでも4~5cmで、熱帯魚ショップで販売されている2cm位のものは生後3か月くらいの子供になります。私の飼育しているものは平均で4cmくらいのサイズです。

また、平均寿命は1年半~2年程度と短いですが、メスがお腹の中で卵を育てるという産卵 (卵胎生) をするため、寿命が短いことを繁殖による増殖によって補い確実に子孫を残す種族となります。

メダカの仲間ということで、比較的水質変化に強い面も持ちます。

私が飼育しているプラティは、水替えやフィルター清掃などによる水質の変化で体調を崩したり、食欲が無くなったりすることもありません。

プラティは、様々な品種改良がなされてきており、現在では数々の種類が世に送り出されております。特に品種が定められないものは、ミックス・プラティという名前で、かなり安価で流通しております。

プラティの写真

プラティはまさに初心者向けの熱帯魚

プラティの飼育環境については、そこまで神経質に気を遣うことはありません。

一般的な熱帯魚の飼育方法で問題はありません。

水道水をカルキ抜きをしてあげた水を用いて、水温を25℃前後で管理してあげれば、相当なことが無い限りはお星様になることは無いです。ただし、購入した後に自分の水槽に入れる際には、水合わせは必ず行ってあげて下さい。

pHも弱酸性のpH=5~7という広い範囲で飼育できますので、週に1度の水替えで、十分に飼育環境を維持できるかと思います。

プラティは水槽の中のレイアウトについても、特段文句をつけるような魚ではありません。シンプルなベアタンク (何も入れていない水槽)、流木レイアウト、石組、人気の水草など、全てのレイアウトで飼育が可能です。私自身は、流木と水草を入れた簡単な飼育環境で育てています。

飼料については、何でもよく食べますので飼料で困ることは絶対にありません。飼料の種類は人口飼料や冷凍赤虫などで問題ないです。口に入って危険だと思われるもの以外は様々なものを食べます。お腹が空くと、水槽内のコケや水面に浮いている油膜もつついて食べるようになるので、飼料が合わずに困るということは絶対にないと思われます。

水槽を泳ぐプラティ

実際にプラティを飼育してみて困った事

プラティは人気で可愛い熱帯魚なのですが、やはり飼育してみると困りごとも多く出てきます。

私はプラティを飼育していますが、「どうしようかなぁ…」と困ることに何度も遭遇した経験があるので、その内容を記しておきたいと思います。

プラティも生物なので、皆様が軽々と命を購入してしまわないように、情報を配信しておきたいと思います。

頭を抱える子の姿

大食漢で糞が多いため飼育水が直ぐ汚れる

プラティは、何でも食べる雑食で、飼料を食べなくなって死んでしまうという心配はほとんどありません。

しかし、その性格は逆に考えると、何でも食べてしまうので、糞の量が非常に多いです。常に何かを食しているため、常に糞をしており、水槽の飼育水があっという間に汚れていきます。

そのため、飼育するプラティの数にも依るのですが、水槽内の硝酸濃度の維持のために週に1度の換水は必須になります。例えば、60cm水槽で20匹程飼育するのであれば、水槽内の美しさを保ち悪臭を防ぐのであれば、週1回以上の換水が必要です。

ベアタンクで飼育すると、糞の多さに驚く方も多いのではないかと … 。

私の飼育環境での話をすると、最初に45cm水槽で5匹のプラティを飼育していたのですが、換水して糞を除去しても3日で元通りでした。餌を与える量にも依存はしますが、餌を与えないわけにもいかないので、水槽内の見た目の悪さを換水で解決していたようなものです。

水槽内の水草を荒らすためレイアウトが崩れる

最近のアクアリウムでは水槽内で水草を育てる「水草水槽」が人気のジャンルの一つです。

水草には背の低い前景草、少し背のある中景草、一番後ろに配置する高さのある後景草と様々な種類があります。

プラティは先に記載したように、様々なものを食べます。

そのため、水草もその被害を受ける一つになります。

特に葉の小さなものや、葉の厚さが薄いものは被害を受けやすいです。

具体的な例を挙げると、前景草で大人気のグロッソスティグマ、キューバパールグラスの2種については、プラティに食い荒らされました。

水草そのものを食べてないのかもしれませんが、餌を探すために口で突っついて根こそぎ水草を抜いてしまうことが多々ありました。

グロッソスティグマの絨毯が完成した後にプラティを水槽に入れるのであれば問題無いのかもしれませんが、植えたばかりの水草や中途半端に育った状態の水草は被害に合う可能性が高いと思います。

プラティの水槽で水草の育成も楽しみたい方は、御注意ください。水槽内で水草がしっかりと根付くまでは、プラティは水槽に入れない方が良いです。

水草の写真

水槽内で雄同士の喧嘩が起きます

プラティの雄は自らの子孫を増やすために、複数の雌を囲い込むように泳ぎます。そして、そこに他の雄が入ろうとすると、そのオスを追い払う習性があります。

私は、5匹のプラティで飼育を開始したのですが、2匹が雄で3匹が雌でした。その環境下では、1匹の雄が雌3匹と群泳し、1匹の雄を追い払うような環境になってしまいました。

プラティの飼育数が多ければ、このような環境にならなかったのかもしれませんが、オス同士の小競り合いが少し多いことは事実です。喧嘩をしたり、弱い方が追い回されたりするようになるので、水槽の中でのプラティの生活が心配になる一場面もありました。

ただ、雄は小競り合いを起こしますが、雌同士ではほとんど喧嘩はしないんですよ。

水槽の中での熱帯魚同士の喧嘩は見たくないですよね … 仲良くやって欲しいところです。

もし、喧嘩をさせたくないのであれば、雄は1匹のみにして雌を多めに入れると良いかと思います。

または、全てのプラティを雌で揃える、プラティの飼育数を少し増やして縄張り意識を失くしてしまうようなことをすれば小競り合いは起こりにくくなるかと思われます。

ただし、これは飼育環境やプラティの個体差に強く依存するので、トライ&エラーで克服していくしかないのかと。

他の魚を突っつく癖があり混泳には注意も必要

プラティの大食漢に関係したところであると思いますが、他の魚のヒレや体を口で突っつく癖があります。

私の飼育で被害を受けたのは、ネオンテトラ、コリドラス、ベタの3魚種です。

ネオンテトラは、特に大きなサイズのものが被害を受けました。プラティに突っつかれて、お腹の部分のうろこが剥げてしまったのです。命を落とすようなレベルではなかったのでそのままにしておきましたが、ネオンテトラにとってはストレスのある環境だったと思わされます。

コリドラスについては、突っつかれそうになると自分から逃げていくので、目に見える怪我は見られませんでしたが、少し嫌がるような素振りが見えました。

ベタは大切な美しいヒレをボロボロにされました。同居させた当初はベタの方が立場が強かったのですが、ベタが上手く泳げずに攻撃してこないことがわかると、逆にプラティがベタの長いヒレを食べ始めたのです。私は一晩にしてヒレがボロボロにされてしまい、ベタを別水槽に避難させた経験があります。

同じプラティ同士であれば、このような行動は見られないのですが、他の種類の魚に対する興味もあるのか、混泳には注意が必要です。

一番困ったのは繁殖力が強すぎること!

これです!これをこの記事で一番強く伝えたいのです。

プラティは冒頭でも記載したように、卵胎生の繁殖をします。つまり、雌がお腹の中で卵を育て、生まれてくる時には稚魚の形で生まれてきます。

大食漢のプラティは自身の子を食べてしまうことも多々あるのですが、最終的な結果としてはプラティの数が増える一方になります。

1度の産卵で大体10匹くらいを産むのですが、雌が複数匹いると毎月の様に産子供を産みます。そうなると、想像が容易だと思うのですが、増える一方です…。

上記の通り、私は5匹のプラティ (雄2匹、雌3匹) を45cm水槽で飼育を始めたのですが、2カ月後には10匹になり、4カ月後には23匹になり、半年経ったら50匹近くになり数えられませんでした。

それでも増え続ける一方で、45cm水槽ではとても飼育ができない状況になったため、生まれてきたプラティを近くのショップに引き取ってもらいました。近くで引き取ってくれるところがあれば良いのですが、そうでないと飼育が続けられません。増えれば増えるほど、飼育水の汚れが早くなりますし、過密で魚の受けるストレスも大きなものになります。

アクアリウムを初める方は、可愛さや飼育のしやすいさでプラティを安易に選ぶ方も多いですが、繁殖力の強さでどんどん増えていってしまうという懸念点を考えて飼育を始めてください。私の様に増えすぎて困る方は結構います。

「プラティを繁殖させよう」とか「繁殖に必要なもの」とか記載されてたブログもあり、繁殖が良い事・楽しい事のように見える部分もあります。しかし、アクアリストとしては、その先に待っている数が多くなりすぎるというリスクも考えていくべきだと私は思います。


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【重要】プラティは1年後を見越して飼育環境を準備しましょう

プラティ飼育の注意点を幾つか記載をさせていただきましたが、やはり人気の魚種になるので飼育をされたい方は多いと思います。そこで、数が増えてしまうことに対すて私が考える解決策を御紹介しておきます。

増えすぎた時の譲渡先を確認しておくこと

プラティを購入したショップ等で、生まれた稚魚を引き取ってくれるところもあります。もちろん、その稚魚をショップが育てて販売目的での引き取りとなるのですが、自分が育てられなくなるよりは良い方法です。

飼育を始める前や購入の前に、ショップの店員さんに確認しておきましょう。

間違っても川に放流したりすることの無いようにしてくださいね。友達に分けてあげるのも良いかもしれませんが、その友達にも繁殖力のことは伝えておいてください。譲渡するだけの無責任なことはしないようにしましょう。

水槽は少なくとも60mのサイズを推奨します

私は45cm水槽で飼育を始めたので、繁殖によって半年も経たないうちに飼育環境の維持が困難な状態になりました。

ですので、60cm水槽で始めることを推奨します。

60cm水槽と外部フィルターの組み合わせであれば、50匹くらいになっても、水替え頻度を上げることで対応ができます。ただ、それ以上になったら、やはりさすがに飼育環境が破綻し始めるので、上で記載した譲渡先を探しておくべきかと思います。

可愛そうですが肉食魚を混泳させることも対策

これは荒業ですが、実際の自然の環境を再現してあげることも一つの対応策だと思っています。

自然界にはプラティの外敵にある肉食魚が多く存在しているため、生まれた稚魚の多くはその犠牲になっているのが現実です。成魚になれる確率は数%程度だと考えられます。その環境を水槽内に作れば、プラティの異常な増殖は防ぐことができます。

ちょっと可哀そうだと思われますが、例えば、シグリッド系の魚を1匹同居させるなどすることで、増殖のスピードはかなり落とせると思います。シグリッド系の魚としては、例えばラミレジィ等です。

実は、私はプラティを飼育していた45cm水槽にゴールデン ラミレジィを1匹導入して増殖の速度を下げました。相当効果的です。

ラミレジィの写真

プラティの記事の終わりに

この記事では、プラティの飼育を考えている皆様に向けて、事前に知っておいて欲しいことを、私のプラティ飼育の経験から記載させていただきました。

プラティは可愛らしい魚で、人懐っこい面も持つので、子供にも大人気で飼育を始める御家族も多いかと思います。

しかし、実際に飼育をしてみると餌の食べる量や糞の量、他の魚との喧嘩、強すぎる繁殖力など、初心者を悩ますところも多々あります。

実際に私以外の方からも数が増えすぎる点に関して苦労話を聞くこともありました。また増えすぎたプラティを近くの川に放流するというような話も聞いたことがあります。そのため、命を安易に扱ってはならないという観点もあり、記事にしておこうと決めました。命を預かる者として、責任ある行動をして欲しいと思う背景もあります。

プラティだけではなく、全ての熱帯魚に飼育の難しさがあります。飼育する前には、その難しさをきちんと知り、対策を立てたうえで飼育するようにしましょう。

「飼育できる自信が無いのであれば、最初から飼育しない。飼育するのであれば最後まで責任を持つ。」この考えの下、熱帯魚の飼育を検討してみてください。