川で捕まえたエビはコケ取りに最適な生体

淡水アクアリウムを楽しむ誰もが困る事の一つが、水槽内に生えてしまうコケの処理です。

コケの原因を水槽内に持ち込んでいるわけではないのに、いつの間にか水槽内にコケが生えはじめ、水槽のガラス面だけではなく、水草や流木などのレイアウト素材にもコケが生えてしまうことが多々あります。

そのコケを食べてくれる存在として「コケ取り生体」を水槽に導入する方も多いかと思います。有名なコケ取り生体としてはヤマトヌマエビやオトシンクルスがいますね。

しかし、コケ取り生体はわざわざアクアリウムショップで購入しなければならないのでしょうか?

日本の川には、ヌマエビやスジエビなどが沢山生息しており、魚とり網を持って川に行けば誰でも容易に川エビを捕まえることができます。

私自身、最近は川エビを水槽に入れてコケ取り生体として働いてもらっています。わざわざアクアリウムショップでお金を払って購入する必要もないのです。今回は、コケ取り生体として有能な川エビを紹介したいと思います。


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コケ取り生体にお金をかける必要無し!

アクアリウム関係の書籍やアクアリウムショップに行くと「コケ取り生体」というものが紹介されています。

インターネットの生態販売でも「コケ取り生体特集」等が組まれていることから、多くの方が水槽内のコケの発生には困っているのだと思います。

冒頭でも述べましたが、有名なところではヤマトヌマエビやオトシンクルスなどがいますが、ミナミヌマエビやプレコなどもコケ取りとして有名な生体です。

しかし、コケを取ってもらうために、わざわざお金をかけたくないという気持ちがあるのではないでしょうか?

例えば、オトシンクルスはアクアリウムショップで購入すると1匹当たり300円程度で販売されておりますが、60cm水槽にコケ取り生体として導入するためには、コケ取りの効率も考えると少なくとも5匹は必要になります。

また、ヤマトヌマエビも1匹200円程度で販売されており、60cm水槽には4匹くらいが必要になります。

その費用を節約してくれるのが、日本の川に住む川エビ達です。川で自然採取した生体であれば、費用をかけることなくコケ取り生体として水槽に導入が可能です。

モエビ、ヌカエビ、ミナミヌマエビ、スジエビなど、多くの川エビ達がいますが、どのエビ達も藻や苔を食べてくれる優秀なコケ取りになります。

実際、私は川エビに出会ってから、もうコケ取り生体にお金をかけるのは止めています。

川エビは多くの川に生息している

川エビと聞くと、どこで採取したらよいのかわからない方も多いのかもしれませんが、日本に流れる多くの河川に生息しています。

私の予想ですが、川エビが生息していない川の方が少ないのではないかと思います。今までに魚とりなどで遊びに行った川には、全ての川に川エビが住み着いていました。

お住いの近くを流れる川に、下の写真に示すように、水生植物が生えている水辺があるとしたら…そこは川エビ達の住処になっている可能性が高いです。

川エビ達は水生植物にしがみついて生息しているので、水生植物の中を魚とり網でガサガサと探ると川エビ達が大量に採取できます。

下の写真は、私が以前のブログ記事で紹介したものを流用していますが、30分くらい探ればバケツ一杯の川エビが採れる川も多く存在します。ミナミヌマエビ、ヌカエビ、スジエビが写真に写っています。


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コケ取り生体としての川エビのメリット

では、ここからは川で採取した川エビ達をコケ取り生体として水槽に導入するメリットを御紹介します。

雑食性が高く様々なコケを食べる

まず、私がいつも思うことですが、川で採取した川エビ達は雑食性が強く、様々なコケを食べてくれます。

自然の川の中では川エビにとっては食料が限られている環境であることが多いため、水槽の中では食欲旺盛に様々なコケを食べてくれるエビが多いです。

淡水水槽の苔の中でも最も嫌われる黒髭苔についても、発生初期の黒髭苔であれば川エビ達は食べてくれます。そのため、川エビには黒髭苔が巨大に成長してしまうことを防ぐ効果があると言えます。

また、茶ゴケや糸状藻なども食べてくれるので、意外と水槽内の苔が綺麗になくなっていきます。

私の水槽では、購入してきたヤマトヌマエビよりも、川で採取したスジエビの方がコケ取りの能力が確実に高いです。ヤマトヌマエビは魚の餌を横取りして食べておりコケを食べる量が少ないですが、川エビ達は夢中になってコケを食べています。

冬でもヒーター要らずで経済的

川エビ達は日本の川に生息しているので、日本の四季に対応した生態を持っています。そのため、冬にヒーターをいれて水温を20℃以上に維持する必要もありません。

そのため、ヒーターを必要としない日本淡水魚の水槽などでは、川エビを入れて置くだけで年間を通じてコケ取りの能力を発揮してくれます。私の経験でも、ドジョウやヨシノボリを飼育している水槽にサイズの大きなスジエビを入れていましたが、年間を通じてコケを除去してくれていました。

意外と美しいエビが多いこと

淡水アクアリウムで美しいシュリンプ (エビ) と言えば、ビーシュリンプを思い浮かべる方が多いかと思います。

しかしながら、川エビ達の美しさもビーシュリンプには負けていないと思います。川でエビを探していると、様々な色や模様をしたエビ達に出会うことができ、その中にはビーシュリンプに負けないような美しさのエビも見つかります。

以下で、その美しい川エビの一部を紹介したいと思います。

下の写真は黒を基調とした体色に、背中に白いラインの入ったミナミヌマエビです。この記事のトップ画像にも使っている川エビなのですが、飼い込んだことで黒色のクールな体色になり、水槽内での存在感も抜群です。

下の写真はスジエビの仲間だと思いますが、目がクリっと飛び出ており、ピノキオシュリンプにそっくりなエビも見つけることができました。透明感が高いエビで、ヤマトヌマエビよりも鑑賞性は高いエビだと思います。このエビは正式な名前が分かりませんでした。もしわかる方がいたら、コメントお願いします!

川エビを水槽導入する時の注意点

ここからは、川エビを水槽に導入する際に注意しておきたい点を、私の経験から紹介させていただきたいと思います。

水合わせは慎重に行うこと

エビ全般に言えることではありますが、水質の変化に非常に敏感です。

元々生息ていた川と水槽のpH・水温に大きな差があると、そのショックで命を落としてしまうこともあります。

そのため、水槽導入前の水合わせは、出来れば1時間くらいをかけて点滴法によって行うことが望ましいです。

少し汚れた川に生息している川エビであれば水合わせは必要無いだろうと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。川エビは住んでいる水質に強く順応しており、少しの水質の変化が命取りです。どこで捕まえた川エビであっても、慎重な水合わせを行いましょう!

夏場は高水温に注意が必須

川で採取した川エビを飼育していく上で、水合わせの次に注意したいのが水槽の高水温です。

夏場は水槽用クーラーを使用していない場合、冷房がきいていない部屋であ30℃以上の水温になります。川は常に水が流れているため、水温が上がりにくく、川エビ達も30℃未満の水温の中で生きていることがほとんどです。

そのため、夏場の高水温は川エビにとって命に関わる問題になります。夏場は、クーラーやファンを使って高水温を防いであげて下さい。

稀に動きの遅い魚を襲う

川エビ達は、実は少し根性がある個体が多かったりします。

川エビ達にとっては、比較的体格の小さな魚は餌にしか見えないようです。

例えば、ネオンテトラやメダカ等の小型の魚は、身体の大きなエビに襲われることがあります。魚の方が泳ぎが得意なので、逃げられることの方が確実に多いですが、私も水槽の中でネオンテトラにしがみついていた川エビを見たことがあります。

少し目を疑いましたが、川エビは実は魚を襲うという一面も持っています。ただし、そんなに頻繁に魚を襲いませんのでご安心を。私も見たことがあるのは1度だけです。

餌の与え過ぎはコケ取り能力を落とすことになる

コケ取り生体として川エビを水槽に導入するということは、熱帯魚や日本淡水魚のいる水槽に導入するということになるかと思います。

そのため、魚たちには餌を与えなければならないかと思いますが、川エビ達も人口飼料が大好きです。水底に落ちた人口飼料を食べるために水槽の底で餌探しを始めることも多々あります。

ただ、人口飼料を食べすぎると苔を食べる頻度が減るため。コケ取り生体としての能力を下げることになります。

熱帯魚に餌を与える時には、なるべく水底に餌が落ちないように、ゆっくりと餌を与えるような工夫も必要になります。


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川エビでコケを防止した例

私の管理する水槽の中に、耐陰性水草のボルビティス・ヒュディロッティを入れている水槽がありました。

ボルビティス・ヒュディロッティは、透き通る葉がとても美しい、淡水アクアリウムで大人気の水草です。しかし、ボルビティスは育成が遅いため、苔の生えやすい水草としても有名です。

そんなボルビティスに黒髭苔が生え始めた時、近くの川で捕まえてきたスジエビ達を水槽に導入しました。その結果、ボルビティスから黒髭苔が消え、今ではボルビティスに生える黒髭苔をかなり抑制できている状況になります。

その他にも、アヌビアス・ナナやミクロソリウムなどに生えるコケや藻も食べてくれているので、水槽内での川エビ達の働きには感謝しかありません。

この記事のおわりに

この記事では、川で採取した川エビを淡水アクアリウムのコケ取り生体として導入した時のことを記事にさせていただきました。

淡水アクアリウムのコケ取り生体は、オトシンクルスやヤマトヌマエビが有名ですが、川エビ達も食欲が旺盛であり、水槽内で問題無くコケ取り生体として働いてくれます。

アクアリウムショップで購入するとお金のかかるコケ取り生体ですが、日本の川に住んでいる川エビを利用すれば、費用ゼロで水槽内にコケ取りを導入することができます。

お住いの近くに川の流れている方は、是非一度、魚とり網を持って川に出掛けてみて下さい。