金魚水槽のpH測定を行い換水頻度を提案

古くから日本人の暮らしに根付き、アクアリウムのペットとしても人気なのが金魚です。家の水槽で金魚を飼育されている方も多く、お子さんにとっては夏祭りの金魚すくいで家に持って帰るお魚としても馴染みのある魚かと思います。

金魚はコイ科の魚のため、比較的水質の変化には強く、多少水質が変化したとしても生き抜く力を持っています。また、コイ科の仲間ということもあり、あまり綺麗ではない河川や池にも住むことができる生態を持っています。

そんな金魚の飼育ですが、皆さんは金魚水槽の水替えはどのくらいを目安に行っていますか?

3日に1度…週に1度…10日に一度と飼育している方のライフスタイルによっても変わるかと思います。

今回の記事では、金魚水槽のpHを実際に測定して、金魚水槽の換水頻度について参考となるデータを御紹介したいと思います。


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pH測定を行った金魚水槽について

今回の記事でpH測定を行った金魚水槽ですが、先日私が子供と一緒に立ち上げた45cm水槽です。この水槽の立上げは、下の別の記事で紹介をしています。

飼育中の金魚は、体長10cm程度の琉金が1匹、体長15cm程度になる丹頂が1匹、体長10cm程度のらんちゅうが1匹の合計3匹となります。

使用している水槽がGEX製の45cmスリム水槽となりまして、中の水量は約15Lとなっています。GEXの仕様書では水量が17Lとなっていますが、レイアウト素材が入っているので約15Lの水量になります。

レイアウト素材としては、詫び草 (エキノドルスMix) とアヌビアス・ナナ、そして龍王石が少々入っております。それほど手の込んだことをしていないシンプルなレイアウトの水槽です。

フィルターはGEX製の壁掛けフィルターを使用しております。このフィルターは立上げから約1年が経っており、濾材の中のバクテリアは完全に立ち上がっている状態になります。

餌やりは基本的に1日2回で、朝と晩に3分程度で食べきれる量の人口飼料を与えていますが、子供が追加で与えることも多々あります。使用している人口飼料は「プロリア」ですが、下の記事でプロリアの詳細を紹介しています。

pH測定の方法の紹介

続いてpHの測定方法ですが、pH試験紙による色判定を行う方法となります。

デジタルのpH測定器があると便利なのですが、まだ用意していないため、従来から使っているpH試験紙での確認です。

試験紙の色を見て判別する方法のため、pH測定の分解能は0.5刻みとなっています。そのため、下で紹介するグラフについても、0.5刻みでのpH変化の結果を紹介することになります。

pHの測定は水槽の飼育水の1/2を換水した後から1週間毎日pHの測定を行っています。

この試験紙はテトラ製のものですが、水中に約30秒間浸すことで、試験紙の色が変化し、3つの試験紙の色がサンプルに適合する場所を確認するというものです。

人の目によって色の判別は変わるかとは思いますが、その点は私の目にお任せ…ということで。


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換水後1週間の金魚水槽のpH推移

では実際に、金魚水槽のpHの変化を調査した結果を紹介していきたいと思います。

まず最初に、計測開始日の換水直後のpH値になります。下の写真の通りですが、pH=7となり、ほぼほぼ中性の状態になっていることが分かります。

このpHの色判定は、人によって見え方が異なりますが、私の目で見た色で判定しているので、結果が各測定日の結果が相対的にずれてしまうことは無いかと思います。

次に3日目の試験結果になりますが、pH=6.5まで下がっておりました。

そしてpH測定開始から6日目ですが、pH=6.0まで下がっています。

この後、最終日の測定も行いましたが、pH=5.5程度まで下がっていることが分かりました。このpH=5.5ですが、これはpHの色判定で6か5.5かを迷った末に5.5としたので、もしかしたら6に近い可能性もあります。

今回の結果をグラフにしたものが次の図となります。グラフを見ると、単調にpHが下がっていっている様子が分かります。

このようにpHが下がっていくのは、金魚の排泄した糞 (アンモニア) がフィルター内や水槽内のバクテリアによって分解され、硝酸 (酸性の水溶液) に変化したためとなります。そのため、バクテリアがしっかりと立ち上がっている水槽では、バクテリアの働きにより、必ず水槽内の飼育水は酸性に傾いていきます。

また、金魚水槽のpHの下がり方は熱帯魚に比べて変化が早いと思います。以前、別の記事で熱帯魚の水槽のpH測定も行いましたが、pH=5.5まで下がるまでには約2週間を要しました。

それに比べて金魚水槽はpHの下がる速度が2倍速いと言えます。このように金魚水槽のpH変化が速い理由を次で紹介したいと思います。

金魚水槽はpHが下がりやすい理由

上で簡単に説明したように、魚の排泄物にはアンモニアが含まれています。そのアンモニアがバクテリアの働きによって、魚に取って比較的無害な硝酸に分解れます。その結果、酸性の水溶液である硝酸が生成され、飼育水の酸性化が進んでいきます。

飼育水の酸性化が進むためには、必ず金魚の排泄物が必要になります。金魚が排泄をしただけアンモニアが発生するので、そのアンモニアが増えれば最終的に硝酸の濃度も高くなっていくというものです。

皆さんご存じの通りですが、金魚は体が大きいため食べる量が多いです。したがって、糞の量も小型の熱帯魚に比べると格段に多くなります。

そのため、熱帯魚に比べてアンモニアを排泄する量が多くなり、バクテリアによる硝酸の生成量も多くなります。そして、飼育水が約15Lと少なめであることもあり、結果的に飼育水の酸性化が進みやすくなり、pHが下がりやすくなるのです。


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pH測定結果から換水頻度を提案

今回の金魚水槽のpH測定では、1週間の間にpHが7から6を下回るところまで下がりました。

pHが5.5ということは、まだ弱酸性ですが、徐々に魚が住みにくい環境になっていると言えます。そのため、これは私の持論ですが、pH=5.5になっていたら換水が確実に必要だと思っています。

15Lの飼育水に中くらいのサイズの金魚を3匹飼育していたということは、1匹当たりの飼育水の量は5Lとなります。

したがって、フィルターが完全に立ち上がっている水槽で、金魚1匹当たりの飼育水の量が5L程度の水槽で週1度の換水は確実に必要であるということです。

例えば、30Lの飼育水が入る水槽では金魚6匹の場合には週に1度の換水が適切、50Lの飼育水が入る60cm規格の水槽では金魚10匹の飼育で最低週1度の換水が必須ということになるかと思います。

この記事の最後に

この記事では、金魚水槽のpHの変化を測定し、金魚水槽の換水頻度の目安となる指標を紹介させていただきました。

今回紹介させていただいたデータは私の管理している金魚水槽での結果のため、皆様にとってはあくまでも御参考ということでお願いいたします。

金魚は体が大きくなりやすく、その分良く食べる魚でもあります。そのため、糞の量も多くアンモニアの発生も多く、最終的にバクテリアによって分解された硝酸の濃度が上がりやすくなります。

結果としては、中型の金魚1匹当たりに5Lの飼育水を割り当てると、最低でも週に1度は換水が好ましいということになります。

金魚を飼育されている皆様にとって、有益な情報となりましたら幸いです。