水槽の水面に浮かび、虹色に光る「油膜」…。
せっかく綺麗な水槽を準備しても、油膜が浮かんでいるだけで、美観が損なわれてしまい、アクアリウムの美しさが半減してしまいます。
油膜を取るためのフィルターも販売されていますが、コード類が増えてしまうので、導入にためらう方も多いのではないかと思います。
私自身も油膜に悩まされ、様々な対策を取ってきましたが、完全に油膜を無くせる方法がいまだに見出せません。
以前、エアレーションによる油膜対策を紹介したのですが、エアレーションの強化でも、完全には油膜を撃退することが出来ていません。
しかし、最近「金魚」を飼育し始めて気付いたことがあります。
金魚を飼育している水槽からは油膜が消えた…
この記事では、その詳細を御紹介したいと思います。
油膜に悩まされた水槽について
私が熱帯魚用水槽として導入したGEXの25cm水槽ですが、小型熱帯魚を飼育するために壁掛けフィルターを用いて立ち上げました。
水槽を立ち上げた後、ネオンテトラとラミノーズテトラ、そしてグラスブラッドフィンを導入して小さい水槽をリビングのカウンターキッチンで楽しんでいました。
しかし、熱帯魚を導入して間もなく、水面にびっしりと油膜が張り、カウンターキッチンの上に置いておくのに躊躇うような状態になりました。
あまりにも油膜がひどいので、毎日コップを使って水面の油膜を除去していたのですが、毎日除去しても必ず次の日には元通りになるような状況でした。
そのため、仕方なく熱帯魚を別の水槽に移しました…。
油膜の原因と一般的な対策について
油膜の原因について
油膜の原因は、熱帯魚の餌に含まれている油分やたんぱく質になります。それらが細菌の活動を活発にし、バイオフィルム=油膜として水面に形成されます。
そのため、熱帯魚を飼育している水槽では、高い確率で水槽に油膜が張ってしまいます。
油膜の対策① 油膜取り生体の導入
世の中には油膜を食べてくれるという「油膜取りの生体」として知られている熱帯魚がいます。
例えば、最も有名な油膜取りの熱帯魚はブラックモーリーですね。モーリーと同じ科のプラティなども油膜取りの生体として一般的に知られています。「油膜取り」と呼ばれますが、実際には水面に浮かぶ油膜を食べてくれるという働きをしてくれます。
しかしながら、これらの熱帯魚は完全に油膜を除去する能力はありません。お腹が空いた時に水面に浮かび上がって、少し油膜をつつく程度です。これは私の経験ですが、下で示す別の記事にもまとめています。
正直なところ、熱帯魚の油膜取りと言われる魚たちは、アクアリストが満足するような油膜取りの能力を発揮してくれません。飼育をしていると油膜を少しだけ食べてくれる程度の能力です。
したがって、私の経験からも、油膜取りで上記の熱帯魚を導入することはお勧めしません。多分、その目的で導入したら後悔します。
油膜対策② エアレーションの強化
エアレーションの強化は、冒頭でも紹介した別の記事で紹介していますが、実はこれは油膜取りに効果がある方法になります。
外部フィルターや壁掛けフィルターなど、フィルターから水槽へ戻る飼育水の水流で水面を動かす方法ですが、水面が揺れるため油膜形成を防止する効果が確かにあります。これは、私自身が実験をして確かめた事実なので、確かな事かと思います。
しかしながら、エアレーションの強化でも完全に油膜を除去することはできていません。
実は金魚は油膜取りに最適な魚
上で、私が管理する25cm水槽が油膜に悩まされたこと、そして飼育していた熱帯魚を別の水槽に移動させたことも紹介しました。
その25cm水槽が空いたので、子供と一緒に金魚を飼育する事にしました。
もう油膜の発生は仕方ないものとして考えて金魚を飼育しました。
金魚は「丹頂」と「琉金」を1匹ずつになります。
この金魚を入れた当日はまだ水槽に油膜が張っており、見た目が悪い状況だったのですが、次の日の朝に水槽を確認すると…
油膜が無い!しかも、全くない!
水槽を上から見ると、透き通った透明な飼育水があり、上からは水槽の底までくっきりと見える状況だったのです。
最初は何が起こったのかわかりませんでした。
ただ水槽に金魚を入れただけだったので、水槽内を金魚が元気に泳ぎ回ることで水流が生まれて、油膜が消滅したのかと思っていました。
しかし、その考えは違っており、金魚たちが下の写真に示すように、水面の水を口の中に吸い込んでいるのでした。
それも、少しだけではなく、「ジョボジョボ」と音を立てて数分間水面の水を吸い込んでいる状況だったのです。
金魚は小型の熱帯魚よりも体が大きいので、口も大きく、水を吸い込む量も多くなります。
そのため、ブラックモーリーやプラティと同じように水面の油膜を吸い込んだとしても、吸い込む能力が桁違いに違います。
しかも、金魚を2匹導入にしているので、その2匹が油膜を奪い合うように食べている状況でした。最初に見た時には、開いた口が塞がらない…という状況で、油膜に悩んでいた自分が何だったんだろう?と思わされるくらいです。
上の写真で紹介の通り、水面は非常に綺麗であることがわかるかと思います。
金魚を飼育してから約1カ月経ちますが、一度も油膜が出来ていません。油膜ができる前に金魚が全て食べつくしてくれます。
子供の頃を思い出すと金魚水槽には油膜が無かった
子供の頃、多くの金魚を飼育していたのですが、今思い出すと金魚水槽に油膜があるという記憶がありませんし、油膜に悩んだ覚えもありません。
多い時には30cm水槽に10匹くらいの金魚を飼育していましたが、油膜に悩んでいた記憶が無いんですよね…。
また、子供の時によく遊んでいた友達の家に小さな池があったのですが、その池では金魚と鯉が泳いでいました。その池も同じように油膜なんて張っていない状況でしたね。
確かに金魚や鮒、鯉は水面に浮かんでいる餌を探して口をパクパクさせていることが多いです。それって、じつは油膜を食べているということもあるのかと思います。
そうなると、金魚や鮒、鯉などの日本古来のコイ科の魚は油膜対策には最適な魚かもしれません。
金魚と熱帯魚の混泳が可能か?という疑問
金魚を油膜取りとして導入することを考えるとなると、その水槽には熱帯魚が泳いでいることが多いかと思います。
熱帯魚と金魚が混泳可能か?という点に疑問が行くかと思うのですが、基本的には3cm以上の大きさがある魚であれば問題は無いと思います。
金魚は熱帯魚と同じ水温で飼育できますし、金魚の口に入ってしまうような小さな魚でなければ混泳は可能です。
ちょっと熱帯魚の方が驚いてしまうかもしれませんが、混泳が出来ないことは無いです。
あとは、飼育される皆様が金魚と熱帯魚の両方が泳ぐ水槽を受け入れられるか否か?という決断だと思います。
金魚と混泳を止めた方がいいのは、ネオンテトラの幼体や小さなシュリンプですね。それらは確実に餌になってしまいます。
また、金魚は大きくなるものは20cm以上の巨体になります。そのため、小さな金魚でも将来的には油膜取りではなく水槽の中でメイン生体になってしまうことは忘れてはいけません。
この記事のおわりに
この記事では、金魚が油膜を食べてくれる最強の生態であるということを御紹介させていただきました。
油膜はアクアリストにとって、美観を損なえる存在で、油膜の除去に頭を抱える方も多いのではないかと思います。
熱帯魚の中にも油膜取りとして知られる魚もいますが、正直それらの働きは限定的で確実に油膜がなくなるものではもありませんでした。その反面、金魚を入れるとあっと今に油膜を食べてくれて、すっきり綺麗な水面が現れます。
熱帯魚の水槽やレイアウト水槽に金魚を入れる決断ができるか?と言うところが最後の悩みどころではありますが、金魚は油膜取りとして素晴らしい働きをするので、長く愛せるのであれば導入することも一つの選択肢なのかもしれませんね。