松かさ病に罹ったモーリーが完治 -松かさ病の症状と治療の詳細-

熱帯魚を飼育していると、水槽内で病気が発生してしまうことは少なくありません。

代表的な病気としては、白点病や腹水病などがありますが、松かさ病も熱帯魚の病気で有名なものの一つになります。

松かさ病は魚の鱗が逆立ち、上から見ると魚が松ぼっくりの様に見えることから松かさ病という名前が付いています。原因は様々なものがありますが、「エロモナス」と呼ばれる細菌が体内に入り込むことで発症すると言われています。

この記事では、松かさ病に罹ってしまったブラックモーリーについて、初期症状の状態や病気の進行、そして完治までに行った治療過程を紹介していきます。

松かさ病は放っておくと重篤な状態になり、魚の命に関わる病気です。早期発見、早期対応が肝心となります。


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松かさ病に罹ったモーリーの症状

最初に私の飼育しているブラックモーリーが松かさ病になっていると判断できたポイントから、松かさ病の初期症状、そして病気の進行によるモーリーの体の変化について記載しておきます。

熱帯魚が病気に罹っていると疑うべき症状

熱帯魚が病気に罹っていると、必ずと言っていいほど何らかの兆候が水槽内で見られます。

例えば、水面に浮かんでいることが多くなったり、水槽の底でじっとしているなどの目で見える症状です。

今回紹介するブラックモーリーにもそのような症状が見られました。

普段なら水槽の前に人が来ると、餌をもらえるのだと思い、水槽の前面に出てきて泳ぎ始めるのですが、ある日にその行動が見られなくなりました。そして、その後、水底でじっとしている状態になり、餌を食べに来ることも無くなったのです。

この状態を見た時に、これは何らかの病気に罹っていると思い、ブラックモーリーを別の水槽に隔離して飼育を行いました。この時点では、正直なところ何の病気に罹っているのか判断が付かない状況です。

松かさ病の初期の症状

ブラックモーリーを隔離した後になりますが、直ぐにブラックモーリーの体に変化が現れてきました。

下の写真にその時の状態を紹介しますが、鱗が少し逆立ったようになる状態です。

これは確実に「松かさ病」だと判断し、治療の開始をしました。

写真を見えて分かる通り、鱗が逆立ってお腹周りが膨らんだように見えています。まさに松ぼっくりの様な状態になっています。これが松かさ病の初期症状になります。

可能であれば、この状態になる前に隔離して、下で紹介する治療を行うことが望ましいです。

松かさ病の進行で鱗が剥がれた状態

松かさ病が進行してくると、鱗が体から剥がれるような症状が出始めます。

逆立った鱗が魚の体表から剥がれ落ちるような症状になります。

下の写真にブラックモーリーの鱗が剥がれ始めている時の様子を載せておきます。

私自身、飼育している熱帯魚の松かさ病は以前にプラティでも経験していましたが、松かさ病の症状が進行すると鱗が剥がれ落ちてきます。

治療が成功すれば鱗は再生して元通りに戻りますので、この状態であっても助かる可能性も十分残っていますので御安心を。

今回の松かさ病の原因となった飼育環境 (推測)

では、何故ブラックモーリーが松かさ病に罹ってしまったのか?について考えてみたいと思います。

松かさ病の原因となる細菌は、実は水槽の中にも常に存在しているような最近です。熱帯魚はそのれらの細菌に対して免疫を持っていますが、何らかの健康の不調が起こると、細菌に浸食されて松かさ病を発症します。

魚が体調を崩す原因は様々です。人口飼料を食べすぎて消化不良になった場合、水温や水質の変化に起因した場合、混泳している魚から受けるストレスが原因となる場合もあります。

今回のブラックモーリーは、60cm水槽でネオンテトラやコリドラスなどと混泳させて飼育していたもので、飼育期間は約1年になります。

水槽内で他の魚と喧嘩をしたり、縄張り争いをするようなことも無かったので、ストレスは考えにくいかと思います。また、餌の量については、私の飼育方法として餌は必要最低限しか与えないようにしているので、餌の食べすぎと言うのも考えにくいと思っています。

色々と原因を考えてみたのですが、一つの可能性があるとしたら水温の変化だと思われます。ブラックモーリーが松かさ病を発症したのは2020年9月になるのですが、2020年は残暑が比較的早く無くなり、9月中旬には気温が下がり始めたため、水槽内の水温も急激に下がり始めました。

ブラックモーリーを飼育していた水槽は水槽用クーラーを使っていなかったので、室内温度がそのまま水温に反映される形でした。そのため、8月には30℃近い水温があったのですが、9月に入って25℃くらいまで一気に下がってきました。

人間もそうですが、季節の変わり目は体調を崩しやすいです。特に冬から春、夏から秋という時期は気温の変化が大きいため、体長を崩しやすい人も多いのかと思います。

魚にとっては1℃の水温変化も、体内の状態を大きく変化させる要因になるため、2020年の8月から9月の気温の変化が体調に影響を与えたのではないかと思われます。

そう考えると、やはり水槽用クーラーと水槽用ヒーターの使用で、一定水温に保つことが大切なのかもしれないですね…。


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松かさ病を完治させるまでに行ったこと

では、ここからはブラックモーリーの松かさ病の完治までに行ったことを細かく紹介していきます。御参考になれば幸いです。

① 松かさ病の症状が出たら直ぐに他の水槽へ隔離

松かさ病に限ったことでは無いですが、水槽内で熱帯魚の行動がいつもと違うものが現れたら、直ぐに隔離をして様子を見るべきです。

上でも紹介しましたが、前日まで餌を食べていた熱帯魚が、次の日に全く餌を食べなかったら何かの病気を疑うべきです。また、底でじっとしている、水面に浮かんでいるという症状も高い確率で病気に罹っている可能性があります。

そのため、病気かな?と思ったら、直ちに別の水槽で隔離飼育して薬浴等の治療を開始します。

② グリーンFゴールドで10日間薬浴

松かさ病に有効な薬としては「グリーンFゴールド」という薬が有名です。

私自身も熱帯魚の常備薬としてこの薬を持っています。

グリーンFゴールドを規定量投入した後は、なるべく換水の頻度は上げて、水槽内を清潔に保つようにします。今回の治療では2回に1度のペースで水槽の1/2の水を入れ替えていきました。

グリーンFゴールドは、薬浴を開始して直ぐに効果が現れるような薬ではありません。少なくとも1週間~10日くらいは薬浴が必要です。魚の体内にいる細菌を死滅させ、魚の体力を回復させてあげることが大切な事なので、焦らずゆっくり待つのみです。

また、この薬浴の期間中は餌を全く与えていません。餌を与えても食べない状態でしたので、水が汚れてしまうことを防ぐため、餌やりはストップしました。

③ 自然治癒力に任せてさらに10日隔離飼育

10日間の薬浴を終えた後は、薬欲をストップして通常の飼育水を使って隔離飼育を継続しました。

10日で薬浴をストップした理由としては、試しに餌を1粒与えたら直ぐに元気に食べるようになるまで回復していました。

その状態であれば、後は魚の持つ自然治癒力に任せることができると判断しました。

10日間ほど通常の飼育水で飼育をしてから、元々飼育をしていた水槽に戻してあげました。その時の写真が下になります。

写真をよく見ていただくとわかるかもしれませんが、お腹のあたりの鱗は完全には回復はしていません。しかし、コリドラス達と餌の奪い合いをするまでに回復し、いつも通りの泳ぎ方をするようになったので心配は無いかと思います。

何はともあれ、無事に完治してくれて一安心しました。

モーリーの松かさ病からの教訓

今回のブラックモーリーの松かさ病は、原因は完全には解明できていませんが、上で紹介した通り水温の変化が大きな要因であると考えられます。

世間一般的な理解ですが、松かさ病は春や秋に発症することが多いと言われています。それが水温の変化が起こりやすいからなのか…真実は分かりませんが、魚の体に変化を与えてしまっていることは確かなことなのかと。

今回は1匹のブラックモーリーが松かさ病に罹りましたが、他の魚には発症が見られません。不幸中の幸いなのかと思います。

日本国内における熱帯魚の飼育は、飼育環境をいかに変えずに飼育するかということが重要になります。その基本に戻れば、ヒーターやクーラーを使用しなかったことが今回の落ち度だったのかと思います。


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この記事の終わりに

この記事では、松かさ病を発症したブラックモーリーについて、松かさ病の症状から治療方法、そして完治までに行ったことを詳細に記載させていただきました。

松かさ病は重篤化すると、魚の命を奪う可能性が高くなる病気ですが、初期症状の段階で治療を始められれば助けられる病気でもあります。

熱帯魚が病気になることは、それほど頻繁にはないかと思いますが、いざ病気を発症した時に落ちついて適切な治療ができるように知識は持っておきたいですね。

また、常備薬として熱帯魚の治療薬も持っておくと便利です。グリーンFゴールドが1本あると、何かと便利ですよ。おススメです。