魚の目が飛び出すポップアイ!テトラの治療例を紹介

水槽で熱帯魚や金魚を飼育していると、誰もが経験するのが魚の病気です。

私も飼育している熱帯魚や金魚が腹水病や松かさ病、白点病など、様々な魚の病気に感染しその治療を何度か経験してきました。

毎日水槽内の環境を確認し、換水も怠らず、餌の量も適切に管理したとしても、病気の発症を抑えきれないことが多々あります。一度病気が無くなっても、また別の病気が発生することもあり、美しい熱帯魚の飼育は病気とも隣り合わせの状態なのだと感じることもあります。

今回の記事では、私が飼育しているグローライトが「ポップアイ」と言う病気に罹った時のことを記事にしたいと思います。ポップアイは魚の目が金魚の出目金の様に飛び出してしまう病気ですが、その完治までの道のりをなるべく詳細に記載していきます。


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ポップアイの原因は細菌と体液バランス

ポップアイという病気は、読んで字のごとく、魚の目が飛び出してしまう病気のことです。

冒頭でも記載しましたが、目が飛び出した魚と言うと金魚の出目金を想像されると思いますが、まさにそのような症状が出てしまう病気です。出目金はもともと目が飛び出している魚なので病気ではないのですが、例えば通常は目が飛び出していないのに、突然目が飛び出す状態になった場合、ほぼほぼポップアイという病気に罹っている可能性が高いです。

ポップアイは、細菌が原因でかかる病気なのですが、魚の病気に深くかかわっている「エロモナス」という種類の細菌が原因であることが知られています。エロモナスが体内で増殖し、魚の体の中で体液の状態が崩れ、目の周囲に体液が溜まることで眼球が飛び出すような状態になると言われています。

このエロモナスは、ポップアイだけではなく、松かさ病などの病気の原因にもなることも知られています。魚の体の中や水槽の飼育水中には潜んでいる細菌なのですが、このエロモナスが飼育環境の変化や体調変化によって、魚の体内で異常繁殖してしまった時に、さまざまな病気として現れると言われています。

目には見えない細菌ですし、魚の体内で起こっている変化は確認することも難しいため、目が飛び出し始めてから気付く方も多く、重症化して助からなくなってしまう場合も多々あると聞きます。

しかし、ポップアイは早期に発見できれば完治させることができる病気ではありますので、普段から水槽内を観察してあげて異変に気付いてあげて下さい。

今回はポップアイを発症したグローライトテトラを例に取り、初期症状や実際に行った治療の方法等の詳細を紹介していきます。

ポップアイになったグローライトテトラ

ポップアイになるまでの兆候

元気に泳いでいる熱帯魚の目が突然飛び出してポップアイになるようなことはありません。

必ず何かしらの前兆を経てポップアイが発現すると思われます。

これはポップアイに限ったことではなく、腹水病や松かさ病などもそうですが、魚は体調に異変が起こると、通常とは異なる行動をし始めます。

例えば、餌の時間になっても餌を全く食べなかったり、いつもは群れを成している魚が単独で泳ぐようになったりします。また、水面に浮かんでしまっている時間が長くなる場合も有りますし、泳ぎ方が斜めになったり正常ではないこともあります。

毎日のように水槽を見て魚を観察していると、正常な時の魚の動きが分かるので、異常な行動があると直ぐに気付くことができます。しかし、見落としてしまうような異常行動もあるので、普段から魚たちの動きには注意してあげてください。

今回紹介するグローライトテトラにも、ポップアイによって目が飛び出す前に前兆となる行動がありました。

泳ぎ方がぎこちなくなり、少し斜めになりながら泳ぐ姿が見られ、1匹だけ水槽の隅の方を泳ぐようになりました。いつもは水草のある場所を住処にしていたのですが、ポップアイが出る数日前には、水槽の隅の方で1匹で過ごす時間が長かったです。また、餌も全く食べない様子だったので、明らかに体調不良が起きていることがわかる様子でした。

そして、確実に異常があると判断し、直ぐに別の水槽に移して様子を見ることにしました。この時点では、ポップアイなのか別の病気なのかは全く分からない状態です。

ポップアイになった状態のグローライトテトラ

そして、別の水槽で管理した次の日になりますが、私が仕事から帰ってきたら下の写真の様にポップアイの症状が出ていました。

写真は水槽の水替えのために、カップの中に避難させている時の様子です。この状態が一番写真を撮りやすいので、カップの中にいる状態の写真を載せています。

ネオンテトラやグローライトテトラを飼育されている方は分かるかと思いますが、目の出っ張っていて明らかに異常な状態です。見るだけでも痛々しい状態です。


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グリーンFゴールドを使った治療と過程

ポップアイだと判明したので、直ぐに治療を開始しました。

ポップアイに効果がある薬として最も有名で容易に入手できるのが、グリーンFゴールドです。松かさ病にも効果があり、とても重宝する薬なので、一つ常備薬として持っておくと便利です。

そのグリーンFゴールドを指定量使って薬浴を開始します。

ポップアイは、完治が困難な場合も有るということですが、このグローライトテトラは長く飼育して可愛がっていた魚なので何とか完治してもらいたい一心で薬に頼りました。

治療の方法として注意したポイントは、餌を与えないことと、2日に一度の全換水です。

基本的に魚の病気の時には、魚に餌を与えない方が良いです。体長不良の時に無理に餌を与えても食べませんし、食べたとしても消化不良により別の病気を併発する恐れもあるので、餌やりは止めておいた方が無難です。

また、薬を使用するとフィルター内のバクテリアが死滅し、正常に生物濾過が機能しないこともあるため、フィルターによる濾過が期待できません。薬浴中の魚は、餌を与えていないので糞も少なく生物濾過能力が少なくても問題は無いのですが、常に綺麗な水で治療をしたいという観点で換水はしておいた方が良いかと思います。

水温については4月から10月まではヒーターは不要かと思いますが、冬場であればヒーターを使って20℃から25℃にキープしてあげます。水温が低いことが致命傷になってはいけませんので…。

そして、次の写真は治療を開始して5日後の様子になります。

上の写真と比較して分かると思うのですが、ポップアイの症状が回復してきました。一つ上の見出しで紹介した写真よりも目の飛び出し方が確実に少なくなっています。

また、治療の初期には魚体が斜めになっていましたが、治療が進むにつれて泳ぎのぎこちなさもなくなり、正常な泳ぎを取り戻してきています。

この状態になると「完治」の二文字が見えてきた感じがします。

治療完了後の状態について

そして治療開始から13日後になりますが、ついに完治して元の水槽の中に戻ることができました。

ポップアイになる前とほぼ同じ状態になり、水槽の中で元気に泳いでいます。

このグローライトテトラは、飼育を始めてから約1年半が経つため、徐々に老衰も始まるころになります。そのため、完治が難しいかと思いましたが、無事に治ってくれて良かったです。

完治が成功した一番の要因は魚の異常に早期に気付き、薬浴を開始できたことだと思います。人間の病気と同じで、早期発見はそれだけ生存率を上げます。

ポップアイは放っておくと、症状がどんどん悪化し、魚の目が白濁したり、目が見えなくなることも起こります。また、最悪のケースは魚が命を落とすこともあります。


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この記事の終わりに

熱帯魚に限らず、ペットの飼育には常に何らかの病気が付きまといます。

猫や犬の場合、飼い主との触れ合いがあるため、体調の不調に気付きやすいですし、動物病院での治療が可能です。しかし、水槽の中で飼育されている魚に関しては、体調の不調に気付かないことが多々ありますし、動物病院で治療してもらえるわけではありません。

そのため、魚の病気に気づいた時には、時すでに遅し…と言う状態になってしまっていることも多々あるかと思います。

魚の病気について重要な事は、毎日水槽内を観察し、魚の健康な状態を知り、異変があった時には直ぐに隔離して治療を開始することです。

その目を養うことは難しいことではありますが、普段から観察していたら見逃すことは無いかと思います。

病気を防ぐこと、そして病気を早期に発見してあげられるように、普段から日々の水槽メンテナンスは怠らないようにしたいですね。