コリドラスを飼育している多くの方が、コリドラスの隠れ家として流木や水草を用いたレイアウトを取り入れておられるのではないでしょうか?
また、水底には目の細かい砂を敷いてあげて、コリドラスが砂の中に口先を突っ込む仕草を楽しんでおられる事かと思います。
私自身、長くアクアリウムを楽しんでいますが、魚のために水槽の中に隠れ家を本当に作るべきなのか?鑑賞性を高めるために隠れ家を無くしたほうが良いのか?という疑問に対しては答えを出すのが本当に難しい課題だと感じることが多々あります。
この記事では「コリドラスに隠れ家となるレイアウトは必要なのか?」という観点で、コリドラス飼育の経験から私の考えを書きたいと思います。
コリドラスの性格と隠れ家の必要性
コリドラスを飼育し始めた読者の方もいらっしゃるかと思いますので、コリドラスの性格について簡単に述べておきたいと思います。
コリドラスは口元に髭が生えているのでわかると思いますが「ナマズ」の仲間になります。
日本では河川や池に棲んでいる鼠色の細長いナマズを想像されるかと思いますが、熱帯魚のコリドラスは同じナマズの仲間でも見た目が全く違います。
しかし、見た目は違えどコリドラスはナマズの仲間なので、日本に住むナマズと同じような習性は持っています。
基本的にナマズは臆病な魚です。日本在来のナマズは肉食魚で小魚や虫などを食べて暮らしていますが、昼間は物陰に隠れ、周囲に違和感を感じると直ぐに遠くへ逃げていくような魚になります。
私が子供の頃の経験ですが、近くの川でナマズを発見したので捕獲しようしたのですが、隠れているポイントへ近づいていくと距離が数メートルはある状況なのに、一目散に遠くへ逃げていきました。今でもこの時のことを覚えており、ナマズは臆病なんだなぁ…と思い出すことが多々あります。
コリドラスは日本のナマズよりも小さな体ですし、獰猛な肉食魚でもありません。とても温和な性格を持った熱帯魚ですが、同時に日本のナマズと同様に臆病な性格も持っている魚になります。
そのため、水槽で飼育する際には隠れる場所があると必ず隠れ家に逃げ込んでいくような個体が多いです。その姿を見ると誰もが「隠れ家が必要である」と思うのですが、本当にそうなのでしょうか?
今回の記事はコリドラスの隠れ家に関する記事となりますが、私の管理する小型のコリドラス水槽では、隠れ家があることで飼育に支障が出てしまいました。
その内容と共に、隠れ家の必要性について考えを以下で記載します。
筆者のコリドラス水槽は当初は隠れ家を用意しました
まず最初に、私が2020年に立ち上げた小型の水槽のことをお話します。以下のリンクにその水槽の事を紹介しています。
25cm水槽と言う小さな水槽ですが、コリドラスを5匹飼育している水槽でした。
この水槽を立ち上げた時、私自身もコリドラスには隠れ家が必要だと思い、平べったい流木を入れて、隠れる場所を提供しました。
流木を入れてあげた時は、コリドラス達が直ぐに流木の下を隠れ家にして集合していたので、流木を入れて良かったと感じていました。
しかし、飼育を続けていくとある事に気付きました。
隠れ家となる流木の下から全く出て来ず、そして餌もほとんど食べていないという状況です。
その点について、以下で詳しく記載したいと思います。
コリドラスの隠れ家を撤去した理由
では、ここからは、コリドラスの隠れ家となる流木を撤去した理由について詳しく説明したいと思います。
コリドラスが隠れたままで姿を現さないこと
コリドラス達のために少し大きめで平べったい流木を用意して飼育をしていましてたが、昼間から夜にかけてほぼ24時間、コリドラス達が流木の下から出てくることがありませんでした。
もしかしたら、私が不在の時には流木の下から出てくることがあったのかもしれませんが、私が確認できる時間帯には常に流木の下に隠れていました。
よく「生存確認ができない魚が水槽にいる」ということを他の方のブログでも見ることがありますが、まさにそのような状況です。
流木の下をのぞき込めばコリドラス達が生きていることは分かったのですが、熱帯魚を鑑賞するという観点で考えると、鑑賞性が全く無い状況でした。
私個人的にはコリドラスを観賞することが好きな派の人間なので、この状況は何とか打開したいと思うばかりでした。
餌を食べている様子が見られないこと
そして、流木と言う隠れ家を撤去した理由の最大の出来事がありました。
餌を食べている様子がほとんど無いことです。
水槽の前面に餌であるコリドラスタブレットを落としてあげれば、私が不在の間に食べてくれるだろうと思っていたのですが、食べている気配がほとんどありません。
いつもコリドラスタブレットがふやけてゴミになっているような状況であることに気付いたのです。
水替えの際に「やけにゴミが多いなぁ…」と思っていたのですが、コリドラスの餌がゴミの状態となり水槽の中を舞い上がっているような状況でした。
餌の一部は食べていたのかもしれませんが、多くがゴミになっているのが事実でした。
そして、実際に流木を撤去した時、コリドラス・アガシジィはかなりやせ細っていた状況であることも判明しました。
飼育環境が原因でコリドラスが臆病になった可能性
では、なぜコリドラス達が流木の下からほとんど出て来ないような状況になってしまったのでしょうか?
自分なりに少し考えてみました。
以前の私の記事で、隠れてしまう魚を水槽の前面に出すという記事を公開させていただきました。
また、以下の記事では、飼育期間が長くなるとコリドラス達が隠れてしまうという記事も紹介させていただいています。
これらの記事の中でも紹介していますが、隠れる場所を提供してしまったことに加えて、水槽用のライトを設置していなかったことも一因では無いかと思っています。
水槽用ライトが無いということは、昼間も薄暗い状況が続き、夜には真っ暗になります。つまり、コリドラス達に神経質になりやすい状況を提供してしまい、飼育している私たち人間の物音や陰にも怯えるような状況になってしまったのだと思われます。
私の飼育しているコリドラス達は、全てブリード個体のコリドラスですが、野生の本能の身を守る性格がより強く出てきてしまったのかもしれません。
隠れ家を撤去した後のコリドラスの様子
実際に隠れ家を除去した後のコリドラス水槽の様子です。流木を撤去するだけではなく、水槽用のライトも明るすぎないものを用意しました。
隠れる場所が完全になくなってしまったため、表に出てくることを余儀なくされている状況ですが、久しぶりにコリドラス達が全て揃っていることを確認出来ました。
流木を撤去した直後は少し落ち着かない様子で水槽内をゆらゆらと泳ぎ回るような仕草を見せていましたが、1時間ほど経過すると上の写真の様に水底で落ち着いているような状態になりました。
少し体が細くなってしまっていることは確かな状態でしたが、流木を撤去した日を境にして、コリドラス達が餌を食べているのを確認することもできました。
流木撤去後は夜の餌の時間には、コリドラス達が餌を奪い合うようになりました。
隠れ家が無くなってしまい申し訳ない気持ちがありつつも、餌をしっかり食べてくれるようになって安心しています。
結論は飼育状況を見て適切な判断が必要ということ
コリドラス達から隠れ家となる場所を奪ってしまうことには、賛否両論があるのかと思います。
今回の場合には、餌を十分に食べていることも確認できないような状況で、言い換えればコリドラス達の健康状態に関わるような状況であったと考えています。
そのような状態が続くようであれば、生存確認や健康状態を確認すること、そして餌を食べている状況を確認するためにも、隠れ家となる場所を撤去してしまうことも必要なのだと思います。
もちろん、その行為がコリドラス達にストレスを与えてしまう可能性があることも理解をしています。
しかし、育成状態・健康状態に関わるようなことがある場合には、適切な判断を行って飼育環境を変更することも必要になるのかと思います。
飼育している熱帯魚が健康的に育つのか否かは、飼育者である私たちの飼育環境整備に関わっていますので。
この記事の終わりに
この記事では、コリドラスを飼育する水槽に隠れ家となる場所が必要か否かという観点で、私のコリドラス飼育経験と考えを紹介させていただきました。
コリドラスは臆病な魚なので、隠れ家となるような場所があれば、どうしても隠れてしまう熱帯魚です。
しかし、隠れたが故に生存確認が出来なかったり、餌を待ったくべていない状況となるのであれば、隠れ家を撤去してしまうことも一つの手だと思います。
コリドラス達が健康的に育つのか否かは、全ては飼育している私達アクアリストの手に掛かっていると言っても過言ではありません。
飼育状況や健康状態を常に把握して、的確な判断でコリドラス飼育をしたいものですね。