金魚の松かさ病の症例と原因の考察

金魚や熱帯魚の飼育をする上で切っても切り離せないのが、魚の病気との付き合い方です。

数日前までは健康そうに見えた魚が、朝起きたら突然水面に浮いていたり、お腹を上にしながら泳いでいたり…。飼育している我々からすると、とても胸を痛める瞬間でもあります。

水槽の中という管理された環境の中であっても、様々な魚の病気は発生します。有名なところでは「白点病」や「転覆病」などがありますが、皆さんも一度は名前は聞いたことがある魚の病気かと思います。

今回の記事では金魚 (出目金) の「松かさ病」について、発症から病気の進行等の実例を紹介したいと思います。松かさ病は「エロモナス」と呼ばれる細菌によるものだと考えられていますが、感染の経緯は様々だと言われています。

魚の病気は治療がとても難しいので、何よりも病気の予防と早期発見が重要になります。今回の記事では、出目金に見られた松かさ病の初期症状も記載しておくので、病気の予防・早期発見の観点でお役立ていただければ幸いです。


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出目金の松かさ病の初期症状

出目金の松かさ病が発症した時、正直なところ「え?何で突然?」と思ったのが本音です。

朝起きて水槽を見ると、出目金が少しだけ横になって泳いでいるような状態だったのですが、よく見ると鱗が逆立っている状態であり、松かさ病に罹患していることが発覚しました。

金魚の水槽では他にも琉金や丹頂を飼育していますが、出目金以外の金魚は健康体そのものでした。

「何か初期症状は無かったのかなぁ…」と数日前までを思い返したのですが、一つだけ初期症状と思われることを思い出しました。

それは、出目金の鱗が2枚剥がれていたことでした。

出目金は鱗の色が黒いため、鱗が剥がれるととても目立ちます。そのため、目で見れば鱗が剥がれたことが容易にわかります。

その時は、なぜ鱗が剥がれたのかは謎でした。どこかに体をぶつけたような様子もなく、とても綺麗に2枚の鱗が剥がれかけていました。

しかし、鱗が剥がれるという症状は、実は私が過去の記事で紹介したブラックモーリーの松かさ病と似た症状です (下のリンクで紹介しています) 。

ブラックモーリーの飼育でも松かさ病を経験していたのですが、今回の出目金の場合には完全にその症状を忘れてしまっていました…過去の経験が役立っていない…泣。

松かさ病は鱗が逆立ち、魚が松ぼっくりのような状態に見える症状です。そのため鱗が魚体から剥がれやすい状態になるようです。

数日前に見た鱗が剥がれていた症状は、松かさ病の始まりだったと考えられるのです。

松かさ病の進行で鱗が逆立った状態に

松かさ病が進行してくると、魚を上から見た時に鱗が逆立つため、松ぼっくりの様に見えます。

出目金にも同じような症状が現れていました。

下に写真を載せておきますが、鱗が異常に逆立っていることがお分かりいただけるかと思います。鱗の整列に規則性が無くなっているため、模様も綺麗ではありません。

この状態は、松かさ病がかなり進行してしまっている状態になりまして、鱗の逆立ちだけではなく、出目金がまっすぐに泳ぐことができなくなってしまっています。

ここまで症状が進んでくると、治療が間に合うか否か…判断が難しい状況ですが…。下で紹介するように治療を開始しました。


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治療を開始しましたが時すでに遅し…

松かさ病の治療に有効な薬としては「グリーンFゴールド」が有名です。

以前のブラックモーリーの治療では、グリーンFゴールドを用いて松かさ病を感知することができました。

今回も同じ方法で松かさ病の治療に早急に取り掛かりました。

治療を開始してから数日経っても、症状は良くなる傾向がありません。出目金の体力の方が無くなってきてしまっている様子で、水面に浮いたままの時間が多くなりました。

そして、1週間後になりますが、残念なことに出目金がお星様となってしまいました。

ブラックモーリーを回復させた経験が有ったので、今回も大丈夫だろうと安易に考えていましたが、出目金を救うことができませんでした。

松かさ病の原因で思い当たることは?

では、出目金が松かさ病になった原因は何だったのでしょうか?

この点がわからないと、今後の魚の飼育に教訓を活かせません。

出目金がお星様になってしまった後、出目金を飼育していた中で何か気付くことが無いかを思い出してみました。

松かさ病になった出目金は、実は過去に餌の食べ過ぎで転覆病になった経緯がありました。その時の記事は、下のリンクで紹介しています。

出目金はとても食欲旺盛で、自分の体に似合わないような枝の量を食べようとする癖がありました。そして、体内で餌が消化しきれずに体が浮いてしまう転覆状態になったのです。

この出来事を思い起こすと、松かさ病の一つの原因として考えられるのは「消化不良による体調不良」です。

魚は消化不良になると、体内の健康状態が悪化し、各種細菌に対する免疫力が落ちると言われています。

今回の出目金は、餌の量を制限していましたが、実は消化機能が弱い個体であった可能性が否めません。

皆さんの飼育している金魚の中に、枝を食べると転覆病の様な症状で水面に浮いてしまうような金魚がいたら、松かさ病にも注意が必要かもしれません。


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魚の病気は早期発見が難しいことを改めて実感

私自身、熱帯魚や金魚の飼育をしている中で多くの魚の病気を経験してきました。

腹水病、ポップアイ、松かさ病…

それぞれの魚の病気を経験して思うことは、病気は治療が大切なのではなく、病気に罹らないように予防をすることが重要であるということです。

魚の病気は目に見えないところで進行していきます。

同じペットでも猫や犬の場合には、触れ合うことで気付けること場面があるかもしれません。

しかし、魚の場合には手で触れてさまざまな事を確かめることができません。

そのため、一度病気が進行すると「時すでに遅し」という状態になっている場合が多いです。病気の症状が魚体の変化として現れてきたときには、病気が相当進行していることが多々あります。

今回の出目金の松かさ病についても、もう少し早く発見できていれば…鱗が2枚剥がれていた時に治療を始めていたら…と、あらためて考えさせられました。

魚の異変に気付いてあげれるようになるか否かは、普段から魚の観察を行えているかどうか?ということにかかっていると思います。

1日10分でも魚の観察をしてあげれば、ちょっとした異変に気付くことができる可能性が高くなります。

熱帯魚や金魚も同じ屋根の下で生活しているペットになります。少しの変化に気付いてあげられるように、普段から観察してあげてくださいね!

この記事の終わりに

この記事では、金魚の松かさ病の症状について、初期の変化や病気の進行具合について詳細に記載をさせていただきました。

松かさ病に罹ってしまった出目金は救うことができませんでした。

病気の兆候は見えていましたが、それが病気だと気付くことができませんでした。出目金をお星様にしてしまったのは、早期に対応できなかったことも原因だと言えるかと思います。

上でも記載しましたが、魚の病気は気付いてあげることが困難な一面もあります。

しかし、異変だと気付いて治療を開始出来れば、救える命があります。

アクアリウムの知識、そして管理のレベルを上げるという点でも、魚の日々の観察は怠らないようにしていきたいですね。