アクアリウムで魚を飼育する際に、なかなか避けられないトラブルが「魚病」です。
白点病やエラ病など、魚病には様々な種類があり、治療事体が難しい病気もたくさんあります。
そんな魚病の中で、飼育されている魚が発症しやすい魚病の一つが「腹水病」です。
「腹水」という言葉は、お腹に水が溜まってしまう病気を表し、人間の病気にも使われる言葉のため、名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
魚における腹水病も同じ症状で、腹部が異常に肥大してしまう症状が現れます。
腹水病の詳細については、私の以前の記事でまとめたものががありますのでそちらをご覧ください。(下のリンクです。)
今回の記事では、私が飼育しているグッピーに腹水病が現れたので、その経緯や病状などを詳細に記録しておきたいと思います。
魚病は早期発見と早期治療開始が完治への近道ですが、症状が現れにくいこともあり、発見が遅れることがしばしばあります。
この記事で初期症状などを記載しておくので、グッピーを飼育されている皆様は、近しい症状が現れたら注意してあげて下さい。
腹水病を発症したグッピーについて
まず最初に、本記事で紹介する腹水病を発症してしまったグッピーについて記載します。
下の写真に写っているのが、そのグッピーになります。
品種はネオンブルーグッピーです。
鮮やかな青色が美しいグッピーなのですが、上の写真を見て分かる通り、お腹が異常に膨れ上がってしまっていることが分かるかと思います。
この段階になると、腹水病であることが完全にわかるのですが、実はこの写真を撮影する2日前までは、そこまで大きなお腹では無かったんです。
急にお腹が大きくなり、薬浴による治療が必要である判断をしました。
しかし、正直な所、ここまで腹水病が進んでしまうと、治る可能性ってかなり低いんじゃないかと思われます…。
グッピーの腹水病の初期症状について (行動変化など)
腹水病であることがわかった段階で、このグッピーに起こっていた初期症状があったのではないかと思い出してみました。
毎日必ず水槽の観察をしているので、少しでも心当たりがある初期症状が出ていたのではないかと思います。
その思い当たる症状を記載しておきたいと思います。
仲間と群れずに1匹で泳いでいる時間が長くなる
まず一つは、グッピーの群れから離れて泳いでる時間が長いように思いました。
同じ水槽で合計5匹のグッピーを飼育しているのですが、通常は5匹が群れて仲良く群泳しています。
しかし、腹水病を発症したグッピーは、1匹で水槽の隅の方で泳いでいる時間が多いように思えました。
腹水病の別の記事でも紹介しましたが、腹水病を発症したネオンテトラについても同じような行動変化が見られていました。
水面に浮いている時間が長くなる
もう一つは水面付近に浮いている時間が長く感じられたことです。
グッピーを飼育されている方であれば御存じかと思いますが、水槽の中におけるグッピーの生活圏は水槽の底から水面付近まで全てで、水槽内をかなり自由に泳ぎまわる特徴があります。
しかし、該当のグッピーはお腹が肥大化する直前は、群れと少し離れながら水面付近を泳ぐ時間が長かったです。水槽の底の方まで泳いで行っていなかったように記憶しています。
腹水病に罹った初期には餌はたくさん食べていた
病気に罹ると魚は餌を食べなくなることが多いのですが、腹水病が進行する初期の状態では、グッピーは餌をいつも通り食べていました。
上記の「1匹で行動する時間が長くなったこと」や「水面に浮いている時間が長くなったこと」という変化はありましたが、食欲は旺盛だったので、あまり心配することは無いだろうと思ってしまったのが悪かったのだと思います。
餌をいつも通りたくさん食べていたので、それが原因で腹水病の進行を早めてしまったのかも … 。
体長が悪い時に餌を食べ過ぎると消化不良が起こり、それが原因でさらに体調を崩す魚もいると聞きますので … (負の連鎖というやつですね) 。
お腹が完全に膨らみ始めた状態での体や行動の変化
次に、お腹が大きく膨らみ、腹水病であると診断できる状況になってしまった時の状態についても記載しておきます。
上で紹介した腹水病の初期状態では、それほど深刻な症状とは見て取れなかったのですが、短期間でお腹の膨張が深刻になった時には、以下の症状に進行している状況でした。
体色が薄くなる
まず一つ目は体色が薄くなるという点です。
下の写真で、腹水病のネオンブルーグッピーと正常なネオンブルーグッピーの写真を比較しています。
写真の写り方は、光の当たり具合にも左右されますが、腹水病のネオンブルーの体色の方が明確に青色が薄いことがわかるかと思います。
また、正常なネオンブルーグッピーの胸鰭付近は黄色なのですが、腹水病のネオンブルーグッピーについては、その黄色の体色が出ていないこともわかります。
背鰭を広げて泳がなくなる
グッピーは長い背鰭を持つ熱帯魚で、その大きな背鰭を広げて泳ぐ姿が美しいことも鑑賞を楽しむ一つのポイントです。
しかし、腹水病に罹って体力が落ちているグッピーは背びれを全く広げませんでした。
逆に、背鰭を広げて泳ぐ姿があれば、グッピーが元気な証拠の一つであるのかと思います。
排泄物が正常に出て来ない状態
そして3つ目は、排泄物に関することです。
皆さんご存じの通り、魚の糞は肛門から細長い状態で出てきます。
金魚の糞をイメージするとわかりやすいかと思います。
通常は、魚の糞は数分程度で肛門から出てきて排泄が完了します。
しかし、腹水病に罹ったグッピーは排泄が上手く進まないという症状が現れていました。
下の写真に示すように、肛門から糞が出てくるのですが、10分~15分経過してもこの状況がほとんど変わらないのです。
多分、腹水病によるお腹の肥大で消化器官が圧迫され、上手く排泄が出来ない状況なのかと思われます。
上の写真の状態から40分程度経過して、排せつがやっと終わるような状態でした。
また、排泄物の色も少し異常で、黒と茶色のまだら模様の様な色をしていました。多分、十分に消化が行われておらず、多くの餌が消化されずに排泄物となって出てきてしまっているのではないかと考えられます。
「グリーンFゴールド」で腹水病の治療を実施
さて、お腹が肥大していることが分かった後、薬を準備して治療に取り掛かりました。
魚が病気に罹っていることが判明した場合には、早急に別水槽に移すことをお勧めします。細菌が原因の場合、他の魚にも病気が写ってしまう可能性もあります。
腹水病の治療に使用した薬は、有名な「グリーンFゴールド」です。
正直な所、上でも少し述べましたが、ここまで腹水病が進んでしまうと助からない確率の方が高いです。
しかし、助かる可能性が少しでもあるのであれば、最善の手を尽くすべきなので薬浴を開始しました。
腹水病のグッピーを水槽から取り出し、グリーンFゴールドを規定量の希釈倍率で薄めた別水槽に移します。
別水槽での薬浴の管理方法としては、毎日換水を行って清潔な飼育水を維持し (薬の入れ替えの意味もあります) 、餌は完全に断ちます。
また、容量の小さなエアーポンプ (ブクブク) を使用して、グッピーに負担の無い状態で酸素供給は行います。
(今回の腹水病発症は夏だったので、飼育水の水温は調整しませんでした。)
この管理方法で腹水病が完治するまで飼育していきます。
10日間の薬浴・闘病の末にグッピーはお星様に…
薬浴を開始してから合計10日が経過した日の朝になりますが、腹水病のグッピーがお星様になっておりました。
腹水病になりお腹が肥大した状況で約10日間、よく頑張ってくれたと思います。
それと同時に「もう少し腹水病の発症に早く気付ければ、もしかしたら助かったかもしれない。」と悔やまれる気持ちも … 。
これまで、飼育している魚たちが様々な魚病に罹りましたが、その度に思うことですが魚病は本当に難しいです。
魚達は棲んでいる世界が全く異なるため触れ合うことが出来ません。そして、話が全く通じませんし、街には熱帯魚の専門医などいません。
そのため、飼育している魚の病気には、自分自身で治療に立ち向かわなければならないのですが、治療に成功する確率は非常に低いのが現状です。
やはり、魚病にならないような飼育環境・飼育方法を確立することが最重要なのだと、常々感じます。
グッピーの腹水病の原因は何だったのか?
腹水病のグッピーがお星様になってしまった後、あらためて腹水病を発症した原因を考えてみました。
グッピーを飼育していた水槽と管理方法は以下の通りです。
・45cm水槽
・GEX製の壁掛けフィルター(Mサイズ)
・水温26℃~27℃
・餌は朝晩の2回 (餌は少なめ)
・換水頻度は5日に一度、水槽の半分の水量を交換
・混泳させている魚:グッピー5匹、コリドラス5匹、バルーンプリステラ1匹、ブラックファントム1匹
正直なところ、特に大きな問題は無い管理方法だと思いますし、腹水病を発症した直前に飼育方法や水槽環境を変えたこともありませんでした。
この水槽では魚病が出たのは今回が初めてで、他の魚達には腹水病の症状は全くありませんでした。
そのため、いくら考えても、明確な原因は突き止められませんでした。
考えられる原因を突き止めて、次に活かしたかったのですが…。
無理やり捻りだして原因を考えると、飼育している魚の数に対して換水頻度が少なく、飼育水の汚れがあったのかもしれません。ただ、あくまでもこれは想像です。
もしかしたら、突発的に消化不良などの体調不良を起こし、そこから腹水病に発展してしまったのかもしれませんし … 。
この記事の終わりに
本記事では、飼育しているグッピーが腹水病に罹患した際の症状や治療について、その詳細を記録として紹介しました。
魚の病気には様々な種類があるだけではなく、目視ではその進行が全く分からない病気もあるため、治療事体が非常に難しいのが現状です。
白点病の様に、魚体の表面に異常が出てくれば直ぐに治療が始められますが、腹水病は体に異変が現れた時点で病状が重くなってしまっています。
上でも少し記載しましたが、魚病は早期発見・早期治療がカギとなりますが、それ以前に病気を発生させない水槽・飼育環境が大切です。
日々の水替え作業や餌の量など、アクアリウムの基本作業こそが魚病を防ぐ最も大切な管理だと思います。
私も今回のグッピーの腹水病をきっかけに、グッピー水槽の管理方法を少し見直してみようと思います。
皆さんも、魚の事を第一に考えた管理方法で飼育してあげて下さいね!
それでは!