飼育している熱帯魚や金魚を毎日観察していると、魚体や鰭がいつもと違う状態になっていることが時々あります。
魚体に白い出来物が現れていたり、鰭が溶けていたり、お腹が膨れていたり…
多くの場合に何らかの魚病に罹っているのですが、外見に現れる病気は病名や原因の判断が付きやすい病気と言えるかと思います。(もちろん、病名が判断できない場合も多いのですが…)
尾ぐされ病や穴あき病の様に、魚体が見るに堪えられない状態になってしまう事もありますが、早期の発見と適切な治療により魚病は完治させることも可能です。
魚病の中で、魚の目に現れる病気としては「ポップアイ」が有名ですが、私の過去の記事でもグローライトテトラのポップアイを治療した記録を紹介しています。
そして、魚の目の病気には、もう一つ有名な病気があります。
「白濁眼」という病気です。
白濁眼は目の周りに白濁した水泡の様な出来物ができるという症状が現れる病気です。
この記事では、筆者の飼育している金魚が白濁眼に罹った実例を取り上げ、治療の方法や治癒の過程などを紹介したいと思います。
金魚に発症した白濁眼の実例と症状
本記事で取り上げる白濁眼ですが、私が飼育しているオランダ獅子頭に症状が現れました。
その症状はトップ画像にもなっているのですが、下の写真の様に、目の周囲に白濁した出来物が現れてきます。
いつもに比べて元気が少ないなぁ…と感じていた時に、この白濁した出来物が発生していることに気付きました。
白濁眼はその変化が目に見えて分かるのですが、上の写真の様に出来物が大きくなっていたので、早急に治療に入ることとなりました。
発見した当時、このオランダ獅子頭に行動の変化もありました。
具体的には、餌を食べる量が減り、水底でじっとしている時間が長くなりました。
病気になって元気が無い金魚には現れやすい行動変化ですが、その通りの病状が現れたように思えました。
魚が白濁眼になる原因とは?今回は何が原因だった?
では、飼育している魚が白濁眼に罹患する主な原因について記載します。
また、今回紹介するオランダ獅子頭が白濁眼に罹ってしまった原因についても考えてみたいと思います。
一般的に言われている白濁眼の原因について
一般的に言われている白濁眼の原因は、以下の2項目が有名な原因です。
・水質の悪化 (pHの低下や清浄度の悪化)
・水温の急激な変化
水質の悪化については、白濁眼以外にも病気の原因となりますが、例えば水替えの頻度が少ない事や水槽の中の魚が過密になっている状況などが原因です。
特に金魚は餌を食べる量が多いため、糞の量も多くなります。そのため、水質の変化・悪化が早くなります。
下のリンクでは、私が過去に実験で測定した金魚水槽のpH変化の結果を紹介しています。
また、水温変化も魚の体に大きな影響を与える一つのパラメータです。
魚は変温動物ですので、水温に応じて体温が変化します。そして、臓器の働きも水温に影響を受け、水温が高ければ活発に体が活動する状態になります。
水替えの際に、急激に水温が変化してしまうと、魚体がその変化についていくことが出来ず、体長を崩してしまう事があります。
水質の悪化や水温変化は、日々の飼育の中でも容易に起こりうる環境変化となります。
そのため、日々の飼育環境の管理は、白濁眼を防ぐために大切な事だと言えます。
今回紹介する金魚の白濁眼の原因を考察
それでは、本記事で紹介するオランダ獅子頭が白濁眼に罹ってしまった原因を考えてみます。
最初に水温と水温変化についてですが、10月以降は水槽にヒーターを設置して25℃で管理しておりますし、水替えの際には水温を合わせてから新しい水を入れているので、水温の急激な変化が原因とは考えにくいです。
水温計で水温を確認して水替えしていますが、水替えの最中から水温安定まで23℃~25℃の間の水温変化です。
次に水質の変化ですが…。
実はオランダ獅子頭が白濁眼に罹る前に、会社の関係で1週間以上の出張が入り、10日ほど水替えが出来ない状態でした。(蒸発で減った分の水は、家族に適宜注水してもらっていましたが…)
通常は5日に1度の頻度で水替えをしていたので、飼育水が通常時よりも汚れてしまっていたことが容易に想像できます。
金魚を飼育している水槽が45cm規格ということもあり、水量もそこまで多くないことから、水質の悪化が加速してしまったのだと思います。
また、オランダ獅子頭と一緒に飼育している琉金は白濁眼になっていないので、オランダ獅子頭だけが運悪く白濁眼に罹ってしまった状況でした。
白濁眼は早期発見と早期治療の開始で治療可能な病気
私が魚病に関する記事を書く際、必ず記載しているのが「早期発見と早期治療の大切さ」です。
人間の病気もそうですが、早期に症状を感知して早期に適切な治療を開始することで、病気を治癒できる可能性を高め、完治までの期間も短縮することができます。
魚は人間と触れ合うこともできず、言葉を喋ることもできないため、病気の発見まで要する時間が長くなることも多く、それが原因で死に至ってしまう事も多々あります。
白濁眼に関しても同様です。
早期に白濁眼の症状を発見し、直ぐに薬を用いた治療を開始することが完治への近道となります。
ただし、白濁眼も場合によっては別の病気を併発し、魚が死に至ってしまう病気であることは忘れてはなりません。
そのためにも、日々の観察を怠らず、何か変化があったらすぐに調べて対応してあげて下さいね。
実際に金魚を治療した方法と治癒過程を紹介
では、ここからは白濁眼を発症したオランダ獅子頭の治療方法と、その治療過程を記載します。
筆者の飼育する金魚の治療例となるので、あくまでも参考事例としてお考え下さい。
白濁眼の症状・状態によっては、治療期間が長くなることも考えられますし、症状次第では助けられないこともあります。
治療に使用した薬は「グリーン F ゴールド」
今回使用した薬は「グリーン F ゴールド」です。
魚の治療薬として、とても有名な薬です。一つ購入しておくと、様々な場面で役立つので便利ですよ!
隔離水槽に約10Lの飼育水を入れて (酸素供給はブクブク)、その中に規定量のグリーン F ゴールドを混ぜます。
そこに白濁眼の金魚を入れて、白濁眼が治るまで治療を続けます。
隔離水槽という応急処置の水槽になるので、水替えは2日に一度の頻度で飼育水を入れ替えました。(水量が少なくフィルターも無いため)
水替えと同時に、グリーン F ゴールドの濃度が規定濃度になるように、グリーン F ゴールドを足していきました。
以下では、白濁眼の治癒過程を紹介します。
治癒の過程を写真で紹介
1つ目の写真ですが、白濁眼であることが判明した当時の様子です。
目の周囲に大きな白濁した粘膜が形成されていることが分かるかと思います。
白濁眼の患部がここまで大きくなると、普段の観察の中でも直ぐに異変に気付くはずです…。
白濁眼の症状は左右の目にできていたのですが、左右の目で白濁した粘膜の大きさが異なりました。特に大きくなっていたのが写真に写っている左目です。
次の2枚目の写真は、治療開始から7日後の写真となります。
白濁していた粘膜の最外周部分の白濁が少し緩和しているように思えます。
ただ、まだ眼の下の部分には袋の様な白濁があることが分かります。
治療開始から16日経過した時の様子が、次の3枚目の写真となります。
白濁がかなり取れてきて、目の下に少しだけ白濁部が残っているような状況になりました。
治療が順調に進んでいると感じられたのが治療開始から2週間後くらいですが、徐々に白濁した眼の周囲が小さくなっていくのがわかりました。
ただ、白濁した粘膜が取れて無くなっているのか、それとも白濁した粘膜自体が縮小しているのかは判断が付きませんでした。
そして治療開始から25日目、ほぼ白濁眼の症状が無くなり健康的な魚体に回復しました。別の病気を併発していることも無く、後遺症も特に見受けられませんでした。
白濁眼を発症している時は水底でじっとしている時間が長かったのですが、健康体に戻るにつれて水槽内を元気に泳ぎ回る時間の方が長くなっていきました。
また、完治して隔離水槽から飼育水槽に戻した後は、しっかりと餌も食べています。
何はともあれ、無事に白濁眼が完治してくれて良かったです…。
この記事の終わりに
この記事では、魚の目の周囲に発症する「白濁眼」について、オランダ獅子頭の実例とその治療法、そして治癒過程を詳細に記載させていただきました。
白濁眼はあまり馴染みのない魚病の一つかと思いますが、早期に適切な治療を開始すれば、治療が可能な魚病でもあります。
自宅で楽しむ熱帯魚や金魚の飼育 (アクアリウム) は、魚病という困難な状況と隣り合わせで進めていく趣味となります。
飼育すると決めた以上、その魚が病気に罹ってしまった時は、適切な処置をしてあげるのが飼い主の責任だと思います。
犬や猫のように触れ合うことが出来ない魚ですが、飼育している魚が寿命を全うできるように、魚病と向き合ってあげてくださいね!
そのためにも、魚病に効く薬は数種類常備し、治療用の隔離水槽も一つ用意しておいてあげると良いと思います。
では!