グリーン・ロタラの育て方と成長速度の実測例 -水草水槽の参考データ-

水草水槽に植栽される有名な水草の一つに「グリーン・ロタラ」があります。

ロタラには様々な品種がありますが、グリーン・ロタラはその中でも最も鮮やかな緑色が映える品種として有名です。

グリーン・ロタラは、基本的な水槽設備があれば育成できることから、アクアリウム初心者の方からベテランさんにまで広く愛されている水草でもあります。

また、高密度に植栽してグリーン・ロタラの森のようなレイアウトを作ったり、他の水草と組み合わせたレイアウトにも使えるため、レイアウト用の万能な水草とも言えます。

私自身もグリーン・ロタラを水草レイアウト水槽に頻繁に取り入れており、その美しい姿に魅了されている一人でもあります。

この記事では、そんなグリーン・ロタラについて、育成過程や成長速度の測定結果を詳細に紹介していきたいと思います。

これからグリーン・ロタラを水草レイアウト水槽に導入しようと思っている方に、少しでも参考になれば幸いです。

【注意点】この記事で紹介する内容は、筆者の水槽でのグリーン・ロタラの育成結果となります。育成過程や成長速度などは水槽の環境で変化しますので、あくまでも一つの例としてお考え下さい。


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グリーン・ロタラの育成水槽と管理方法

まず最初に、本記事で紹介するグリーン・ロタラを育成した水槽の設備や管理方法などについて紹介します。

特色が無い基本的な水槽設備ではありますが、記事の中で紹介するグリーンロタラの成長速度に影響する項目にもなりますので、参考のために記載しておきます。

水槽設備と飼育している生体について

・水槽 … 60cm規格水槽

・フィルター … エーハイム 2213

・ソイル … リベラソイル

・LEDライト … GEX製 「CLEAR LED POWER III」+ アクロ製「トライアングルLED Bright」

・二酸化炭素添加 … ADA「アドバンスシステム・フォレスト」を使用し4~5秒に1滴の添加

・飼育している生体 … 小型カラシン科を約20匹

LEDライトの点灯時間について

水草の成長に大きく影響を与えるLEDライトの点灯時間ですが、1日に7時間から8時間での管理としています。

上で紹介した2つのLEDライトを両方点灯させている時間となります。

ただし、コケが目立ちそうな時には少し点灯時間を短くしたり工夫はしていました。

グリーン・ロタラに与える肥料について

使用した肥料についてですが、グリーン・ロタラを植栽する直前に、ソイルの中にテトラの「イニシャルスティック」を埋め込みました。

それ以外には肥料を与えていません。液肥も不使用です。

グリーン・ロタラの水上葉と水中葉の違い

ここでは、グリーン・ロタラの成長過程の違いとして、水中葉と水上葉の違いを記載しておきます。

水草の中には、陸上と水中のどちらでも育成できる植物が多くあり、陸上で育てた際に芽吹く葉を「水上葉」、水中で育てた際に芽吹く葉を「水中葉」と呼びます。

そして、水上葉と水中葉の形状や色が異なる水草も多くあり、グリーン・ロタラもその中の一つです。

下の写真は、陸上で育てられていたグリーン・ロタラを水中での育成に移行した際の写真となります。

株の先端に付いている細長い葉が水中で展開してきた水中葉となり、茎の下の方に付いている丸い葉が陸上で育てていた際に形成された水上葉となります。

見ていただいて分かる通りですが、グリーン・ロタラは水上で育てると可愛らしい丸い葉を展開するんです。

そして、水中で育てるとその葉が細くなり、アクアリウムショップでよく見るグリーン・ロタラの姿に変わります。

グリーン・ロタラをアクアリウムショップで購入する際、もしかしたら葉の形が丸い状態で販売されているかもしれません。それは、水上で育てたグリーン・ロタラを水中栽培に移行したものになります。

葉の形が全く異なるので「本当に大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、全く問題無いのでご安心ください。

水槽に植栽して1週間も経てば、細長い葉のグリーン・ロタラがら成長を始めてくれます!


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植え付けは束で植えない方が良い?

グリーン・ロタラを水槽に植栽する際、複数本のグリーン・ロタラを束ねて植栽するパターンと、1本1本分けて植栽するパターンがあると思います。

個人的に思うことは、束ねて植えない方が良いということです。

理由は以下の通り2つあります。

1つ目は、植栽する時にソイルに植え付けにくい事です。

状態が良いロタラの茎は少し太いので、複数をまとめるとソイルに植える時に、上手く植え付けが出来ないことがあります。

ソイルにしっかりと植え付けられていないと、途中でグリーン・ロタラの株が水面に浮いてきてしまう事もあります。

1本1本を丁寧に植えていくと、そのような失敗も少なく、簡単に植栽が完了します。

2つ目は、成長初期にロタラの株の間隔を確保するためです。

水槽に植栽したロタラは、LEDライトの光で光合成を行って、根を丈夫に張りながら成長していきますが、ロタラの葉が密集すると、下の方の葉に光が照射されなくなります。

光が照射されない葉は、枯れて朽ちていく可能性が高いため、ロタラの成長にとっては理想的とは言えません。

特に植栽初期の頃は、グリーン・ロタラが根をしっかりと張って成長を軌道に乗せることが重要になるので、可能な限り多くの葉に光が当たった状態にしたいところです。

グリーン・ロタラの育成と成長速度の測定結果

では、実際に育成したグリーン・ロタラの成長速度を紹介していきたいと思います。

まず最初に成長速度の測定方法について記載した後、グリーン・ロタラの成長の様子を写真とグラフで説明していきます。

グリーン・ロタラの成長速度の測定方法について

グリーンロタラは細長い茎を伸ばしながら葉を展開して成長していく水草となります。

成長速度の測定においては、下の図に示すように、ソイルの表面から茎の頂点までの長さを測定していくこととしました。

茎の長さの測定は、水槽の中に物差しを突っ込んで行っております。

また、グリーン・ロタラの茎は真っすぐには伸びず、少しカーブをしている部分もあるため、茎の長さの測定には数ミリの誤差が含まれているとお考え下さい。

写真で見るグリーン・ロタラの成長

次に、グリーン・ロタラの成長の過程を写真で見ていきます。

最初の写真は、植栽した直後の様子です。

購入したグリーン・ロタラは、水上葉で育成されていたものを水中へ移行したばかりでしたので、葉の形が丸みを帯びています。

2枚目の写真は、植栽から1週間後の様子です。

1週間経つと細長い水中葉が展開してきているのがわかります。植栽してから一週間のうちにこれだけ成長しているので、成長速度が速いことが伺えますね。

最後の写真は植栽から3週間後の状態です。

グリーン・ロタラがソイルの中に根を張って、成長にスイッチが入るとあっという間に水面に到達するような状態になってきました。

脇芽も発生し始めて葉が多くなり、水槽背面が見えなくなってきました。(ヒーターやフィルターのパイプも隠れてきました。)

これだけ伸びてくるとトリミングをして挿し芽をすることで、さらに高密度なグリーン・ロタラの森が作れそうですね!

また、グリーン・ロタラが成長して株が充実すると、葉の裏面にたくさんの気泡が発生するようになりました。

上の写真でも、特に水面に近い位置の葉の裏に気泡が出来ているのがわかるかと思います。光合成をして酸素を放出している様子ですが、かなり状態良く育てっていると言えるかと。

上のリンクでは、水草が気泡を発生させる条件を探索した結果を紹介しています。

今回のグリーン・ロタラは、上記のリンクで紹介した時よりも少ない二酸化炭素添加量で、しっかりと気泡を発生させてくれています。

成長速度の測定結果をグラフ化

それでは、グリーン・ロタラの茎の長さを測定した結果を下のグラフにまとめます。

5本のグリーン・ロタラを選び、約1か月の間、その長さを定期的に測定していきました。

5本のロタラは、上のグラフに示すように、ほぼ同一の成長曲線を持っていることがわかります。

また、植栽した当初は成長が遅く、一週間から10日後に成長のスイッチが入って成長速度が上がっていることもわかります。

これは、ソイルの中に根をしっかりと張り、養分をたくさん吸い上げることが出来るようになった証拠では無いかと思います。

この期間の平均の成長速度を求めると、約0.65cm/日となりました。

1ヵ月で大体20cmくらいは成長していることになります。

これまでに多くの水草の成長速度を測定してきましたが、グリーン・ロタラはその中でも成長速度が比較的速い方です。

水槽に植栽するとあっという間に成長していくので、適宜切り戻しを行って他の水草とのバランスを考えてあげる必要があると感じます。

グリーン・ロタラの成長速度の情報が、レイアウト水槽を作成する際の御参考になれば幸いです。


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この記事のまとめ

本記事では、レイアウト水槽に植栽する人気の水草「グリーン・ロタラ」の育成と成長速度の実例を紹介しました。

グリーン・ロタラは、とても鮮やかな緑色の葉を高密度に茂らせるため、水槽の中に水草の森を簡単に作ることができる水草です。

また、成長速度が速く育成も容易のため、初心者の方でも安心して育てられる水草であると思います。

ただし、成長速度は約0.65cm/日と速いため、他の水草の成長とバランスを取るのが少し難しくなる可能性はあります。(適宜、切り戻しを行ってあげる必要はあるかと…。)

最後になりますが、下のリンクではグリーン・ロタラの仲間でもある「ロタラ sp. ベトナム」の成長速度や成長の様子を紹介しています。

赤色系のロタラとして人気の品種となりますが、グリーン・ロタラよりも成長速度が遅く、とても興味深い結果となりました。

また、ロタラの脇芽をたくさん成長させるための裏技なども紹介していますので、こちらの記事も御参考になれば幸いです。

では!