コリドラスの切れたヒゲを回復させた実例 -砂の選択が重要-

アクアリウムを楽しんでいる方であれば、誰もが知っていであろう熱帯魚「コリドラス」。

・ヒゲが生えた可愛い口元(ナマズの仲間)

・砂の中に口を突っ込んで餌を探す愛くるしい捕食行動

・品種が多くコレクション性も高い(価格も数百円から数万円まで)

・他の魚との混泳に困らない(気性が温和)

といった長所から、カージナルテトラやグッピー等と肩を並べた大人気の熱帯魚と言っても過言ではありません。

コリドラスは飼育も比較的容易で、基本的な熱帯魚の水槽管理を守っていれば、初心者でも安心して飼育することができるのも嬉しいポイントです。

しかし、コリドラスを飼育しているとチャームポイントである「ヒゲ」が無くなってしまった!というトラブルが発生する方が多いです。

実際に筆者もコリドラスのヒゲが切れて無くなってしまったという事態に直面したことがあります。

この記事では、コリドラスのヒゲが切れてしまう原因や実際にヒゲが切れてしまった飼育環境、そして切れたヒゲを回復させることが出来た事例を紹介したいと思います。

コリドラスのヒゲが切れて無くなってしまってお困りの方に、少しでも参考になれば幸いです。

【注意事項】本記事で紹介するコリドラスのヒゲを回復させた事例は、筆者の水槽での実例となります。回復に要する環境や期間などは一例になりますので、あくまでも参考としてお考え下さい。 


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コリドラスのヒゲが切れてしまう理由について

まず最初に、コリドラスのヒゲが切れてしまったり、傷ついてしまう理由について述べておきたいと思います。

一般的に言われてることであっても、「その考え方はミスリーディングを起こすのでは?」と思う点もありますので、私の言葉で記載していきたいと思います。

①水槽の底に敷いてある砂や底層材料

一つ目の原因は、水槽の底に敷いてある砂や底層材料です。

コリドラスは水槽の底で口先(吻)を砂の中に突っ込んで餌を探します。

その際にコリドラスのヒゲに一定の力が加わることになるのですが、その力がコリドラスのヒゲの強度に勝ってしまうと、ヒゲが切れてしまったり傷ついたりしてしまいます。

具体的な例としては、角張った砂や少し粒径の大きな砂を使用している場合が該当します。

粒径の小さな軽い砂であれば、コリドラスが吻を突っ込んでも、砂の方が簡単に動いてくれるので、力が分散してヒゲが切れることはありません。

しかし、角張った砂の場合、角張った部分が鋭利な刃物のように働き、コリドラスのヒゲが傷付く原因となります。また、粒径が大きな砂の場合には、コリドラスが吻を突っ込んだ際に砂が動きにくいので、反作用の法則でコリドラスの吻も大きな力が加わってしまいます(その力でヒゲが傷付く)。

私が個人的に思うことですが、ヒゲが傷付いてしまう最大の原因は、この底層の砂だと思います(下では例も示します)。

②小型のコリドラスや幼魚のコリドラスはヒゲが弱い

2つの目の原因は、コリドラスの体格による差です。

コリドラスには、コリドラス・パンダやコリドラス・メタエの様に小さな体格のものから、コリドラス・ロブスタスやコリドラス・ナルキッススのように10cm近くまで成長するものもいます。

コリドラスのヒゲの強度については、単純に考えて、ヒゲが細い方が弱く傷つきやすいです。

そのため、小さいコリドラスはヒゲの強度が繊細で切れやすいと思って良いかと思います。

この実体験として私自身が経験したことも記しておきます。

コリドラスを初めて飼育していた時、小型のコリドラス・パンダ (5匹) と中型のコリドラス・スーパーシュワルツィー (2匹) を混泳させていました。その時のことですが、コリドラス・パンダの全てがヒゲが短くなってしまったのですが、コリドラス・スーパーシュワルツィーはヒゲが健康的な状態でした。

一概に体格の差やヒゲの細さだけに理由を押し込めることはできませんが、ヒゲの細さ (コリドラスの体格) によって、ヒゲが切れやすい場合があるというのは事実なのかと思います。

③水槽の底の汚れや水質悪化によってヒゲが溶けてしまう可能性?

3つ目の理由としては、水槽の環境悪化です。特に底層の汚れなどが挙げられます。

ただし、私自身はこの原因に関しては、非常に誤解を生みやすいのではないか?と思っているところがあります。

とあるサイトやブログでも「底層の環境 (水質) が悪くなってコリドラスのヒゲが溶けてしまう」という記載を見かけたことがあります。

しかし、低層の環境が悪くなってコリドラスのヒゲだけが溶けてしまうということは本当に起こるのか?という疑問が残ります。

私の考えとしては、より正しくは、「水質悪化でコリドラスが病気に罹ってしまい、その病気や体調不良の結果としてヒゲが溶けて無くなってしまう」ということなのかと思います。

実際に、コリドラスが病気に罹った時、ヒゲが溶けるだけでは無く、鰭が溶けてしまったこともあります。また、ヒゲが無くなってしまったコリドラスが、そのまま衰弱してお星様になってしまったこともあります。

皆さんも、コリドラスのヒゲが無くなってしまった時には、ヒゲだけでは無くコリドラスの体全体を確認してみてください。鰭や鱗に異常があったら、それは単に「ヒゲが溶けた」では済まされない病気になっているかもしれませんよ。

ヒゲが傷付くことは病気併発の可能性もある

コリドラスのヒゲが傷付いてしまう原因を紹介した後ですが、コリドラスのヒゲが傷付くということは、他の病気を併発する可能性があるということも記載しておきたいと思います。

コリドラスのヒゲを観察していると気付くと思うのですが、コリドラスは吻とヒゲを上手に動かしながら砂の中の餌を探しています。

このことからもわかるように、コリドラスのヒゲは体の重要な一部であり、ヒゲが傷付けば傷付いた部分から細菌が侵入する可能性があるということなのです。

特に吻に近い部分でヒゲが傷付いたり切れてしまうと、傷口が大きくなる傾向にあるため、細菌の侵入の可能性が高くなると言えるかと。

特に、底層の清掃を怠っているような水槽の場合には、その危険性が上がると考えられます。

あくまでも可能性の話ですが、大切な事でもあると思いますので、記載しておきました。


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砂の交換によりコリドラスのヒゲが回復した事例

上でも記載しましたが、私自身はコリドラスのヒゲが切れてしまう主な原因は水槽の底に敷く砂の種類だと考えています。

その一例として、粒径の荒い砂が原因でコリドラスのヒゲが無くなり、粒径の小さな砂に交換したらヒゲが回復した実例を以下で紹介します。

粗い砂を使っていたらコリドラスのヒゲが無くなっていた…

以前、私が25cm規格のコリドラス水槽を立ち上げた時の事ですが、水槽の底にADA製の「ラプラタサンド」を敷いていました。

水槽を立ち上げた時に、手元に余っていたラプラタサンドを使ってしまったのが悪かったのですが、飼育開始してからしばらくして、コリドラス・メタエとコリドラス・アークアトゥスのヒゲが切れて無くなってしまいました。

ラプラタサンドは美しい砂ではあるのですが、少し粒径が大きく角張った砂も多く含まれており、これが原因でヒゲが切れてしまったのではないかと思います。

ヒゲが切れて無くなってしまった後ですが、ヒゲが回復することは無く、常にヒゲが無い状態が続いていました。

細かい砂に交換したらヒゲが回復したことを確認

ヒゲが無い状態が砂であると考え、コリドラス水槽のサイズを大きくすると同時に、粒径の細かい砂を使用することにしました。

具体的には、GEX製の「天然砂 ナチュラルパウダー」です。

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そして、砂を変えたことによって、徐々にヒゲが回復してくる姿が見えました。

実際の写真を以下で示したいと思います。

まずは、コリドラス・メタエの例ですが、ナチュラルパウダーを使用した後には青矢印で示すように、細い繊細なヒゲが回復していることがわかります。

次の写真は、コリドラス・アークアトゥスの例ですが、こちらも髭が再生していることが見て取れるかと思います。

水槽 (飼育環境) が変わったという変化点もありますが、砂を変えただけでこれだけヒゲの回復が顕著に起こっているので、砂の種類がコリドラスのヒゲの損傷に大きく影響していると言えるかと思います。

ヒゲが傷付いただけならヒゲは再生します

コリドラスのヒゲが傷付いて無くなったとしても、ヒゲは再び生えてきます。

上で紹介したヒゲが回復した例では、ヒゲが無い状態が数か月続きましたが、それでも砂を変えて管理した結果として、しっかりとヒゲが生え変わってきました。

したがって、コリドラスの健康状態に特に問題が無ければ、ヒゲは再生すると考えて良いかと思います。

ヒゲが全く再生しないという場合 … それは、コリドラスが何らかの病気に罹ってしまっている状態かもしれません。

熱帯魚の病気を経験された方であればお分かりいただけるかと思いますが、魚病は非常に厄介です。

放置しておいて治癒する病気は少なく、基本的には病気が進行して、様々な病気を併発して魚がお星様になってしまう可能性を秘めています。

それはコリドラスも同じで、病気を発症した個体は著しく体力が奪われ、ヒゲを再生する体力が無くなります。

そのため、使用している砂の状態に問題が無いのに、コリドラスのヒゲが無くなって回復しない場合には、何らかの病気を疑ってみた方が良いかと思います。


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この記事の終わりに

この記事では、コリドラスのヒゲが切れたり溶けて無くなる理由について、筆者の実際の経験を基にして詳細を記させていただきました。

コリドラスのヒゲは繊細のため、角張った砂を水槽の底に敷いていると容易に傷ついて切れてしまう可能性があります。

また、水槽環境の悪化により病気に罹った個体は、病気が原因でヒゲが溶けてしまう事も…

そのため、コリドラスのヒゲは、健康状態や管理状態の良し悪しを示すバロメーターになっているように思えます。

コリドラスのヒゲは、コリドラスの可愛さを表現する重要な部位でもあります。切れてしまうと、少し可愛さが無くなってしまいますし、可愛そうな状態に見えます。

日々の観察の中でヒゲの様子を確認してあげながら、適切な底層の状態や水槽環境の維持を進めていきましょう!

では。