アクアリウムの初心者からベテランまで、多くのアクアリストに愛されている熱帯魚「コリドラス」。
砂の中に口先を突っ込んで餌を探す姿や、群れになって泳ぐ姿など、水槽の中でとても可愛い仕草を見せてくれることから、熱帯魚界のアイドル的な存在と言えるのかもしれません。
また、コリドラスはとても温厚な性格であるとともに、生活する場所が底層となるため、ネオンテトラやグラミー等の混泳相手として相性が良いことも嬉しいポイントです。
さらに、コリドラスにはメジャーな品種からレアな品種まで非常に多くの品種があり、同品種でも個体ごとに模様や体型が異なるものもあることから、コレクション性も高い熱帯魚の一つとなっています。
そんな大人気のコリドラスですが、水槽を立ち上げる際にはコリドラスが過ごしやすい水槽環境を整えてあげる必要があります。
特に気を遣うのが、コリドラスの生活域である水槽の底層に敷く素材 (砂・砂利・ソイル) の選択となります。
コリドラスの飼育には、粒径の小さな砂が理想的とされますが、本記事ではGEX製の「天然砂 ナチュラルパウダー」を紹介します。
価格と品質の両面から、コリドラス飼育に適した砂としてお勧めです。
コリドラス飼育に適した砂の条件について (底面フィルターを使わない場合)
コリドラスの飼育に適した砂とは、どのような砂なのでしょうか?
それは、コリドラスの捕食活動を知ると、自ずとその答えが出てきます。
コリドラスは、自然界では砂の中に潜む虫などを探して捕食しており、水槽の中でもその本能が見られ、常に水槽の底を意識して生活しています。
下の写真に示すように、口から砂や砂利ごと餌を吸い込み、餌だけを選択的に食べるというのがコリドラスの捕食活動となります (赤色の点線) 。
そして、吸い込んだ不要な砂や砂利をエラ部から排出していくという機能があります (黄色の点線) 。
つまり、吸い込んだ砂が口の中を通り、呼吸器であるエラの部分から出ていくことになるので、口やエラを傷つけにくい砂を選んであげる必要があります。
また、コリドラスが口先を砂の中に突っ込む際、角張った砂利があるとヒゲを傷付けてしまう危険性もあります。
コリドラスのチャームポイントともいえるヒゲですが、傷ついた部分から切断して無くなってしまったり、溶けて無くなってしまう事も多々あります。(記事の後半ではその例も紹介します。)
さらに、コリドラスは体の一部が砂に接している時間が長い熱帯魚です。
尖った砂利があると、コリドラスが元気に泳ぎ回っている際に、腹鰭や尻鰭に傷をつけてしまう事もあります。
これらの懸念事項を解決するために、最も適していると考えられるのが「粒径の小さなパウダー状の砂」となるのです。
ただし、水槽の底に底面フィルターを敷く場合、パウダー状の砂はフィルターに吸い込まれてしまいます。そのため、底面フィルターを敷く場合には、粒径が大きく角張っていない砂利やアクアリウム用のソイルを敷いてあげると良いと思います。
GEX製の「天然砂 ナチュラルパウダー」
上記の通り、コリドラスの飼育に適しているのが「粒径の小さな砂」です。
その中でも、私がお勧めしたいのがGEX製の「天然砂 ナチュラルパウダー」です。
製品の公式ホームページが下のリンクとなります。
GEXの商品紹介HPはコチラ → 天然砂 ナチュラルパウダー
コリドラスの飼育にこの砂を使ってから、他の製品をコリドラス飼育に使えなくなりました…。それくらいコリドラス飼育にお勧めの砂です。
以下では、「天然砂 ナチュラルパウダー」のメリットを紹介したいと思います。
メリット① 砂の粒径が非常に小さく尖っていないこと
最も重要な砂の粒径ですが、製品名に「パウダー」という名前が付いている通り、非常に細かな砂です。
砂浜にある粒径の小さな砂を、更に粉々にしたような製品となります。
そのため、手で触ってみても角張ったような感触は全くありません。
実際にコリドラスの飼育に使ってみると、コリドラスの捕食活動の中で、スムーズにエラ部から砂が出てくるのが確認できます。
個人的な感想ですが、コリドラス達が砂を吸い込む際に、ストレスを感じるようなことは無いと言える砂だと思います。
また、公式HPの記載では粒径が「0.3mm ~ 1.0mm」とありますが、1mmという大きな粒径の砂はほとんど含まれていません。
メリット② 水洗い不要
「天然砂 ナチュラルパウダー」は水洗いが不要です!
「いやいや、最初は細かな粒子のゴミが出て飼育水が濁るんでしょ…」と思われるかと思いますが、「天然砂 ナチュラルパウダー」は、そのまま水槽に入れても本当に水の濁りが少ないんです!
以前使用していた砂の中には、細かな粒子・埃が混ざっている製品も多く、5回くらい水洗いしても濁りが取れないような製品もありました。
しかし、「天然砂 ナチュラルパウダー」は、その心配はありません。
使用開始直後から、飼育水の濁りを抑制できますよ!
メリット③ 濾過バクテリアが含まれた砂
「天然砂 ナチュラルパウダー」には濾過バクテリアが含まれています。
これは、水槽立ち上げの際に、とても強力なメリットです。
水槽立ち上げの当初は、なかなかバクテリアが立ち上がらず、飼育水が白濁してしまうような状況が多いのですが、バクテリアが含まれている製品であれば立ち上がりまでの時間を短縮することができます。
上で紹介したように、細かな粒子や埃が含まれていない事もあり、飼育水をピカピカの透明な状態にしてくれるのに役立つ特徴だと言えます。
メリット④ 水草も植栽が可能
粒径の小さな砂では水草を植えることが難しいと思っていたのですが、植えようと思えば水草を植えられます。
下の写真は、実際にアマゾンソードを植栽した例ですが「天然砂 ナチュラルパウダー」を少し盛れば水草が浮いてしまうことなく植栽可能です。
少し背の高い大きな株になると植栽が難しいかもしれませんが、ミクロソリウムなども植栽できると思います。
ただ、頑張って砂を盛ってもコリドラス達が崩してしまうので、定期的に砂を盛ってあげることは必須ですね。
メリット⑤ 安価
メリットの5つ目は価格です!
この「天然砂 ナチュラルパウダー」は、お手頃な価格で販売されているのが嬉しいところ。
500mLの量で、店舗販売で280円くらい、ネット価格では250円くらいの価格です。
デメリット① 水替えの際にホースに吸い上げられてしまう事
ここまでは「天然砂 ナチュラルパウダー」のメリットを取り上げてきたのですが、デメリットと思われる点も2つ挙げておきたいと思います。
一つ目は、砂の粒径が小さく軽いため、水替えの際にホースで容易に吸い上げられてしまうという点です。
コリドラスの水槽は、低層を常に清潔にしておくことが望ましいため、砂の中のゴミも出来る限りホースで吸い上げる必要があります。
その際、水流の強さを抑制しても、ナチュラルパウダーが糞やゴミと一緒に吸い上げられてしまうことがあります。
水替えに慣れると砂を吸い上げる量が少なくなりますが、最初は少し苦労するかもしれません。
とはいえ、デメリットの内容としては小さな事ですね。
デメリット② 魚の糞が目立つ…
もう一つは下に落ちている糞が目立ってしまうことです。
「天然砂 ナチュラルパウダー」は、粒径が小さく明るく薄い茶色をしているため、何かゴミが落ちていると目立つ存在になってしまいます。
特に黒い糞をする魚を飼育すると、かなり目立ちますね。
ただ、発想を転換すると「水槽が汚れているのを知らせてくれるサイン」でもあるので、汚れや糞が目立って来たら直ぐに水替えしてあげると良いかと思います。
そう考えると、これはメリットと言えるかもしれませんね。
実際にコリドラス水槽に使用した例を紹介
では、ここからは実際に「天然砂 ナチュラルパウダー」を使用したコリドラス水槽の例を紹介したいと思います。
新たに立ち上げたコリドラスの水槽
私の以前の記事になりますが、以下のリンクで、25cm規格の小さな水槽でコリドラスを飼育していることを紹介しました。
この水槽で約半年間のコリドラス飼育を続けたのですが、もう少し大きな水槽でコリドラスを飼育してみようと思い立ち、45cm規格のコリドラス水槽を立ち上げました。
下の写真がその水槽になります。
45cm規格のスリム水槽に壁掛けフィルターを設置し、底には本記事で紹介している「天然砂 ナチュラルパウダー」を敷いています。
清掃を容易にするために、隠れ家となる流木を一つ入れて、植栽も上で紹介したアマゾンソード一つだけになります。アヌビアス・ナナが見えていますが、これは流木に活着させている株となります。
水温は25℃で管理、飼育水は糞が目立ち始めたら換水するようにしています (3日に1度程度) 。
換水頻度が比較的多いこともあり、常にpH=6.8程度での管理となります。
この水槽の中で、以下のコリドラス達を飼育しています。
① コリドラス・シュワルツィー 2匹
② コリドラス・メタエ 1匹
③ コリドラス・アークアトゥス 1匹
④ コリドラス・レセックス 1匹
⑤ コリドラス・アガシジィ 1匹
⑥ コリドラス・レオパルダス 1匹
コリドラスの数は合計で7匹ですが、過密感は無く、どのコリドラスも活き活きと泳いでいます。
水槽サイズと必要な「天然砂 ナチュラルパウダー」の量について
コリドラス水槽に入れる砂の厚さは、なるべく薄い方が良いと言われています。
これは砂の中を清掃しやすくして、常にコリドラスの生活圏である底層を清潔に保つための対策となります。
しかし、清掃の頻度や換水頻度をしっかりと維持できるのであれば、1cmから2cm程度は敷いてあげても大丈夫であると個人的には思います。
砂の厚さが1cm程度あると、コリドラスが口先を砂の中に突っ込む姿が見られるという、観察の楽しみが増えます。
上で紹介した45cm水槽ですが、砂の厚さが約1.5cmくらいに設定しましたが、500mLの「天然砂 ナチュラルパウダー」を2袋使用しました。
60cm水槽であれば、厚さ1.5cmの砂を敷くのに4袋~5袋が適切かと思います。
「天然砂 ナチュラルパウダー」でコリドラスの傷付いたヒゲが回復した例
さて、上でも少し記載をしたのですが、角張った粒径の大きな砂を使用すると、コリドラスのヒゲが切れたり傷ついたりします。
私の飼育している水槽でも、その症状が現れたことがありましたので、参考のために記載しておきます。
一つ上の見出しで、小さな25cmの水槽から45cmの水槽にコリドラス水槽をサイズアップしたことを記載しました。
以前の25cm水槽では、ADAの「ラプラタサンド」を敷いて飼育をしていたのですが、少し粒径が大きく角張った砂も多く入っているものでした。
「ラプラタサンド」が全ての原因では無いかもしれませんが、 飼育していたコリドラス・メタエとコリドラス・アークアトゥスのヒゲが傷付き、切れて無くなってしまうという状態になりました。
そして、25cm水槽で飼育している間には、その傷ついて無くなったヒゲが回復することはありませんでした。
しかし、「天然砂 ナチュラルパウダー」を使用した45cm水槽に引っ越しして数か月経過すると、メタエとアークアトゥスのヒゲが元に戻ったのです!
その時の様子を写真で紹介します。
まずは、コリドラス・メタエですが、左の写真がヒゲが無くなってしまった時の様子、右の写真が「天然砂 ナチュラルパウダー」を使用してヒゲが回復してきた様子です。右の写真の青色矢印で示す通り、ヒゲがしっかりと生えていることがお分かりいただけるかと思います。
次の写真がコリドラス・アークアトゥスですが、左がヒゲが短くなってしまった時の様子で、右の写真が「天然砂 ナチュラルパウダー」での飼育でヒゲが元に戻った時の様子です。
こちらも青色矢印で示す通り、ヒゲが長く伸びていることがわかります。
写真に写っている砂の粒径を比較しても、「天然砂 ナチュラルパウダー」の方が粒径が小さい砂であることが一目瞭然だと思います。
25cm水槽と言う小さな水槽が原因 (水質が安定しにくい事やストレス) であった可能性もありますが、ここまで明確にヒゲが回復してくれていますし、「天然砂 ナチュラルパウダー」で飼育してからヒゲが無くなる症状は発生していません。そのため、敷いてある砂の種類が、コリドラスのヒゲの状態に影響を与えていると十分に考えられるかと思います。
コリドラスのヒゲが切れて無くなってしまったり、髭の長さが短くなってしまっている方は、敷いてある砂の粒径を見直してみるのも解決策かもしれません。
ヒゲが回復してくれて思うことですが、ヒゲはコリドラスのチャームポイントなので、やっぱり長く生えそろっている方が確実に可愛いですよ!
この記事の終わりに
本記事では、コリドラス飼育に最適な砂の特徴と、それを実現しているGEX製の「天然砂 ナチュラルパウダー」の紹介をさせていただきました。
コリドラスには口で砂を掘って餌を探す習性があるため、角張った粒径の大きな砂を敷くと、口先やエラに傷が付いてしまう可能性があります。
それを防ぐためにも、粒径が小さな砂を使用してあげることが必要です。
また、角張った砂を使用すると、コリドラスのチャームポイントであるヒゲが傷付いてしまう可能性もあります。(私の飼育経験の中で、粒径の大きな砂を使用した時にコリドラスのヒゲが無くなってしまった実例も紹介しました。)
コミカルな動きと愛くるしい仕草で癒しを与えてくれるコリドラスですが、いつまでも元気に、そして健康的な体で飼育を続けていくには、水槽に敷く砂の種類にも気を遣ってあげることが必要だと感じます。
コリドラスの体に傷が付いているのを発見した方は、砂の種類を見直してみてはいかがでしょうか?
また、これからコリドラスの飼育を始める方は、粒径の小さな砂で飼育をしてあげると、コリドラスの怪我を未然に防ぐことができるかもしれません。
「コリドラスとの良い関係は、良い砂選びから!」
では!