水槽の立ち上げで飼育水を確実に透明にするための管理方法とは?

熱帯魚ショップに足を運ぶと、とても綺麗にレイアウトされた水槽が並び、そこいは外国から輸入された色とりどりの熱帯魚が泳いでいます。

そして、何よりも驚くのは、水槽の水の透明度ではないでしょうか?

子供の頃に金魚やメダカを飼育していた水槽は、すぐに白く濁ったり、コケが生えて緑色の水になったり…とても綺麗と思える水槽では無かったことを今でも覚えいます。

そんなアクアリウムショップに置いてあるような水槽を目指して、水槽を立ち上げる方も多いかと思いますが、最初に必ず立ちはだかる壁は飼育水の透明度が上がらないことだと思います。

誰もがこの最初の難関に直面するのですが、焦らず一つ一つをクリアしていけば問題無く美しい飼育水、透明な飼育水が手に入ります。

この記事では、私の経験から飼育水を透明に仕上げる方法をお伝えできればと思います。


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立ち上げ当初の水槽の水は必ず白濁りします

私もアクアリウムに復帰した直後に、この問題に本当に悩まされました。

水槽を立ち上げて1週間~2週間経っても、水槽の中の水が白く濁っている状態で綺麗になりません。

下の写真は私がアクアリウムに復帰した時に立ち上げた45cm水槽の様子ですが、バックスクリーンを張っていない状態だったのですが、熱帯魚が白く濁って見えています。この状態がしばらく続いて、アクアリウムショップとは何が違うのかを自問自答する日々が続いていました。

アクアリウムショップの美しい飼育水をイメージしていたので、当時は「何故だろう?何か失敗したかな?」と、とても不安になったことを覚えています。

しかし、この点については、失敗しているのではなく水槽やフィルターが立ち上がっていない状況、言い換えれば自然の中の水の濾過・循環の環境が出来上がっていない状態なので仕方がない事でした。

「清流」と呼ばれる山々の中を流れる水は、とても澄んでいて本当に美しい水ですが、この水を作り上げているのは自然の中に存在する濾過とバクテリアです。

湧き水は砂や土、岩盤の中で濾過され、地表付近や川の中に存在するバクテリアで美しい水に変貌を遂げます。これが自然の中での濾過サイクルであり、その濾過サイクルが水槽の中に立ち上がらない限りは、飼育水が綺麗になることはありません。

私も実際に体験してきましたが、この環境は時間をかけて作り上げなければならないものなので、正直なところ焦る必要はありません。

白濁りの解決はフィルターの立ち上げが全て

バクテリアが立ち上がらないと白濁りは解消しない

結論から言うと、飼育水の白濁りはフィルター内のバクテリアが立ち上がらないと、解消されないと言えます。

外部フィルターや壁掛けフィルター、上部フィルター等の水槽用フィルターがありますが、それぞれのフィルターの中にはリング状や球状の濾材が入っていると思います。その濾材にバクテリアが住み着いてくれない事には白濁りを解消することはできません。

そもそも、白濁りの原因は水中に漂う、非常に小さなゴミです。魚の糞であったり、底に敷いている砂利の粉だったり、餌の食べ残しも原因になります。

水槽の底に敷いている砂利の粉は、もともと重量が重い粒子なので、比較的早く底に沈んでいってくれますが、魚の糞や食べ残しの餌は重量が軽いためいつまでも水槽の中を漂います。

その魚の糞や食べ残しを分解してくれるのがフィルター内のバクテリアたちなのです。

バクテリアは水中に漂う粉塵 (糞や餌) を完全に分解して、目では視認できない硝酸の分子に分解してくれます。これを生物濾過と言います。このサイクルがあるので粉塵がどんどんなくなっていくのですが、フィルター内にバクテリアが立ち上がらないと、この生物濾過は起こりません。

つまり、立ち上げ当初は白濁りが発生して当たり前なのです。

アクアリウム初心者のあなたの管理の問題では無く、全てのアクアリスト達が通る道なのでご安心ください。

水槽の立ち上げは焦らないことが大切

飼育水の白濁りが無くならないと焦ってしまうことがあるかと思います。

しかしながら、バクテリアの増殖を待つ以外に白濁りを解決する方法が無いので、こればかりは焦っても仕方ないです。

市販のバクテリアも販売されているので、それを水槽の中に注入して2週間程度は待つしかないです。

「果報は寝て待て」という、まさにこのことわざの通りです。

立ち上がった水槽とフィルターはアクアリストにとって「宝物」であるといいますが、まさにその通りなんですね。

バクテリアの建ちあがったフィルターがあれば、水替えをしたり、餌を与え過ぎて少しくらい水が濁っても、あっという間に透明な飼育水に変えてくれます。

私がやってしまった失敗ですが、「白濁りが無くならないなぁ…」と言って、毎日の様に水替えをしていました。しかし、これはバクテリアが入っている飼育水を換水していることになるので、水槽の立ち上げを遅らせてしまう行為になります。立ち上げ当初の水替えは1週間に一度くらいにしてあげることも大事です。

凝固剤・凝集剤は一時的な解決でしかない

白濁りが取れなかったり、少し小さなゴミが水槽内を待っていると「早く除去したい」と焦る気持ちは私も理解できます。

そして浮遊物の「凝固剤」「凝集剤」に手を出してしまいます。

私も凝固剤を使いましたね…。

この凝固剤や凝集剤は、水中に漂う小さなゴミ同士をくっつけ合って大きなゴミに変化させ、それをフィルターで物理的に濾過しやすくするというものです。

確かに凝固剤を入れて3時間か4時間すると、一時的ではありますが、水槽内の白濁と浮遊物の状態が少し改善します。

しかし、1日か2日経つと概ね元通りになります。そして換水をすると、従来通りの白濁した飼育水になります。その後に凝固剤を再び使っても同じことが起こります。つまり負のスパイラルです。

私も水槽の立上げ当時は、本当に水槽立ち上げの悪循環をしていました。白濁を無くしたいので凝固剤にすがる気持ちで使っていたのですが、凝固剤は一時的な緊急の解決策にはなるのですが、恒久的に白濁を解消することはできません。

こんな事を書いたら、凝集剤のメーカーさんに怒られてしまうかもしれませんが、フィルターが立ち上がると凝固剤なんて要りません。私自身、フィルターが立ち上がってからは凝固剤を一度も使っていません。

凝固剤を使うくらいなら、バクテリアの立ち上がりを待つことの方が賢明な策であると思います。


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大きな浮遊物を確実に除去するにはフィルターを増強

フィルターが立ち上がって、白濁が解消されると次に待っているのは目に見える大きさの浮遊物です。

この浮遊物の多くは魚の糞や食べ残しの餌ですが、基本的には糞の方が原因となります。食べ残しもありますが、時間が経つと魚が見つけて食べるので、目に見えるサイズの浮遊物としては、糞の方が割合が断然多いと思います。

この大きな浮遊物は、水槽内のバクテリアが分解するのにもある程度の時間を要します。そのため、バクテリアが分解するスピード以上に、魚が糞をするような環境だと、常に浮遊物が舞っているような状況になります。

具体的には過密水槽と呼ばれる、熱帯魚の数が水槽のサイズに対して多すぎるような飼育環境では浮遊物が目立つようになりやすいです。

そのような浮遊物を除去するためには、フィルターの数を増強してあげることが一つの手です。

例えば、メインのフィルターに外部フィルターを使用しているのであれば、サブフィルターとして壁掛けフィルターや濾過能力のあるブクブク (投げ込み式フィルター) を使用することがお勧めです。

目に見えるサイズのゴミであれば、フィルター内のウール濾材で除去ができるので、物理濾過を強化するという意味でフィルターの増設が手っ取り早い方策です。

私自身、60cm水槽クラスで生体数が多い水槽には外部フィルターに加えて壁掛けフィルターを使用しています。壁掛けフィルターの中にはウール濾材を多めに入れて、物理濾過が十分に発揮される様な工夫もしています。

流木から出る茶色の着色料は換水頻度を上げて解消させる

飼育水の透明度が上がらない原因の一つに流木から出る着色汚れがあります。

フィルターは立ち上がって白濁も抑制できているのに、飼育水が茶色く濁ることがあります。原因は流木の着色汚れです。

流木は水槽内のレイアウトとして無くてはならない存在なのですが、その茶色い色が持つ着色汚れは、時間をかけて飼育水の中に溶け出してきます。

流木を最初に水槽に入れる前は、着色汚れを除去する「アク抜き」を行うことが一般的ですが、アク抜きは表面の大方の汚れしか除去できないです。

また、流木は1年くらい水に浸しておかないと完全には着色汚れを除去できないので、水槽に新しい流木を入れると、しばらくは飼育水が茶色くなります。

この流木の着色汚れは防ぎようがないのですが、活性炭を使うことで化学的に着色汚れを吸着除去することもできるので、着色汚れを緩和するために活性炭を使うこともあります。

しかし、週に1度の換水をしていれば徐々に着色汚れは無くなってくるので、新しい流木を使用したらしばらくは我慢しなければならないのかと思います。

流木の着色汚れを防ぎたいのであれば、アクアリウムショップの水槽の中で管理されていた流木を購入させてもらう事が一番の近道です。「アク抜き処理済み」と書かれた流木は、正直着色汚れがまだまだ出ます。

アクアリウムショップの水槽でしばらくレイアウトとして使っていた流木を販売してもらえるのであれば、それが一番着色汚れが出ない状態だと言えます。


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この記事のまとめ

この記事では、水槽の立ち上げにおける白濁の解消について、フィルターの立ち上げの重要性、そしてバクテリアが立ち上がるまで待つことの大切さを記載させていただきました。

アクアリウムを始めた当初は、早く綺麗な水槽に仕上げたいので、あの手この手を使って白濁や浮遊物を除去しようと試みます。

しかし、その経験をした私からすると、各種対策を打つよりも「待つ」ということの大切さの方が重要なくらいです。

きちんとバクテリアが立ち上がった水槽とフィルターがあれば、凝固剤の様な薬を使う必要もありませんし、本当の意味で「恒久的」な対策になります。

水槽の立ち上げ、そしてバクテリアの立ち上げは「果報は寝て待て」ですよ。

これから水槽を立ち上げていく方は、焦らずにバクテリアの着床速度に合わせて、ゆっくりと立ち上げていけば良いと思います。

焦らずに待てば、自然と透明な飼育水が手に入りますよ。