ヤマトヌマエビの死因と寿命を実体験から紹介

水槽内に発生するコケや藻を食べて水槽内を綺麗に維持してくれる生体と言えば「ヤマトヌマエビ」です。

アオミドロの様な細かな藻や茶ゴケの様に様々な場所に張り付いて成長するようなコケも食べてくれるため、水槽に数匹導入するだけでも水槽内の美観を維持するのにとても役立つ生体です。

ミナミヌマエビやオトシンクルスなども有名なコケ取り生体ですが、体が大きく食欲旺盛なヤマトヌマエビには勝りません。

そのため、淡水のアクアリウムを楽しんでおられるアクアリストの方であれば、1度はヤマトヌマエビを飼育した経験があるかと思います。

そんなヤマトヌマエビですが、私が数年前に疑問に思たことがあります。

実際にどのくらいの寿命があるのか?という点です。

ヤマトヌマエビを多数飼育してきましたが、事故死や寿命死を含めて様々な状況でヤマトヌマエビがお星様になってしまいました。

そこで、この記事では私が実際に飼育したヤマトヌマエビについて、死因と寿命を詳しく紹介したいと思います。


Advertisement

飼育方法のミスによるヤマトヌマエビの死因

まず最初に紹介したいのは、飼育方法のミスによるヤマトヌマエビの死因になります。寿命を全うした場合では無く、事故や飼育方法が原因による死因です。

私の飼育経験が未熟だった時のことも含めて、以下で4点紹介したいと思います。

水槽からの飛び出しについても以下で紹介していますが、誰かが見ていれば救助することができます。しかし、誰も水槽の近くにいない状況であるとヤマトヌマエビの死因になってしまいますので、事故の例として挙げさせていただきました。

フィルターが立ち上がっていない状態で飼育を開始したこと (水槽立ち上げ初期の事例)

これは私がアクアリウムに復帰した当初に起こってしまったことです。

新しい水槽を購入して、フィルターを回しながら水槽内の環境作りを進め、水槽立ち上げから1週間程度でヤマトヌマエビを水槽に導入しました。

導入したヤマトヌマエビは60cm水槽で5匹でしたが、1週間程度で全てのヤマトヌマエビがお星様になってしまいました。

下でも紹介する「水合わせの失敗」であれば、その日のうちにお星様になってしまう場合が多いのですが、数日は生存していたことを考えると、水合わせが原因と言うよりも環境そのものがヤマトヌマエビを受け入れられる状態に無かったと言えます。

ヤマトヌマエビを入れて早期にコケや藻の抑制を図りたい気持ちは分かりますが、少なくとも外部フィルターや上部フィルターが立ち上がっている状態であることは確認してから導入したほうが無難です。

水槽導入時の環境変化 (水合わせ)

環境変化によるヤマトヌマエビの死因は、最も多い死因では無いかと思います。エビ類は水質の変化に弱い生き物になるため、飼育水の水質変化が原因でお星様になってしまう事が多々あります。

これはヤマトヌマエビに限ったことでは無く、ミナミヌマエビやレッドビーシュリンプ等にも言えることです。

私の管理する水槽では、2017年から2020年の間の3年間で合計で5匹程のヤマトヌマエビが水合わせが原因でお星様になってしまっています。

水合わせが原因の場合、導入した直後または24時間以内に命を落とすケースが大半です。

点滴法を使って水合わせを行っている最中に命を落としてしまうというケースも2回ありました。

それほどエビは水質の変化に弱い生き物なのです。

正直なところ、水合わせが原因になるヤマトヌマエビの死因は、100%防ぐことは不可能だと思います。100匹のヤマトヌマエビがいたら、その個体差で水槽の水質に全く合わないヤマトヌマエビが数匹いてもおかしくはありません。

飼育する水槽を変更したことによる飛び出し

水槽導入時の水合わせが無事に終わり、水槽の中で飼育がスタートすると、ヤマトヌマエビはその後は水槽にも慣れて落ち着いた生活をするようになります。

水槽のレイアウトや水質、そして水替えの頻度などにも体が慣れて、そう簡単に命を落とすことは無くなります。

しかし、飼育する水槽を変更すると急に性格が変わった様に暴れ出すことが何度かありました。

具体的には、水槽のレイアウトを変更することや、隣の水槽に引っ越しをさせるような作業の場合です。

水槽のレイアウトを変更すると、今まで隠れていた流木が無くなったりして水槽内での落ち着きが無くなり、水槽内を泳ぎ回るような姿を見ることがありました。その結果、水槽の中を勢いよく泳ぎ回った結果として飛び出しが起こるケースが2度ありました (2回とも飛び出した直後に救助) 。

また、水合わせを経て別の水槽にヤマトヌマエビを引越しさせたときも同じ理由で飛び出しをしたことがあります。

レイアウトを変更したり飼育水槽を変更するという行為は、ヤマトヌマエビにとっては相当なストレスになり不安定な状態になってしまうのだと思われます。

皆さんも同じようにヤマトヌマエビの飼育環境を変更する場合には、変更後にはしばらくは水槽の中を確認してあげた方が良いかと思います。

大きな魚との混泳が水槽からの飛び出しを誘発

ヤマトヌマエビは体長が5cm程度ある個体もあるのですが、エビの中では縄張り意識が少し強い様に思えます。

例えば、ミナミヌマエビがコケを食べているとその場所を奪うような場面も見受けられます。

また、ネオンテトラやラスボラなどの小型の熱帯魚に対しては全く臆することなく水槽内で生活をしています。

そんなヤマトヌマエビですが、自分より体の大きな魚がいると臆病になって、水槽内を逃げ回ることがあります。

具体的には、金魚の水槽にヤマトヌマエビを入れた時に、ヤマトヌマエビが金魚に驚いて飛び出してしまったことがありました。

金魚のサイズは10cm弱のものでしたが、金魚は雑食のためヤマトヌマエビを食べてしまおうとする仕草をします。それに驚いたヤマトヌマエビが水槽内を逃げ惑い、そのまま水槽から飛び出してしまうというパターンです。

ヤマトヌマエビは自分より小さな体の生態には強く餌場などの主張をするのですが、自分より大きな体の生体には弱いです。

大きな体格の魚とヤマトヌマエビを混泳させる時には注意が必要であることは覚えておいて損は無いと思います。

飛び出しを防ぐ方法としては、水槽にガラス蓋を設置しておくことが最も簡単な対策です。ただし、ガラス蓋にも隙間はあるので、100%防ぐことは難しいのですが…。

ヤマトヌマエビの寿命を実例で紹介

ここでは、管理方法のミスや飛び出しが原因では無く、ヤマトヌマエビがいつの間にか水槽内でお星様になってしまっていた際の寿命について実例を紹介したいと思います。

ヤマトヌマエビが完全に寿命を全うした場合、目に見えない病気になって命を落としてしまった場合などが対象になります。

紹介する例は、私が2017年に60cm水槽に導入した合計8匹のヤマトヌマエビ達になります。飼育開始から2020年までの3年間で、水槽内でお星様になっていた日までの概ねの期間を寿命として算出したものになります。概算であるため、1ヵ月程度の誤差はあると思ってください。

また、ヤマトヌマエビは購入時点でどのくらい生きている生体なのかはわかりません。しかし、私がヤマトヌマエビを選ぶときには必ず体長が3cm程度の中型のものを選んでいるので、購入時のヤマトヌマエビの年齢については、生後半年から1年未満であること思われます。以下で紹介する寿命には、この期間を含んでいません。単純に導入開始からの寿命になります。

私の水槽内で寿命を全うしたと思われるヤマトヌマエビは、2017年から2020年までの3年間で合計で4匹です。この4匹の寿命を以下で紹介します。

最も寿命の短かったものから順番に並べると以下の通りです。

① 1年9ヵ月

② 1年11か月

③ 2年4ヵ月

④ 2年9か月

一般的に言われていることとして、ヤマトヌマエビの寿命は水槽内で2年から3年程度と言われています。上記の①~④の例は、概ね一般的に言われている寿命に合致しているように思われます。

しかし、2017年に水槽に導入したヤマトヌマエビで、まだ元気に水槽内で生存しているものが3匹います (8匹中1匹は飛び出しによる事故死)。つまり、半数が3年で寿命が終わり、残りの半分は3年半…4年…と生きていく可能性があるのだと言えます。

(最も長く生きた例として、どのくらいの寿命が報告されているのかはわかりませんが、また数年後に別の記事で生き残っているヤマトヌマエビの寿命を紹介できればと思います。)


Advertisement

生物の寿命に個体差があることは覚えておくべき

上で紹介したヤマトヌマエビの寿命については、あくまでも御参考のデータとして捉えていただければ幸いです。

というのも、当たり前ですが、基本的に生物の寿命には個体差があります。

人間の寿命も同じで、100歳を超える寿命の方もいれば、病気などで60歳で亡くなられる方もいらっしゃいます。

それが我々人間や地球上に生きる生物の寿命の分布です。

ヤマトヌマエビの寿命についても同じです。自然環境の中で生活する場合と、水槽内での飼育する場合には寿命は異なりますし、食べている餌によっても寿命は左右されます。

上で紹介したように、水槽に導入したヤマトヌマエビが1年9カ月で寿命を全うする場合もありますし、3年、4年と生きる場合もあるということです。

ヤマトヌマエビの寿命は環境に依存する?

ヤマトヌマエビの寿命は環境によって変化するのでしょうか?

その答えは、確実にYesだと思います。

水槽内の環境としては、水質、水温、餌の種類等がヤマトヌマエビに影響を与えると思います。

別の生物を例に取ると、例えば野良猫の平均寿命 (交通事故等を除いて) は10年未満と言われていますが、家で飼われているペットの猫は10年以上あります。これはペットの猫が食べている餌が栄養豊富なものが多いためであると言われています。

ヤマトヌマエビにも同じことが言えて、餌の豊富な水槽内で飼育されている場合には、健康的な体を保つことができるので寿命は確実に伸びるのだと思います。食べすぎによる弊害もあるかと思いますが、総じて考えれば水槽内で人口飼料などを食べれる環境の方が、寿命が延びやすいのではないかと考えられます。

水質の安定しているが餌はコケや藻だけの自然界と、水質が少し不安定だが人口飼料が食べられる水槽内、ヤマトヌマエビの寿命に対してどちらが良いかは甲乙つけがたい所はありますね。私にも正確なところは分かりません…。


Advertisement

この記事の終わりに

この記事では、ヤマトヌマエビの死因と寿命について、私の飼育環境下での実例を紹介させていただきました。

水槽内で飼育するヤマトヌマエビの寿命を最も短くする死因は水槽からの飛び出しと導入直後の水合わせの失敗でした。

また、ヤマトヌマエビが過ごしやすい環境 (混泳の相手も考慮して) を整えれば、飛び出すことも無く、長期の飼育ができることは間違いないと思います。実際に、3年以上生きているヤマトヌマエビもいるので、上手に育てれば長い期間、コケ取り生体として水槽内で働いてくれることになります。

生物を飼育している以上、他の水槽の例や自然界の例とは合致しない結果になることも多々ありますが、本記事の内容がヤマトヌマエビを飼育されている方の御参考になれば幸いです。