金魚やメダカの屋外飼育は氷が張っても大丈夫?-酸素供給の観点-

11月に入り一気に秋の装いが進むと、12月に向けて気温がどんどん下がっていく季節に入ります。

屋内で楽しむ熱帯魚アクアリウムは、ヒーターやクーラーの利用により年間を通じて一定の水温や水質が維持できますが、屋外で野ざらしの状態で飼育されている金魚やメダカはどうでしょうか?

真夏の暑い季節の水温上昇や真冬の極寒の中に晒されて、日本においても「厳環境」という言葉が似合うような状態にあるかと思います。

冬には特に対策をしないと飼育容器や水槽の水面に氷が張り、その下で魚たちは冬を越すことになります。

氷が張った容器や水槽の中で金魚やメダカは生き抜くことができるのでしょうか?

本記事では、あくまでも私の経験と考えになりますが、この疑問点を少し考えてみたいと思います。


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水温が低いこと自体は問題は無い

皆様ご存じの通りだと思いますが、金魚やメダカは日本に古くから住んでいる淡水魚になります。

つまり、日本の「四季」を知り、体がそれに耐えることができるものになっています。

そのため、数℃の非常に低い水温の中でも生き抜くことはでき、水温が下がること自体は、特に大きな問題にはなりません。

自然界において、水温が下がると魚たちは活動量が減り、多くの時間を水底でじっとして過ごすようになります。活動量が減れば食べる餌の量も少なくなり、必要とする酸素の量も少なくなります。

これは、容器や水槽で飼育されている魚たちにも同じことが言えます。

冬の間、屋外の水槽の中では、金魚やメダカは動きを止めてじっとした状態で動かなくなります。決して命を落としているわけでは無いので心配は無いのですが、それが魚にとっての「越冬」なんですよね。

酸素の供給ができるかどうかが大切なポイント

最初に想像してみて欲しいのですが、屋外の小さな容器や水槽の中で飼育された金魚やメダカがいて、冬の間は昼夜関係なく氷がずっと張っている状態とします。

その状態になると、酸素が全く供給されない状態になります。

冬場は魚の活動も落ちるため、溶存酸素の必要量は下がるとは言え、冬の間も酸素は必ず必要ですので、全く酸素供給の無い状態では魚の命が危ない可能性が出てきます。低水温の方が水中に溶け込む溶存酸素量が増えますが、水面に氷が張り、全く酸素が供給されなかったら欠乏した溶存酸素量は補えません。

自然界では冬の間に氷が張り続けている湖や池もありますが、必ず川や湧き水などの水源があり、酸素が不足することはありません。しかし、容器という限られた空間となると、水面からの酸素供給が生命線になります。

そのため、屋外での魚の容器飼育においては、理想としては可能な限り氷は張らせないことが望ましいと言えるかと思います。

ただし、完全に氷が張るのを防ぐことが難しい環境もあります。そのため、定期的に氷は除去したり、氷を割ってあげることも必要になります。

また、それに加えて、次の2つの観点を考えてあげることで、氷が多少張っても安心はできるのでは無いかと思います。

一つ目のポイントは、飼育水の量です。

一般的に金魚を飼育する時には、5cm以下の小型の金魚であれば1匹あたり5L、5cm以上15cm未満の中型の金魚であれば1匹あたり15L、それ以上の金魚であれば1匹あたり40Lが魚の飼育として必要な水量 (溶存酸素や生物濾過を考慮) になるかと思います。

このレベルの水量が確保できていれば、多少氷が張ってしまう冬の間も安心になるのかと思います。水量が少なければ、水温の変化も気温の変化を追随しやすくなるため、凍りやすい環境になると言えます。

2つ目のポイントは、飼育している魚の数による水量確保です。当たり前ですが、魚の数が増えれば、上で紹介した水量は変化します。多くの魚を飼育している場合には、その数と魚の大きさに比例した飼育水を用意してあげることが必要です。

一般的に考えれば、水量の確保については、普段の飼育の中でも十分な量を確保されているケースがほとんどだと思いますので、冬になったからと言って慌てることは無いかと思います。


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氷が長時間張らないようにする方法

エアレーションをかけること

皆様ご存じかと思いますが、水が流れている冬の河川は氷が張っていないですよね?

水の流れや水面に動きがある状態であれば氷は張りにくく、水面が止まっている状態では氷が張りやすいです。

北海道などの雪国では川にも氷が張ってしまうことがあるかと思いますが、寒冷地でなければ流れのある川に氷が張ることは稀かと思います。

この冬の川の状況を再現してくれるのがブクブク等によるエアレーションです。

エアレーションをかけるためには電気が必要なので、屋外でのエアレーションは少し難しいですが、軒下の濡れない場所などでは防水対策した配線でエアレーションをかけることができます。

少し敷居が高い方法ですが、小さな容器や水槽であれば、エアレーションをすることで氷の抑制を高い確率で実現できます。

実際に私自身も屋外の容器内で金魚を育てていた時は、ブクブクをかけていたので真冬の0℃を下回る気温の中でも氷が張ることはありませんでした。ただし、極寒の-5℃以下になる場所では話は別だと思われますが…。

日当たりの良い場所に置くこと

これは一般的な方法ですが、真冬の間だけは朝から夕方まで日の当たる南面に飼育容器を置いてあげることです。

寒冷地では厳しいかもしれませんが、暖地であればこの方法で氷を解かすこともできるのでお勧めです。

定期的に氷を割ってあげること

少し面倒ではありますが、毎朝起きると氷が張っているような場合には、毎日氷を割ってあげても良いかと思います。

割れた氷を水槽から取り出してしまうと、水量が減り水質の変化を招く可能性もあるので、氷を割るだけで氷を水槽や容器から出さない方が良いかと思います。

ただし、氷の張った水槽・容器の中では、メダカや金魚は冬眠に近いような状態になっていることが多いです。氷を割る際には優しくなるべく驚かさないような気配りもしてあげたいですね。

ガラス水槽やアクリル水槽は氷が張らないように!

冬の屋外での金魚・メダカの飼育で注意が必要なのが水槽の使用です。

たらいや桶の様なもので金魚やメダカを飼育されている場合には、容器による事故の心配事は無いのですが、外でガラス水槽やアクリル水槽を使用している場合には注意が必要です。

氷は水が凍った個体になりますので、氷が暑く張った場合、ガラス面に応力が加わることになります。氷は個体ですので体積が小さく方向になることを考えると、水槽の内側に引っ張り込まれる様な力が働きます。

この氷による力は、氷が暑くなるほどに強くなり、最悪の場合にはガラス水槽にひびが入ってしまう可能性もあります。

また、氷が張って解けてをくくり返すことによって、ガラス面には目に見えない「疲労」が蓄積するため、割れやすくなると思われます。

さらに、長い間屋外で使用された水槽は、直射日光 (紫外線) によってガラス水槽の接合面の樹脂が浸食されるため、ガラス水槽の強度自体が落ちている状況になります。

屋外で金魚やメダカを飼育する場合には、プラスチック製の収縮性がある容器を使うなどの対応が必要かと思います。


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この記事の終わりに

この記事では、冬の間の屋外での金魚やメダカの飼育について、飼育容器に氷が張ってしまい溶存酸素が供給されないという点に着目して対策を記載させていただきました。

多少氷が張ってしまっても、直ぐに魚たちが命を落としてしまうことは無いかと思いますが、飼育容器と言う限られた空間では氷が張ることは酸素供給が無くなることを意味します。

そのため、氷が張った場合には氷を割ってあげて酸素が飼育水に溶け込みやすい状態を作ってあげることが必須かと考えます。

寒い冬で外での作業は辛いですが、寒さに負けず屋外飼育のお世話をしていきたいですね!

また、室内でメダカを飼育する際の注意点は次の記事にまとめています。