水草育成にも紫外線が必要!?水草を元気に育てる秘訣

人間の皮膚にとっては、良い影響が無く敬遠される紫外線ですが、実は植物の生育には少なからず必要な光だと言われています。

紅葉が赤くなる現象や、アクアリウム用の水草のロタラが真っ赤に染まるのは、紫外線や強い光の影響です。

この記事では、アクアリウムで育てる水草についても紫外線が与える影響や、アクアリウムにおける紫外線の確保について御紹介したいと思います。

豆知識的な内容として最後までお付き合いいただけましたら幸いです。


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水草が欲する光の色について

植物の葉が緑色に見える理由は、植物が青や赤色の光を吸収して、緑色の光の一部を反射しているためです。

そのため、水槽内で育成する水草にとっては、青色や赤色の光が重要視されている傾向があります。水槽用のLEDライトを見てもらうとわかるのですが、一般的な水槽用ライトは「青色」「赤色」「白色」の3色のライトが使われています。

この青色と赤色は植物が吸収しやすいという意味もあり使われていますが、実はそれ以外の波長の光も植物の育成にとっては重要な役割をします。

少し説明も難しいのですが、例えば人間が食べ物から取得する栄養素は、様々なものがあります。代表的なたんぱく質や脂質などがありますが、それら以外にも食物に含まれる栄養素も体の維持には必要です。

それと同じように、植物にとっての光の吸収も、様々な波長の光が必要であり、今回取り上げている紫外線も同じように植物にとっては欠かせないものになります。

青や赤の光の波長は植物の光合成にとって特に重要かと思いますが、その2色だけではなく、全ての光の色が植物の育成には必須のものとなります。

実は紫外線は植物の育成に必須の光

紫外線について

紫外線は、私達人間の目には見えない光であるため、存在にあまり気付かないことが多いのですが、UVカット商品などがあるので、その存在を耳にしたことはあるかと思います。UVカットのUVは紫外線を示す英語のUltraVioletを表しています。

紫外線の光としての波長は400nm以下の短波長側にある光です。下の図で、点線で示した領域になりますが、青色よりもさらに短波長側に位置しており、可視光の波長から外れた位置にあります。

人の目は、個人によって能力が違うため、短波長側の光がどこまで見えるかは個人差があありますが、基本的には紫外線は目には見えない光です。

そのため、普段の生活の中で存在を知る機会がなかなかないのですが、言い換えれば紫外線は目に見えないところで人に対して影響を与えていると言えます。

この紫外線、人にとっては皮膚がんに影響を与えるということも言われていますが、水草や植物にとっては悪い影響だけでも無いことも知られています。

紫外線が植物に与える効果について

紫外線が植物に与える影響は、実は定量的なデータというのはあまり広く知られている内容ではありません。私も調べてみましたが、書籍含めて詳細な情報を得られていないのが現状です。

しかし、私も育てている観葉植物の世界では、実は紫外線が健全な育成を助ける重要な存在であることが知られています。

植物というのは、強い日差しの下で成長をしますので、常に紫外線にさらされている状態です。植物の中では、紫外線によって茎や葉を丈夫に育てる反応が起きており、紫外線による成長の手助けが起きていることも知られています。

そのため、同じ植物であるアクアリウムの水草も、同じ効果があると言っても過言ではないと思います。

事実、ロタラという水草を真っ赤に染め上げているのは、強い紫外線によって葉の中に生成されたアントシアニンという成分で、秋に紅葉が赤く染まるのと同じような過程で赤く染め上がっていきます。

紫外線は、人や動物の皮膚に対しては悪い影響があることが知られていますが、植物にとっては良い効果もあるんですね。


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室内のアクアリウムは紫外線不足になりがち

メダカのビオトープや池を泳ぐ鯉の様に、屋外で日本の四季と共に暮らしている魚たちは、太陽の光によって紫外線が供給されます。

そのため、屋外での植物の育成においては、紫外線の供給という観点で気にすることはほとんどないと思います。

しかし、室内でのアクアリウムはどうでしょうか?

太陽光がさえぎられると共に、最近の住宅用のガラス窓には「UVカット」の加工がされています。人間の健康を守るために、人間の目線で建てられた家なので仕方がないのですが、植物にとっては紫外線の吸収がしにくい環境となっています。

そのため、アクアリウムの水草以外でも、例えば観葉植物の室内栽培でも紫外線が欠乏することが多々あります。観葉植物の栽培では、週に1度くらいは太陽光が入るような場所で栽培する方が良いと言われています。

アクアリウムにおいては、水槽の位置を動かすこともできないですし、アクアリウム設備を直射日光に晒すと、設備の劣化も起こるため好ましくありません。また、直射日光は水槽内での藻の繁殖の原因になりかねません。

そのため、アクアリウムにおける紫外線の供給は、下で説明しますが、基本的に水槽用ライトからの供給に頼るしかないのが現状かと思います。

紫外線はLEDライトに微量に含まれるもので供給

上で説明したように、水草の育成にも紫外線の存在は欠かせないものと考えたほうが良いかと思います。

では、紫外線はどのように供給すべきか…

アクアリウムの場合には、水槽用のライトに頼るしかないです。

水槽用のライトを購入する時、ライトの特性を表す光の波長とエネルギーの関係が図示されたグラフを見ることがあるかと思います。

下の図に示すようなグラフなのですが、水槽用ライトを購入された際に見たことがある図かと思います。

「青色の波長」と「黄色から赤色の波長」が少し多くなっていますが、これは上で紹介したように植物の欲する光の中で青と赤が少し多いので、水槽用ライトもこのような設定になっているものと思います。

そして、肝心な紫外線ですが、これは青色よりもさらに短波長側に存在し、実は青色に近いライトの中の一部に含まれています。量は少ないのですが、青色系のLEDから発光される光の中に、一部分だけ混じっていることがほとんどです。

水槽用の一般家庭用の青色LEDですので、特定の波長だけを高強度に出す仕様ではなく、青色付近の波長光をブロードに出す特性のものが使われていると思います。ですので、そのブロードな光の中の一部に僅かながら紫外線が含まれております。

最適な量では無いとは思いますが、水槽内へも紫外線の供給が一応行われることとなります。


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特に紫外線が必要な水草の特徴

アクアリウムで用いられる水草には、大別すると比較的光量が少ない場合でも育つ「耐陰性」の水草と、太陽光の大好きな水草の2種類に分かれます。

紫外線を吸収する量という観点で言うと、確実に太陽光が大好きな水草の方が紫外線量が多い方が良いです。特に成長が早い水草は、太陽光を浴びて光合成を行いどんどん新しい葉や茎を展開して成長していくため、その分の紫外線が必要となります。

それに対して、耐陰性の水草は成長速度が非常に遅いものが多いため、紫外線を欲する量が低くなります。「耐陰性の水草は室内アクアリウムの強い見方である」ということがよく言われますが、紫外線の確保という意味でも耐陰性の植物は室内でも育てやすい水草と言えます。

まとめると、成長速度の遅い水草よりも成長速度の速い水草の方が紫外線を欲する量 (紫外線の総量) が少ないということかと思います。

この記事の最後に

この記事では、水草の育成に対して、紫外線の果たす役割と紫外線の確保について、簡単ですが紹介をさせていただきました。

紫外線は人の目には見えませんし、紫外線自体は人体に悪影響があるため、積極的に導入することはできません。しかし、普段の生活の中に存在する光や水槽用のライトに含まれるごく微量な紫外線によって、水槽内の水草にも良い影響があるかと思います。

あまり気にすることは無い事かとは思いますし、積極的に紫外線を水草に与える必要は無いですが、水草育成における一つの知識として知っておいても良いかと思います。