水草水槽に用いられる水草の中で、その見た目の美しさや育成の容易さで人気なのが「ロタラ」です。
緑色の葉を持つ「グリーン・ロタラ」や葉が赤く染まる「ロタラ sp. Hra」等の種類がありますが、どれも美しい水景を作るのにとても重宝する水草として知られています。
水草の育成には、適した光量のLEDライトが必要になりますが、ロタラにおいても同じことが言えます。
十分な光量を持つLEDライトを使用することで、緑が鮮明なグリーン・ロタラが育ち、ロタラ sp. Hraは真っ赤に染まるようになります。
では、ロタラの育成でLEDライトの光量が少ない場合、どのような変化が起こるのでしょうか?
この記事では、ロタラを育成する際のLEDライトの条件 (光量) を変化させて、ロタラの成長の様子を観察した結果を紹介したいと思います。
【注意】この記事で紹介するロタラの育成は、筆者の水槽で実験した例となります。皆様の管理されている水槽で同じことが起こるとは限りません。あくまでも参考例としてお考え下さい。
光量を変化させたロタラの育成実験について
私が初めてロタラを購入した際、アクアリウムショップの店員さんから「しっかりと光を与えた方が綺麗に育ちますよ。」というアドバイスをいただきました。
もう何年も前の事ですが、今でもその時の店員さんの言葉が耳に残っています。
それ以来、ロタラを育成する時には、必ず十分な光量で育てるように心掛けてきました。その結果、水槽に植栽したどの品種のロタラも、元気に美しく育成することができています。
しかし、実験が大好きな理系の自分としては、「光量が足りない状態でロタラを育てたらどうなるんだろう?」という疑問も持つようになり、その結果を確かめてみたくなりました。
そこで、ロタラをトリミングする際に、敢えて光量を落として育成して見ることにしたのです。
実験に用いたのは「ロタラ・ベトナム」で、赤く染まることで有名な品種です。
十分な光量でロタラ・ベトナム育てた後にトリミングを行い、その後は光量を落として育成するという実験を行いました。
以下では、十分な光量で育てた場合と、光量が少ない条件で育てた場合に分けて、その成長の様子を紹介したいと思います。
十分な光量を与えたロタラの成長
まず最初に、十分な光量でロタラ・ベトナムを育てた場合の例となります。
ロタラ・ベトナムの育成に用いたLEDライトや栽培条件についても記しておきます。
ロタラの育成条件 (十分なLEDライトの光量)
実験に用いた水槽は60cm規格で、外部フィルターとしてエーハイム 2213を使用しています。
飼育している生体は、カージナルテトラやコンゴテトラ等のカラシン科の熱帯魚が20匹程度となります。
LEDライトは「GEX製 CLEAR LED POWER III」と「Aqullo製 Triangle LED Bright」の2つを使用し、1日の点灯時間は約8時間の管理となります。
飼育水の交換は週に1度、水槽の半分の飼育水を入れ替えております。
水草の肥料は、ロタラ・ベトナムを植栽する際に、ソイルの中にテトラのイニシャルスティックを埋め混みました。その後は特に追肥をしていません。
二酸化炭素の添加はADA製のアドバンスシステム・フォレストで、5秒に1滴の添加量となります。
十分な光量で育てたロタラの様子
では、ロタラ・ベトナムを十分な光量で育てた場合の様子を写真で紹介します。
次の写真が、十分な光量で育てたロタラ・ベトナムとなりますが、葉が真っ赤に染まると共に、多くの葉が展開していることが分かるかと思います。
アクアリウムショップの参考水槽やアクアリウム雑誌に出てくるような美しいロタラ・ベトナムに育っていると言えるかと思います。
この写真を見ると、やはりロタラには十分な光量が必要であることが分かりますね!
光量が不十分な条件で育てたロタラの成長
では、次に光量が不十分な状態で育てたロタラ・ベトナムの結果を紹介します。
上で紹介したロタラ・ベトナムをトリミングして、その後で光量を下げて育てるという実験を行っています。
ロタラの成長条件 (少し光量が少ないLEDライト)
光量が不十分な育成環境としては、LEDライトを「GEX製 CLEAR LED POWER III」のみにするというものです。
光量が比較的強い「Aqullo製 Triangle LED Bright」は併用しませんでした。
それ以外の栽培環境は、上で紹介した水槽の管理環境をそのまま流用しています。
光量が少ない条件で育てたロタラの様子
それでは、光量が少ない条件で育てたロタラ・ベトナムの写真をご覧ください。
以下がその写真となります。
十分な光量で育てた場合と比較して、明確に違いが現れていることがお分かりいただけるかと思います。
葉の色は黄緑色になり、かつ茎から展開する葉の量が明らかに減っている状況になりました。
また、葉と葉の節の間隔が広くなり、間延びした成長を見せていることもわかるかと思います。
同じロタラ・ベトナムの株を使って実験して、これだけの違いがあるということは、ロタラの成長には光量がいかに大切かがわかります。
光量が少ない条件ではロタラが間延びしやすい!その理由を考察
この記事のタイトルは「ロタラは光量が少ないと間延びした成長になる!?」ですが、光量が少ない場合にロタラがどのくらい間延びしているのかも確認しているので紹介したいと思います。
下の図に示すように、ロタラの茎から展開している葉と葉の間隔 (葉が展開する節の間隔) がどのくらいなのかを、光量が多い場合と光量が少ない場合で比較するものです。
実際に物差しで測定してみると、光量が少ない場合には葉の間隔が5mm程度に間延びしている状態でした。
光量が十分な場合の実測データは無いのですが、写真で確認すると概ね2mmから3mm程度かと考えられます。
つまり、光量が不十分な場合には、葉の密度が約半分程度になってしまっているということなのかと。
光量が少ない場合にロタラが間延びしてしまう理由についても考えてみます。
植物には光を求めて上へ上へと伸びていく性質があります。
ロタラに限らず、植物には自分が最も高い位置で日光を浴びようとする特徴があります。
光量が少ない条件で育てられたロタラは、より強い光を求めて背を高くしようとします。その結果、間延びしたような状態になってしまったのではないかと考えられます。
十分な光量で育てたロタラは、背 (茎) を伸ばさなくても光が十分に得られるため、葉をたくさん展開することに専念できたのだと思われます。
この記事の終わりに
本記事では、ロタラの成長に影響を与える光量に着目し、光量が少ない場合にはロタラが間延びして成長しやすいことを紹介させていただきました。
水草水槽における水草の状態は、葉が適度な密度を維持することで美しさが増し、水草自体も健全な成長を遂げることができます。
その健全な成長を維持するためには、水草ごとに適切な光量を知り、育成環境を整えることが重要な要素の一つであると言えます。
水槽の中でロタラが上手く育たず、悩んでいらっしゃる方は、光量の見直しをしてみるのも一つの策になるかと思います。
また、以下の記事では、ロタラ・ベトナムの成長速度についても紹介しています。
こちらの記事も、ロタラ育成の情報として御参考になれば幸いです。