近くの川や池に遊びに行って魚を捕まえ、家の水槽で飼育を始める方もいらっしゃるかと思います。
夏休みに渓流に行ってハヤやヨシノボリを捕まえるお子さんもいらっしゃいますし、池や川でフナやタナゴなどを釣った方もいらっしゃるかと思います。
しかし、その捕まえた魚の飼育を開始するまでは良いのですが、翌日くらいから一つの問題に直面する場合がほとんどです。
「餌を食べてくれない」という問題です。
餌を食べてくれないと、どんどん魚は痩せていきますし、全く食べないのであれば餓死してしまう可能性もでてきます。
この記事では、捕まえてきた魚を人口飼料に慣れさせる一つの手順について、私が実践して成功している方法を御紹介します。
自然採取の魚が餌を食べない理由
自然採取の魚は水槽に入れても直ぐに餌を食べることは絶対に無いです。フナやコイなどの比較的雑食性が高く、餌を大量に食べる魚であっても水槽に入れた直後には餌を食べないことが多いです。
そこには以下の3つの理由があると考えられます。
環境が一気に変わったことによるストレス
自然界で生活していたのに、急に狭い水槽の中に入れられたら、環境が変わり過ぎて餌を食べなくなってしまいます。
自然環境の中の水と水槽の中の水では、水温が違いますし濁り具合も違います。また、pHや硝酸濃度なども異なるため、水合わせをしたとしても直ぐに順応してくれるような魚はいません。
そのため、一種のストレスを与えられた状態になりますし、魚によっては体調を一時的に崩してしまうものもあります。そのような魚はそう簡単に口を使おうとしません。
人間もそうですよね、急に環境が変わったり体調が悪い時には食欲がなくなります。
人口飼料を食べ物だと思わない
捕ってきたばかりの魚に顆粒状の人工飼料を与えたとしても、自然の中で暮らしていた魚は人口飼料を餌だと思っていません。
渓流魚は水面に落ちた虫や砂の中の虫を食べていますし、池のフナなども水底の泥の中に住む虫などを食べて暮らしています。
そのため、目の前に人口飼料が落ちてきても食べようとしないのです。例え口の前に餌を差し出しても食べないことの方が多いです。
池のフナやコイは比較的早く人口飼料になれますが、渓流に住んでいたハヤ等の魚は、そう簡単には人口飼料を口にしません。水槽に蚊などの虫を入れても、環境の違いで食べようとしないので、人口飼料など絶対に食べてくれません。
ペットショップで売られている魚との違いを知りましょう
ペットショップで販売されている熱帯魚や日本の淡水魚は、顆粒状の人工飼料をたくさん食べていますよね!そして、その熱帯魚を飼ってきた場合には、自分の水槽の中でも人口飼料をたくさん食べてくれます。
自然で採取した魚とペットショップの魚には決定的な違いがあります。
ペットショップの魚たちは一部を除いて人工的に繁殖された魚である場合がおおく、小さな幼魚の時から人口飼料で育てられています。そのため、人口飼料の事を餌だと思っています。また、幼魚の時代から水槽の中で育てられているものも多いので、水槽と言う環境が慣れた環境になるのです。
この点が自然の中に住む魚との決定的な違いであり、餌を食べるという点においては、ペットショップの魚と自然採取の魚に大きな差が生まれてくるのです。
まず水槽の環境に慣れさせることが大事
自然採取の魚は、まず最初は水槽の環境に慣らせることを第一目標にします。
餌を食べさせる前に、まずは水槽の中で安心して泳げる環境を整えてあげなければなりません。そこがクリアできないといつまでも餌は食べないと思います。
1週間くらいは食べなくても死ぬことは無い
捕まえてきた魚は、1週間くらい餌を食べなくても死んでしまうようなことはないです。
早く餌を食べて欲しいと焦る気持ちはあるかと思いますが、水槽に入れて1日や2日は食べさせる必要は無いです。
1週間くらい食べなくても魚は生命維持しますので、まずは少し時間をかけてでも水槽に慣れてもらいます。
水槽の中での生活の様子を見て、暴れるようなことは無いか、他の魚と上手く共存しているか、と言う点を確認してあげることに専念してみて下さい。
もし、同じ水槽で飼育している他の魚に驚いて隠れっぱなしの様な状態になっていると、餌を食べない期間が長続きすることもあります。そのような場合には、水槽を変更する等の対応も必要になってきます。
生餌を常に用意することも必要
以下で人口飼料に慣れさせる方法を紹介しますが、人口飼料に全くなれない場合には生餌を常に用意してあげることも必要になってきます。
近くの川で位置をひっくり返すと川虫の幼虫などがいるので、そのような生餌を用意して食べさせるという方法です。
すこし手間のかかる餌の準備になるのですが、長い月日をかけても人口飼料を食べない場合には、魚を採取した現地の餌を用意してあげる覚悟は必要だと思います。
人口飼料に慣れさせる手順
ここからは、実際に私が川魚に人口飼料を覚えさせた手順を紹介していきたいと思います。あくまでも参考事例ですが、この方法でハヤやヨシノボリなどに人口飼料を食べさせることに成功しています。
① まずは現地の餌を食べさせて水槽に慣れさせる
上でも紹介しましたが、水槽の中に慣れさせるということで、現地の餌に近いものを用意しました。
例えば、渓谷で捕まえたドンコであれば、小さなスジエビを近くの川で捕まえてきて生餌として与えます。
水槽に入れて1日から2日しか経っていない魚であっても、生餌は餌と認識してくれるので、餌を食べてくれる可能性が高まります。
この方法は正直面倒臭いのですが、1週間程度は生餌を用意してあげました。
② 次に冷凍赤虫を食べさせること
生餌の次は冷凍赤虫です。
冷凍赤虫は魚を取り扱っているペットショップであれば、どこでも入手することができると思います。
私はずっとお世話になっているHikariさんの赤虫ミニキューブを使っています。小分けされている冷凍赤虫なので、使いきりサイズでとても便利です。
この赤虫は自然の中にいるミミズなどと同じ部類の餌になるので、渓流魚や川魚にとっても馴染みがあり食べてくれることが多いです。
この冷凍赤虫によって水槽内で「餌を食べる」という行為に慣れてもらえるので、水槽内で口を使って食べさせるという訓練をすることができます。
最初はピンセットを使って魚の口元まで冷凍赤虫を持っていってあげると、食べてくれる可能性が上がりますよ。ピンセットを怖がって逃げてしまう魚もいますが…。
③ 冷凍赤虫に似た人口飼料を用意する
冷凍赤虫に慣れてくれたら、ひとまず一安心ですね!
しかし、毎回冷凍赤虫を回答するというのも面倒臭いので、乾燥した人口飼料に慣れてもらう事も必要です。
そこで、強力な武器になるのがVIBRA BITESという赤虫そっくりの餌です。
この餌は乾燥飼料なのですが、しばらく水に漬けておくと水分を含んで柔らかくなるので、赤虫に似た食感にもなってくれます。
そのまま与えると固いので魚が吐き出してしまうのですが、柔らかくしてあげるとしっかり食べてくれます。
この人口飼料を食べてくれると、かなり餌付けが楽になりますし、餌の問題は解決したと言っても良いくらいです。
④ 顆粒状の人工飼料を食べる魚は餌付け成功
最も楽な餌やりは、グッピーやメダカ、そして熱帯魚と同じ顆粒状の人工飼料を食べてくれることですよね!?
顆粒状の人口飼料に慣れてくれるか否かは、最終的にはその魚が水槽と言う環境にしっかりと馴染んでくれるか?というところにかかっていると感じます。
私の飼育しているヨシノボリは熱帯魚と同じ沈下性の人口飼料を食べてくれていますが、最初は全く食べていませんでした。自然採取の魚が人口飼料を食べるか否かは飼育期間と言う月日が解決してくれる可能性もあるかと思います。
もしかしたら、本当にお腹が空いて生命の危機に立たされたら、魚たちは何でも食べるようになるのかもしれませんが…。
2週間経っても餌を食べなければ逃がすことも検討すべき
2週間ほど餌付けを頑張っても餌を食べてくれない場合、そのお魚は自然に返してあげることも一つの選択肢として考えるべきかと思います。
2週間食べないと、魚は目に見えるレベルで痩せ細ってきます。見ているのも可哀そうになりますので、採取した池や川に逃がしてあげましょう。
私自身、上の方法で水槽内の川魚の餌付けに成功していますが、皆さんの水槽環境によっては慣れずに食べない状況が長く続いてしまう可能性もあります。
飼育したいという気持ちはあるかもしれませんが、魚が命を落としてしまっては元も子もありません。
ここの記事の最後に
この記事では、川や池で捕まえてきた魚が水槽内で餌を食べてくれないという問題に対して、その解決方法の一つを御紹介させていただきました。
自然の中に住む魚たちは人口飼料と言うものを知らずに育つので、人口飼料を食べてくれないのが当たり前です。
しかし、以下の手順で徐々に水槽の環境に慣らせていくことで、自然採取の魚も人口飼料を食べてくれるようになります。
① まず最初に水槽の環境に慣れさせること
② 現地の自然の中にある餌に近いものを与え、水槽の中で餌を食べるということに慣れさせる
③ 冷凍赤虫から餌付けを開始する
④ 冷凍赤虫に似た人口飼料を与えて人口飼料に慣れさせる
少し餌やりの難しい自然採取の魚ですが、とてもヨシノボリやハヤなどのとても綺麗な魚もいるので、飼育できるように努力してみてはいかがでしょうか?
ただ、努力しても魚が餌を食べてくれない場合には、自然へ逃がしてあげることも選択肢に入れて置いてくださいね。
また、自然採取の魚ではなく、熱帯魚などが急に餌を食べなくなってしまった場合などは、下の記事も参考にしてみて下さい。