ヤマトヌマエビ導入の注意点 – 愛され続けるコケ取り名人 –

ヤマトヌマエビはアクアリストの誰もが認めるコケ取り名人です。

初心者からベテランまで、幅広くお世話になっている方が多いエビかと思います。30cm水槽の中で1匹飼育するだけでもコケの増加量が抑制できる、優れたコケ取り生体です。

しかし、導入に際して覚えておきたい事項は多くあります。

「コケ取りに最適」という売り文句だけで導入を検討せず、知っておくべき注意点も紹介したいと思います。


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ヤマトヌマエビについて

ヤマトヌマエビの形態・生態

ヤマトヌマエビの体長はお酢で4cm程度、メスの方が少し大きく5cm程度位に成長します。ヌマエビの中では大きい種類で、水槽の中に導入するとネオンテトラよりも大きくなるため、かなり存在感が出てきます。

体の色は半透明で青が混じった茶色のような色をしており、目がクリっと出ているので愛嬌ある顔をしています。自分の身体よりも長い触角を持っていることも特徴です。

成長するにつれて何度も脱皮を繰り返しますので、水槽の中に抜け殻がよく落ちています。脱皮を知らない人は、死んでしまったのでは?と錯覚するくらい綺麗に脱皮します。

ヤマトヌマエビの飼育に最適な水温は20~23℃程度ですが、日本の四季に対応した体を持っているので、冬はヒーターが無くても生きていけます。

しかし、夏は高水温や溶存酸素の低下・水質の悪化で弱ったりお星様になってしまうことがあります。夏は涼しい場所で飼育するか、クーラーやファンで水温を下げる努力が必須です!

エビ類全般に言えることですが、水質の変化に「超」敏感です。これが、エビ類の飼育で一番難しいことです。水質が合わないと命の危機に立たされます。

実際、購入してきたヤマトヌマエビが、水合わせの1時間で命を落とすこともよくあることです。ビーシュリンプなどに比べると強いかと思いますが、それでも熱帯魚に比べると敏感のレベルが違いますので、水合わせの際はゆっくりじっくりを心がけてください。

ただ、一度水槽内の飼育水に慣れれば、それ以後は問題なく飼育していけます。

ヤマトヌマエビの後ろ姿

ヤマトヌマエビの生息地・繁殖地

原産地としては、東南アジアから日本沿岸部の暖かい地域に生息しています。私も子供の頃に、実家の近くの川で網で捕ったのを覚えています。

当時はヤマトヌマエビを餌にしてブラックバスやブルーギルを釣り上げていました。今考えると、ヤマトヌマエビに可哀想なことをしていたなぁ…と。ヤマトヌマエビより少し小さなミナミヌマエビも生息域が同じなので一緒に捕っていたことを覚えています。

ヤマトヌマエビは、都会の川では採取が難しいのでショップで購入するしかありません。ただ、アクアリウムショップに行けば必ず販売されているエビなので、入手に困難になることはありません。

野生のヤマトヌマエビは産卵時期になると、川を下り汽水域で生活をします。これは、ヤマトヌマエビの赤ちゃんが汽水域でないと生存・成長できないためです。そのため、御家庭の淡水アクアリウムではヤマトヌマエビを繁殖させることが難しいのです。

繁殖させるためには抱卵したエビを隔離し、汽水域の水を準備して繁殖させる必要があります。繁殖は少し難しい技術なので、ヤマトヌマエビは購入することが一般的です。

アクアリウムにおけるヤマトヌマエビの役割

ヤマトヌマエビは古くから水槽内のコケ取り要因として愛され続けているエビになります。

私の家の水槽内での飼育経験では、茶ゴケと緑ゴケをよく食べてくれます。

また、たまに黒ひげゴケもつついているので、お腹が空けば様々なコケを食べてくているのだと実感します。

私がアクアリウムを始めた時に、龍王石が茶ゴケでびっしりになったことがあったのですが、ヤマトヌマエビを導入したら一晩で綺麗な龍王石になっていました。それ以来、ヤマトヌマエビへの信頼が増し、必ず全ての水槽内に入れるようにしています。

ヤマトヌマエビの正面写真

ヤマトヌマエビ導入時の注意点

熱帯魚との混泳は注意が必要

熱帯魚と混泳させる際には、熱帯魚が肉食魚か否かを確かめておいてください。

例えば、ディスカスやエンゼルフィッシュ等はエビが大好物です。

そのため、小さなサイズのヤマトヌマエビはディスカスやエンゼルフィッシュに食べられてしまいます。私はエンゼルフィッシュに小さなヤマトヌマエビを食べられてしまった経験があります。

ネオンテトラなどの小さな魚やコリドラスであれば、混泳は問題はありません。ヤマトヌマエビを検討される際には、飼育している魚との相性を考えておきましょう。

もしも、中型の肉食魚と混泳をさせるのであれば、比較的体格の大きなヤマトヌマエビを選んで導入してください。熱帯魚ショップに行って店員さんに「大きめのヤマトヌマエビを選んでください」と言えば、大きいものを選んでくれます。

エビは農薬に弱い

エビは節足動物の仲間の甲殻類です。つまり、昆虫たちと同じような仲間に分類されています。昆虫が農薬に弱いのと同じで、エビも農薬に弱いという性質があります。

そのため、農薬が付着した水草を入れてしまうと、エビは高確率で命を落とします。

魚は農薬に対する耐性があるのですが、エビはほとんどありません。

魚に影響がある農薬濃度の約1000分の1の濃度で致死量になると聞いたことがあります。つまり、農薬が付着した水草を入れると…例え90cm水槽の水量であっても、水草一つでエビが全滅する可能性もあるのです。

したがって、エビを入れてある水槽に水草を入れる際には「無農薬」と書かれた水草や、農薬使用のものであれば農薬を無害化する処理、または別の水槽にしばらく入れて農薬を落としたものを入れるようにしてください。

水草の写真

糞が非常に多い

ヤマトヌマエビを水槽に入れる方は、糞が多いことを覚悟して入れてください。

私は60cm水槽に4匹いれましたが、一晩で白い底砂の上に真っ黒な糞が大量に落ちていました。

エビは常に何かを口に入れて食べ続けているので、糞の量が本当に多いです。熱帯魚に比べると倍くらいの量になる印象ですね。

特にヤマトヌマエビは体格も大きいので、糞の量も多いです。水槽の底にソイルを入れていれば同じ色で目立ちませんが、白い砂を入れていると目立ちます。

私はその点で後悔しました…60cm水槽に4匹も入れるんじゃなかったと…。

人口飼料を与え過ぎるとコケを食べない

ヤマトヌマエビは人口飼料も大好きです。

そのため、時には熱帯魚と餌の奪い合いをする姿も見られます。底に沈んだ熱帯魚の残餌の掃除もしてくれるのですが、その分、上で書いたように糞も多いです…。

また、人口飼料でお腹がいっぱいになると、コケを取らなくなってしまうので、コケ取りとしての仕事量が減ってしまいます。人工飼料の与え過ぎは、生体の健康状態にも悪いので、適量を与えるようにしましょう。

コリドラスがいれば、底に落ちた人口飼料は食べてくれるのですが、コリドラスなどの底層魚がいない場合には、そこに残餌が溜まってしまわないように注意してあげてくださいね。

水草を食べてしまうことがある

エビはお腹が空くと水草も食べることがあります。

特に新芽の柔らかい部分は狙われやすいです。コケの量が少なかったり、人口飼料も与えていない状態だと食害が起こる可能性があります。

また、ヤマトヌマエビを水槽に入れすぎて、コケの奪い合いが起こることも食害の原因になります。せっかくコケを取ってくれるのに、コケが無さすぎてレイアウトの水草が被害にあう…なんだかやり切れない気分でもあります。

そうならないためにも、導入数の管理もしっかりしてあげてください。私個人としては、60cm水槽なら3匹で十分かと思います。あとは必要に応じてオトシンクルスを混泳させます。

水上に浮かぶ水草

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ヤマトヌマエビで苔対策するなら早めに水槽へ導入する

初心者の方も良くやってしまうことだと思うのですが、水槽内にコケが目立ち始めてからヤマトヌマエビを導入するのでは遅いです。

基本的にコケ対策は「予防」が最も重要になります。

コケが大きく育ってくると、ヤマトヌマエビがコケを食べる速度よりもコケの成長速度が速くなり、ヤマトヌマエビでは太刀打ちできない状態になります。

特に黒髭苔はヤマトヌマエビが好んで食べないため、黒髭苔が蔓延すると手の付けようがありません。

そのため、ヤマトヌマエビは水槽を立ち上げたら、なるべく早めに水槽に導入して、初期の小さなコケから食べてもらうようにしましょう。

ヤマトヌマエビを入れるタイミングで、その後のコケの苦労が大きく変わりますよ!

この記事のまとめ

この記事では、ヤマトヌマエビを水槽に導入する前に知っておきたい注意点をまとめさせていただきました。

ヤマトヌマエビは本当に素晴らしいコケ取り名人です。しかし、糞が多かったり、人口飼料を食べすぎるとコケ取りの能力が落ちるなど、注意しておくべき点もいくつかあります。

また、ヤマトヌマエビは大きく育ったコケに対しては太刀打ちできません。そのため、水槽を立ち上げたら、バクテリアが育った後になるべく早めに導入するようにしましょう。