【実績No.1】外部フィルターの構造・原理とメリット・デメリットを解説

アクアリウムの維持に必ず必要なフィルターですが、様々な種類のフィルターがある中で、最もアクアリストから信頼され、実績が最も高いフィルターが外部フィルターとなります。

アクアリウムショップだけでなく、水族館の水槽でも使われることがあるくらい実績があり、一般家庭へ設置するアクアリウム用フィルターであれば、外部フィルターを選べば濾過の観点では全く問題がありません。

この記事では、外部フィルターの構造や原理、そしてメリットなどを細かく紹介していきたいと思います。


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外部フィルターの設置と濾過機構

外部フィルターの構造ですが、メーカーごとに少しずつ違う部分はありますが、若干違うくらいで構造と濾過の原理は変わりませんので、一例として説明していきます。

ろ過の詳細については、別の記事で徹底解説している記事があるので、もしお時間があれば、下の記事をご覧ください。

水槽との接続方法について

まず最初に、外部フィルターと水槽の接続方法ですが、下の図の様に水槽よりも低い位置に設置をします。

これは、外部フィルターがサイフォンの原理を利用して水槽からフィルター内へ飼育水を引き込んでいるため、水槽よりも低い位置にフィルターが無いとフィルター内へと飼育水を取水することが出来ないのです。

そして、フィルターリングされた飼育水は、外部フィルターのヘッド部にあるモーターによって水槽の中へ戻っていくという構造になります。

水槽と外部フィルターの接続方法は、どのメーカーの外部フィルターを用いても変わることは無いかと思います。

外部フィルターの内部構造と濾過機構

次に、外部フィルターは筒状の密閉式の構造になっていますが、断面を模式的に図示すると次の図の様になります。

まず、水槽から取水した水は白色のリング状濾材の中に入ります。

リング状濾材は隙間が多いのですが、その分、バクテリアが大量に住み着いているため、生物濾過によって飼育水の中のアンモニアや亜硝酸を分解するために役立つ部分となります。また、大きなゴミであればリング状濾材がフィルタリングしてくれるので、上にある濾材の目詰まりを防ぐ効果もあります。

リング状濾材の上には、球の形をした球状濾材が設置されます。この球状濾材も表面積が大きいため、バクテリアが多く住み着いており、生物濾過を担う濾材となります。この球状濾材は、リング状濾材よりも高密度に詰め込むことができるため、、飼育水の流量が落とされバクテリアに接している時間を長くすることができます。そのため、物理的にゴミを除去する能力と生物濾過の性能が高い濾材となります。

そして、リング濾材と球状濾材を抜けた飼育水はウール濾材と活性炭のある領域に入ります。

ウール濾材は目が細かい濾材であるため、リング濾材や球状濾材でも除去できなかったゴミを除去してくれます。

また、活性炭は飼育水の着色汚れや油膜の原因となるバイオフィルムなどを除去する効果がある化学濾過を担う材料になります。

この一連の濾材の中を飼育水が通過することで物理濾過・生物濾過・化学濾過の3つのフィルタリングが働くことになります。

外部フィルターのメリット

冒頭でも記載しましたが、外部フィルターは家庭用アクアリウムのフィルターの中で最も実績数があるフィルターです。

それだけ信頼されているのには理由が多くあります。私が思う外部フィルターのメリットを挙げさせていただきます。

フィルターの音がしない (静音)

外部フィルターは、フィルターのモーターが回転する音がほとんどありません。

そのため、御家庭のリビングや寝室に水槽を設置しても、生活の中で障害になるような音が無い静穏なフィルターです。

外部フィルターは水槽の外で比較的大きなモータを使って回せるため、水量自体がきちんと得られることもあり、音が小さくなります。

私自身も家のリビングに置いてある水槽に外部フィルターを使用していますが、生活の中でフィルターの音が気になるようなことは全くありません。

上部フィルターは飼育水が水槽内に変える部分で、ジョボジョボという音がしますし、壁掛けフィルターはモーターと水槽の接触でギリギリと音が鳴ることがあります。

外部フィルターは飼育水が密閉されたフィルター内を通過していきますし、モーターが水槽と接触することも無いので、音自体が鳴る場所が少なくなります。

生物濾過の性能が非常に高い

外部フィルターは上でも紹介しましたが、密閉された筒状のフィルターの中に濾材を大量に入れることができます。

そのため、その濾材の分だけバクテリアが多く定着するため、生物濾過の能力が他のフィルターに比べて高くなります。

例えば、壁掛けフィルターに比べると約2倍の濾材を詰め込むことができます。

45cm水槽以上であれば、外部フィルターを1つ設置しておけば、魚の数が少し過密になったとしても生物濾過が間に合うくらいの濾過能力があります。

そのため、生物濾過に少し不安がある方は、外部フィルターを選ぶべきです。

水槽の中がすっきり見える

アクアリウムは美観を求める趣味でもあります。

フィルターに繋がるホースや各種部品は水槽の周囲から極力除きたいですし、見えない位置に設置したところです。

外部フィルターは取水口のホースと給水口の部分が水槽の中に入るだけですので、とても水っきりとした外観に仕上げることができます。

上部フィルターや壁掛けフィルターは取水のために水中にモーターを鎮める必要がありますし、投げ込み式フィルター (ブクブク) の場合には大きなフィルターの塊を水槽の中に入れなければなりません。

そのような水槽の中の美観を損ねるものが最小限に抑えられることも外部フィルターの一つの強みと言えます。

給水によりエアレーションを十分に確保できる

外部フィルターで濾過された飼育水はモーターで水槽内へ戻ってくるのですが、この時に水槽内に戻る水の勢いを使うことで、水槽の中にエアレーションの効果を得ることができます。

アクアリウムにあまり詳しくない方は、水槽の中に酸素を供給させるためにブクブクが必要であると思われる方が多いかと思います。

しかし、水槽の中では水面が揺れることで空気中から水中へ酸素の供給が行われます。これをエアレーションと言います。

外部フィルターで得られる水流は、このエアレーションの効果があるため、わざわざブクブクを投入する必要もないのです。

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水草用の二酸化炭素が抜けにくい

水槽の中で水草を育てている方は、飼育水に二酸化炭素を添加されている方も多いかと思います。

その二酸化炭素は、ガスボンベから供給されたものを水中に溶け込ませているのですですが、時間が立ったり、激しく水が動くと空気中へ抜けていってしまいます。そのため、せっかく添加した二酸化炭素が水槽内から出てしまうことになるため、水草の育成・光合成に使われることなく無駄になってしまいます。

外部フィルターは密閉式のフィルターであるため、飼育水が空気と触れる機会が無く、フィルタリングの最中に二酸化炭素が抜けてしまうことはありません。

またフィルタリングされた飼育水が水槽へ戻る時には、水流の調整やエアレーションの具合も調整できるため、フィルターの中で最も二酸化炭素が無駄にならないフィルターとなります。

「二酸化炭素を使用して水草を育てるなら、外部フィルター以外は考えられない」と言われるくらいの信頼と実績を持っています。

改造部品・パーツの種類が多くカスタマイズしやすい

外部フィルターはカスタマイズ製品の多さでも、他のフィルターを凌駕する存在です。アクアリウムショップにある、フィルター用のアクセサリーは多くのものが外部フィルター専用になっています。

例えばホースの色が変わっていたり、フィルターから水槽へ飼育水が供給される部分のガラスのパイプ、また飼育水を取水する部分のガラスパーツなどです。濾材についても外部フィルターは自由にカスタマイズできるので、自分だけのフィルターシステムを作り上げることが出来るのは、外部フィルターの特権だと思います。

初心者の方は、最初のセットになっている無いようで全く問題無いですが、だんだんアクアリウムが趣味になり、色々とカスタマイズしたいという気持ちが出てくると、外部フィルターのパーツを色々と変えたいと思ってしまうものです。


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外部フィルターのデメリット

水槽の位置が高くなる

外部フィルターは上でも説明した通り、サイフォンの原理を利用して水槽内からフィルターへ飼育水を呼び込みます。

そのため、外部フィルターの位置は水槽よりも低い位置にあることが前提になります。

この前提があることで、水槽を床の上に置いて外部フィルターを回すことは難しくなります。必ず水槽の方が高い位置にあるようにしなければならないため、水槽の重心が高い所になり、地震の時などに不安定になりやすいというデメリットがあります。

ただし、耐震対策などをきちんと施せば、そこまで気にすることは無いデメリット化と思います。

接続ホースの中にコケが発生しやすい

外部フィルターはその構造上、水槽と外部フィルターを結ぶホースの長さが長くなります。

そのため、ホースの中にコケが発生してしまうと、ホースが汚れたように見えてしまい、美観的に悪い印象になります。そして、洗浄することもなかなか困難です。分解しないと清掃ができません。

コケが発生しても大幅にフィルター性能が落ちることはありませんし、ホースを隠すことが出来れば気にすることは無いのですが…長いホースだと掃除をするのも大変なので、私の中ではこの美観を損ねる苔の発生はデメリットだと思っています。

メンテナンスが少し面倒臭い

外部フィルターは先に述べているように密閉式のフィルターになるため、清掃をする際には密閉状態を解除して分解して洗浄する必要があります。

上部フィルターであればウール濾材を簡単に交換できますし、壁掛けフィルターもウール濾材を簡単に交換することができます。多分、この二つはウール濾材の交換は1分で終わると思います。

しかし、外部フィルターはそのような簡単な作業で清掃ができません。水槽から切り離して、中の濾材を清掃するとなると慣れていても全工程で15分くらいは要します。

夜の時間に短時間で済ませることもできないので、外部フィルターの清掃と言うのは少しやりたくない作業にはなりますね…。

2カ月に1度くらいの清掃で十分ですが、それでも清掃するのが面倒です(笑)

この記事の最後に

この記事では、家庭用のアクアリウムのフィルターで最も信頼と実績を勝ち取っている外部フィルターの構造や原理、そしてメリット・デメリットを詳細に紹介させていただきました。

フィルター内に入る濾材の量やエアレーション。二酸化炭素への対応など、様々な面からアクアリウムのフィルターに最適だと思わされるメリットがあります。

60cm以上の水槽を設置する場合には、外部フィルターを導入すれば安心して魚の飼育ができることは間違いないです。

まだ外部フィルターを試したことが無い方は、ぜひ試してみて下さい。生物濾過による水の美しさも他のフィルター以上の効果だと思いますよ。