初めてのアクアリウムは60cm水槽から始めよう! -その理由を解説-

初めて水槽の購入を検討する時、必ず最初に悩むことが「どれくらいの大きさの水槽を買ったらいいのだろう?」ということかと思います。

アクアリウムショップに足を運ぶと、小さなボトル水槽から幅90cmを越えるような大きな水槽まであり、実際にどれを選んで良いのか迷う事かと思います。

自宅に設置できる大きさの水槽であることは大前提としてあるのですが、その次に重要視すべきことは何なのでしょうか?

見た目でしょうか? それとも、メンテナンス性でしょうか?

この記事では、アクアリウムを長く楽しんでいる筆者の目線から「初めて購入する水槽には60cm規格の水槽を選ぶべき理由」を紹介したいと思います。

私はアクアリウムショップの店員ではありませんので、一個人としてアクアリウムを楽しむという目線からも、その理由を紹介できるかと思います。


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60cm水槽って?

60cm水槽というのは基本的に「幅が60cm」で作られた水槽の事を指します。

60cm水槽の一般的なサイズとしては「幅60cm×奥行30cm×高さ40cm」となります。

また、60cm水槽の中には、奥行きと高さが小さく設計された「幅60cm×奥行20cm×高さ25cm」というサイズもあります。これらは「スリム水槽」という種類で販売されており、少し狭い所に設置できる60cm水槽という感じですね。

ただ、基本的には「幅60cm×奥行30cm×高さ40cm」の水槽が60cm規格と呼ばれる水槽になるので、この記事でもこのサイズの水槽を60cm水槽と呼ぶことにします。

下の写真が60cm水槽の一例になります。幅もあるので、流木や石などを使って様々な水槽レイアウトを楽しむことができます。

理由① 水槽に熱帯魚を追加しやすい -中型魚も可能-

水槽を購入して、フィルターや水槽用ライトなども一式を揃えて水槽を稼働し始めると、次に飼育する熱帯魚を決定することになります。

アクアリウムショップで泳ぐ色とりどりの熱帯魚は、どれも美しく魅力的で目を引かれる品種ばかりです。

そんな美しい熱帯魚を全て飼育出来たら嬉しいのですが、水槽の数や大きさは限られているので、そうはいかないのが現実です。そのため、最初に導入する熱帯魚は、あらかじめ飼育を予定していた熱帯魚を選ぶことになるかと思います。

この最初の熱帯魚の購入が、いわゆる「熱帯魚の沼」への入り口になるんですよね…。

例えば、カージナルテトラを5匹とレッドファントムを3匹ほど購入して自宅の水槽での熱帯魚飼育がスタートしたとします。

最初の数週間くらいは、カージナルテトラとレッドファントムの飼育に満足できるのですが、インターネットやアクアリウム雑誌を見ていると、ついつい違う熱帯魚も水槽に入れたくなるんです。

アクアリウムを始めた多くの方が、この衝動にかられるはずです。私もそうでした。

最初の2カ月くらいは、車で行くことができる数件の熱帯魚ショップを毎週訪問し、様々な熱帯魚を見て、何かしら新しい熱帯魚を購入し自宅の水槽に入れてしまっていました。

つまり、ある程度大きな水槽が無いと、この欲求を満たすことが出来ないんです…。

そのためにも60cm水槽と言う水槽のサイズが必ず必要になります。

上で取り上げたカージナルテトラ5匹とレッドファントム3匹の飼育例では、60cm水槽を用意していれば、小型の熱帯魚であれば追加で10匹くらいは導入できる能力があります。

水槽導入後に必ずやってくる「追加で熱帯魚を飼育したい!」という欲求に備えるためにも、60cm水槽がおすすめです。

また、将来的に中型の熱帯魚 (例えばエンゼルフィッシュなど) を飼育したくなった時にも、60cm水槽であればある程度対応が可能になります。


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理由② 設備が最も豊富なのが60cm水槽

様々な大きさの水槽を管理してきて、様々な水槽のアクセサリーを選んできましたが、一つ言えることがあります。

それは「60cm規格水槽の設備が最も充実している」ということです。

最も売れ筋の水槽サイズが60cm水槽であるということが、そのようなアクアリウム設備の市場を形成しているのだと思いますが、60cm水槽ではアクセサリー選びに困ったことはありません。

25cm水槽などの小さな水槽は、設置できるフィルターは限られますし、アクアリウムショップに置いてあるヒーターの種類もそこまで豊富に取り揃えられていないのが現状だと感じます。

また、120cmクラスの大型水槽となると、60cm水槽に比べて需要が減ることもあり、欲しい水槽用アクセサリーの中に120cm水槽用がラインナップされていないこともあります。

後から水槽用の設備を拡充していくことを考えると、その商品ラインナップの豊富さの観点で、60cm水槽は最も有利になると言えるでしょう。

理由③ 60cm水槽は水量が多く水質が安定しやすい

水槽と言う限られた空間の中で熱帯魚や金魚を飼育する場合、必ず考えなければならないのが飼育水の水質です。

カルキ抜きを行った水道水を飼育水として使い、魚の飼育を開始すると、その飼育水の水質は刻一刻と変化していきます。

熱帯魚に餌を与えれば、餌に混ざっている脂分などが飼育水に溶け出しますし、熱帯魚が排泄をすれば飼育水の中に糞や尿が放出されることになります。

また、フィルターを使用していれば、熱帯魚の排泄物 (アンモニア等) は分解されて硝酸に変化していきますので、フィルターによる水質の変化も起こります。

ここで考えなければならないのが、水量と水質変化の関係です。

例えば、10Lの飼育水で10匹のネオンテトラを飼育している場合と、40Lの飼育水で10匹のネオンテトラを飼育している場合では、どちらの方が水質の変化が大きいでしょうか?

容易に想像できるかと思いますが、40Lの飼育水で10匹のネオンテトラを飼育している方が水質の変化は少ないはずです。飼育水の中のアンモニアや硝酸の濃度は、水量が多い方が確実に薄まるでしょう。

また、週に1度の飼育水交換のタイミングでも同じようなことが起こります。

上で挙げた例で、10Lの飼育水でネオンテトラを10匹飼育している場合には、飼育水の交換の直前には最も飼育水が汚れている状態になります。そして、水槽の半分の水である5Lを交換するとなると、一気に新しい水が導入されるため、水質が一気に変化することになります。

このような水質の変化は、魚にとってはあまり好ましい環境変化とは言えません。飼育水のpHが一気に変わって、熱帯魚がpHショックを起こすこともあります。

それに対して、40Lの飼育水でネオンテトラを10匹飼育している場合には、10Lの飼育水に比べて水の汚れ自体が少なく、水槽の半分の水である20L交換しても、そこまで大きな水質変化にはならないと考えられます。

このように、「水質の変化」と言う観点で水槽サイズを考えると、飼育環境の安定性という意味で水量の多い水槽の方が有利と言えるのです。


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理由④ 水槽レイアウトの幅が一気に広がる

アクアリウムを始められる多くの方は、アクアリウムショップに並んでいる美しくレイアウトされた水槽に憧れたことがあるのではないでしょうか?

流木・石・水草などを巧みに使い、自然の風景を切り取ったようなレイアウト水槽は、アクアリストの誰もが目指したくなる目標の一つだと思います。

そのレイアウトを不自由なく行うためには、ある程度の水槽の大きさが必要だと思います。

もちろん、小さな水槽でもレイアウト水槽を楽しむことはできますが、ダイナミックな流木や少し大きく迫力のある石などを使うとなると少なくとも60cm水槽は必要です。

また、水草を水槽に植栽する場合にも、水草は比較的大きく成長するものが多いです。そのため、小さな水槽では使用できる水草の種類が限られてしまい、レイアウトに制限がかかってしまう事となります。

そのため、レイアウトを定期的に変えながらレイアウト水槽を楽しむのであれば、60cm水槽から始めるべきなのです。

理由⑤ インテリア性とメンテナンス性を兼備

近年人気のレイアウト水槽は、従来以上にインテリアとしての側面が強くなっていると感じます。

お店のショールームに綺麗なレイアウト水槽が飾られていたり、お客さんをお迎えするリビングにレイアウト水槽を設置している方は多いかと思います。

そのようなレイアウト水槽に求められることは、ある程度の大きさがあることです。

小さな25cm水槽でも綺麗なレイアウト水槽は作れなくは無いですが、「迫力」や「ダイナミクス」を考えると、大きな水槽に勝てません。

その点、60cm水槽であれば、一般的には「大きめの水槽」という認識があるのでインテリアとしても存在感を出してくれることは間違いありません。

また、リビングに設置した時にメンテナンスの面を考えた場合、水替えの頻度は1週間に1度、バケツ2杯分程度の換水で済むことから、水槽の維持が重労働になることはありません。水道から遠い場所に設置したとしても、バケツ2杯程度の水替えなら許容範囲かと思います。

インテリアとしての存在感、そしてメンテンナンス性の両方を兼備した水槽サイズが60cm水槽と言えます。

理由⑤ 水深があり魚の飛び出し確率が減る (個人的な見解)

アクアリウムを管理していると、魚やエビが水槽から飛び出して命を落としてしまう事があります。

水槽の上にガラス蓋を設置することで飛び出しを防ぐことが出来ますが、完全に密閉できるわけでは無いので、隙間から魚が飛び出してしまう事も稀にあります。

この魚の飛び出しの事故は、私自身も何度も経験してきました。

ガラス蓋を閉め忘れたり、大きな物音で魚を驚かせてしまったり…原因は様々です。

しかし、一つ私が感じていることは、水深のある水槽の方が魚の飛び出しの確率が確実に低いということです。

魚が水槽から飛び出すとき、飛び出す前には勢いよく水槽の中を加速して泳ぎます。そして、その勢いでジャンプして飛び出してしまいます。

水深が浅い小さな水槽の場合、魚の移動距離が短いため、勢い余って飛び出してしまう事が多いように思います。

それに対して、水深のある水槽では魚の泳ぐ範囲が広く確保できるため、飛び出し自体を防いでくれるようです。

私自身、今でも45cmのスリム水槽を使用して熱帯魚やエビを飼育していますが、特に45cm水槽はエビが飛び出しやすいです…。ミナミヌマエビが熱帯魚の泳ぎに驚いて飛び出してくるパターンが多いのですが、エビも勢いよく泳ぐため、水深の無い水槽だと勢い余って飛び出してしまいます。

筆者のお勧めする60cm規格水槽

ここでは、筆者が使用してるお勧めの60cm水槽を2つ紹介します!

どちらもコストパフォーマンスが良く、初心者からベテランまで満足いく60cm水槽だと思います。

GEX製のグラステリアシリーズ

一つ目はアクアリウム製品の有名メーカーであるGEXさんから発売されているグラステリアシリーズです。

charm 楽天市場店 GEX「グラステリアシリーズ」

この水槽、本当にコスパが高いです。

その水槽の美しさは名前からも伝わるかと思いますが、とても透明度の高いガラスでフレームレスのため、インテリア性も非常に高い水槽です。

色も黒い色を取り入れたガラス水槽と完全に透明なガラス水槽から選べるので、自分の好みでガラスの色も選べます。

私はブラックのグラステリアシリーズを使っていますが、水槽の色と白い壁紙がとてもマッチするので、リビングで使用中です。

この価格で、この美しさの水槽が手に入るのは、グラステリアシリーズの「強み」だと思います。

コトブキ製のアクアリストシリーズ

もう一つの水槽も大手水槽メーカーのコトブキさんから発売されている「アクアリスト」シリーズです。

その中で60cm水槽はアクアリスト 600Sになります。

charm 楽天市場店 コトブキ「アクアリスト」

水槽の価格は、上で紹介したGEX製の60cm水槽とほぼ同じです。

ただし、GEX製のグラステリア600が幅60cm×奥行30cm×高さ40cmであるのに対して、コトブキ製のアクアリスト600Sは幅60cm×奥行29.5cm×高さ36cmとなっており、少し水槽サイズが異なります。

どちらも60cm水槽で、水量も底まで大きくは変わらないので、上で紹介した60cm水槽のメリットに大きな差はありません。

正直なところ、最後は「見た目」の好みで選んでしまっても問題無い2つの商品です。

この記事の終わりに

この記事では、アクアリウム初心者に60cm水槽をお勧めする理由を、私の過去の経験を踏まえて紹介させていただきました。

小さな水槽の方が管理は楽と言うイメージがありますが、水質変化の起こりやすさを考えると、あまり良い環境であるとは言えませんし、換水と言うメンテナンス頻度が確実に上がってしまいます。

また、熱帯魚を追加で購入してしまった場合にも、60cm水槽があれば、ある程度の飼育数を許容してくれる能力を確保することが可能です。

長くアクアリウムを楽しもうと思っているのであれば、最初から60cmクラスの水槽を用意していきましょう!

きっと、最初に購入した60cm水槽は、長くお世話になるものになりますよ!