ドジョウに適した水槽環境と失敗しない飼育方法

私が子供の時、実家の近くを流れる川に遊びに行くと、頻繁にドジョウを捕まえることができ、そのドジョウを金魚水槽で飼育していたことを覚えています。

田園風景の広がる場所の水路などにも生息しているため、とても身近な日本淡水魚の一つではありますが、そんなドジョウだからこそ飼育してみたいと思う方もいらっしゃるかと思います。

しかし、今では環境の変化などにより数を減らしており、環境省のまとめている絶滅が懸念される「準危惧種」にも指定されています。かつては様々な場所で見られたドジョウが数を減らしていると言われると、確かにそれを肌で感じることができます。川に網を持って遊びに行っても、なかなか網に入りません。

そんなドジョウですが、現在はまだアクアリウムショップでも販売もされている状況ではありますので、これから飼育を始めることもできます。

この記事では、ドジョウの住みやすい水槽や飼育方法、また川で捕まえたドジョウを飼育する際の注意点なども紹介します。ドジョウは水槽内の掃除屋さんというイメージもありますが、メインの魚として水槽に迎え入れることもできます。


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ドジョウの入手方法について

ドジョウを入手する方法には実は3つの手段があります。

え?3つ?と思われる方もいらっしゃるかと思います。

1つ目の手段はアクアリウムショップで購入する場合、2つ目の手段は自然の川や水田地帯の水路などで自分で採取する場合です。この2つは誰でも容易に想像できます。

3つ目の手段は知っている方は知っていると思いますが、実は魚屋さんで入手することができる場合があります。養殖 (食用) のドジョウが街の魚屋さんで販売されている場合があり、基本的に生きている状態で販売されていることが多いので、それを購入して水槽で飼育する事もできます。

実は、アクアリウムショップで購入するよりも、魚屋さんで購入する方が1匹当たりの単価は安かったりします。私が子供の頃には、実家の近くの魚屋さんで生きたドジョウを売っていたことを覚えています。今でも、魚屋さんによってはドジョウを販売されている所もありますよ。

ただし、自分の水槽で飼育するということを考えると、実はアクアリウムショップで購入するドジョウの方が苦労が少ないです。それを次項意向で紹介したいと思います。

自然採取のドジョウを飼育する時の注意点

ドジョウの入手方法は上で紹介した通りですが、実際のところは、お子さんと川に遊びにってドジョウを捕まえて、それを飼育し始めるという方も多いのかと思います。

しかしながら、自然の中で採取してきたドジョウは水槽に入れた直後に少し困難なことがあります。水質と水温の管理、そして餌やりの3つの点です。この3つの点に以下で詳しく説明します。

まず、水温と水温ですが、ドジョウが住む場所は様々で、清流に住んでいるドジョウもいれば田畑の広がる水路に住む土壌もいます。そのため、清流で採取したドジョウは急に水温の高い水槽に入れたり、溶存酸素濃度の低い水槽に入れると体長を崩してしまうことが多々あります。

基本的にドジョウは水質の変化に強い魚ではありますが、それぞれの個体によっては耐性が異なることもあるので、自然採取のドジョウは水合わせ等は万全にして行う必要があります。少なくとも1時間くらいはかけて、じっくりと水合わせしてあげて下さいね。

また、田園地帯の水路の様な水の濁った場所に住んでいるドジョウは警戒心が強く、水槽内の透明度の高い飼育水では、レイアウトの陰に隠れて出て来なかったりすることがあります。

次に餌についての課題です。自然採取してきたドジョウは人口飼料というものを知りません。生まれてから成魚になるまで自然の中で育ったドジョウは、土の中に潜む微生物などを捕食しているので、人口飼料を突然与えられてもそれを餌だと認識しないことが多々あります。

実際に私の飼育している自然採取のドジョウも、最初は人口飼料には全く反応しませんでした。飼育開始後1週間くらいして初めて少しずつ人口飼料を食べるようになりました。餌を食べないと痩せ細ってしまうので、ドジョウが餌を食べているかは必ず確認してあげて下さいね。

ドジョウに限らず、川魚を水槽で飼育する時には餌やりが最初の大きな課題になります。下の記事では、その点をまとめているので、もしお時間あればご確認ください。


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ドジョウは混泳させることは可能なの?

複数のドジョウを同一水槽で飼育する事は可能

ドジョウはとても温厚な魚で、他の魚を襲うような口の形をしていないので、複数のドジョウを水槽内で飼育する事が可能です。

下の写真の様に、複数匹がいると寄り添って泳ぐ姿も見られるので、とても可愛い底層の魚として水槽に導入することができます。

また、ドジョウには様々な種類がいます。マドジョウ、シマドジョウ、キタドジョウ等がいますが、種類の異なるドジョウ同士でも喧嘩をするようなことがありません。

一番気を付けなければいけないのは、過密になり過ぎないことですね。過密になると少し縄張りを主張するような仕草が見られると聞きます。

熱帯魚とも混泳可能です

ドジョウは水槽の底が生活圏になりますので、水槽の中層や上層が殺風景になってしまいます。上で記載の通り、ドジョウは他の魚に対して危害を加えることがほとんど無いので、積極的に他の魚と混泳をさせることを考えていくべきかと思います。特に生活圏の異なる中層や上層を泳ぐ魚と混泳させることがお勧めです。

ドジョウと混泳させた時に最もマッチするのは、やはり日本の淡水魚だと思います。オイカワ、ウグイ、カワムツ、タナゴ等が挙げられますが、もちろん金魚とも相性は良いと思います。やはり原産地が同じ魚同士は、水景を作るのに相性が抜群に良いです。

日本の淡水魚は熱帯魚の様なカラフルな色を持っていないですが、日本の淡水魚同士で水槽を作ると、それはそれで渓流を切り取ったような綺麗な水槽に仕上がります。

もちろん、ドジョウは熱帯魚との混泳も全く問題ありません。熱帯魚の水槽にドジョウを導入される方は、熱帯魚の残餌のお掃除屋さんとしてドジョウを飼育する方もいらっしゃるかと思います。

私の経験上ですが、どんな熱帯魚と混泳させても問題は無いです。同じ底層を生活圏にするコリドラスや小型プレコと一緒に混泳させても、ドジョウがそれらの魚と喧嘩している姿は一度も見たことがありません。

下の写真は、コリドラスの中でも人気No.1のコリドラス・パンダですが、私の飼育環境ではコリドラスとも仲良くやっていました。

ドジョウが喜ぶ水槽環境の作り方

お勧めの水槽レイアウト

言わずもがなですが、ドジョウの喜ぶ水槽レイアウトは、ドジョウが自然界で住んでいる自然環境に近いレイアウトになります。

底層はアクアリウム用のソイルでは無く、目の細かい砂利を使用してあげてくださいね。ドジョウは砂利や泥の中に潜っていく習性があるので、目の細かい砂利であれば穴を掘って隠れるような仕草を見ることができます。アクアリウムショップで、コリドラス用の粒形の細かな砂利が販売されていますが、それが最適だと思います。

また、少し粒形の大きな砂利だと、ドジョウのトレードマークの口元の髭が切れてしまう場合も有るので、その観点でも粒形の細かい砂利を使ってあげたほうが良いです。

ドジョウは10cm程度まで成長するので、水槽の大きさは30cm水槽以上あれば安心です。フィルターについては、水槽に適した外部フィルターや上部フィルターがあれば問題無いです。

また、隠れ家にもなる石を少し入れてあげると良いかと思います。ただし、私が経験したことですが、あまりにもたくさん石を入れてしまうと、その石の陰にずっと隠れてしまい、出て来なくなることがありました。鑑賞性を改善するという意味では、石の量は少なめにしておく方が良いです。

また、水草については入れても入れなくてもどちらでも良いです。水草は基本的に飼育者の方の好みで入れてあげれば良いと思います。水草はアクアリウムで人気のあるカボンバやアヌビアス・ナナなども使えますし、入れてはいけない水草は基本的に無いです。

適した水温や水質について

ドジョウは水温や水質の変化に対して、比較的適応力の高い魚です。

私が飼育しているシマドジョウは、春と秋はヒーターとクーラーなし、冬はヒーターで25℃の管理、夏はクーラーなしで最高水温が29℃となりますが、体調を崩すことなく飼育できています。さすがに、31℃以上の高温になるとお星さまになってしまう可能性も高まるので、水槽が高水温になる可能性が高い場合には、クーラーの導入は検討してあげて下さいね。

また、水温の低い清流で採取したドジョウを飼育する時には、水合わせ時には注意してあげて下さい。水温の急激な変化で命を落としてしまうことも考えられます。

飼育水のpHについては、私の管理する水槽は常にpH=6.5前後で管理しています。一般的に金魚や熱帯魚を飼育する飼育水のpHの範囲で飼育可能です。硬度については、ドジョウが日本全国に分布しているととを考えると、そこまで気を遣う必要は無いと思います。カルキ抜きした水道水で十分飼育できますね。

冬については、ドジョウは日本の淡水魚なのでヒーターなどを準備する必要はありません。熱帯魚と混泳させている場合には熱帯魚に合わせて水温を管理する必要がありますが、金魚と混泳させている場合などはヒーター不要で飼育可能です。

餌の種類について

ドジョウは基本的に雑食性が強いところがあり、冷凍赤虫や固形の人口飼料など、何でも良く食べてくれます。

アクアリウムショップで販売されているドジョウは、人口飼料で飼育されているので、購入直後から人口飼料を与えればOKです。

ただし、自然採取のドジョウは上記の通り、人口飼料に慣れていないところがあるので、人口飼料に慣れるまで時間が少しかかります。冷凍赤虫は自然の中で捕食される虫に近いものがあるので、自然採取のドジョウには最初は赤虫から与えていくことも一つの手です。

慣れてくれば、沈下性の人口飼料を食べてくれるので餌やりが楽になります。


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この記事の終わりに

この記事では、日本人の誰にも馴染みがある「ドジョウ」の飼育について、その詳細と注意点を紹介をさせていただきました。

ドジョウは水槽内の残餌を処理してくれる魚として飼育されている場合が多いですが、飼育期間が長くなると体長が約10cm程度に成長しますので、実は水槽内のメインの魚になっていたりすることもあります。

飼育環境にもそこまでうるさくはない魚なので、一般的な水槽とフィルターがあれば誰でも飼育する事ができます。金魚や熱帯魚など、様々な魚との混泳も問題ないく可能ですので、皆さんの水槽でもドジョウを飼育してみてはいかがでしょうか?

最近では自然環境の変化や環境破壊によってドジョウの数が減り、環境省の指定する「準危惧種」となっています。しかし、国内ブリードされて販売されているものも多く流通しているので、アクアリスト一人一人が常識ある行動を取れば、将来もドジョウの飼育は家庭で楽しむことができます。

しかし今後、ドジョウの数がさらに減れば、絶滅危惧種の指定により飼育や捕獲ができなくなる可能性があります。そのようにならないためにも、私たち一人一人が自然環境の保護を考えた「当たり前」の行動を取っていきたいですね。