【腹水病】お腹が膨らむ熱帯魚の難病 -ネオンテトラの実例も掲載-

ある日、管理している水槽を見ていると、驚きの光景を目にしました。

飼育しているネオンテトラのお腹が割れて、お腹の中身が飛び出している状態でした。

水槽は毎日観察し、魚たちの健康状態を確認していましたが、そのネオンテトラは少し肥満気味ではあったんです。

ただ、突然、お腹の中が見えており非常に驚きました。

これは私の飼育下では初めての事でしたが、ずっと恐れていた「腹水病」と呼ばれる魚の病気でした。

罹ると死亡率が非常に高い熱帯魚の難病になります。

この記事では、そのネオンテトラの症状や変化などを書き残しておきます。


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熱帯魚の腹水病とは?

腹水病の症状と原因

「腹水」という言葉は、熱帯魚の病気に限ったことではありません。

人間の病気にも「腹水」という言葉は使われます。

体の中の体液がお腹の中に溜まり、お腹がポッコリと出っ張ってしまう状態の症状です。実は腹水は難病である癌や腹膜の炎症などにも関わる症状です。

魚の腹水病も同じで、魚のお腹が膨らんでしまう状態となります。

腹水病は魚にとっては命の危機となる病気でもあり、致死率高いのも事実です。

腹水病の原因は、私が調べた限りでは、まだ完全に解明されていないのが現状です。

一部サイトでは寄生虫によるものと記載がありますが、学術的な論文を確認してみると、寄生虫以外にもバクテリアに関わるものや、血管から体内に染み出る体液が溜まったものであるという報告もありました。

そのため、この記事では特定の寄生虫やバクテリアの名前を挙げて説明することは不適切であると判断し、あらゆる可能性を広く考えていくようにします。

つまり、現時点では、外見で原因を判断することは不可能であるというのが私の考えです。

腹水病の進行は目視確認が困難

飼育下の熱帯魚が腹水病に罹っているか否かを、見た目で判断することは非常に難しいです。

例えば、バクテリアや寄生虫が取りついている場合、そもそも魚の体の中には多くの寄生虫が存在しています。

そのため、腹水病の原因となるバクテリアや寄生虫も、多くの魚に寄生しているはずです。

また、血管や体調が原因として考える場合にも、飼育下の魚を検診することもできませんので、見た目で腹水病か否かを判断することは無理に近いです。

もし、お腹が少しぷっくりと膨らんだ魚を見た時に、あなたならどのように判断しますか?

「餌を食べすぎて太ったかな…」

「もしかしたら、雌で卵を持っているかもしれないね!」

と思うのが普通だと思います。

お腹がぷっくりしたら、理想を言えば他の水槽に隔離をすることが望ましいですが、そこまで確信をもって「腹水病だ」ということができませんよね。

その背景もあり、腹水病を目視で判断することはできないのです。

もしも、実際にお腹がぷっくりしていて腹水病に罹っているとしたら、それは相当症状が進行していて、重篤な状態になっている場合がほとんどです。

腹水病を治すのは困難

「腹水病を治すのは困難」「腹水病の致死率は高い」と言われます。

それは、上記の通り目に見えないところで進んでしまうためです。

白点病であれば、体表に白い粒の症状が現れるので、すぐに処置ができるのですが、腹水病はそうはいきません。

腹水病と目視で判断できた時点で、相当な進行具合で、既に手の施しようが無いという場合が多いです。

以下のネオンテトラの症例でも、紹介します。

私は毎日すべての魚を観察していますが、それでも判断ができず、重篤な症例になってしまったのです。

[治療法] 腹水病初期に出来る細菌が原因の場合

腹水病には様々な原因が考えられると記載しましたが、原因が細菌性であり、腹水病の初期の場合には、薬の力を使って直せる可能性があります。

アクアリストには知られている治療薬ですが「グリーンFゴールド」等で薬浴させてあげる方法です。

ただし、確実に直せるわけではありません。

他のサイトでも「治療薬」「治療法」として紹介されていると思いますが、完治に成功した例の掲載が無いと思います。つまり、世間一般に知られている治療法の例だけであり、掲載できる実体験が無いのだと思われます。それだけ難しい病気であることも確かなことです。

私は、以下で紹介する腹水病のネオンテトラを薬浴で治そうと挑戦しましたが、結果は力及ばず…でした。


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【実際の症状】腹水病で重症のネオンテトラ

以下では、私の管理する水槽の中で、腹水病になってしまったネオンテトラの症状を詳細に記載したいと思います。

[症状] 腹水病によってお腹が裂ける状態

ネオンテトラの腹水病

上の写真は、腹水病となってしまったネオンテトラの症例です。

黄色の矢印の部分を見ていただくと、お腹の中のものが出てきてしまっているのがわかるかと思います。

このネオンテトラは実は雌で、少し前に産卵をしていた実績がありました。そのため、お腹が膨れているのは産卵によるものだと思っていました。

しかし、産卵が終わった後もお腹の大きさが消えず、突然お腹が割れてしまうような症状が出てきたのです。

つまり、産卵と腹水病が同時に進行していたことになります。そうなると、病気を見極めることもできません…。

この症状は、腹水病が相当進んでしまい、腹部が肥大した症状です。

[行動の変化①] ネオンテトラの群れと別行動

腹水病のネオンテトラ

上で紹介した腹水病のネオンテトラは、産卵を終えてから、群れとは完全に離れて暮らすようになりました。常に一匹孤立の状態で、自分から他のネオンテトラに近づこうとしませんでした。

調子の悪い魚はは、群れとは離れて暮らす傾向にあります。

私個人の考えですが、病気の魚は他の仲間に病気を移さないように、一匹離れて暮らしているのかもしれません。

また、上のネオンテトラの写真を見て分かるように、かなり横幅があり、太っているのが分かると思います。

孤立して泳ぐということと、かなり太っているという症状があると、腹水病の可能性が高くなるかと考えられます。

[行動の変化②] 水面に浮いてパクパクする状態

腹水病で水面を泳ぐネオンテトラ

既に対応が遅いと思いますが、一応隔離して薬浴をさせました。その時の写真です。

しかし、水面で口をパクパクさせており、相当状態が悪いことがわかります。

健康なネオンテトラは、基本的に水面に浮いてくることも少ないですし、口をパクパクさせることはありません。

薬浴は病気の進行を少し遅くしてくれるかもしれませんが、ここまで悪化すると望みが相当薄いです。

実際、この写真を撮った2日後に、お星様になってしまいました。

[行動の変化③] 餌を食べなくなる

腹水病だと判断できた時点で、このネオンテトラは餌を食べなくなっていました。

もしかしたら、少し前から餌を食べて無かったのかもしれませんが、ネオンテトラの数も多かったので、それを認識できなかったのだと思います。

餌を食べないというのは、何かしら病気やストレスが関わっていることが大半です。

「餌を食べない」というのは魚が病気に罹った場合の最初のサインとも考えられますので、餌やりのタイミングで全ての魚を見てあげることが大切ですね。

腹水病は治癒ではなく予防が大事

上記の通り、腹水病は一度罹ると、発見することも困難であり、完治させることも非常に難しくなります。アクアリウムの世界では「難病」と言って良いでしょう。

そのため、「治療」ではなく「予防」することが重要なのです。

様々な原因がある腹水病ですが、次の項目に着目すれば発生の可能性は下げられると考えています。

・フィルターは定期的に掃除する

・換水を怠らない (週に1度は換水しましょう)

・餌を与え過ぎないこと

まず、細菌が原因となることを考えると、細菌の温床となり得る汚いフィルターは掃除してあげることが必要ですし、毎週の換水も絶対必要です。これにより、細菌の密も下げられます。

また、餌を与え過ぎないことというのも大事かと考えます。魚は、与えられれば与えられただけ餌を食べていきます。そのため、自分の消化能力以上に餌を食べてしまうこともあり、消化不良による体調不良および体内細菌のバランス悪化に繋がります。

診療器具の写真

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腹水病の熱帯魚がいたら隔離する方が無難

腹水病の原因が細菌性の場合、他の魚に細菌が移ってしまう場合があります。

そのため、出来れば別の水槽に隔離をして、早期に薬浴をさせましょう。

ただし、細菌性では無い場合には薬浴は効果が無く、進行が進んでしまう場合があることも忘れずに知っておいてください。

この記事の終わりに

腹水病は、飼育環境下にある熱帯魚の病気で、かなり治癒が難しい難病だと考えています。

見た目で判断することが困難ですし、見た目で判断できる状態では相当病気が進行してしまっている状態です。

水槽内の清浄度に気を遣っている自分の水槽でも起きてしまったので、完全に防ぐことが難しいのだと気づかされました。そのため、腹水病に対しては「覚悟」を持って立ち向かう必要がある病だと認識していただければと思います。

もちろん自然界でも起こる病気ですし、生まれながらに腹水病に罹りやすい体質の魚であったのかもしれません。

罹ってしまった魚がいる場合、最後まで手を尽くすことを諦めず、向きあっていただきたいと思います。

次のリンクの記事では、腹水病に罹患したグッピーの症状などを詳細に記録しています。

また、次の記事では、ネオン病に罹ったカージナルテトラについても御紹介しています。もしよろしければ、そちらもご覧ください。