熱帯魚の飼育を趣味にされている方であれば、一度は飼育したり、飼育の検討をした経験があるであろう魚…それが本ブログで名前を使わせていただいている「コリドラス」です。
見た目は全く違いますが、日本に生息しているナマズと同じナマズ目の魚であり、口元に小さな髭を持つ可愛い容姿をしています。
非常に温和な性格を持つことに加え、水中では低層を生活圏にすることから、ネオンテトラやグラミー等の熱帯魚との混泳が可能であり、熱帯魚の世界でも大人気の魚です。
また、他の熱帯魚に比べて特段難しい飼育管理が必要でも無いため、初心者でも安心して飼育が出来る熱帯魚となります。
しかし、コリドラスの飼育を経験して飼育の最適化を進めていくと、気を付けておきたい点や気になることが結構たくさん出てきます。餌の種類、水槽の底に敷く砂利の荒さ、水替え頻度…気にし始めると、きりがありませんね。
そんなコリドラス飼育の中で、実は「水槽用ライトの使い方」は気を遣ってあげたい設備の一つになります。
鑑賞性を上げるためコリドラスの水槽にLEDライトを使われている方が多いと思いますが、実はその水槽用ライトがコリドラスにストレスを与えている可能性もあります。
この記事では、水槽用ライトの使用がコリドラスの行動に与える影響を紹介したいと思います。
筆者の小さなコリドラス水槽について
以前の記事になりますが、私が管理している小さなコリドラス水槽を下記のリンクで紹介させていただきました。
コリドラス・シュワルツィー(2匹)、コリドラス・アガシジィ (2匹) 、コリドラス・アークアトゥスを25cm水槽で飼育している水槽になります。
2020年12月からこの水槽でコリドラスの飼育を開始して、約5カ月が経過しています。
少し小さな水槽でしたが、どのコリドラスもお星様になることなく、病気にも罹ることなく元気に育っています。餌もしっかり食べてくれており、元気いっぱいの状態です。
このコリドラス水槽は、当初水槽用ライトを設置していませんでした。
しかし、鑑賞性を上げることや、魚に昼と夜を明確に感じさせるため、昼間の時間はLEDライトを7時間程度点灯させるようにしました 。LEDライトはGEX製のCLEAR LEDを使用しています。
しかしながら、LEDライトを設置してから約1ヵ月の飼育期間を経ても、LEDライトに全く慣れることなく時間が過ぎています。
昼間の時間にLEDライトを点灯させると、コリドラス達が物陰に隠れてしまい鑑賞性がとても悪い状況です。
本記事のタイトルでもありますが、コリドラスはLEDライトによる明るい環境が好きではないということなのかと。
その様子の詳細を、以下で紹介したいと思います。
水槽用ライトの点灯によるコリドラスの行動の変化
アクアリウムショップの水槽では、販売目的で鑑賞性を上げるため、コリドラスの飼育水槽にも水槽用ライトを使用しております。また、隠れ家となるようなレイアウトも取り入れていないお店が多いです。
コリドラスを飼育されている多くの皆様も、コリドラス水槽に当たり前の様に水槽用ライトを使用されているかと思います。
しかし、実際にコリドラスの水槽でLEDライトを点灯した状態で飼育すると、実はコリドラス達は相当ライトを嫌います。
以下で、その実例を紹介します。
水槽用ライトをオフにした状態
まず最初に、下の写真は昼頃までLEDライトをオフにした状態の時のものです。
部屋の蛍光灯だけの明るさで管理している状態です。
コリドラス達が水槽の前面に出てきており、私が水槽の前に現れてカメラを向けても逃げる素振りもありません。相当リラックスできている状態に思えます。
水槽用ライトをオンにした状態
そして、上の状態で水槽用ライトをオンにします。
次の写真は水槽用ライトをオンにしてから5分後の状態になります。
はい、コリドラス達が全て消えていきました。
全てのコリドラス達が、次の写真の通り、ヒーターとフィルターの取水口の下に隠れています。
水槽用ライトを付けないと鑑賞性が悪いのでライトを点灯させるのですが、その結果として必ず隠れてしまいます。
この状態になると、鑑賞性が相当悪くなってしまうんですよね。
再び水槽用ライトをオフにするとコリドラスは表に出てくる
そして、再び水槽のライトをオフにすると、5分後には次の写真の通りです。
「やっと暗くなったかぁ…」と言わんばかりに、ぞろぞろとコリドラス達が水槽の前面に姿を現し始めます。
この違いを見て分かる通り、コリドラス達は明るい環境を相当嫌がっています。
明る過ぎる水槽用ライトはコリドラスにストレスを与える
では、何故このように水槽用ライトを付けるとコリドラスは隠れてしまうのか?
コリドラス達を上手く鑑賞する方法はあるのでしょうか?
少し考えてみたいと思います。
ナマズは夜行性で臆病な魚
コリドラスは冒頭で述べた通りナマズの仲間です。
日本の河川に生息するナマズをイメージすると、体格も大きくて強そうなイメージをお持ちの方が多いと思います。
しかし、ナマズの仲間は基本的に夜行性で臆病な性格を持つものばかりです。
昼間は岩陰に身を潜めて、夜の暗い時間になって行動を開始します。
コリドラス自体は昼間も行動するナマズの仲間ではありますが、基本的な性格は日本のナマズと同じようなものでは無いかと感じます。
そのため、明るすぎる水槽用ライトが点灯した状態は、居心地の悪い状態になるのだと推測できます。
水槽用ライトのオン・オフの切り替えでこれだけ明確に行動に差が出るということは、水槽用ライトが点灯している状態は、コリドラスにとって相当なストレスがある可能性が高いです。
人間もそうですが、ストレスがかかった状態は嫌で、ストレスが無くなるように行動しますよね!?
それはコリドラス達も同じなのかと。
水槽用ライトが点灯した直後に物陰に隠れるという行動は、ストレスを軽減するための野生本能だと思われます。
水草水槽とコリドラス飼育の両立は実は難しいかも!?
近年は、水槽の中で美しい水草を育てる「水草水槽」や、自然の風景を再現したような「レイアウト水槽」が人気のジャンルになっています。
水草の育成には、水草に光合成をさせるために必ずLEDライトが必要です。
そして、水草達をしっかり成長させるためには、日光と同じように強いLEDライトが必要になってきます。
アクアリウムの雑誌の水草水槽やアクアリウムショップの展示水槽を見ると、明るいLEDライトの下でコリドラス達を飼育している例があります。
しかし、上記の通り、コリドラスは明るすぎる環境が苦手なので、常にコリドラスにストレスを与えて飼育している可能性も考慮しなければならないと思うようになりました。
コリドラスが水槽用ライトの明るさに慣れてしまえば大丈夫かもしれませんが、私のコリドラス水槽では1カ月経っても水槽用ライトに慣れていません。
そのため、コリドラスを飼育する水槽は、水槽用ライトの点灯時間を短くしたり、ライトの強度が低いものを使ってあげる等の対応が好ましいかと思います。
特に、水草水槽で用いられるような高強度のライトは、コリドラス飼育との両立が難しいのではないか?というのが私の考えです。
水草を入れるのであれば、耐陰性のあるアヌビアスやミクロソリウムにして、弱めのライトを使うのが良いのではないか…と。
コリドラスは温和な性格であり、あまり激しく動くことも無いので、ストレスを感じているのか否かが分かりにくい魚です。高強度の水槽用ライトを使っていると、実はコリドラスにストレスが蓄積しているかもしれません。
コリドラス専用の隠れ家を作ると出て来なくなります
「コリドラスの隠れ家を作ってあげれば良いのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、コリドラスに隠れ家を与えると、それはそれで弊害が出てきたことがあります。
下のリンクで紹介しているのですが、隠れ家を作ると隠れ家から出て来なくなります。その隠れ家が安心できる場所だと認識すると、餌を食べようともせず、隠れ家に入ったままの状態になってしまいました。
そのため、安易に隠れ家を作ると、それはそれで新たな弊害を生み出す可能性も秘めていることを経験しました。
コリドラスは、初心者でも安心して育てられることは事実ですが、実は少しだけ気難しい性格の持ち主と言えそうです。
この記事の終わりに
この記事では、水槽用ライトが点灯している水槽はコリドラスにとっては居心地の悪い環境であるという実例を紹介させていただきました。
コリドラスは臆病なナマズの仲間であり、暗い環境であると水槽の表面に出てくるのですが、周囲が明るくなると物陰に隠れてしまうという性格を持っています。
この臆病な性格は、他の魚との混泳させる観点ではメリット (他の魚を攻撃しない) になるのですが、鑑賞性を考えると少し困る場面が出てくるのは間違いありません。
コリドラスにストレスを与えず、かつ鑑賞しやすくするのは、お部屋の蛍光灯レベルの明るさであり、水槽用ライトでは明るすぎるのではないか?というのが私の現時点での考え方です。
ただ、LEDライトを使いたいので、LEDライトに慣れてくれないか…もう少しLEDライトを使って飼育してみたいと思います。
コリドラスが隠れてしまって水槽の表面に出てきてくれないという方は、水槽用ライトの強度や点灯時間を見直すのも一つの手段かと思います。
最後になりますが、本記事の内容は私の経験談であり、全てのコリドラスに当てはまるものではありません。水槽の環境や飼育状況によって変化する事象かと思います。あくまでも御参考とお考えいただければ幸いです。