葉が溶けたブセファランドラも茎さえ残れば回復可能

淡水アクアリウムに導入する水草の中でも、耐陰性があり比較的丈夫な事でも有名なのが「ブセファランドラ」です。

ブセファランドラは、耐陰性があるため一般的な水槽用LEDライトでも育成が可能であり、熱帯魚を飼育する水槽であれば水温も適しているため、初心者でも水槽に導入しやすい水草と言えます。

また、その美しい葉や種類の多さから、コレクション性が高い水草の一つでもあります。

さらに、成長速度が遅いため、水槽に入れてから1年経っても、それほど大きな株には成長しません。そのため、水槽レイアウトの管理と言う観点では嬉しい特徴にもなります。

そんなブセファランドラですが、ボルネオ島に自生している水草であることや、成長速度が遅いため量産が難しいことから、一株当たりの価格は他の水草に比べて高くなります。

1株3,000円以上するような種類もあり、さらに稀少性の高い株には10,000円を超えるような値段が付きます。

そのようなブセファランドラが水槽内で葉が溶けてしまったり、枯れそうになると、本当に心と財布が痛みます…。

しかし、ブセファランドラはかなり丈夫な植物ですので、葉が溶けてしまったり、茎だけになっても復活させることは可能です。

この記事では、コケの発生により葉が溶けてしまったブセファランドラを例に取り、復活までの道のりや管理方法を紹介していきたいと思います。


Advertisement

葉が溶けてなくなったブセファランドラについて

まず最初に、私の管理する水槽で、葉が溶けてなくなったブセファランドラの状態について記載したいと思います。

葉が溶けて茎だけの状態になったのは「ブセファランドラ・ブロードウェイビー」という品種になります。

元気だった時の様子は、下の写真になります。小ぶりな株ではありますが、幅が少し広くウェービングがかかった葉を持つので「ブロードウェイビー」という名前が付いています。

このブセファランドラですが、水槽内に黒髭苔が出てしまった際に、株全体に黒髭苔が発生してしまい育成不良の状態になりました。

黒髭苔が発生した後、徐々に葉が溶けてなくなっていき、見るも無残な状態になりました。その時の様子が次の写真になります。

写真だけを見たら「これ何ですか?」という質問をしたくなる状態ですよね。

これが葉が溶けてしまったブセファランドラなんです。

葉がほとんど無くなり、残っている葉も黄色くなりつつある状態でして、根もほとんど無い状態となります。

正直なところ、ここまでひどい状態になると廃棄を考えなければならないと思うのですが、この状態から復活させられるか挑戦してみることにしました。

まずブセファランドラに付いたコケを除去する

最初の作業としては、まずブセファランドラに発生している黒髭苔を除去することから始めます。

黒髭苔は水草に対してかなり根強くこびりついている状態になるため、手で触ったくらいでは除去することはできまえせん。

今回のブセファランドラは、下の写真の様に、茎や根の部分に大量に黒髭苔が発生してしまっている状況です。見た感じでは、ブセファランドラ本体よりも黒髭苔の方が面積が多いような状態です。

歯ブラシなどで擦れば一部の黒髭苔は除去できますが、ブセファランドラを傷付ける原因にもなりますし、何とか残っている茎を折ってしまう恐れもあります。

そのため、このような緊急の場合には木酢酢を使った苔の除去が有効です。

下のリンクで詳細を紹介していますので、御参考にしてみてください。Zenith Waterという商品を使っていますが、園芸用の木酢酢を薄めたものでも使用可能と思います。


Advertisement

葉が溶けたブセファランドラを復活させる管理ポイント

次に黒髭苔を除去したブセファランドラを、水槽内でどのように管理していくかについて記載します。

不調のブセファランドラを回復させる方法は様々あると思うのですが、ここでは私が取り組んだ無いように焦点を当てて紹介します。

ブセファランドラを何かに固定して動かさないこと

まず最初のポイントは、ブセファランドラを水槽内に戻したときに、なるべく同じ位置から動かないようにすることです。

植物全般に言えることですが、栽培環境が急に変わるようなことがあったり、根付こうとしている時に動かされると調子が崩れてしまう場合があります。

園芸の草花も、蕾を形成している過程で日照条件が変わると、蕾が上手く育たなくなってしまう事もあります。それと同じで、水草もあまり動かさない方が良いです。

植物は、その植物が置かれた環境 (光の強さ、日照時間、土など) に合うように自らの成長を調整していきますので…。

水槽内に戻したら、なるべく動かさないことを気を付けていただいたほうが良いかと思います。

ブセファランドラを固定する方法は、一般的に知られているい、流木や石への活着で良いです。

もし、活着が難しければ、レイアウト素材に挟み込んで固定しても問題ありません。

また、ヤマトヌマエビを飼育している水槽では、ヤマトヌマエビがブセファランドラを動かしてしまう恐れがあるため、出来ればヤマトヌマエビがいない水槽の方が管理がしやすいです。サイアミーズ・フライングフォックスにも注意が必要です。

LEDライトはしっかりと照射する

ブセファランドラはアクアリウムの世界では、弱い光でも育つ「耐陰性の植物」として知られています。

しかし、植物は基本的に太陽の光が大好きです。

もちろん、日陰が好きな植物もたくさんありますが、日の光が無くては植物は育ちません。

耐陰性があるとはいえ、それは弱い光でも成長する能力があるだけであって、太陽の光を嫌っているわけではないのです。

弱った株が新しい葉や根を発生するには光合成が欠かせませんので、水槽用のLEDライトによる光合成のサポートは必須です。

水槽内で陰になるような場所に置いて育てるのではなく、LEDライトの光がしっかりと当たる場所での管理が必須です。

また、LEDライトを24時間点灯させるのではなく、昼間はON、夜はOFFにして自然の日照時間に合わせることも大切です。

さらに、あまりにも強い強度のLEDライトよりも適度な光量のLEDライトの方が良いかと思います。私は愛用しているGEXのCLEAR LEDを使用しました。

葉が溶けたブセファランドラの回復の様子

ここからは、葉が溶けてなくなったブセファランドラの復活の様子を紹介します。

水槽に戻した直後の様子

最初に水槽に戻した直後の様子を紹介します。

水槽に戻すとき、流木や石に巻き付けて置こうかと思いました。

しかし、発芽点を糸で潰してしまって邪魔してしまう危険性があったので、流木とソイルの隙間に挟んで管理することにしました。

あらためて写真を見ても、本当にひどい状況ですね…。

1週間後に全ての葉が無くなりました

約1週間が経過すると、上の写真にある残っていた葉が葉が全て溶けて無くなってしまいました。

溶けかけた葉をミナミヌマエビが食べてしまい、ブセファランドラの面影が全く無いような状態でした。

しかし、茎の部分は緑色をしており、完全に枯れた様子は無かったので、引き続きそのままの状態で管理を進めていきました。

葉もなくなり、茎だけの状態になると、普通は廃棄処分を検討しますが、ブセファランドラの生命力は強く次に示すように復活の兆しを見せ始めます。

1カ月後の様子

葉が全て無くなった状態から、さらに3週間後の状態が下の写真になります。

とても小さな葉ですが、茎に残っていた発芽点から約10枚くらいの新しい葉が芽吹き出してきました。

ブセファランドラの茎の部分には所々に発芽点があり、そこから新しい葉が芽吹き始めます。

ブセファランドは成長すると茎の一部分が分岐して新しい子株が取れるようになるのですが、それと同じ原理で茎から葉が芽吹いてきます。

ただし、成長速度が遅いブセファランドラですので、この状態になってからもなかなか成長が進みにくいことは覚えておいてください。

しかし、ゆっくりではありますが徐々に葉のサイズが大きくなっています。

無事に復活に向けた再生が始まっていると言えますね。

この状態になれば、後は葉の成長を待つのみです。

茎だけの状態になっても、このようにして復活が可能になります。皆さんも、葉が溶けてしまったブセファランドラは廃棄するのではなく、水槽で復活させてみてはいかがでしょうか?


Advertisement

回復させられる状態か否かの判断ポイント

ブセファランドラの葉が溶けてなくなってしまった時、回復させられるか否かの判断ポイントもあるかと思います。

例えば、茎の部分を触ってみてたときに、硬くなく柔らかくなった状態 (腐っているような状態) では、既に時すでに遅し…という場合もあります。

また、発生したコケを除去した後に水槽内で管理しても、発芽点から新しい芽がほとんど伸びて来なかったら、回復が不可能と判断すべきです。

今回のブセファランドラについては、実は苔を除去していく過程で、小さな新しい葉が発生していることが確認出来ました。(下の写真の矢印のポイントです)

このように、小さな葉であっても、ブセファランドラが賢明に葉を出そうとしている状態であれば、復活の兆しがあると見ていいと思います。

葉がほとんど無くなった状態になっても、茎の部分の一部にでも健全な部分があれば、植物は再生へ向けて育ってくれます。

水草で楽しむアクアリウムは、時間をかけてゆっくりとレイアウトを完成させていくものですので、あきらめずに長い時間かけて管理してあげてみてください。

この記事の終わりに

この記事では、葉が溶けて無くなってしまったブセファランドラの復活までの道のりを詳細に紹介させていただきました。

ブセファランドラは稀少性の高い水草のため、高価な価格で販売されています。

そのため、出来れば枯れさせたくないというのがアクアリストの本音であることは間違いないと思います。

ブセファランドラは繊細そうに見えて実は丈夫な水草であることは間違いありません。葉が溶けてしまったとしても、水槽内で適切に管理すれば復活できることは間違いありません。

皆さんも同じような状況になった時には、上記の方法でブセファランドラの復活を目指してみて下さい。