ブセファランドラは耐陰性のある植物で、水中でも水上でも育てることができるため、アクアリウムで大人気の植物です。
しかし、原産地がボルネオ島ということもあり日本の環境で育てるには水温や水質の管理に気を付けないと枯れてしまうことがあります。
取り寄せるにも費用が掛かりますし、成長も非常に遅いため量産自体が難しくなります。そのため、価格も高くなり、小さな株でも2,000円以上することが一般的です。
そのため、水槽内で枯れてしまったり、溶けてしまうとショックが大きいのです…
今回、私の水槽でも溶けてしまったブセファランドラがあったのですが、管理方法を変えることで見事に復活に成功しました。その方法を記事にしておきたいと思います。
枯れかけたブセファランドラの状態
私の水槽内で溶けてしまい、今にも朽ちてしまいそうな状態になったのは「ブセファランドラ・グリーンウェイビー」です。
近くのアクアリウムショップで、小さな子株を購入して石に糸で活着させて45cm水槽で育てていました。
購入後1カ月くらいは特に問題なく育成しているように見えたのですが、突然成長が止まり、葉が溶け始めてしまったのです。
その写真が下の状態です。
葉が巻いていること自体は「ウェイビー」という名前の通り、特に問題では無いのですが、葉の数が少なくなってしまいました。
元々、太めの茎が2つあったのですが、一つは完全に消滅して、残りの一つの茎も葉が溶けている状況です。
この状態になると、ほぼ諦め状態になっていたのですが、何とか復活させました。
水槽の管理方法を変更
非常にお高い植物なので、出来れば何とか復活してほしいという気持ちが強く、何とかならないか試行錯誤し、約2週間の間に以下の変更を水槽に施しました。
①フィルターの水流を作って水流を作る
ボルネオ島でのブセファランドラの自生地を見ると、水流がある場所に自生しているとのことをアクアショップの店員さんから伺いました。
そこで、フィルターから給水される水流を使って、水槽内に水流が生まれるように変更し、その水流がブセファランドラに当たるようにしました。
フィルターはエーハイムの2213を使用しているのですが、特に水流を抑制する機構を設けなければ、45cm水槽に十分な水流を作ることができます。
飼育していた魚も、ネオンテトラなどの泳ぎが上手な魚ばかりだったので、魚への影響はほとんどありません。
水流が生まれることで、自生地の川の流れを再現できるかと思います。
エンゼルフィッシュやベタを飼育されている方は水流は気を付けてください。ヒレが傷ついたり水槽内を泳げなくなってしまうかもしれません。
②水替え頻度を週1回から週2回へ変更
次に行ったことが水替え頻度の変更です。
自生地では川の中で自生しているとのことで常に新鮮な水が流れてくる状態です。その状態を水槽内に再現することは難しいですが、新鮮な水を導入することは意味があるはずです。
魚を飼育している水槽内は、魚の糞や食べ残しで水の状態が悪化する方向でしかありません。その状態を改善するには、水替えの頻度を上げるしかないのです。
ブセファランドラが溶けてしまった水槽は、5日~7日に1回の水替えを行っていました。換水量は水槽の1/3くらいです。
この換水を3日に1度に変更し、水替えの量は1/2に増やしました。
正直、水槽内の魚に影響があるかと心配しましたが、特に大きな問題は起こりませんでした。
もし心配であれば、徐々に換水頻度を上げていくような工夫をしても良いかもしれません。
③水温を24℃に固定
水温ですが、溶けてしまった時は26℃くらいで管理していました。
熱帯魚の最適温度は25℃前後と言われているので、特に問題はないと思っていたのですが、植物への影響は詳しくしりませんでした。
しかし、植物も気温・水温が上がると活動が上がることは確かです。そこで、元気が無い植物に無理をさせることもできないと思い、水温を少し下げて24℃で管理をしてみました。
④水草の量を増やしてコケ抑制対策
ブセファランドラは成長が遅いので、コケが生えやすいことも悩みの一つです。
そのため、葉が一面コケで覆われてしまったりすることがありますので、できればコケ対策はしておきたい。
そこで、水槽の中に水草を増やして、コケの養分を全て水草に吸ってもらおうと考えました。
具体的には、ミクロソリウムのMサイズを2株追加しました。ブセファランドラのすぐそばに置きましたが、ライトの光を遮らないようにセットします。
管理方法変更から2カ月後のブセファランドラ
上記の①~④の管理変更を実施し、2カ月経った後のブセファランドラがこちらの写真になります。
写真が取りやすいように、場所を流木の上に変更していますが、実際にはミクロソリウムの近くに置いてありました。
見てお分かりいただけるかと思いますが、葉の量が一気に増えています。コケの被害も少なく、葉がコケで覆われるようなことは無かったです。
また、黄色い矢印がある部分を見て下さい。
株元から新しい茎が葉を展開させながら生えてきていることがわかります。
この新しい茎が出て成長すると、株分けもできるようになります。
また、根も大量に出てきていることがわかります。根は株の状態を表すバロメータと言われるくらい大事なものなのですが、その根が元気に大量に生えてきているので、完全に復活したと言って良いでしょう!
どの管理法が最も効果があるのか?
では、上記の①から④の対策の中で、最も効果があったものは何なのでしょうか?私の個人的な考えを記載しておきたいと思います。
私個人の考えとしては、①②が最も重要だと思いますね。
新鮮な水を入れ、水流を生んだことが重要な変化点かと思います。
植物が育つ上で大事な肥料は窒素、リン酸、カリウムになりますが、それだけを与えていても植物は育成不良を起こします。微量元素と呼ばれる、他の肥料分も植物の育成には絶対に必要です。
水槽の中という閉鎖空間では、これらの元素の供給源が無いため不足しがちになりますが、水替えによって水道水に含まれる微量元素を供給できるのです。
水替えと共に水流を生んで水中の淀みを無くすことで、ブセファランドラが栄養分を摂取しやすい環境になり、復活できたのではないかと考えています。
③の水温については、換水と水流による効果のサポート的な要素だったと思います。水温を低くすれば植物の活動が少し下がるので、ブセファランドラに無理をさせることなくじっくりと育成する環境を提供できたのではないかと…。
水草を育てる肝は「根」を育てる事
植物にとって、育成の全てを決めるのは根の状態です。
水草だけではなく、陸上背育つ草花や木も同じです。
根がしっかりと張ってくれないと、育成に必要な養分を得ることが出来ないので成長が上手く進みません。
例えば庭の雑草を抜くと、非常に長い根が張っており、そう簡単には抜くことが出来ませんよね。また、雑草は強い根を地中に張るため、少しくらい地上部が切り落とされても直ぐに再生してきます。
植物にとっては、それだけ根が大事なものなのです。
水槽の中の水草についても同じことが言えます。根を丈夫に育てることが出来れば、新しい茎を出し、葉を展開させながらぐんぐん育っていきます。
上で紹介したブセファランドラの例も同じです。復活した時には根が大量に生えてきて、葉や茎を育成させられるだけの養分を補うことが出来る根になっていました。
植物をそだてること、それは根を丈夫に育てることから始まるのです。
この記事の最後に
この記事では、育成不良になり枯れかけてしまったブセファランドラを、無事に復活させた方法を御紹介させていただきました。
水槽の中という限られた空間では、常に新鮮な水が流れてくるわけではありませんし、外国産の水草にとって最適な状況で植物を育てられない状況です。
そんな中でブセファランドラの様な育成が遅い植物を育てていると、不具合が出やすいことは事実だと思います。育成が遅いということは、他の水草に比べて樹勢が小さいということなので、より繊細な植物だと言えるのです。
しかし、水槽の中をなるべく自然に近い環境に近づけてあげることで植物が元気を取り戻すことも事実です。
そのポイントになるのが水流と水替えの頻度になるのかと思います。
この記事と同じようにブセファランドラが不調になってしまった方に、この記事が有益なものになりましたら幸いです。