私が子供の頃、家の近くには何件かアクアリウムショップがあり、父親に連れられて熱帯魚を見に行ったことを今でも覚えています。
ホームセンターに行くと、屋外でメダカや金魚が販売されていて、アクアリウムショップはとても身近な存在でした。
しかし、2021年の現代はどうでしょうか?
個人で経営している街のアクアリウムショップは本当に少なくなり、お店を幾つも持っているような大きな系列店やネット販売のお店が生き残る現状があります。
アクアリウムショップだけではありません。
私が子供の頃に流行したおもちゃに「ミニ四駆」があります。当時、街のおもちゃ屋さんに行けばミニ四駆のコースがあり、ミニ四駆のレースを楽しむことができました。でも、今ではコースが常設されている個人経営のお店などほとんどありません。
街から各業種の個人経営店が無くなりつつある時代、本当にそれで良いのでしょうか?
本記事では私の趣味であるアクアリウムに関して、街のアクアリウムショップの大切さについて、私の意見や考えを記載したいと思います。
街のアクアリウムショップが廃業する数が多いことを実感した話
2021年1月の話になりますが、私の家の近くにあるアクアリウムショップが2店舗立て続けに閉店してしまいました。
一つはホームセンターに併設されて比較的客足も多いようなお店、もう一つは個人で経営されていたアクアリウムショップです。
この記事を書いている2021年1月末は新型コロナウィルスの影響で、様々な店舗が営業することが難しい…利益を出すことが難しい…そんな時です。それも影響していた可能性もあります。
ホームセンターに併設されていたお店は、熱帯魚もたくさん取り扱っていましたが、金魚やメダカ、そしてタナゴなどの日本淡水魚も取り扱っていました。そのため、日本淡水魚好きの私にとっては、とても癒しになる場所だったのですが…本当に残念です。結構お客さんも入っていたように見えたのですが、採算が合わなかったのだと思われます。
個人経営されていたお店は、50歳くらいのお父さんが経営されていたお店で、流行りの水草水槽やレイアウト水槽なども取り扱っているお店でした。仲の良かった店員さんもいたので、突然の閉店が本当に辛かったです。
私自身、両方の店舗にお世話になっていたこともあり、1カ月の間に2店舗が閉店してしまうのはとても残念でなりませんでした。
アクアリウムショップだけでは無く、街の小さな小売業のお店も閉店することが多い時代なので仕方のない事なのかもしれません。しかし、自分が趣味にしているアクアリウム関係となると「何とか営業してほしかったなぁ…」と強く思うばかりです。
便利なネット販売の拡大が廃業に拍車をかける
最近は、何でもインターネットでお買い物ができる時代です。
私自身もアクアリウムに復帰してから、インターネットで熱帯魚が購入できることを知りました。ネット購入すると、発泡スチロールにくるまれて熱帯魚が届くんですよ…。
魚という命を購入することになるのですが、それが宅配便で届く…ちょっと違和感を覚えたことを今でも覚えています。
犬、猫、そして爬虫類はインターネットだけでの販売は禁止されており、販売者は購入者に対して実物を見せて説明をする義務があります。
環境省の動物愛護法の資料が参考になります。
それに対しインターネットでの熱帯魚の販売はと言うと…魚の実物を確認することはなく、販売業者が選んだ熱帯魚が配送されてくるという現状です。品種を指定するとはいえ、ガチャガチャを引いているような感覚だと感じたこともあります。
ネット販売は生体だけでは無く、アクアリウムに関する設備や消耗品も全てがインターネットで簡単に手に入る時代です。インターネット販売となると人件費や店舗の家賃も削減できるので、自ずと各商品が安く販売できることになります。
つまり、販売の競争を考えると、実店舗での販売の方が確実に不利になる現状があります。
実際にネット販売を実施していないような小さなお店から閉店していく傾向にあるのは間違いないでしょう。
インターネット販売が個人経営の小さなお店を淘汰した一因という事実は、アクアリウム業界に限らず様々な業界で起こったことだと言えます。
街のアクアリウムショップのメリット
街のアクアリウムショップには本当に多くのメリットがあります。
インターネット販売が主流の時代とはいえ、実店舗で品物を購入することやお店を訪れることの楽しみや大切さが必ずあります。
実物を見て熱帯魚を購入できること
熱帯魚を飼育するということは、魚と言う命を購入することから始まります。
インターネットで購入する魚の場合、どんな魚がくるのか?大きさはどのくらいなのか?オスなのかメスなのか?そのような事は全くわかりません。
それに対して、実店舗での購入の場合、自分が好きな大きさや色、魚の健康の具合、魚の性別を確認して購入できるという利点があります。
これは本当に大きな利点だと思います。
以前、私もインターネットで熱帯魚 (エンゼルフィッシュ) を購入したことがあります。しかし、購入した熱帯魚が死んでしまった状態で家に到着しました。それ以来、インターネットでの生体購入は控えるようにしています。
今はもし欲しい魚がいたら、アクアリウムショップで店員さんに注文して確実に手元に届くようにしています。
熱帯魚の販売…インターネットで販売できるような状態で、本当に良いのでしょうか?犬や猫はインターネット販売が禁止されているんですよ…。
私は本当に疑問に思います。
水槽レイアウトの参考例がたくさんあること
街のアクアリウムショップに行くと、必ず綺麗な水槽が並んでいます。
アクリウムの管理に慣れた店員さんが作り上げた美しいレイアウト水槽も目にすることができます。
Youtubeで画面の中で見るレイアウト水槽と現物のレイアウト水槽を比べると、確実に後者の方がインパクトが大きいです。
使っている水草やレイアウト素材を目で見て確認することができ、その場で購入することもできてしまいます。
「百聞は一見に如かず」という言葉は、インターネット販売が主流の時代でも色褪せることのない諺に思えます。
店員さんと仲良くなれること
店員さんと仲良くなることは、本当に有益な事だ実感します。
インターネットに並ぶ知識には、正直なところ怪しい情報もあり、信憑性に欠けるような記事もあります。
しかし、店員さんは自分の経験を基にしてアドバイスをくれます。
経験の豊富な店員さんと言えど、過去には多くの失敗を経験して豊富な知識を持っています。
その失敗談などを聞くこともできるのも、店員さんと仲良くなることのメリットに思えます。成功談を聞くことも大事ですが、失敗談を聞くことの方が数倍は役に立ちます。
また、アクアリウムショップの店員さんは、同じ趣味を持っている者同士にもないますので、話がはずむことも多々あります。それに、アクアリウムショップの店員さんを起点にして、他のお客さんと繋がりを持てることもあります。
是非、近くのアクアリウムショップの店員さんと仲良くなってみて下さい。
アクアリウムの楽しみが、また一つ増えますよ!
街のアクアリウムショップにはデメリットもあるけど…
街のアクアリウムショップのメリットを記載しましたが、もちろんデメリットもありますよ!
欲しかった品物を扱っていないこと、欲しい魚を取り扱っていないこと、インターネットに比べると値段が少し高い事…。
確かに、それらはインターネット販売に比べるとデメリットかもしれません。
しかし、実店舗に行くことの利点について考えると、上記のデメリットは本当に小さなことだと思います。
自分が何か困った時、店員さんは無料でアドバイスをくれます。Yahoo!の知恵袋に質問するよりも的確な情報をその場で教えてくれます。品物の価格が少し高いことは、その情報量・授業料だと思えばいいんです。
飼育してみたい魚がアクアリウムショップにいなければ、取り寄せをお願いすれば良いのです。インターネット販売に比べて、1ヵ月程度入手が遅くなるかもしれませんが、その1ヵ月で何かが変わるでしょうか?
アクアリウムは時間をかけて長く楽しむ趣味です。急ぐことは何もないと思います。
このように、実店舗に対してデメリットだと思っている事は、別の角度から見てみると実は対して気にすることでは無いのだと思います。
インターネット限定の商品で無い限りは、街のアクアリウムショップを利用することのデメリットは小さなものなんです。
街のアクアリウムショップを守るためにできること
街のアクアリウムショップが、ずっと存続するためにできることは何なのでしょうか?
もしも、アクアリスト全員がインターネット販売しか利用しなくなったら…街の個人経営のアクアリウムショップは消えていく一方になるでしょう。
街のアクアリウムショップは慈善事業では無く商売をしている店舗になるので、経営を続けるには利益が必要です。
つまり、そのアクアリウムショップで商品を購入することが最も重要なのだと思います。
それに尽きるのではないかと思います。
インターネット販売は確かに便利で安く購入できます。
しかし、街のアクアリウムショップが消えゆく運命になったら…アクアリストの皆さんは困りませんか?
少なくとも私はとても困ります…。
そうならないためにも、是非街のアクアリウムショップに足を運び、そこで商品の購入していきましょう。半分はインターネット購入、もう半分は街のアクアリウムショップで…という考え方を持っていただくだけでも十分だと思います。
もし街のアクアリウムショップがインターネット販売も行っているのであれば、そのネット販売を利用することも大切ですね。
容易に生体が手に入ることがアクアリウムの楽しみを狭める?
上でも記載しましたが、インターネットでの熱帯魚の購入はとても便利です。
何と言っても、ボタン一つで家に熱帯魚が届くのです。
犬や猫はインターネットだけでの販売は禁止されていますが、熱帯魚はそうではありません。飼育知識を持っていない人でも、簡単に購入すること出来てしまうのです。
個人的に思うのですが、日本の河川や池に熱帯魚を放流してしまうという事件は、誰でも容易に購入できてしまうということも一因なのではないかと考えることがあります。
最近、特定外来生物に指定されたザリガニもその良い例です。
インターネット上で手頃な価格で販売されていた外国産のザリガニ…これが放流されて日本の自然の中で繁殖して問題になりました。外国産のザリガニは、とても綺麗な体をしているので人気があります。しかし、安価で大量に出回ってしまうことや誰でも容易に購入できると、違法な放流に繋がるのではないかと思います。
熱帯魚を販売する際も犬や猫と同じように、店舗での説明を受けることの必要性があるのではないかと…。
違法な放流は、販売方法に全ての原因があるわけではないですが、生体を容易に入手出来てしまうが故に無責任な飼育者を生んでいるのではないかと感じます。
違法な放流が繰り返されれば、特定外来生物に指定される生物が増える一方です。つまり、それはアクアリウムという趣味の領域を、どんどん狭めることになるんですよね。
この記事の終わりに
この記事では、街のアクアリウムショップを守るために、私達アクアリストが出来る事について記載をさせていただきました。
街のアクアリウムショップは、商品を購入するだけでは無く、アクアリウムに関する知識を得るという観点でも本当に大切な存在です。
そんな街のアクアリウムショップを守るためにも、インターネット販売ばかりを利用するのではなく、実店舗またはそのお店の運営するネット販売で品物を購入するようにしてみてはいかがでしょうか?
インターネット販売の全てを否定するわけでは無いですが、街のアクアリウムショップが無くなってしまったら困ります…アクアリストの皆さん、アクアリウムショップを大切にしていきましょう!