水草レイアウト水槽に植栽する赤色系の水草は多くありますが、その中でも特徴的な細長い葉を展開し、中景草・後景草として導入できる品種の一つが「アマニア・グラキリス」です。
赤色の水草と言えば「ロタラ sp. Hra」や「ロタラ sp. ベトナム」等が有名ですが、私のブログでも育成した例を紹介したことがありました (下のリンクを御参照下さい) 。
アマニア・グラキリスは、名前が難しく (覚えにくい…) 、ロタラに比べると知名度は低いのは事実ですが、ロタラにも負けない美しさがあります。
また、成長速度がロタラよりも遅いため、水槽内で暴れるような成長をすることがありませんし、少し大きな葉が長く伸びるため、ロタラには無い赤色系の水景を演出することが可能です。
この記事では、そんなアマニア・グラキリスについて、実際に水槽内で育成した例を紹介し、成長速度を実測したデータについても取り上げたいと思います。
アマニア・グラキリスを水槽内に植栽しようと思っている方にとって、少しでも御参考になれば幸いです。
【注意】本記事に記載した内容は、筆者が管理している水槽での結果となります。水槽環境によって成長速度などは変化すると思いますので、あくまでも参考例としてお考え下さい。
アマニア・グラキリスの育成環境の紹介
まず最初に、本記事で紹介するアマニア・グラキリスを育成した設備や管理環境について詳しく記載しておきます。
一般的な水草水槽の設備ではありますが、下で紹介する成長速度の結果などには影響を与えるものと思いますので紹介しておきます。
・水槽:60cm規格水槽 (GEX製のグラステリアシリーズ)
・外部フィルター:エーハイム 2213
・LEDライト:GEX製 CLEAR LED POWER III + Aqullo製 Triangle LED Bight
・水温:年間を通じて25℃で管理
・飼育生体:カージナルテトラ (10匹) 、コンゴーテトラ (3匹) 、ロージーテトラ (2匹) 、オトシンクルス (5匹) 、サイアミーズ・フライングフォックス (1匹) 、ミナミヌマエビ (多数)
・LEDライトの点灯時間:1日あたり7時間~8時間
・換水頻度:週に2度 (1回あたり1/3の水量を換水)
・二酸化炭素添加:ADA アドバンスシステム フォレスト (5秒に1滴の添加量)
・植栽している水草:ショートヘアーグラス (前景草) 、グリーンロタラ、ルドヴィジア sp. スーパーレッド、クリプトコリネ・ウエンティ・ブラウン
・ソイル:リベラソイル
・肥料:リベラソイルの中にテトラのイニシャルスティックを導入し、液肥は不使用。
アマニア・グラキリスの成長速度の測定方法について
アマニア・グラキリスの成長速度の測定方法ですが、下の図に示すように、ソイルの表面から株の頂点までの高さを測定する方法となります。
植栽したのは2022年1月15日で、植栽から約1ヵ月間の間、定期的に株の高さを測定してきました。
より具体的には、毎週土曜日の換水の時間に、同時にアマニア・グラキリスの高さを物差しで測定していきました。
物差しでの測定のため、数mmの誤差は含まれてるとお考えください。
また、今回使用したアマニア・グラキリスですが、アクアリウムショップで購入したリベラプランツ (Delphis社) のポット売りの株となります。
1ポットに約10株くらいのアマニア・グラキリスが入っていました。
写真で見るアマニア・グラキリスの成長の様子
では、次にアマニア・グラキリスの成長の様子を写真で見ていきたいと思います。
1枚目の写真は、水槽に植栽した直後の様子です。
植栽した直後のアマニア・グラキリスは、葉の色が緑色でしたが、これは水上葉で育てられていた株だったことに由来するものと思います。
水草の中には水上と水中の両方で育成可能なものがありますが、アマニア・グラキリスのように水上と水中で葉の形や色が変わるものが多くあります。
2枚目の写真は、植栽から5日後の様子ですが、水中での育成に移行して、赤色の水中葉が芽吹いてきていることがわかります。
また、もともと緑色だった水上葉についても、水中栽培する時間が長くなると、少しずつ赤みを帯びてくるという変化も見られました。
3枚目の写真は、植栽から2週間後の状態です。
アマニア・グラキリスの特徴である赤く細長い葉がたくさん芽吹いてきていますね。
植栽から2週間が経つと、ソイルの中に根がしっかりと張り、水中での成長が軌道に乗ったような状態になります。
最後の写真が植栽から1か月後の様子です。
各株の葉の数が増えて、葉の密度がかなり高くなってきました。
ここまで成長すると、水槽のレイアウトとして存在感が大きくなってきますね。
また、株の下の方の葉は、1ヶ月経っても元気なままで枯れていません。
水草の中には、成長と共に下の方の葉が朽ちてしまう傾向が強いものもありますが、アマニア・グラキリスは古い葉も元気なままです。
この特徴は非常に嬉しいメリットだと思います!葉が枯れてしまうと、水槽レイアウトの美しさが損なわれてしまいますので…。
アマニア・グラキリスの成長速度の測定結果
では、アマニア・グラキリスの成長速度を測定した結果を紹介します。
今回は5株のアマニア・グラキリスを選び、約1か月の間、株の高さを上で紹介した方法で測定しました。
植栽当初はおお4cm~5cm程度の株でしたが、約1か月の育成で12cm~14cmの株に成長しています。
植栽初期は少し成長速度が遅いですが、しっかりと根が張って成長にスイッチが入ると徐々に成長速度が上がっていることも見て分かるかと思います。
実際に成長速度を算出すると、植栽から2週間までの平均成長速度は0.15cm/日ですが、後半の2週間では0.31cm/日まで成長速度が上がっています。
全期間の平均成長速度を算出すると0.23cm/日となり、約4日で1cm程度の成長になっていることがわかりますね。
アクアリウムに使われる水草の中では、アマニア・グラキリスの成長速度は平均的か少し遅い成長速度に思えます。
アマニア・グラキリスはコケが発生しやすい?
アマニア・グラキリスの成長速度は、上記の通り、そこまで速いわけではありません。
グリーン・ロタラに比べると半分以下の成長速度です。
そのため、単純に考えると、コケの繁殖が少し懸念されると思います。
しかし、今回育成したアマニア・グラキリスは、コケの繁殖がほとんどありませんでした。
これは、水槽に多数入れているミナミヌマエビ達が良い仕事をしてくれているものと思われます。
今回の60cm水槽の中には、ミナミヌマエビを約20匹導入していますが、その甲斐あってかコケはほとんど繁殖しません。黒髭苔もサイアミーズ・フライングフォックスが食べてくれています。
アマニア・グラキリスの育成に関しても、他の水草と同様に、コケ取り生体であるヤマトヌマエビやミナミヌマエビを多めに入れるというのが、美しさを保つ秘訣だと思います。
「グラキリス」は塊根植物のイメージもある
「グラキリス」という名前を聞いた時、観葉植物に詳しい方であれば塊根植物を想像された方も多いのではないでしょうか?
私も観葉植物が好きですが、塊根植物の中に「パキポディウム・グラキリス」という有名な品種があります。価格も非常に高価な植物なのですが…。
塊根植物は、多肉植物の一つで根が塊のように肥大した植物になるのですが、アフリカに多く自生している植物になります。
今回紹介したアマニア・グラキリスも、そのグラキリスと同じ種族になります。
見た目は全く違うのですが、葉の形を見るとグラキリス同士でそっくりです!
アマニア・グラキリスも、同じアフリカに分布する植物となりますので、豆知識として御紹介しました。
この記事の終わりに
この記事では、赤く細長い葉を水中で展開する「アマニア・グラキリス」という水草の育成と成長速度の実測結果を紹介しました。
赤色系の水草というと「ロタラ sp. Hra」や「ルドヴィジア sp. スーパーレッド」が有名ですが、アマニア・グラキリスもそれらに負けないくらい美しい葉を展開してくれる水草です。
今回紹介した様に、成長速度もそこまで速くないので、中景草として水草水槽に植栽できる品種となります。もちろん、時間をかければ大きく育つので、後景草としての植栽もOKです!
また、アマニア・グラキリスは育成の難易度も低く、一般的な水槽設備とLEDライトがあれば育てる事ができますので、初心者の方でも安心して育てられる水草と言えます。
少し雰囲気の違った赤色系の水草をお探しの皆様、アマニア・グラキリスを第一候補にしてみてはいかがでしょうか?
では。