淡水アクアリウムで人気の水草の一つに「アマゾンソード」があります。
比較的入手しやすく、近所のホームセンターでも取り扱っているお店が多いので、アクアリウムを趣味にされている方であれば一度は目にしたことがある水草かと思います。
アマゾンソードは、レイアウト水槽にも頻繁に使われる水草であると共に、育成難易度が比較的容易であるため、ベテランのアクアリストから初心者まで誰でも扱いやすいものです。
この記事では、アマゾンソードの成長について、葉の成長速度や葉の増え方、また二酸化炭素を添加した場合としていない場合で違いはあるのか、という点を御紹介したいと思います。
ただし、この記事の実験結果は、筆者の水槽での結果であるため、皆様の管理する水槽では全く同じ結果にならないことは御承知ください。あくまでも参考としてお楽しみいただければ幸いです。
アマゾンソードについて
アマゾンソード (アマゾンソードプラント) はエキノドルス属オモダカ科に属する水草で、自生地は名前の通り南米のアマゾン川流域になります。
エキノドルス属の中でも比較的丈夫な特徴があるため、金魚水槽や熱帯魚水槽など、あらゆる水槽設備で栽培が可能な水草です。
また、国内のファームで栽培が可能なため、比較的流通量が多く入手に困ることはありません。街のアクアリウムショップでも取り扱っているお店が多く、インターネット販売でも頻繁に見かける水草です。
見た目については「ソード」という名前が付いている通り、剣状の長い葉を持っていることが特徴的で、栽培環境や株の充実度合にも依りますが、葉の長さは20cmから30cm程度まで成長する株もあります。
アマゾンソードは、特に強い光や二酸化炭素の添加が無くても育つ水草で、液体肥料などもそれほど多く必要となるわけでもありません。定期的に換水を行うことと、一緒に飼育している魚やエビがいれば、生育に必要な肥料分は生体の排泄物で賄うことも可能です。
実際、私の栽培環境下でも液肥は使っていませんし、強い特別なLEDライトを使用しているわけではありません。
アマゾンソードの成長の仕方
下の図にアマゾンソードの成長の過程を模式図で示しています。
アマゾンソードは株の根元付近から新しい葉を展開させていく成長過程を持つ水草になります。茎が長く伸びるのではなく、株元から新しい葉を展開させて成長を続けていきます。
また、葉の厚みについては、葉の大きさに似合わず薄いため、意外と脆い状態になっています。それもあってか、水草の中では葉の世代交代が頻繁に起こっているような印象も受けます。
古くなった葉は茶色くなって枯れ落ちていくので、水槽内の見栄えを良くするためには枯れた葉を適宜切り落としてあげることが必要になります。
アマゾンソードの栽培環境について
今回の記事で成長の観察を行ったアマゾンソードは、筆者の管理する60cm水槽で栽培しているアマゾンソードになります。
以下で、栽培環境の詳細を記します。
ライト: GEX製 CLEAR LED POWER III (1日10時間点灯)
肥料: テトライニシャルスティックのみ
生体数: カージナルテトラ等の小型カラシンが20匹程度
換水頻度: 週に1度、1/2の水量を換水
二酸化炭素: 二酸化炭素の有無で成長速度の比較。二酸化炭素システムはADAのアドバンスシステム フォレストを使用し、二酸化炭素の滴加量は2秒から3秒に1滴を目安に管理。
新しい葉が出ると古い葉が枯れ落ちる
これはエキノドルス属の成長の特徴なのかもしれませんが、新しい葉がどんどん出てくるのですが、それと同じくらいの速度で古い葉が枯れ落ちていくような特徴が見られています。
以前のブログ記事で、同じエキノドルス属のエキノドルス・ラジカンスの成長を観察した時も、同じような特徴が見られていました。その時の記事は下のリンクとなります。
アマゾンソードも、エキノドルス・ラジカンスと同じような特徴があるのだと思うのですが、下のグラフに示すように、約3カ月の栽培期間の間ですが、葉の数がほとんど増えていません。植栽時に8枚の葉がありましたが、3カ月後には2枚増えて10枚となっています。
新しい葉が出てきたと思っても、古くなった葉が枯れていくため、葉の数が増えすぎて葉の密度が高くなり過ぎるようなことがありませんでした。
下の写真は、植栽した直後のと3カ月後の比較となりますが、3カ月経っても葉の数がそこまで増えていないことがわかります。
葉の成長速度の測定
次に、アマゾンソードの葉の成長速度のについて実測した結果を紹介させていただきます。
葉の成長速度は、下の図に示すように、定期的に葉の長さを物差しで測ってデータ取得を積み重ねていく方法で測定しています。基本的に換水時に水深が減ったタイミングで測定するようにしていました。
1枚の測定結果だけでは信頼度が少ないので、2枚の葉について成長速度を測定しています。
それでは、葉の成長速度を測定した結果を下のグラフで紹介します。
青色のグラフが1枚目の葉、オレンジ色のグラフが2枚目の葉の結果になります。
1枚目も2枚目もほぼ同じ成長速度になっていることが分かります。
そして、私の水槽では概ね20cm程度で葉の成長が止まり、次の新しい葉の成長に切り替わっていくことも分かりました。
成長速度としては、新しい葉が成長し始める2週間前後までは約0.7cm/日となりました。1日当たり1cmも成長していないんですね。もう少し成長が速いと思っていたので、少し意外でした。
二酸化炭素有無による葉の成長速度の違い
そして、皆様も気になるであろう二酸化炭素の有無での成長速度の違いですね。
ここでは、上で紹介した葉の成長速度を二酸化炭素の添加がある場合も同じように測定してみました。二酸化炭素の滴加量は2秒から3秒に1滴ですので、特段多いわけではありません。
下のグラフに、その気になる結果をまとめています。比較のために、上で紹介した二酸化炭素なしで育てていたNo.1とNo.2の葉の結果も載せています。
グラフ中の灰色の線が二酸化炭素有りの時の結果になります。二酸化炭素有りの結果は、時間の問題でNo.3の1枚のみとなります。
いかがでしょうか?
若干ではありますが、二酸化炭素を添加したほうが成長が速いように思えます。
ただ、成長速の差は僅かですし、葉の状態によっても成長速度は変わると思うので有意な結果と言えるか否かは微妙なところですね。
本来は、もう2枚か3枚追加で成長速度を測定してみてサンプル数を増やしてみるべきですね。
ただ、二酸化炭素の添加で成長が遅くなるような事は無いと思います。
この記事の終わりに
本記事では、淡水アクアリウムの人気の水草「アマゾンソード」について、成長速度の測定結果を紹介させていただきました。
葉の伸びる成長速度は約0.7cm/日となり、二酸化炭素の添加によって若干ですが成長速度が上がるという結果も得られました。
しかし、2秒から3秒に1滴の二酸化炭素添加量では、そこまで顕著な成長速度の差が生まれる訳ではありませんでした。
言い換えれば、アマゾンソードは二酸化炭素の添加無しでも十分に育つ水草であるということですね。
今後も水草の成長観察の記事を作って紹介していきますので、またブログを覗いてみていただけましたら幸いです。