12月に入ると冬の寒さが増し、私の住む関西都市部でも最高気温が10℃程度になってきます。朝の気温は2℃程度まで落ち込み、冬本番と思わされるような日々です。
12月になると水生生物たちも冬眠の準備を始め、近くを流れる川を覗いてみると、小魚はほとんどおらず、寒さに強い大きな鯉だけが泳いでいるような状態です。
そんな冬の到来は、自然の中だけではなく、家で管理する水生生物の水槽の中にも変化を与えます。私の子供が飼育しているザリガニも冬の到来とともに活動量が目に見るように減ってきました。
自然界のザリガニは、冬場になると冬眠状態に入ります。しかし、家で飼育しているザリガニは気温や水温の関係で冬眠しないものが多いです。私の個人的な考え方ですが、水槽で飼育しているザリガニは、冬眠させることなく飼育する方が望ましいと思っています。
この記事では、その理由と冬場のザリガニ水槽の管理について御紹介をしたいと思います。
冬季のザリガニに冬眠は必要?
まず最初に、ザリガニに冬眠は必要なのか?家で飼育しているザリガニを冬眠させた方が良いのか?という観点で私の考えを述べたいと思います。
自然界における冬季のザリガニについて
自然界における冬季のザリガニは、冒頭でも記載の通り、冬眠または冬眠に近いような状態に入ります。そのため、腐敗した落ち葉の下や岩陰でじっとして動かなくなるザリガニが多いです。
ザリガニは日本の寒い冬、そして冷たい水温の中でも力強く生き抜く力があるので、日本でも爆発的に分布範囲を広げてきました。もちろん、水温の高くなる夏場も耐え抜く力があります。
ザリガニは冬場に水温が低下して体内の温度も下がることで冬眠状態になるのですが、冬眠は寒い環境におかれたザリガニに起こる変化の一つです。
しかし、水温の下がりにくい環境、例えば下水や工場の排水などが流れ水温が下がらない場所にいるザリガニは冬季でも冬眠をしません。以前、工場排水の流れる水路で冬場にザリガニ釣りをしたことがありますが、1月でもザリガニが餌に勢いよく食いついてきたこともあります。
つまり、ザリガニは冬眠や休眠期が無くても体の健康具合に問題はないということになります。もちろん、冬眠が無く活動期が長い事で寿命に与える影響などはあるかもしれませんが、冬眠しないからと言ってザリガニの健康状態に直接悪影響があるわけでは無いのです。
水替えの観点で冬眠させない方が好都合
家でのザリガニ飼育も、上で記載した水温が高い場所 (工場排水など) にいるザリガニと同じことが言えます。
家の中で飼育している場合、暖地であれば気温がマイナスになることはほとんど無いですし、10℃くらいの気温が維持できていればザリガニは活動します。そのため、家の中で飼育している場合には活動量は下がっても完全に冬眠状態になることは無いと思います。
むしろ、冬眠してくれない方が嬉しいこともあります。
水替えの作業があるからです。
水槽で飼育している以上、どうしても飼育水は汚れてきます。冬季にザリガニの活動量が少なくなっても、ザリガニが生きていれば水は自然と汚れていきます。
夏場よりは悪臭は少なくなる傾向にありますが、それでも換水しないと飼育水からの悪臭は防げません。
冬場も換水は必要なので、その換水のタイミングでザリガニを叩き起こしてしまうことになります。冬眠状態になった後に水替え作業をすると、ザリガニが休眠から目覚めるということになります。その作業が冬季に繰り返されると、ザリガニに与えるストレスはより大きなものとなると推測できます。
そのため、水槽で飼育しているザリガニは、冬眠をしてくれない方が好都合なのだと思います。
冬季のザリガニ水槽管理の重要ポイント
では、家で飼育するザリガニ水槽について、冬場の管理として重要なポイントをいくつかピックアップしていきたいと思います。
石を入れて隠れる場所を用意する
上では冬眠させない方が良いということを記載しましたが、ザリガニも水温が下がるのでじっとしている時間が長くなります。
そのため、隠れ家となるような場所は用意してあげて下さい。
自然界では冬場は石の下などに潜り込んで越冬するので、そのような場所を提供してあげられたら良いかと思います。
ザリガニの水槽を作る時に既に準備してあるものがあるかと思うので、既に土管などがあればそれで良いかと思います。
換水頻度と換水時の水温変化の注意
冬場の換水、これは夏場よりも気を遣った方が良いです。
冬の水槽内の水温は数℃まで低下している状態です。そのため、ザリガニの体温もその水温に合わせて低下している状態になります。
それに対して、家の中で使用する水道水はガスを使って20℃以上に温めたものを使われていることが多いかと思います。
その温かい水道水をカルキ抜きして、直接ザリガニ水槽に入れると、ザリガニの体温が急激に上昇してショックを起こしてしまう懸念があります。
そのため、換水時にはできれば10℃以下の冷たい水で換水してあげて下さい。
換水時の水温調整は水生生物や魚の飼育で基本となる事項ですが、ザリガニに対しても同じ意識で換水してあげて下さい。冬場に活動量が低下しているザリガニにとっては、水温の急激な変化は良くありません。
餌の量を少なく管理して人口飼料を使う
冬季のザリガニは活動量が少ないため、食べる量も少なくなる傾向にあります。
そのため、春・夏・秋と同じ量の餌を与えても食べ残していることが多いです。
食べ残してしまうと、どうしても飼育水を汚す原因となるので、餌は必要最低限の量を与えるようにします。
私の家での管理では、夏に比べて1/2から1/3に餌を減らしています。毎日餌を与えるのではなく、2日に一度少量を与えるようにします。
また、生餌は止めて人口飼料を使うこともお勧めします。赤虫やミミズなどの生餌は、ザリガニの糞にもその成分が含まれるようになるため、あっという間に飼育水が汚れます。冬場の餌はザリガニ専用の人口飼料が一番適しています。
水槽の管理場所は玄関がお勧め
冬は屋外に水槽を置くと水温がどんどん下がり、最悪の場合には水面に氷が張ります。そして、ザリガニは冬眠状態に入ることでしょう。
また、寒い寒い冬空の下、ザリガニのお世話をするのが億劫になってしまうことは容易に想像できます。その結果、ザリガニ水槽を放置してしまうかもしれません。
そのため、ザリガニを冬眠させないことと、飼育者である皆さんが冬場でも確実に管理できるようにすることを考えると、冬場は家の中である玄関での管理がお勧めです。
お子さんと一緒にザリガニを飼育されている場合には、冬場でも玄関でザリガニを観察できます。
冬眠させないと冬でも脱皮して成長する
冬にザリガニを冬眠させないと、冬場でもある程度の活動をします。
下の写真は12月末に私の家で脱皮したザリガニの写真です。12月に入ると玄関でも水温は10℃前後になります。しかし、ザリガニの活動は続いており、寒い時期でも脱皮をしています。
これはザリガニの成長が冬場でも止まっていないことの証拠となります。(ザリガニは成長するために脱皮を繰り返します)
皆さんの飼育されているザリガニも、冬場に屋内で育ててあげれば、寒い時期でも脱皮が見られるかもしれませんよ!?
最も重要なことは放置しないこと
日本国内に自生している水生生物は、日本の四季を生き抜く力がある生物です。
暑い夏と寒い冬、その環境変化に適応し、近年の気候変動にも適応して生き抜いている生物です。
その力強さを裏返すと、冬場に水槽を放置しても生き抜いてくれるという安易な考え方になってしまうこともあります。
冬の間で活動量が少ないからと言って水槽を放置してしまうと、いつの間にか残念な結果になっているということも起こり得ます。
春夏秋冬のそれぞれに適した環境を整え、どの季節にも管理を怠らないことが全ての水生生物を飼育する前提条件となります。
ザリガニは強い生物なので水槽の管理を忘れてしまうことも多々ありますが、冬場に放置することなく次の春を迎えてあげましょう!
この記事の終わりに
この記事では冬場のザリガニの飼育方法として、ザリガニを冬眠させずに管理する方法を御紹介しました。
ザリガニは屋外で管理すると冬眠や休眠期に入ってしまうことが多々ありますが、水替えの必要性を考えると冬眠させずに越冬させる方が望ましいと考えます。
玄関などの屋内で定期的な水替えを行いながら管理することで、冬場もザリガニが活動・成長することができますし、その環境の方が冬の飼育環境として好ましいと思います。
ザリガニは厳環境を耐え抜く力がある水生生物ですが、水槽を放置することなく、冬場の管理も適切に行ってあげてください。