熱帯魚を「飼い込む」とは?その意味と実例を紹介

熱帯魚を飼育していると、よくアクアリウムショップに足を運ばれると思うのですが、そこで店員さんから「この魚は飼い込むと、素晴らしい魚になりますよ!」と言われて事がありませんか?

「飼い込む?」

私は最初にこの言葉を聞いた時、何のことなのかさっぱりわかりませんでした。

しかし、熱帯魚を飼育していると飼い込むことの重要性を体験することができます。

ここでは、熱帯魚の「飼い込み」について、少しだけ詳しく記事にしてみたいと思います。


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そもそも「飼い込む」とは?

熱帯魚ショップで水槽に陳列されている魚って、とても綺麗で目を奪われてしまう魚ばかりではないかと思います。

特にネオンテトラが群泳している水槽は、小さなお子さんから女性の方まで素直に「美しい・綺麗」という印象を持たれると思います。

しかし、熱帯魚ショップで泳いでいる魚は、本来その魚が持つべき色・模様ではないことを御存じでしょうか?

熱帯魚ショップでは、入荷したばかりの比較的若い熱帯魚を販売しています。

言い換えれば、まだ生後数か月というような若い魚体が多いです。中には成魚になったものも販売されていますが、多くが若い魚体だと思います。

それらの魚は、まだその魚が本来持つ美しさを存分に発揮していない状態なのです。

その熱帯魚の持つ美しい魚体を100%出し切るには、落ち着いた水槽の中で月日をかけて飼育し、その魚にとって充実した水槽内での生活を実現してあげる必要があります。

そのため「飼い込む」ということが重要になり、美しい魚体を得るための基本的なポイントとなるのです。

何故「飼い込む」と魚が綺麗になるの?

水槽に慣れてストレスが減ること

まず第一に魚が水槽に慣れて、安心して生活を送れる状況にならなければなりません。

常にストレスを受けている状態だと、魚の色は変化します。

別の記事でも紹介をしていますが、魚は自分の体表の色を変化させることができるので、ストレスが与えられてのびのびと生きられない状況では、本来持つ模様や色を発揮することができません。

そのため、熱帯魚を購入後、ご自身の水槽の中でストレスを与えることなく、ゆっくりじっくりと育てる必要があります。

栄養豊富な餌で飼育できること

次に重要なことは、栄養価の高い人口飼料を適切に与えて、丈夫な体を作ることを手助けしてあげるのです。

綺麗な発色や美しい模様も、摂取する餌の栄養価によって影響を受けますし、赤色を強調するためには餌から赤色の原料を得ることが必要になります。

また、やせ細った魚というのは美しい体格とは言えません。そのため、拒食にならないように気を遣ってあげることも必要になります。

人間も同じですよね!?健康な体は、日々の管理された食事が大事になります。

成長により充実した魚体になること

最後に、成長による魚体の充実も重要な要素です。

魚によっては、子供の時には模様がくっきりしないが、成魚になるにつれてからの美しさや模様がくっきりする魚もいます。

成魚になって見られる素晴らしい模様は、熱帯魚ショップで泳いでいる若い魚では見ることが出来ないものです。

熱帯魚で人気の高いテトラ系の小型の魚たちは、特にこの傾向があります。

ネオンテトラは、小さい時は小さな青い魚というイメージがありますが、飼い込んで大きく育てることで青・赤・白がくっきり表れて、とても綺麗な魚体になります。


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飼い込むことで現れる熱帯魚の変化

それでは、熱帯魚を飼い込んだことで体色に変化した例を3つ御紹介します。

色が鮮やかになる① -ブルーリボンテトラの例-

飼い込むことで魚体の色に大きな変化でる魚種は多くあります。

上でも紹介しましたが、テトラ系の魚たちはこの傾向が強いです。

カージナルテトラやブルーリボンテトラ等、少し大きくなるテトラは飼育期間が長くなるほど色が鮮やかになってきます。

例えば、私の飼育しているブルーリボンテトラを参考例に紹介します。

上の写真は購入した当時のもので、下の写真は3カ月後の写真になります。

いかがでしょうか?写真写りもあるかと思いますが、青色が強くなり、真ん中の黒のバンドも鮮明になっていることがわかります。

約3カ月の飼い込みでも、ここまで変化を見ることができます。

ブルーリボンテトラの色変化

色が鮮やかになる② -コンゴテトラの例-

色が鮮やかになった2つ目の例としてコンゴテトラを紹介します。

上の写真はコンゴテトラをアクアリウムショップで購入した直後に撮影したもの、下の写真は飼育開始から約3か月経過した時の様子です。

LEDライトは同じものを使用していますが、明確に色が鮮やかになっているのが分かるかと思います。

ここまで綺麗になると、時間をかけて飼い込んだ意味が感じられると思います。本当に綺麗に仕上がってくれた魚の一つの例です。

模様がくっきりと現れる -レインボーフィッシュの例-

飼い込むと模様がはっきりとしてくる魚も多くいます。

例えば、アクアリストに大人気のコリドラスもその一つです。購入した時は子供の生体だと思いますが、大人になるにつれて特に黒色の模様がはっきりと出てきますね。

例えば、コリドラス・シュワルツィーはその傾向が強いように思います。

また、レインボーフィッシュも模様がくっきりと出てくる魚です。

下の写真は、私が飼育しているレインボーフィッシュですが、上を泳いでいる背びれを広げているのが飼育開始して半年のもの。下を泳いでいるのが購入した直後のレインボーフィッシュです。あまりにも色が異なるので、写真撮影しておきました。

上を泳ぐレインボーフィッシュの方が色がくっきりとしており、色もきちんと出ていることがわかります。これだけ模様や色がはっきり違うと、頑張って大切に飼い込んであげたいという気が湧きますよね!

レインボーフィッシュの模様の変化

写真を撮影しておくと変化が分かりやすい

毎日のように同じ熱帯魚を観察していると、小さな変化ってわからないんですよね。

体格の大きさは少し大きくなったかなぁ…と感覚的にわかるかもしれませんが、色や模様については購入当時の様子を覚えていないと思います。

そのため、購入当時の写真と飼育してしばらくした後の写真を見比べてみることをお勧めします。

私自身、飼い込むことの重要性を知ってから、なるべく写真を撮影するようにしています。


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「飼い込む」ことは「色揚げ」とは違います -レッドテトラの色揚げ例-

「飼い込む」と「色揚げ」は混同されやすいのですが、別の事を指します。

「飼い込む」ということは、上で紹介したように御自身の水槽で時間をかけてじっくりと熱帯魚の美しさを出してあげることです。

それに対して「色揚げ」は、人口飼料の中に色の成分を混ぜ込み、人工的に熱帯魚の色を変化させることを指します。色揚げは基本的に赤色の成分を含む餌を与えて、赤系の魚の色をより鮮明に赤くしていく作業の事です。

熱帯魚の王様であるディスカスが良い例ですね。真っ赤に染まったディスカスは、多くのアクアリストが夢に見る水槽ではないでしょうか?

ただ、ディスカス以外にも色揚げはできます。私の飼育しているレッドテトラというテトラ系の魚ですが、色揚げによって大きく色が変化しました。下の写真に例を挙げておきます。

上の写真が色揚げをする前のレッドテトラで、餌の工夫による色揚げ後の姿が下の写真になります。分かる通り、てかてかに光った赤色が鮮明になっていることがわかります。

レッドテトラ当初
レッドテトラ色揚げ後

このレッドテトラの詳細は、別の記事にまとめていますので、そちらを御参照下さい。

この記事のまとめ

この記事では、熱帯魚の「飼い込み」による体表の色や模様の変化について、詳しく御紹介させていただきました。

飼い込むというのは、言い換えれば「愛情をもって熱帯魚を育てる」という行為だと思います。

愛情をもって育てた分、熱帯魚は美しい体を作ってくれて、皆さんを満足させてくれるのだと思います。

熱帯魚ショップを泳いでいる魚よりも美しい魚を育て上げることが出来れば、それは「飼い込み」に成功したと言えるのだと思います。

作り上げた自分だけのレイアウト水槽の中を、自分で育て上げた美しい魚が泳ぐ風景は、何にも代えがたい宝になります。