熱帯魚の色は何で決まるの?失敗しない魚選びのポイント

熱帯魚には多くの魅力がありますが、その魅力の中でも鮮やかな色を楽しめることは、誰もが感じる最も大きな魅力ではないでしょうか?

ネオンテトラの様に鮮やかな青や赤を持つ魚や、プリステラのような銀色に輝く魚、アルビノと言われる真っ白な魚までいますので、自分が好きな色を持つ魚で自分だけの水景を楽しむことができます。

しかし「そもそも、魚の色って何で決まるの?」という疑問がありませんか?

私自身、様々な魚を飼育してきましたが、それぞれ色が異なり何が違って色の違いが生まれてくるのか?大きな疑問でした。

この記事では、魚の持つ「色」そして「発色の原理」について御紹介していきたいと思います。


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何故、魚には様々な色があるのか?

魚に様々な色や模様がある理由には様々あるのですが、もっと大きな理由は仲間とのコミュニケーションを取ったり、自分の仲間であることを認識することであると考えられています。

魚は言葉を喋ることができませんし、イルカのように超音波で信号を送受信することもできません。

つまり、視覚という大事な感覚で様々な情報を得ていることになります。自分と同じ種類の仲間であることや敵であることを、色や模様で認識しているのです。

例えば、水槽内に複数種の魚種を、それぞれ2,3匹ずつ飼育していると、必ず同じ仲間同士で集まっていませんか?これは魚たちが形や色で自分の仲間だと認識して、共存している証拠です。

また、産卵期になると、身体の色が変化する魚もいますし、敵を威嚇するために色を変化させる魚もいます。これも目で見ることのできる変化を起こすことで、魚同士が見た目で様々なコミュニケーションをとっている証拠なのです。

周囲の色と同化するように色を変化させるものもいますが、これは身を守るために身に付いた能力ですね。

鮮やかな赤のグッピー

魚の色は何で決まる?

体表の「色素胞」による発色

魚の色を決める一つの起源は、体表に存在する「色素細胞 (色素胞)」と呼ばれる組織で、これが発色の原理の一つ目です。

色素細胞は、魚類の場合には慣習的に「色素胞」と呼ばれているので、この記事でも色素胞と呼びたいと思います。

色素胞にも種類があり、それぞれの色素胞ごとに色が異なります。主なものとしては、次の色素胞があります。

・黒色素胞…メラニンを成分とし様々な光を吸収する黒色の色素胞
・赤色及び黄色素胞…カロテノイドを持つ赤や黄色の暖色系の色素胞
・虹色素胞…色を持たないがグアニンから成る色素胞
・白色素胞…独自の色を持つことは無いが、様々な光を反射するため白色に見える色素胞

特に、魚の鮮やかな銀色を演出するのは虹色素胞です。ギラギラと輝く鱗は虹色素胞と別の色素胞で構成されています。

また、色の色素胞の変化が長い時間をかけてゆっくりと行われるものを形態学的体色変化、瞬時に変化するものを生理学的体色変化と呼びます。この変化の正式名称までは覚えないくても良いかと思いますが、そのような呼ばれ方をすることは、頭の片隅に入れておいても良いかもしれません。

生理学的体色変化の良い例が、カメレオンかと思います。一瞬にして色を変えて自然の中に溶け込んでいきますよね。ただ、最近の発表では、実は下で紹介する「反射小板」の様に表皮の結晶構造を変化させて反射する色を変えているということもわかってきました。奥の深い世界です。

光の回折を使う「反射小板」による色変化

魚の色変化を司るもう一つの機構が「反射小板」による反射光の変化によるものです。

魚の種類にも依りますが、体表に反射小板と呼ばれる小さな板が連なり、この反射小板の角度を調整することによって色が変化します。

図を用いた方がわかりやすいので、図1で解説します。

図1(a)に示すように、通常はこの反射小判の角度が「角度A」になっているとします。この角度Aは、自然光の中で青色の光だけを反射することができるとします。すると、私たちの目には魚が反射した青色の光が入りますので、魚は青色に見えます。

反射小板の説明図
図1: (a)反射小板が青色を反射する角度 (b)反射小板が緑色を反射する角度

次に、魚が自分自身で反射小板の角度を「角度B」に変化させたとします (図1(b)参照)。すると、反射される光の色が変わり、例えば緑や黄色に変化します。これにより魚の体表の色が緑色に変化します。

学生時代に光の分光や回折を学んだ記憶はないでしょうか?その現象を反射小板が担って魚の色を変えているのです。

このように、反射小判の角度で色を変えている良い例がネオンテトラです。ネオンテトラの体の表面には、反射小板が並び、ストライプ上に青色を反射する角度と赤色を反射する角度が存在するため、青と赤の色を反射し、虹色素胞の助けもあって輝く青と赤になるのです。


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毎日見れる熱帯魚の色変化の例

ネオンテトラの色変化

ネオンテトラと言えば熱帯魚を代表する魚と言っても過言ではありません。ネオンテトラを飼育している方は多いのではなないでそうか?

ネオンテトラは鮮やかに光り輝く青色と赤いラインが特徴的な小型カラシン科の魚です。

昼間や水槽用ライトが点灯している時のネオンテトラは、鮮やかな色をしているかと思いますが、実は夜になってライトが消えるとその輝きが少し薄れます。

具体的には鮮やかな青色ではなく、光沢感の全くない薄い青色になります。これは、リラックスして休んでいる証拠でもあるのですが、その時は体の発色が少し無くなります。

朝、ライトを点灯した瞬間のネオンテトラを見たことがある方は分かるかもしれませんが、白っぽい濁った青色をしています。目が覚めて活動を開始するとあっという間にいつも通りの鮮明な青色に戻りますのでご心配なく。

カージナルテトラの写真

コリドラスの模様が薄れる

コリドラスも人気の熱帯魚で飼育している方が多いかと思います。

コリドラスの種類によりますが、黒斑点のあるものがいます。例えば、コリドラス・パンダ、コリドラス・アガシジィ、コリドラス・シュワルツィ等ですね。

これらのコリドラスも、夜のリラックスした時間になると黒い斑点がすこし白っぽくなります。少しわかりにくい所もあるのですが、毎日観察していると、朝のライトを点灯した瞬間に確認できるかと思います。

「色揚げ」で鮮明な赤を強調する

アクアリウムで魚の色を楽しんでいると必ず聞く言葉があります。

「色揚げ」という言葉です。

この言葉もアクアリウムの村言葉のように思えますが、赤やオレンジ色の暖色系を持つ魚の赤色を美しく強調させることを指します。

魚の色を黒から赤に変えたりすることはできませんが、生まれつき赤色素胞を持つ魚については、その赤色を増やすことで赤色を強く発色させることができます。

言い換えれば赤色素胞の働きを増やして、鮮やかな赤色を人工的に出してあげるような行為になります。

色揚げの方法は与える餌です。与える餌の成分に赤色を強調できる餌を与えるのです。具体的には、赤虫やブラインシュリンプ等の生餌、そして赤色を強調させる成分の入った人口飼料です。そのような餌を与えることで、徐々に赤の色素を持つ熱帯魚の体が赤くなり、より鑑賞性が高まります。

有名な熱帯魚では、ディスカスやベタですね。真っ赤に色づいたディスカスを見たことがありませんか?あの色は餌の工夫で成り立って場合が多いです。

どこまで赤さを追い求めるか…ですが、赤色を追及して餌の工夫をするのも熱帯魚飼育を楽しむ方法です。

もちろん、熱帯魚に影響のない範囲で楽しみましょう。色揚げの原理についても、またどこかで紹介したいと思います。

熱帯魚の王様であるディスカス

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アクアリウムショップの熱帯魚の色が自宅で再現しない?

アクアリウムショップで熱帯魚を選ぶとき、非常に美しい色をしており、その姿を見えて購入してしまう方も多いかと思います。

しかし、自宅に持って帰ると「あれ?何か色が違う…」「あれ?色が変わってきた?」と思うことが良くあります。

その原因を以下で説明します。

購入後に色が変わることもある

熱帯魚ショップでは、より魚を綺麗に見せるために、餌に工夫をしていることがあります。

そのため、購入して自宅の水槽に入れておくと、いつの間にか色が変わってしまっていることがあります。

「購入当時は赤色が鮮明だったのになぁ…」と思われることがあるかもしれませんが、それはショップの方で餌に工夫をしていたことが考えられます。

もし、ご自宅でも同じような色を出したい場合、購入したショップに相談すると良いでしょう。

アクアリウムショップでは、冷凍赤虫等を与えているところも多くあります。その魚を購入し、家で一般的な人口飼料を与えていると、色が落ちてしまうことが多々あります。

ライトの色で熱帯魚の色が変わる

熱帯魚ショップで使用しているライトの色は、その魚が最も輝き、素晴らしく見えるような色を使っています。

例えば、少し赤が強いライトを使えば、白い魚がピンク色に見えたりします。青色が強いライトをネオンテトラに使うと、青色がさらに鮮明に強く見えます。これは、水草にも言えて、緑色が強く光量の多いライトを水草に使うと、生き生きとした緑色になるのですが、一般的なライトではその色は出ません。

以前、ラスボラ ヘテロモルファ ゴールドという熱帯魚をショップで見た時、「ゴールド」という名前なのに、とても綺麗なピンク色をしていることに気付きました。

ショップの店員さんに「ゴールドなのにピンク系何ですか?」と聞くと、「これはライトが赤系なのでピンクに見えるんですね」というお答えをいただきました。

あのピンク色は本当に綺麗だったので、購入してしまおうかと迷いましたが、ライトが無いと出せない色であるということで購入しなくてよかったという経験をしました。

色を気にして熱帯魚や水草を購入する時は、熱帯魚ショップで使用しているライトも確認しながら選ぶことが非常に重要です。購入後にご自宅でガッカリしないためにも。

熱帯魚や水草の色選びで、一番失敗するパターンがこのライトの影響といっても良いくらいです。必ず購入の前には確認しておきましょう。

この記事のまとめ

この記事では、熱帯魚の色を決める色素胞や反射小判の原理について紹介をさせていただきました。

色とりどりの熱帯魚の発色の原理を、少しでもご理解いただけたでしょうか?

勿論、ここで紹介した以外にも熱帯魚の色や模様を決める要素はあります。ですので、一つの知識としてお考えいただければ幸いです。

また、熱帯魚を購入する際の色に関する注意点も説明させていただきました。アクアリウムショップでは、熱帯魚を最も美しく見せるための努力をしているので、あのような綺麗な水槽になるのです。

その水槽を御自宅で実現するには、魚の発色の原理や餌の選び方、またライトの選び方も学ばなければいけません。

少し奥が深くてマニアな世界に入ってしまいますが、自分だけの綺麗な色を追い求めてみるのも良いかもしれません。