サイアミーズ・フライングフォックスの成長速度を実測

淡水水槽に発生する苔や藻をきれいに食べてくれる生体として有名な「サイアミーズ・フライングフォックス」。

水槽のメンテナンスフィッシュ (コケ取り生体) として導入している方も多いのではないでしょうか?

コケを食べてくれる生体には、サイアミーズ・フライングフォックスの他にも「ヤマトヌマエビ」や「ミナミヌマエビ」、そして「オトシンクルス」などがいますが、黒髭苔までも処理してくれという観点ではサイアミーズ・フライングフォックスの右に出るものはいないのではないでしょうか?

実際、60cm水槽にサイアミーズ・フライングフォックスを1匹導入しただけで、黒髭苔は2週間程度であっという間に水槽の中から消えていきました。

そんなサイアミーズ・フライングフォックスですが、アクアリウムショップで販売されている時にはとても小さな生体ですが、どのくらいの期間で大きく成長していくのか御存じですか?

サイアミーズ・フライングフォックスは、成魚になると概ね10cmくらいまで成長するのですが、どのくらいの期間をかけて成長していくのでしょうか?

この記事では、そんな疑問に答えるため、サイアミーズ・フライングフォックスの成長速度を約9カ月測定した結果を紹介したいと思います。


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サイアミーズ・フライングフォックスの成長速度を実測した理由について

淡水水槽のコケ取り生体を選ぶとき、皆さんは何を指標にしてコケ取り生体を選びますか?

もちろん、一番大切な事は「確実にコケを食べてくれること」だと思います。

そして、その次に大切な事は「コケ取り生体は水槽の中であまり目立たない存在である方が望ましい」ということでは無いでしょうか?

水草水槽をはじめとするレイアウト水槽を立ち上げていく際、その水槽にマッチしたメインの熱帯魚選びにも気を遣うところだと思います。

そのメインとなる熱帯魚にオトシンクルスやサイアミーズ・フライングフォックスを選ぶ方は少数派では無いかと、個人的に思っています。(オトシンクルスやサイアミーズ・フライングフォックスには失礼ですが…)

正直なところ、オトシンクルスやサイアミーズ・フライングフォックスは派手な体色を持たないため、あまり水槽の中でパッとする存在では無いんですよね。

レイアウト水槽のメインフィッシュとしては「グリーンネオン」や「カージナルテトラ」などが人気と言われていますが、美しい体色がレイアウト水槽に映える存在だからだと思います。

そして、サイアミーズ・フライングフォックスはコケ取り生体の中では最も大きくなる魚の一つです。(アルジイーターは更に大きくなりますが、サイアミーズ・フライングフォックスも大きくなるコケ取り生体の一つです。)

そのため、アクアリウムに関わる知識の一つとして、サイアミーズ・フライングフォックスがどのくらいの速度で成長していくのか?を実測して調べてみようと思ったんですね。

サイアミーズ・フライングフォックスの成長速度を実際に測定した人はあまりいないでしょうし、これからレイアウト水槽を立ち上げて、サイアミーズ・フライングフォックスを導入される方にとっても参考例になると思ったんです。

ということで、サイアミーズ・フライングフォックスの成長速度を実測した結果を紹介していきます。

成長速度の実測方法 -これが一番大変だった事-

サイアミーズ・フライングフォックスの成長速度を実測する際、最も困難なのがサイアミーズ・フライングフォックスの体長の測定です。

サイアミーズ・フライングフォックスは、泳ぎが得意でとても素早いので、水槽の中に導入すると網で捕まえることができません…。

特に水草や流木が配置されたレイアウト水槽となると、レイアウト素材が邪魔になってしまい、サイアミーズ・フライングフォックスを捕まえることは、ほぼ無理です…。

そのため、今回、サイアミーズ・フライングフォックスの体長を測定する方法として、次の方法を採用しました。

まず最初に、次の写真の様に、サイアミーズ・フライングフォックスが流木の上にいるタイミングで写真を撮影します。私が飼育しているサイアミーズ・フライングフォックスは、写真の流木が好きで、結構多くの時間をこの流木の上で過ごしていました。そのため、写真を撮る機会が結構ありました。

そして、次の写真の様に、サイアミーズ・フライングフォックスの口先の位置(写真でAと記載された位置) と、尾鰭の先がある位置 (写真でBと記載された位置) を確認します。

その後、サイアミーズ・フライングフォックスが流木の上から離れた瞬間に、このAの位置とBの位置を確認し、AB間の距離を物差しで測定します。

この方法だと1mmから2mm程度の誤差は生まれてしまいますが、ある程度正確な体長測定が可能だと思います。


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サイアミーズ・フライングフォックスの飼育環境

次に、今回の記事で成長速度を測定したサイアミーズ・フライングフォックスの、飼育条件について紹介します。

飼育設備の紹介

水槽サイズ: 60cm規格水槽

水草: ロタラをメインとして、クリプトコリネやルドヴィジアを植栽 (一般的な水草水槽)

換水頻度: 週に1回、水槽の1/2の水量を交換

水温: 年間を通じて25℃で管理

飼育生体: 小型カラシン科の熱帯魚…約20匹、ヤマトヌマエビ…4匹、ミナミヌマエビ…多数

フィルター: エーハイム2213

水槽用ライト: アクロ製Triangle LED Bright

人口飼料は与えず、餌は苔や藻のみで飼育

成長速度に影響を与える餌についてですが、私の飼育しているサイアミーズ・フライングフォックスには、人口飼料を一切与えていません。

餌を与える時間帯には、小型カラシン科の魚だけが餌を食べている姿を確認しており、餌の時間にはサイアミーズ・フライングフォックスは餌場に姿を現していません。

一部、水底に落ちた人口飼料を食べたことがあるかもしれませんが、水槽の中に発生した苔や藻だけを食べて成長している状態になります。

サイアミーズ・フライングフォックスの成長速度の実測結果

では、実際に成長速度の測定結果を紹介していきます。

まず最初に、写真で成長過程を御紹介し、その後に成長速度の測定結果をグラフ化したものを掲載します。

写真で見るサイアミーズ・フライングフォックスの成長

下の写真がサイアミーズ・フライングフォックスの成長過程を紹介したものになります。

正直なところ、写真だと縮尺が上手く合わないので、体長を確認しにくいというのが短所ですね。

ただ、購入当時と3カ月後の外観を比べると、確実に成長していることがお分かりいただけるかと思います。

特に、口の吸盤の部分を見ていただくと、購入当時は吸盤にも幼さが残っている印象があります。

そして、9カ月後の写真が次の写真になります。

体の成長と共に、鱗の縁がしっかりとしてきて、模様が明確になってきていることもわかりますね。

成長速度の測定結果をグラフ化

下の図が、サイアミーズ・フライングフォックスの飼育経過日数と、体長の測定結果をグラフ化したものになります。

横軸の飼育経過日数0がアクアリウムショップでサイアミーズ・フライングフォックスを購入した日で、体長が約4.5cm程度の小さな個体でした。

その後の成長ですが、7カ月目までは比較的早い成長の速度だったのですが、9カ月目を迎えると、成長の速度が落ちてきています。

これは、7カ月目まではサイアミーズ・フライングフォックスの体が幼く、魚体がどんどん成長する時期にあり、9カ月を過ぎるころから成魚に近付いて成長速度が落ちていくためだと思われます。

人間も同じで、中学生くらいまでは一気に身長が伸びて、高校生くらいから成長速度が落ちていきますよね?それと同じことなのかと。

今回の確認では1匹しか検証していませんが、サイアミーズ・フライングフォックスは、約9カ月くらいを目途にして、魚体が成魚に近付いていくということになります。本来は10匹くらいを検証すべきですが、そんなにたくさんのサイアミーズ・フライングフォックスを飼育できないので…その点は御容赦願います。

サイアミーズ・フライングフォックスは、一般的に約10cmくらいまでは成長することが知られていますので、今回紹介した個体はもう少し成長する余地はありそうです。実際に、9カ月目でも少し成長の様子があるので、そのまま見守っていきたいと思います。

ただ、8cmくらいまで成長すると、メンテナンスフィッシュでは無くメインフィッシュかの様に見えてしまいますね…。

サイアミーズは成長と共に少し攻撃性が出てくる

サイアミーズ・フライングフォックスは、体が小さな時は他の魚を追い回すような仕草を全くしないのですが、大きく成長すると少し攻撃性が出てきます。

これは、アクアリウムショップの店員さんにも聞いたので正しい理解だと思いますが、成魚になるにつれて、縄張り意識を持つような行動が出てくるとのことです。

実際に、私の飼育しているサイアミーズ・フライングフォックスも、8cm程度まで成長する前から、カージナルテトラを追い回すような仕草が出てきました。

水槽の中で常に威張っているわけでは無いですし、他の魚を傷つけるようなことは無いので放任していますが、気になる方は気になってしまうかもしれません。


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成長速度は与える餌で大きく変わる!

私がサイアミーズ・フライングフォックスを購入する際、アクアリウムショップの水槽に立派に成長した約10cmくらいはありそうなサイアミーズ・フライングフォックスが泳いでいました。

店員さんに「このサイアミーズ・フライングフォックスは、飼育期間がどのくらいですか?」と伺うと、「お店に入って来てから8カ月か9カ月くらいですね」と言われました。

「餌は人口飼料を与えているのですか?」と続けて伺うと、「朝と晩に1回ずつ栄養価の高い人口飼料を与えている」とのことでした。

私の今回の実験では、飼育期間が9カ月程度では、まだまだ10cmには届かない約8cm程度です。

この成長速度の差には、色々な理由があるかと思いますが、やはり人口飼料を与えているのと与えていないのでは、成長速度に差が出るのだと思われます。

私の水槽では人口飼料は与えず、水槽内に生えた苔や藻しか食べ物が無いので、それほど栄養価の高い食事を摂取できているとは言えません。(自然界では基本的に苔や藻を食べることになるので、飼育上の問題は無いかと思っています。)

そのため、人口飼料を与える飼育環境に比べると、確実に成長速度は落ちると容易に想像できます。

コケ取り生体であるサイアミーズ・フライングフォックスの成長速度を上げることに意味は無いと思いますが、早く大きく成長させたい方は人口飼料を適切に与えることも重要なのかもしれません。

しかし、人口飼料に慣れてしまったサイアミーズ・フライングフォックスは、コケを食べなくなってしまう可能性もあります。その点は注意していきましょう!

この記事の終わりに

この記事では、サイアミーズ・フライングフォックスの成長速度を実測した結果を紹介させていただきました。

測定方法には多少の誤差はあるかと思いますが、購入時に4.5cmの体長だったサイアミーズ・フライングフォックスは、苔と藻だけを食べる環境で約9カ月程度で概ね成魚 (約8cm以上) と呼べる体調まで成長するという結果となりました。

この成長速度が速いのか遅いのかに関して考えると、速くもなく遅くもない、一般的な成長速度かと思います。

特別なことをしていない一般的な水草水槽の環境で、約1年くらいをかけて体長10cm弱まで育つような結果になりましたので、新しくサイアミーズ・フライングフォックスを導入される方は、そのくらいの感覚で飼育をしてもらえればOKかと思います。

また、サイアミーズ・フライングフォックスは、大きく成長すると他の魚とのトラブルが生じることがありますが、そのデメリット以上にコケ取り性能が高いことは確実です。

体が大きな分だけ口の空版の力が強く、食べる量も多いため、60cm水槽であれば1匹導入するだけで黒髭苔を大量に処理してくれます。

皆さんも、サイアミーズ・フライングフォックスに水槽内の苔や藻を綺麗に清掃してもらってはいかがでしょうか?

では!