悪臭を防ぐサワガニの水槽管理方法

夏に家族で山へ遊びに行ったとき、森や林の中に流れる清流でサワガニを捕まえることがありますよね!

子供は水生生物が大好きなので、自然の中で数時間サワガニを探して、10匹以上捕まえることも多々あります。サワガニが沢山いる沢では30匹くらい捕れることもあったりします。

その後、必ずと言っていいほど子供がサワガニを持ち帰りたがるんですよね。何かを飼育するということは教育的にも良いという観点もあり、親も頑なに拒否できず、結局家でサワガニを飼育することになります…。

でも、知っている方もいるかもしれませんが、サワガニを家で飼育すると、必ずと言っていいほど生臭い「悪臭」に困ることになります。鼻を塞ぎたくなるような臭いになることもしばしばあります。

この記事では、サワガニの悪臭となる根本的な原因と、悪臭を抑制する飼育方法を御紹介したいと思います。


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サワガニの水槽が臭う理由

まず最初にサワガニの水槽が臭ってしまう根本的な原因をまとめておきたいと思います。実は、サワガニ自身が臭いを発しているのではなく、飼育環境が悪臭の原因になっている場合がほとんどなのです。

餌が腐敗すること

多分、多くの方がサワガニの餌に「シラス」やお刺身の余りである「魚の切り身」、または「スルメイカ」等を与えているのではないでしょうか?

私も子供の頃にサワガニを飼育した時、祖父母や父親からシラスをもらってサワガニに与えていた記憶があります。そして2日くらいすると、水槽の中から非常にきつい悪臭がしていたことも覚えています。

このサワガニの餌ですが、生ものを与えると腐敗が非常に速いため、悪臭の原因のNo.1と言っても良いくらいです。

しかも、サワガニが食べきれないような多い量を一度に与えることもあるかと思います。その食べ残しって、ただ腐敗するだけで、サワガニが食べる訳もないのですよ。

例えば、与える餌を人口飼料にしてあげるだけで、水槽の臭いを和らげることもできます。

バクテリアによる生物濾過が不十分であること

2つ目の理由は生物濾過と言う濾過機構が無いことです。

サワガニの水槽は、水槽の中に少しの砂利や石を入れて、そこに飼育水を1cmか2cmくらい張っていることが多く、わざわざフィルターを使うことなんてないですよね!?

それに、遊びに行ったときに捕まえたサワガニを飼育するために、わざわざお金を払ってフィルター類をそろえるような事もないと思います。

生物濾過と言うのは、フィルターの中に棲むバクテリアが、アンモニアなどを分解して臭いを抑制してくれる濾過の事なのですが、その機構がなければ臭いの原因となる物質が溜まる一方になります。

ある程度の水深のある水槽で、ブクブクを使用するだけでも臭いの発生は確実に抑制することができます。

水の量が少なく水質の悪化が早い事

水槽の中の水の量は、少なければ少ないほど水質が悪化していく速度が速いです。

サワガニの水槽は、金魚や熱帯魚を飼育する水槽と違って、水深を浅くするため、どうしても水槽の中の水が少なくなります。

そのため、上で紹介した餌の量や生物濾過が無い状況も相まって、どんどん水質が悪化して臭い原因物質が増えていきます。

サワガニを捕まえるのが夏の時期だから

そして最後の理由は「夏」です。

サワガニを捕まえるのって、大体のところ夏場に渓流に泳ぎに行ったときなどですよね。つまり、サワガニの飼育を始めるのは夏場がほとんどです。

日本の夏は非常に暑く、昼間の気温が30℃を下回る日が珍しいくらいです。

気温が高いとサワガニが食べ残した餌の腐敗は早く進み、水質の悪化も温度が高くなるほど進行していきます。

つまり、上で紹介したどの項目を取っても、夏の暑さと相乗効果で臭いの原因が生まれていくことになるのです。

サワガニ水槽のレイアウト例

下で臭いを抑制する方法を紹介しますが、その前に、サワガニを飼育するための水槽の例を紹介しておきます。

まず、サワガニが生息する渓谷の状態を再現してあげる必要があります。

サワガニは常に水中で生活するのではなく、陸上にも上がってきますので、水陸両方の環境を作る必要があります。

また、サワガニが安心できるように隠れ家になるような隙間も必要になります。

それらを踏まえると、下の図に示すように、自ずと水槽内の状態が決まってきます。

私がポイントだと思うのは、上の図にも記載していますが、砂利を敷かない場所を作ることです。この場所があると、ホースで水替えをするときも砂利を吸い込むことなく水替えをすることが出来ます。

また、砂利を敷いてある絵を描きましたが、砂利ではなく、石を並べて陸地を作ってあげても問題は無いです。水草はあれば入れてあげると色どりが良くなりますよ。サワガニのいる沢に生えているシダ植物などが良いかと思います。

また、絶対に水槽が必要であるわけではありません、大きなバケツやそれに代わるような容器でも飼育が可能です。

水槽の高さがあると、サワガニが脱走しなくなるので、比較的高さのある容器の方が適しているかと思います。


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臭いを抑制する水槽の管理方法

ここからは実際にサワガニの悪臭を防ぐために必要な管理方法を詳しく紹介していきたいと思います。

サワガニを飼育される方の多くがフィルターを用いない場合がほとんどだと思いますので、フィルターを使用しないことを前提でお話したいと思います。

また、サワガニは清流に棲む水生生物なので、水質の悪化や気温の違いには弱い生き物であることも忘れてはいけません。

【最重要】水替えの頻度を上げること

フィルターを使えないということは、生物濾過による水質改善が無いという状況になりますので、水質を改善する方法は唯一つ…水替え頻度を高くすることです。

出来れば水替えは毎日行いたいくらいです。

お子さんがお世話好きであれば、夕方の帰宅後に毎日水替えをしてあげても良いくらいです。

水替えによって飼育水の中のアンモニア濃度が減りますし、食べ残しやサワガニの糞も除去できるので臭いの原因を水槽内から減らすことができます。水替えのタイミングで水槽の内壁を清掃してあげることも悪臭抑制に効果的です。

毎日水替えをすることが難しい場合も有ると思いますが、臭いを少しでも減らしたい場合、特に室内での飼育の場合には2日に一度は水替えが必須です。

また、絶対に忘れてはいけないのが「カルキ抜き」です。ペットショップでも安く販売されているので、必ず使って水道水を処理してください。

日陰または室内の涼しい場所で管理すること

上で紹介しましたが、夏の強い日差し、屋外の高気温の中に置いておくと水質の悪化速度が一気に増します。そのため、夏場は涼しい日陰で管理することが必須です。

そもそも、サワガニの生息する渓谷は気温が30℃程度ですし、川の水は水温の低い湧き水になります。そのため、市街地の高温環境下に置くと、水温の上昇で命の危機に立たされることになります。

夏場に飼育するサワガニが命を落とす原因は、水質の悪化と高温だと言い切れます。

また、高水温や水槽内が高温になることは、餌や糞の腐敗速度を急激に上げますので、悪臭を助長しているようなものです。

餌は人口飼料を用いて与え過ぎないこと

餌については、なるべく生餌は避けるようにします。

シラスや魚の切り身、スルメイカなどはサワガニの代表的な餌だと思われがちですが、腐敗により臭いがきつくなる餌でもあります。また、その生餌を食べたサワガニの糞も、生餌の成分を含むため悪臭の原因になります。

そのため、悪臭を抑制するという観点では、熱帯魚や金魚の餌などの人口飼料の方が適しています。

また、餌は与え過ぎず「ちょっと少ないかな?」と思うくらいが丁度いいです。食べ残してしまうより、確実に食べきれる量を与えるべきです。

サワガニを大量に飼育しないことも重要

山にサワガニを捕りに行くと、数十匹単位で捕れることもあるのですが、小さな水槽で大量にサワガニ飼育すると、それも悪臭の原因になります。

サワガニが多くいるので、たくさん餌が必要だと思い大量に餌を与えれば、サワガニの糞も多くなります。また、少ない水量の中で多くのサワガニを飼育すれば、水質の悪化も想定以上に早くなります。

どんな生物の飼育でもそうですが「過密」は絶対に避けるべき飼育環境だと言えます。

例えば30cm位の水槽であれば5匹くらいを上限に、60cm水槽であれば10匹くらいを限度にすべきです。

サワガニを持ち帰る時も、飼育できる数を考えて、持ち帰るようにしてくださいね!


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この記事の終わりに

この記事では、子供の夏休みにありがちな「サワガニの飼育」について、水槽の悪臭を防ぐという観点で飼育方法を紹介させていただきました。

サワガニの水槽が臭う原因は、基本的には「餌の腐敗」と「水質の悪化」です。サワガニ自身が臭いを放っているわけではありません。

その原因を知り、水替え頻度を上げて、餌の内容や量をきちんと管理すれば悪臭は防ぐことが可能です。飼育される皆様の心掛け、努力で臭いは最小限に抑えることが出来るのです。

お子さんと一緒にサワガニ飼育をすることになったパパ・ママに御参考になれば幸いです。