オランダプラント (水草) のトリミングと差し戻し方法

淡水アクアリウムの水草で、後景草として人気のあるオランダプラントですが、非常に成長速度が速いことが特徴です。有茎草ということで、一度成長のスイッチが入ると、どんどん伸びて楽々と水面に到達するような大きさになります。

そのため、他の水草との成長に差が出やすく、オランダプラントだけが成長してしまうというような事も起こります。

しかし、オランダプラントは葉が多く、葉の表面は鮮やかな緑色、葉の裏は紫色という特徴的な水草ですので、適宜トリミングで切り戻しながら上手くレイアウトの中に取り入れると綺麗な水草の森を演出できます。

この記事では、成長したオランダプラントのトリミングと、切り取った茎の差し戻しによる植栽について方法を紹介ていきたいと思います。

また、オランダプラントの成長速度については、下の過去の記事でも紹介しています。


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成長し過ぎた水草の弊害について

水草が元気よく健康的に水槽の中で育ってくれることは、レイアウトを作っている方からすると、とても嬉しく思うことではあります。

しかしながら、成長しすぎた水草は実は水槽内の環境に変化を及ぼす可能性があります。

最も大きな原因は、水槽用ライトの光が水底に届かなくなることです。

まずは、一例を下の写真で紹介したいと思います。

この写真はオランダプラントの近くに植えたショートヘアーグラスの様子です。まだ植えてから10日くらいなのですが、オランダプラントに近い位置で日陰になってしまっている部分のショートヘアーグラスが、枯れ込んでしまっていることが分かります。

それに対して、水槽の前面で水槽用ライトがしっかりと当たるショートヘアーグラスは、緑色で健全な状態であり、ランナーも伸ばしてくれている状況です。

もちろん、オランダプラントによる日陰が全ての原因とは言えないかもしれませんが、ショートヘアーグラスは強いライトが必要な前景草でもあるので、日陰になってしまったことは枯れ込んだ主要因かと思われます。

オランダプラントに限らず、育ち過ぎて大きくなった水草がある場合、その水草が水槽用ライトの光を全て奪ってしまうと、下にある水草の光合成に支障が出ますので、水草の育成に弊害が出る可能性があるということです。

特に、植栽直後で根がしっかりと張っていない水草などは、光合成を含めて根の成長が必要ですので、ライトの光が遮断されてしまう弊害は大きくなると容易に想像できます。

オランダプラントのトリミング方法

今回の記事でトリミングする水草は、下の写真のオランダプラントです。植栽から1カ月程度ですが、成長力の速さで既に水面に到達するような状態になっています。

このオランダプラントのトリミング方法ですが、まず最初にどこで切るのかを確認します。そのためには、オランダプラントの新芽がどこから出てくるかを理解しないといけませんね。

有茎草の植物は、基本的には葉の付け根から新芽が出てきます。言葉では少し伝わりにくいかもしれないので、下に図を用意しました。

植物には基本的に「頂芽優勢」という性質が備わっていることが多いです。これは、最も高い位置にある新芽を優先的に成長させるという性質です。簡単に言うと、太陽に最も近い位置に養分を集めて成長することで光合成で得る養分を多くするという植物の能力になります。

この性質を知れば、どの位置でトリミングをすればよいかが、概ねご理解できるかと思います。

何も考えずに単に切り戻すのではなく、新芽が出てきて欲しい位置を認識して切り戻すことで、より綺麗なレイアウトが作れるかと。

実際にトリミングで切り取った後のオランダプラントが下の写真の通りです。

なるべく葉の付け根のすぐ上で切り落とすようにしています。その方が、新芽が出てきた時に邪魔になりません。


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トリミングした茎は差し戻して再利用

トリミングで切り取った部分については、差し戻して新たな株として再利用することが可能です。単純に水草の株数を増やすことができるので、とてもお勧めの方法です。

差し戻しの方法を、ポイントを含めて以下で説明します。

まず最初に、差し戻す茎を適当な長さに切ります。できれば、切り戻した元の株と同じくらいの長さか少し短いくらいになると良いです。

その後、下の写真に示すように、ソイルに差し戻す部分に付いている葉を全て取り除きます。葉が付いていると、ソイルに差し戻しにくいですし、葉が腐敗する原因にもなります。

また、もともと葉が付いていた部分の「節」は、新芽の出る位置でもあるのですが、ソイルに埋めると新しい根が発生するポイントにもなります。

差し戻し後のオランダプラントの状態

上で準備した差し戻す茎を、実際に水槽に植えた後の写真が下の通りです。

トリミングされた元々あった株の隙間に植えることで、より密度の高いオランダプラントのジャングルができます。葉を茂らせて密集させたい場合などは、トリミングと差し戻しの併用がお勧めです。

ただし、密集させ過ぎると、それはそれで株の下方にライトの光が届かないのであまり良いことでは無いのですが…。適度な密度が大切ですね。


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差し戻しから10日後の新芽の芽吹き

差し戻しを行ってから、10日後のオランダプラントの写真を下の画像になります。

切り戻した部分のすぐ下にある発芽点から、新しい芽が出始めました。

この部分から複数の新しい芽が出てきて、再び多くの葉を形成しながら成長が始まります。

このまま放置しておくと、新しい芽が大量に出てきて葉が過密状態になるので、芽かきなどで目の数を制限する等の処理も検討しましょう!

トリミングによる環境変化の小話

トリミングを行うと、場合によっては水槽内の環境が一時的に大きく変わります。

大きく成長していた水草の中を縄張りにしている魚や、隠れ家にしている魚がいると、その場所を消してしまうという行為になります。

特に臆病な魚などは、水草の隠れ家があることで安心して水槽内で暮らしていることもあります。

そのため、魚に与えるストレスという観点も考えてトリミングできると良いかもしれません。

例えば、トリミングは一気に行わず、期間を分けて実施するという方法も有効かと思います。

そこまで考えなくても良いのかもしれませんが、水草水槽の中で多くの魚を飼育されている場合には、ちょっと気になる小話でした。

この記事の終わりに

この記事では、オランダプラントを実例に取り、水草のトリミングと差し戻し方法を紹介させていただきました。

成長速度が速く大きく育つ水草は、見ていてとてもダイナミックな感じのある水槽の環境を作ることができます。しかし、その反面、ライトの光を水面付近で遮ってしまうため、前景草や中景草の光合成を邪魔してしまうというリスクもあります。

適宜トリミングを行うことで、水槽内の全ての水草にライトの光が当たるようにしてあげた方が良いかと思っています。特に、植栽直後の水草がある場合、光合成で養分を作りながら根の張りを良くすることが必要になるので、特に気にしておくべきかと。

水草がボサボサに伸びてしまっている水槽がある場合、一度トリミングして水草をリセットしてみてはいかがでしょうか?