ミクロソリウムの成長速度を実測【水槽レイアウトの参考実験】

ミクロソリウムはアクアリウム用の水草として人気の植物ですが、成長速度が遅いため、苔の発生に悩まされたり、他の水草と成長の足並みがそろわず思い通りのレイアウトにならないなどのお悩みもあります。

皆さんは、ミクロソリウムの成長速度がどれくらい遅いのか御存じですか?

水槽のレイアウトを作る時は、1カ月後や2カ月後に水草が成長した姿を想定していきますよね。その時に、成長速度のデータがあると便利ではないですか?

この記事では、ミクロソリウム・セミナローリーフを用いて実際に成長速度を測定してみましたので紹介します!こんな実験、誰もやったことが無いのではないかと思います。

結果として、ミクロソリウムの成長速度は概ね1日に1.5mmくらいの成長になったのですが、その測定方法などの詳細を以下で記載したいと思います。

約3カ月に及ぶ私の水槽内での調査の結果ですが、これからミクロソリウムを使ったレイアウトを予定されている方に御参考になれば幸いです。


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ミクロソリウムの紹介と子株の増やし方

ミクロソリウムってどんな水草?

(アクアリウム経験者の方はここは飛ばして読んで下さい。ミクロソリウムの簡単な紹介です。)

ミクロソリウムは、ウラボシ科のヌカボシクリハラン属に属するシダ類です。

ミクロソリウムにも様々な種類があり、葉の大きさや形などが異なりますが、成長速度や栽培方法などはそれほど大きく異なりません。私自身も、何種類もミクロソリウムを使ってきましたが、大きな違いは葉の形が違うくらいです。

最もオーソドックスなものはミクロソリウム・プテロプスです。プテロプス以外には、葉が細いナローリーフや葉が分岐して成長するウェンディロブ等があります。

どのミクロソリウムも、栽培は「超」容易です。そう簡単に枯れません。

逆に枯れさせてしまった方は、何をしたのか聞いてみたいくらいです。

私自身、今まで様々なミクロソリウムを育ててきましたが、一度も枯らして失ったことはありません。

ミクロソリウムの葉はどれも細長く、長さが20cm~30cm程度ありますので、水槽の後景草やサイドに配置すると綺麗なレイアウトになりますよ。

ミクロソリウムの管理法は実は簡単

ミクロソリウムの栽培方法には、特別難しい事や必要なものはありません。

水槽の中に入れて、浮かび上がらないように流木や石で固定してあげればOKです。

水温は25℃前後でいつも管理していますが、熱帯魚の飼育に必要な20~26℃くらいであれば問題なく育ちます。

できれば、水流がある方が病気になりにくいですが、めったに病気にかからないので、それほど気を遣わなくても良いです。

ミクロソリウムは強い光が無くても育つ耐陰性の植物なので、水槽用の一般的な水槽用ライトの光量で問題なく成長します。下で紹介する今回の実験も一般的なライトを使用して実施しています。

成長速度もゆっくりなので、肥料も少ない量で問題ありません。換水の時に、液肥を規定量よりも少ない量で育ちますが、私自身は実は肥料を入れたことがありません。肥料を入れなくても何の支障もなく育っていきますので、飼育水に含まれる硝酸から肥料を得ているのだと思われます。

水草というと、水槽に二酸化炭素を添加する場合がありますが、私自身はミクロソリウムのために二酸化炭素を添加したことがありません。多分、二酸化炭素を使うだけコストが上がって無駄になります。お財布に優しく、初心者でも安心して育てられる水草です。

ミクロソリウムの増やし方と子株の成長

ミクロソリウムの子株は親株の葉の裏から生えてきます。

下の写真は私の育てているミクロソリウムですが、親株の葉の裏から子株が生えてきていることがわかるかと思います。この子株は、親株の葉の裏で少し成長した後に勝手に外れて自立して成長します。一度に3株か4株の子株が生えてくることもありました。

ミクロソリウムの子株の写真

実はミクロソリウムは1株購入すると、どんどん増えていきます。

今回使用したミクロソリウムも以前購入したミクロソリウムの子株から準備したものです。ミクロソリウムは成長速度は遅いのですが、子株ができる頻度はかなり高く、ミクロソリウムの親株があれば常に子株が育っているような状態です。

そのため、水槽内で増えすぎないように、子株の一部は選別・廃棄する等の処理が必要になります。

ミクロソリウムの成長過程は独特です

ミクロソリウムはランナーと呼ばれる茎と葉を展開しながら成長していきます。

下の図に示すように、葉がくっ付いている茎 (ランナー) の部分を伸ばしながら新しい葉を展開していきます。

ミクロソリウムの成長過程を示す模式図

ランナーを伸ばし、新しい葉を展開していくので、数本のミクロソリウムをまとめて石や流木に巻き付けることで、ミクロソリウムのジャングルのような場所を演出できます。小型の熱帯魚にとっては、良い隠れ家になるので、様々な魚を混泳させる時には魚のストレス解消にも役立ってくれます。

逆に、何かに巻き付けたり、活着してあげないと浮かんでしまって、水槽内のレイアウトを作ることはできません。

今回行ったミクロソリウムの成長速度の測定方法について

それでは本記事の本題である、ミクロソリウムの成長速度の話に入りたいと思います。

まずは、ミクロソリウムの成長速度の測定方法について紹介しておきます。

私は水槽内の飼育水を1週間に1度は交換しています。月曜から金曜は会社出勤日で夜に換水する気力が無いので、いつも土曜日の朝に換水しています。

その換水のついでに、ミクロソリウムの葉の長さをメジャーで測定して、毎週のように記録をしていきました。長さは下の図のように、ランナー部から葉の先っぽまでを測ります。

葉に順番に①②③④⑤と番号を付けて、葉の長さを測定していきます。

とても地道な作業ではあるのですが、これ以外に成長速度を測る方法がありませんので…。

ミクロソリウムの葉の長さの測定法

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実験に使ったミクロソリウムの成長環境

今回の成長速度測定に用いたミクロソリウムは、私の管理する60cm水槽の中で管理しているものになります。飼育環境と各種設備は次の通りです。

①水槽サイズ: 60cm規格水槽

②水温: 25~26℃

③ライト: GEX製 Clear LED Power III 平均8時間/日の照明

④フィルター: エーハイム 2213

⑤生体数: テトラ系 15匹、コリドラス 7匹、プレコ 1匹

⑥肥料: 無し

⑦二酸化炭素添加: 無し

⑧ミクロソリウムの活着法: 流木への巻き付け

ミクロソリウムの成長速度調査結果

では実際に、成長速度を測定した結果を紹介しますね。どのくらいの成長速度だったのでしょうか?予想してみて下さい!

成長速度は他の水草に比べ非常に遅い

グラフにすると、約3カ月の測定期間も1枚のグラフになってしまうことに、若干の悲しみを感じますが…なかなかいいデータが取れました。ただし、もうこの実験は二度としたくないですね。(笑)

下のグラフが、ミクロソリウム・セミナローリーフの葉の成長グラフです。

ミクロソリウムの成長過程を調査した結果のグラフ

①②③番の葉は、子株の段階で既に生えていた葉になり、④⑤⑥⑦は測定を開始した後に新しく増えていった葉になります。

水流もあるため、光の当たり具合にも依りますが、①②③については概ね同じような成長のグラフになっています。大体3か月で16 ~ 18cmまで成長しました。

このナローリーフの親株は、葉の長さが20cm~25cmくらいあるので、そこまで成長するとなるとさらに2か月くらいは必要になりますね。

つまり、子株から親株と同じような葉に成長するには5カ月程度は必要ということになります!

成長が本当に遅いですね…

実際に測定した成長速度は、グラフの近似直線から求めると、

① 0.15cm/日, ②0.16cm/日, ③0.18cm/日, ④0.15cm/日, ⑤0.14cm/日, ⑥0.15cm/日, ⑦0.16cm/日

となりました。平均で0.155cm/日ということで、一日当たり1.5mmくらいの成長になります。

他の水草であれば、1日に1cmくらい伸びるものもあるので、それに比べると1/7のスピードです。

しかし、今回の測定によって、ミクロソリウムの成長速度の目安ができました。ミクロソリウムを育てながらレイアウトを作る時には、この結果を参考にしていただければと思います。

下の写真は、実際に成長速度の測定に使用したミクロソリウムの株です。今でも元気に青々とした葉で成長してくれています。

成長速度を測定したミクロソリウムの株

ミクロソリウムは常に一定速度で成長することが判明

今回の測定でわかってきたミクロソリウムの成長の特徴としては、既存の葉も新しく出てきた葉も、概ね経過日数に比例するように葉の長さが伸びていくということです。

植物によっては成長過程で成長速度が速くなる時期があるものもありますが、葉がメインとなるミクロソリウムの場合には一定の成長速度となります。

また、1週間から2週間経つと、新しい葉がランナーから生まれていくような成長をすることもわかりました。新しい葉がどんどん生えてくれるとフサフサのミクロソリウムになりますが、1カ月に2枚くらいしか新しい葉が増えていないので、ミクロソリウムのジャングルを作るとなると、かなりの時間がかかることがわかります。


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ミクロソリウムの弱点はコケとブツブツ病

私がミクロソリウムを育てていて感じる弱点は「コケが発生しやすいこと」と「ブツブツ病を発症する」という2点です。

まずコケに弱い点ですが、上記の結果の通り、成長が非常に遅いので葉に苔が成長するスピードの方が早いくらいです。そのため、苔の中でも比較的成長が旺盛な黒髭苔の被害に合いやすいです。

一度、黒髭苔ついてしまうと、ミクロソリウムの葉もそこまで強度が無いので、除去するのに手間が掛かります。なるべく早い段階で苔を予防できるように、コケ取りのメンテナンスフィッシュを導入することをお勧めします。

また、ミクロソリウムが最も発症しやすい病気にブツブツ病があります。アクアリウムの世界ではブツブツ病と呼ばれていますが、正式な病名はちょっと私もわかりません…。

ミクロソリウムを育てている方の多くが経験する可能性がある病気の一種なのですが、ミクロソリウムの葉や茎に「海ぶどう」を小さくしたようなブツブツが発生します。この原因は完全には解明されていませんが、下の記事で少し詳細に紹介していますので、もしよろしければご確認下さい。

この記事の最後に

ミクロソリウムの成長速度が遅いということは、様々な情報源から聞いていた事実ではあるのですが、実際に測定したという記事はほとんど見かけませんでした。

「それならば、測定してあげようではないか!」という意気込みで3カ月間の測定に踏み切りました。

実際に測定してみると、確かに成長速度が遅く、他の水草が目に見えてどんどん伸びるのに、ミクロソリウムはなかなか成長しないなぁ…と感じられました。

成長速度が1.5mm/日ですから、毎日観察していても成長に気付かないような速度です。

しかし、データとしてグラフにしてみると、成長が遅くとも確実に成長していることがわかりますね。

今回のデータは、私の飼育・栽培環境下でのデータであるため、皆様の環境ではちょっと違う結果になってしまうかもしれません。あくまでも御参考ということで受け止めていただければと思います。

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今後も、このようなデータを積み重ねていきたいと思います。

ちなみに、アヌビアス・ナナについても、このようなデータを取得しています。下の記事で御紹介しますね。