金魚の水槽から熱帯魚のレイアウト水槽まで、様々な場面で活躍する水草「アヌビアス・ナナ」。
強い光が無くても成長する耐陰性植物で、肥料などを与えなくても育っていくことから、アクアリストの強い味方となっています。
ただ、成長速度がとても遅いので、コケの発生に悩まされたり、レイアウトの中でアヌビアス・ナナだけがなかなか育たないというようなお悩みもあります。
そこで、この記事では約半年間のアヌビアス・ナナの育成で、実際に成長の速度と増えた葉の数を調査したので御紹介します。
アヌビアス・ナナについて
アヌビアス・ナナとは?
アヌビアス・ナナと言う植物 (水草) は、普通に生活していたら絶対に知ることの無い名前ですが、淡水のアクアリウムを始めると必ず出会うことになる有名な植物です。
原産はアフリカ大陸になりますが、サトイモ科に属する水生植物となります。
下に私の水槽で育てているアヌビアス・ナナの写真を載せておきますが、葉の形は楕円形で、大きさは数cmと言ったところです。あまり巨大化する水草では無いので、小さな水槽から大きな水槽までレイアウトの水草として活躍してくれます。
アヌビアス・ナナのメリットは?
アヌビアス・ナナのメリットはたくさんあります。たくさんあるからこそ、これまで多くのアクアリストの方々に支持されてきた水草になるのだと思います。
耐陰性があり室内アクアリウムでも問題なく育成
我々アクアリストにとって、水草を育てる上で最も重要なことは、室内の水槽と言う外の環境とは異なる環境で育つかどうか?という点です。
室内の水槽は直射日光が無く、水槽用のライトで光合成をしなければなりません。そのような環境でもしっかり育ってくれる水草と言うのは、とても力強い味方になってくれます。
アヌビアス・ナナは、一般的な水槽用のライトがあれば十分に育ちます。成長速度が遅いので、そこまで光合成を活発にする必要が無いというのが背景にあるのだと思います。
また、肥料を与えたり二酸化炭素の添加をせずとも問題なく育つので、設備の面でも楽になると言えます。
金魚水槽であろうが熱帯魚の水槽であろうが、水とライトがあれば元気に育ってくれるので、本当に手のかからない水草です。
育ったら株分けで増やせる
アヌビアス・ナナは、成長をすると、茎が複数に分かれていくので、茎を分割して株分けをすることができます。
月日が経ち大きくなりすぎても、分割して育てることが出来るので、水槽の中で邪魔になったりすることも無いです。
株分けしたものは別の水槽に入れても良いので、新たに購入する必要もないです。株分けしたとしても、アヌビアス・ナナは丈夫で枯れることはほとんど無いので、安心して作業ができると思います。
鮮やかな緑色をしておりレイアウトに映える
アヌビアス・ナナの葉の色は、上の写真にある通り、鮮やかな緑色をしていますので、水槽のライトに映えて綺麗な水景を作ることができます。
ただし、成長して古くなった葉は、少しずつ色が濃くなったりすることもあるので、全ての葉がこのような鮮やかな色をしているわけではありません。
しかし、上の方にある新しい葉が最も目立つ位置にあるので、古い葉は見えにくいですし、レイアウト内でも気にするほどの状態では無いかと。
アヌビアスには様々な種類がある
アヌビアス・ナナはアヌビアスという種類の水草の中の一つの品種であり、アヌビアスの中には他にも多くの品種があります。
アヌビアスナナの株や葉が小さくなった「アヌビアス・ナナ・プチ」、大きな葉が特徴の「アヌビアス・バルテリー」などです。
葉の大きさや色、形が色々な種類があるので、アクアショップでお気に入りのアヌビアスを見つけるのも楽しく、コレクション性もある水草になります。
私も一時期、アヌビアスシリーズを集めていた時期がありました。
アヌビアス・ナナのデメリットは?
アヌビアス・ナナのデメリットは「コケが生えやすい」と言う点です。
この記事でトピックにしているアヌビアス・ナナの成長速度ですが、下で実測した結果を紹介しますが、本当に成長が遅いです。
そのため、アヌビアス・ナナの葉には茶ゴケや黒髭苔が生えやすく、特に手を打たなければあっという間にコケに埋もれてしまいます。
アヌビアスを多く入れる水槽では、コケ発生を抑制する薬を入れたり、定期的にアヌビアス・ナナの葉からコケを取ってあげるなどのお世話は必要かと思います。
ただし、アヌビアス・ナナの葉は大きいので、オトシン・クルスやヤマトヌマエビ等を入れて置けば、苔の発生は防げるかと思います。実際、私の水槽でもオトシンとヤマトヌマエビがコケを取ってくれています。
アヌビアス・ナナの成長過程と成長速度の測定方法
この記事ではアヌビアス・ナナの成長速度を測定した結果を紹介しますが、その事前知識としてアヌビアス・ナナの成長過程についても説明しておきたいと思います。
アヌビアス・ナナの成長過程
下の図でアヌビアスナナの成長過程を説明したいと思います。
アヌビアスナナは茎から多くの葉が出てきますが、その茎の先端に成長点があり、この部分から新しい葉が展開してきます。
そして、この成長点から新しい葉が出ながら水平方向へ成長が進んでいきます。
成長するに連れて茎の部分が長くなりますが、茎から直接新しい根が発展してきます。つまり、成長方向は水平方向にどんどん進むということになります。
まさにサトイモ科に属する「お芋の成長」をイメージしやすいかと思います。
小学校の時に、サツマイモを畑で育てた経験がある方もいるかと思いますが、サツマイモの成長にも似たものがあるかと思います。
成長速度の測定方法
さて、この記事でトピックスにしている成長速度の測定方法ですが、この記事では、下の図に示すように、半年間をかけて成長した長さを測定しています。
私が水替えの際に、アヌビアス・ナナを取り出して長さを測った結果になります。
半年前から概ね1か月に1度、茎の部分の長さを測定してデータ化してきました。
アヌビアス・ナナを育てている水槽の状態
今回の測定で使用したアヌビアス・ナナを育てている水槽の条件についても紹介しておきます。
水槽は25cm水槽で金魚を2匹飼育しています。
水温は年間を通じて、ヒーターを併用して26℃で管理しており、ライトはGEX製の小型ライトを使用しています。
フィルターはGEXのスリムフィルター (Sサイズ) です。
水替えの頻度は週に1回、水槽の半分の水を交換しています。
成長速度と増えた葉数の測定結果
さて、色々と前置きが長くなって申し訳ないのですが、実際の成長速度の測定結果を下のグラフに示します。
グラフの縦軸には成長によって茎が伸びた長さ、横軸は経過した時間 (月) としています。
約半年間の成長過程をデータ化してきましたが、半年間での成長した長さは約12cm!
1か月あたりの成長速度は約2cmとなります…。水草の中には1日に2cm位伸びるものも結構あるので、アヌビアス・ナナの成長速度は個人的には相当遅いと思います。
続いて、成長に伴って増えた葉の数についても数えていたので、次のグラフで紹介しておきたいと思います。
このグラフでは、縦軸を増えた葉の数としています。
かなり綺麗なグラフで、1カ月に2枚の葉が増えていくという比例関係のグラフになります。1カ月に2枚と言う葉の増え方も遅いですねぇ。
毎日見ているとアヌビアス・ナナの成長速度はあまり気にならないのですが、実際に測定してみると、これだけ遅いことが判明しました。
アヌビアス・ナナは花を咲かせます
今回、成長速度を測定したアヌビアス・ナナですが、実は測定期間の間に花を咲かせました。
アヌビアス・ナナが、何かの条件が揃うと花を咲かせるということは聞いていたのですが、私自身初めてのことで驚きでした。
下の写真に、その花を載せておきます。とても小さな葉なのですが、水槽の中に咲く花と言うのも良いものだなぁ~と思います。
この記事の終わりに
この記事では、淡水アクアリウムの水草として大人気の「アヌビアス・ナナ」について、成長速度と葉の増え方を実測した結果を紹介させていただきました。
茎の成長速度は1カ月当たり約2cm程度、葉の増える数は1カ月に2枚となり、とても成長速度の遅い植物であるといことをがデータからもわかるかと思います。
アヌビアス・ナナはコケが生えやすい水草としても知られていますが、これだけ成長が遅いとコケが生えてしまうことも理解できるかと思います。
今回の結果が、レイアウト水槽を作成される皆様の御参考になれば幸いです。アヌビアス・ナナは、このくらいの成長速度であることを理解すれば、レイアウト水槽内での配置位置なども決めやすいかと思います。