【アクアリウム】龍王石による水槽内の水質変化を実験調査

アクアリウムで魚を飼育する飼育水は、魚の健康を管理という面で様々な重要ポイントがあります。

水道水を使用する時はカルキ抜きを使用して魚に取って安全な水に処理しますし、熱帯魚の場合は水温が低い時には必ずヒーターを使用しなければなりません。

それらに加えて、飼育水の管理ポイントに「pH」と「硬度」という指標があるのを御存じでしょうか?

pHは御存じの通り酸性とアルカリ性の指標、硬度は水中にどれだけ鉱物が溶けているか?という指標になるのですが、実は水槽のレイアウトとして石を使うとpHや硬度が変わることがあるのです。

今回の記事では、アクアリウムで人気の龍王石を用いて、飼育水のpHや硬度にどのくらいの変化があるのかを実験調査してみましたので、その結果を紹介します。

実験の結果としては、龍王石を水槽に入れると飼育水の硬度が上がり、pHの変化も見られましたが、水替えをきちんと行うことで魚への影響は抑えられるという結論に達しました。

以下で、実験と結果の詳細を御紹介しますが、皆様が管理する水槽の水質管理に、御参考になりましたら幸いです。


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龍王石による水質変化の実験方法

まず最初に、どのような実験を行ったのかについて説明します。

今回の水質変化の実験で用いたのは、アクアリウムのレイアウト用の石で最も人気のある「龍王石」です。

まず、下の写真(a)で示すように重さが368gの龍王石を用意しました。今回使用した龍王石は、私の管理する水槽で3カ月ほど使用していたものであり、表面についている汚れは除去されているものとなります。

つまり、購入当初に表面に付着していた石の粉や汚れの影響は少なく、龍王石が溶け出すことによる水質の変化が明確にわかるような実験になっています。

実験に使用した龍王石の写真
写真 (a) 用意した龍王石 (b) 実験準備

次に、写真(b)のように、簡単なタッパーのような容器に水1Lと龍王石を入れて、上からラップをかけて水の蒸発を防いで放置します。水道水はカルキ抜きでカルキを処理しています。水温は22℃になっていました。ただし、昼夜の寒暖の差で気温と水温の変化はある状態です。

その後、時間経過とともに、pHと硬度を測定します。pHはpH計、総硬度はパック式テストで計測しました。

龍王石は飼育水のpHと硬度を上げる結果に!

それでは実際に、龍王石によるpHと硬度の変化について御紹介したいと思います。

分かりやすくするために、最初の見出しでpHの変化、次の見出しで硬度の変化について紹介させていただきたいと思います。

龍王石によりわずかにpHが上昇

龍王石を水に浸した時間とpHの変化の関係

上のグラフに経過日数とpHの変化について示します。

測定を開始した時の、カルキ抜き処理した水道水はpHが7程度になります。

その後、徐々にpHが上昇していき、10日後には7.5まで上がりました。

非常に小さな変化量なのですが、龍王石に含まれる成分によってpHが上がったことが考えられます。

熱帯魚を飼育している水槽では、濾過フィルターの影響で飼育水が弱酸性に変化していきますが、龍王石の場合には弱アルカリ性に傾いていく結果となりました。

もしかしたら水道水に含まれるカルキやガスが完全に抜けたためにおきたpHの変化という可能性もありますが、この実験ではそこが確認できません。

そのため、ここでは龍王石によってpHが若干上昇し、弱アルカリ性に傾くという結果としたいと思います。

龍王石は確かに硬度を上昇させる

龍王石を水に浸した時間と硬度の変化の関係

次に気になる硬度の変化をグラフで示します。

硬度についてもpHと同様に、実験を開始してから日が経つごとに増加していきました。

初日に35ppmであった総硬度が10日後には45ppmを超えていきました。

初日の35ppmというのは、私の住む地域の水道水に含まれる硬度ですので、皆様のお住まいの地域ごとに異なります。

お住いの地域の硬度については、水道局が発表しておりますので、管轄の水道局のホームページでご確認ください。

今回の実験の条件下では、龍王石は10日程度で10ppm程度の硬度上昇を起こさせるという結論になります。

これは、龍王石が持つ鉱物成分であるカルシウムやマグネシウムが水に溶けた結果であると考えられます。

また、今回は水温が22℃でしたが、水温が上がれば龍王石が溶け出す量が多くなるので、硬度がもう少し変化する可能性があります。


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飼育水の硬度の変化は魚の健康に影響を与えるのか?

今回の実験では、水道水の硬度が35ppmで、10日後に45ppmまで硬度が上昇しました。

この変化は飼育する魚の健康面に影響を与えるのでしょうか?

実は、私の住む地域では水道水の硬度が35ppmですが、日本全国を見ると水道水の硬度が45ppmを超えるような場所も存在し、その地域の方々は硬度の高い水道水で魚を飼育しています。

また、今回は1リットルの水に対して368gの龍王石を使いましたが、実際の水槽の中では、水の量に対する石の量の比率がもっと低くなる場合が多いかと思います。

例えば、60cm水槽の場合には水が50Lくらいで、龍王石が6個か7個で合計3kg程度かと思います。

そのため、実際の水槽の中では龍王石による硬度の変化は、もう少し小さくなると考えられます。

つまり、今回の実験でわかった龍王石による硬度の変化は魚の健康状態に大きな影響は無いと言えます。

石による水質変化が気になる方は週1回水替えしましょう

魚の健康には影響がないと言えど、やはり水質の変化が気になる方も多いかと思います。

今回の実験は10日間の水質変化を調査しましたが、魚の健康にすぐに影響があるものではありません。

龍王石は水槽のレイアウトに使われる石の中でも、水に溶けだしやすい石という認識があります。他の種類の石も見ずに溶け出すことがありますが、概ね龍王石と同じか少ないくらいであると考えて良いかと思います。

したがって、週に1度の水替えを行ってあげれば、石による水質の変化はほぼ無視できる程度に抑えることができます。

水替えは石による水質変化だけではなく、魚の排泄物や残餌の影響をリセットする意味でも必要になるので、週に1回は水替えをしてあげて下さいね。

アクアリウム用の石の写真


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自然採取した石は使用する前に洗浄しましょう!

石は自然のなかで採取して使用することも可能です。

しかし、河川の汚染がひどい場所や生活排水が流れているような河川では化学物質が付着しているかもしれません。この記事で紹介したように、石は水に溶け込む性質があるため、その汚染物が水槽内に溶け出すことがあります。

そのため、自然採取の石は水槽に入れる前にきちんと洗浄しましょう。できれば、採取した後に1週間~2週間くらいバケツの中で水に浸しておきましょう。

2週間くらい水に浸しておくことで、表面についた汚れが概ね除去できます。

また、自然採取する場合には採取する場所に気を付けましょう。

私有地の山であれば、所有者がいるので許可を取った方が無難ですし、自然保護区に当たる場所でば国や市の許可がいる場合があります。

また、国立公園では法律で採取が禁止されている場所もあります。

例えば、富士山の登山道には溶岩石がたくさん落ちていますが、これは法律で採取が禁止されています。採取する前に、採取していい場所なのか?確認してから採取しましょう。

この記事のまとめ

本記事では、水槽内のレイアウトに使用する龍王石がpHと硬度に与える影響について調査した結果を紹介させていただきました。

カルキ抜きをした水道水に龍王石に浸すだけで、pH7.0から7.5に変化し、硬度も35ppmから45ppmに上昇しました。

この硬度による変化は魚の健康状態に致命傷を与えるような変化ではなく、むしろ水替えをしていれば特に気にすることは無いと言えます。

また、pHについては水槽で使用しているフィルターによって弱酸性化されますので、龍王石によるpH上昇は無視して大丈夫だなレベルだと結論付けられるかと思います。

上で紹介しましたが、皆様のお住いの地域ごとに水道水の硬度に違いはあります。一度、お住いの地域を管轄する水道局の水質調査報告書を確認してみても良いかと思います。

今回の記事が、皆様のアクアリウム管理の御参考になれば幸いです。