金魚と熱帯魚の混泳 -1年間混泳させた様子を紹介-

私の以前の記事になりますが、「金魚は小さなエビや小魚と混泳させてはいけない」ということを御紹介させていただきました。

この記事では、私が川で採取した川エビやカワムツの稚魚を金魚水槽に入れて飼育したのですが、混泳開始から早い段階で川エビとカワムツの稚魚が金魚に捕食されてしまうということを経験しました。(今思うと、かなり無謀な事をしていたのだと思います。)

しかし、その後になりますが、子供から「金魚と熱帯魚を一緒に飼いたい!」とお願いをされました…。

個人的には、上記の経験があったので、体格の小さな熱帯魚を金魚の水槽に入れることに抵抗がありました。

(グリーンネオンテトラのような小さな熱帯魚では、カワムツの稚魚の二の舞になるだろうと…。)

しかし、アクアリウムショップに行く度にお願いされることが重なったので、試しに「バルーンプリステラ」と「ブラックファントムテトラ」を2匹ずつ金魚水槽で飼育する事にしました。

結果として1年間の混泳飼育に成功しており、現在も混泳を継続中であるのですが、混泳初期から1年間の飼育の様子を詳細に紹介させていただきたいと思います。

私と同じように、金魚と小型熱帯魚の混泳をしてみたいと思う方も多いかと思います。

本記事は、あくまでも一つの例ですが、御参考になれば幸いです。

決して金魚と小型熱帯魚の混泳を強く推奨するための記事ではないことは御理解ください。


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金魚と熱帯魚を混泳させた水槽及び飼育環境について

金魚と熱帯魚を混泳させた水槽ですが、GEX製の45cmスリム水槽になります。

下の写真がその水槽です。

金魚は琉金とオランダ獅子頭を1匹ずつ飼育しています。丹頂も飼育していた水槽なのですが、残念ながらお星様になってしまいました (原因不明の突然死でした) 。

フィルターは壁掛けフィルターMサイズで、水温は年間を通じて25℃で管理しています。

水替え頻度は週に1回で、水槽の半分の水量を入れ替えています。

また、餌は熱帯魚の口の大きさに合わせて、Sサイズの粒形の人口飼料を使用しています。

底層にソイルを敷き詰め、水草はアヌビアス・ナナとアヌビアス・ナナ・プチ・ゴールデンの2品種の植栽です。

混泳初期の水槽内の様子 (熱帯魚が逃げ惑う)

金魚と小型熱帯魚の混泳を始めたのが、2020年の秋のことです。

琉金とオランダ獅子頭の泳ぐ45cm水槽に、「バルーンプリステラ」と「ブラックファントムテトラ」を2匹ずつ導入しました。

当たり前のことだと思いますが、混泳を開始した初期の頃は、バルーンプリステラとブラックファントムテトラが体格の大きな金魚を恐れて生活するような状態でした。

バルーンプリステラもブラックファントムテトラも、金魚が近づいてくると凄いスピードで逃げていき、常に落ち着かないような状態が続きました。金魚に驚いて水槽から飛び出してしまう可能性があったので、常にガラス蓋を付けて飼育しておりました。

また、浮上性の人口飼料を与えても、金魚が水面で餌を食べているとバルーンプリステラとブラックファントムテトラが餌に近付けないような状態でした。

そのため、浮上性の餌に加えて、粒形の小さな沈下性の人口飼料も用意して与えていました。

それだけ、バルーンプリステラとブラックファントムテトラが金魚を恐れていたのだと感じ取れました。

「これはバルーンプリステラとブラックファントムテトラを酷い環境に入れてしまった…」と、飼育を続けながら申し訳なく思っていたことを覚えています。

ただ、金魚が熱帯魚を捕食しようという行動は起こしていないことも観察の中でわかったので、混泳飼育を続行していきました。

バルーンプリステラとブラックファントムテトラは、小型カラシン科の魚ですが、体高があるため金魚の口に入らない大きさです。そのため、金魚も捕食して食べようという気にならなかったのかと思います。


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混泳開始から3か月くらい経つと熱帯魚が金魚に完全に慣れる

金魚と熱帯魚の混泳開始から約3ヵ月が経過した頃からですが、バルーンプリステラとブラックファントムテトラが金魚の存在に慣れてきました。

金魚が近づいてきても、驚いたように一目散に逃げる振る舞いは見せず、ゆったりと軽やかに金魚を避けて泳ぐようになったのです。

金魚が近づくとすごい勢いで逃げ惑っていた混泳初期の頃が嘘のように思えるくらいでした。

あくまでも予想ですが、バルーンプリステラとブラックファントムテトラは、金魚に食べられてしまうという”恐怖心”を持っていたのでしょう。そして、金魚が全く襲ってこないことが分かり、警戒心が徐々に解けたのだと考えられます。

その結果、餌の時間には金魚と争うように浮上性の人口飼料を食べるようになりました。

混泳開始から1年で混泳に対する不安感はすべて解消

混泳開始から半年~1年が経つと、45cm水槽の中における金魚と熱帯魚の生活スタイルが完全に確立され飼育が安定してきました。

水槽の前に立つと金魚が餌をねだるのですが、そこにバルーンプリステラとブラックファントムテトラが加わってくるような状態となりました。

また、バルーンプリステラとブラックファントムテトラは、小さな魚同士で固まって泳ぐことが多いのですが、バルーンプリステラが1匹だけで金魚の近くに泳ぎに行くようなことも普通になりました。(下の写真参照)

金魚と小型熱帯魚の混泳を開始した当初は、かなり不安になる場面もありましたが、ここまで安定してくれば心配事はほぼ解消されたと言えるのかと思います。

ただ、熱帯魚は喋れないので本音が聞けません。実は常に金魚のことを恐れている可能性もあります…。

金魚と熱帯魚の混泳は、自然界では基本的に考えられない組み合わせとなります。そのため、常に気を遣ってあげて、危ないシーンがあれば別々に飼育するということも視野に入れておかねばならないことは覚えておくべきかと思います。


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金魚と小型熱帯魚の飼育で大切な事

金魚と小型熱帯魚を混泳させて約1年が経ち、その中で感じた飼育の重要ポイントがいくつかあります。

基本的なことでもありますが、大切な事なので以下で列挙しておきたいと思います。

水替えは最低でも週に1度は行うこと

金魚は小型の熱帯魚に比べると魚体の大きさが大きくなります。

そのため、餌を食べる量が多く糞の量も多くなります。

糞が多くなれば飼育水のアンモニア濃度が上がり、生物濾過による最終生成物である硝酸の濃度が高くなるため、pHが下がる速度も速くなります。

これにより熱帯魚にとっても金魚にとっても住みにくい環境となってしまうため、水替えの頻度は最低でも1週間に1回くらいは必要になります。

熱帯魚も金魚もpH=6~7が適切になるので、それ以下になることが無いようにpHの管理をしてあげてください。

水槽のpHを測定したことが無い方は、簡単な試験紙でpH測定ができるので、一度やってみても良いと思いますよ。

魚に合わせた人口飼料を選ぶこと

次に大切な事は、魚の口の大きさに合わせた人口飼料を用意しておくということです。

(もちろん、魚に適した材料で作られていることも大切です。)

小型の熱帯魚は金魚に比べると口のサイズが明確に小さいので、金魚用の浮上性の人口飼料は食べられません。

粒形が1mmかそれ以上あるような金魚の餌もありますが、今回紹介したバルーンプリステラやブラックファントムテトラはそのような粒形の餌を食べることができませんでした。

そのため、小型熱帯魚の口に合ったサイズで、様々な魚に適した人口飼料を用意しておくと便利だと思います。

必ずヒーターを使って水温を安定させること

3つ目は水温です。

金魚は日本の気候に適合した魚体を持つため、極寒の冬も暑い夏も生き抜くことができます。

しかし、熱帯魚は赤道に近い国からやってくる魚のため、水温が15℃を下回るようになると命の危機となります。

そのため、金魚と熱帯魚を混泳させる場合には、熱帯魚の飼育環境に合わせた設備 (水槽用ヒーター) を用意しておくことが必須です。

また、低水温になると金魚の白点病が起こりやすくなるので、水温を25℃に維持することは白点病の予防にもなります。

熱帯魚の生命維持、そして金魚の白点病予防の観点から、ヒーターを設置することを強くお勧めします。

体高が無い小型熱帯魚は金魚との混泳を避けること

最後にお伝えしたいのは、金魚と混泳させる熱帯魚の種類についてです。

冒頭でも記載しましたが、金魚は雑食性が強いため、小さな魚を捕食してしまいます。

特に体高が低く細長い小さな魚は、容易に金魚の口に入ってしまうため、捕食対象になる可能性が高いです。

特に注意が必要な熱帯魚の品種は、ネオンテトラ、グリーンネオンテトラ、レッドテトラなどです。

逆に、魚体は小さくても、体高があって金魚の口に入りにくい小型熱帯魚は、金魚と混泳できる可能性はあると思います。今回紹介したバルーンプリステラやブラックファントムがその例ですが、他にはレッドファントムテトラ、ロージーテトラ、ラミレジィ等ですね。

この記事の終わりに

この記事では、金魚と熱帯魚を混泳させた例として、バルーンプリステラとブラックファントムテトラを金魚 (琉金とオランダ獅子頭) と1年間混泳させた様子を紹介させていただきました。

私の以前の記事では、カワムツの稚魚が金魚の捕食対象になってしまったことを紹介しましたが、バルーンプリステラとブラックファントムテトラは体高があるため、金魚に捕食されることなく無事に混泳に成功しました。

混泳を開始した直後は、バルーンプリステラとブラックファントムテトラが素早い動きで金魚から逃げるような素振りがありましたが、数カ月経つと金魚に慣れて飼育環境が安定したのが事実です。

金魚と小型熱帯魚の混泳は難しいという報告もありますが、熱帯魚の種類 (特に体の大きさ) をしっかりと考えれば混泳は可能であると思います。

最後になりますが、この記事は金魚と小型熱帯魚の混泳を推奨するものではありません。金魚と小型熱帯魚を混泳させる際には、あくまでも自己責任で実施してください。

金魚が小型熱帯魚を襲うような仕草が見られたら、小型熱帯魚を別の水槽に移してあげるような対処は考えておくべきだと思います。