金魚と一緒にエビや小魚を飼育・混泳させてはいけない

当たり前のことですが、金魚を飼育している水槽にも、熱帯魚を飼育している水槽と同様に藻や苔が生えてきます。

そのため、そのコケを取ってもらうためにミナミヌマエビ、ヤマトヌマエビ、スジエビ等を導入しようと考えている方もいらっしゃるかと思います。

実は私もそのように考えた一人でございまして、実際に川で捕まえたミナミヌマエビとスジエビをコケ取り生体として金魚の泳ぐ水槽に導入してみました。

しかし、金魚がエビを襲って食べてしまうという、想定していなかったことが起こりました…知らなかったアクアリスクは私だけ?

金魚って想像以上に雑食性が高く、意外に獰猛な性格も持っているのですね。この記事では、その時の状況を詳細に紹介したいと思います。

金魚水槽にコケ取りとしてのエビを導入するのは控えたほうが無難です。


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金魚水槽に川で捕まえたエビを導入

金魚水槽に入れているアヌビアス・ナナに茶ゴケと黒髭苔が目立ち始めたので、コケ取りのためにエビを導入しようと考えたのが、2020年8月の前半でした。

金魚水槽のコケはそこまで目立つものでは無かったのですが、コケは生えはじめに対応をしないとあっという間に増殖してしまいます。また、この記事を書いている夏の時期は、コケの育成も旺盛な季節ですので、水槽の見栄えが悪くなる前に対応を進めようとしていました。

そこで、コケ取りの生体として人気のあるミナミヌマエビを導入するのと同時に、川にも生息しているスジエビを導入することとしました。

ミナミヌマエビもスジエビについても、以下の別記事で紹介している芦屋川で採取してきたものになります。

ミナミヌマエビやヤマトヌマエビについては、アクアリウムショップでも購入することが出来るのですが、近くの川や池にも生息しているエビになりますので、自分で捕まえてくる方がコストもかからずお勧めです。

そして実際に金魚水槽にエビを入れた際は、ミナミヌマエビ5匹とスジエビを3匹導入しました。合計8匹いれば、とりあえずはコケを食べてくれるだろうと期待しました。

ただし、川で採取したエビを水槽に導入する際には、一つ注意しておくべきことがあります。川で採取したエビはアクアリウムショップで売られているエビ以上に水合わせを慎重に行う必要があるということです。川はとても綺麗な水が常に流れている場所で溶存酸素も豊富な環境ですので、水槽の飼育水が川の水質と大きく異なると、エビが命を落としてしまう可能性が高いです。

そのため、川で採取したエビを水槽に導入する時には、通常の2倍から3倍の時間をかけてゆっくり行った方が無難だと思いますし、それを推奨します。

金魚水槽は30cm水槽で丹頂と琉金を飼育

ミナミヌマエビとスジエビを導入した金魚水槽は30cm水槽で、「丹頂」と言う白色の体に頭だけが赤い金魚、そして金魚の中でも有名な「琉金」の2匹が泳いでいる水槽になります。

水槽の底にはエビを入れても大丈夫なように、アクアリウム用のソイルを約1.5cm敷いてあり、フィルターは壁掛けフィルターを採用している設備です。

金魚2匹なので、濾材を多めに入れた壁掛けフィルターで十分な生物濾過を得ることが出来ています。金魚自体も水質の悪化や酸欠には強い魚になるので、そこまでフィルターに気を遣った水槽ではありません。

また、エビが追加で8匹水槽に入ったとしても、エビも十分に飼育が出来るような飼育水処理能力は有している水槽設備です。


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エビを導入した初日は特に問題は見られませんでした

ミナミヌマエビとスジエビを金魚水槽に導入した初日は、金魚たちは特にエビに興味が無く、逆にエビ達が金魚に興味があって金魚の体に乗っかるような仕草も見せておりました。

そのため、初日の状況としては、混泳自体は特に問題無いと判断して、金魚とエビの混泳を続行させました。

金魚は見たことが無いエビと言う生物が目の前に来たということもあるのか、エビを入れた瞬間には水槽の底の方でじっとしてしまうような素振りさえも見せていました。逆にエビ達は水槽内を縦横無尽に泳ぎまわり、あたかも水槽を自分たちのものであると主張する様な姿でしたね…。

また、導入後2日目には、エビ達が沈下性の人口飼料を食べるようになりましたので、川エビの水合わせから水槽導入という最難関のポイントをクリアできたのだと確認しました。

変化があったのが3日目の朝でエビが全て姿を消す

そのように安心して金魚水槽を管理していたのもつかの間…

水槽へのエビ導入から3日目の夜の事です、仕事から帰ってきて金魚の水槽を確認すると、8匹いたはずのエビが何と2匹しかいません!

少し大きなサイズのスジエビが2匹だけ残っているだけで、他のエビ達がいなかったのです。

水槽から飛び出してしまったのだと思い、周囲を探しました。また、壁掛けフィルターの中に入り込んだのかと思い、フィルターの中も確認しました。

しかし、消えた6匹のエビの姿がどこにもありません!

どこに行ってしまったのかと困りながら金魚水槽をみていると、金魚の丹頂がエビを食べようと襲っていました。

その光景を見た時、思わず「えっ!!?」という言葉が出てしまいました。

金魚は雑食性があるということは知っていましたが、エビを食べるということを全く知りませんでした。

食べられてしまったと思われる6匹のエビは、金魚の口に入ってしまうサイズではあったので、食べられてしまったと考えるのが正しいのかと思います。残っていた2匹のスジエビは、少しサイズが大きかったので、金魚に捕食されずに済んだのかと思われます。


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実は金魚は雑食性が相当強い

導入したミナミヌマエビとスジエビが金魚に食べられてしまった事実を受けて、金魚の雑食性について少し実験してみようと思いました。

そこで、まず夕飯の残り物で出たマグロの刺身について、切れ端を金魚の前に落としてみました。すると、マグロの切れ端を金魚がモリモリ食べてるではないですか…。

正直、金魚がここまで雑食性が強く獰猛な性格を持っているとは思っていもいませんでした。

私自身、小学生の頃にも和金や琉金を飼育していた経験はあるのですが、エビや小魚を一緒に混泳させるということはしたことが無く、常に人口飼料を与えていたので、このような金魚の雑食性や獰猛性を知りませんでした。

つまり、下でも実例を紹介しますが、ネオンテトラやメダカの様な小さな魚たちは金魚の餌食になってしまう可能性が高いということかと思います。

ただ、金魚自身のサイズが小さい時には、エビやネオンテトラ等が金魚の口に入らないので、混泳させることは可能なのかと思います。しかし、成長して金魚が育ったら、別の水槽に入れるなどの対応は必要になるかと。

また、コケ取り生体として有名な魚に、オトシン・クルスという魚がいますが、この魚も体がそこまで大きくないので、体が大きく口も多き開くサイズの金魚にとっては餌になってしまう可能性があります。

金魚に餌を十分に与えていれば小さな魚やエビと混泳できるかもしれないが…

金魚がエビや小魚を襲う可能性があるのは、金魚が空腹で何かを食べたいと思っているからだと言えます。

ただ、金魚には胃袋が無いため、人口飼料を与えれば与えただけ食べてしまうほどの大食漢です。

そのため、餌を少し多めに与えてもエビや小魚を捕食してしまう危険性は回避できないと思います。また、金魚に満腹感を与えるためにどんどん餌を与えると、飼育水を汚すだけではなく、食べすぎによる金魚の体調不良や消化不良を誘発してしまう可能性もあります。

したがって、私の結論としては「金魚はエビや小魚とは混泳させてはいけない」ということです。

ここで一つ実例を紹介したいと思います。金魚水槽に川で捕まえたカワムツの稚魚を試しに入れてみました。すると、カワムツの稚魚を水槽に入れてしばらく経つと、下の写真に示すように金魚がカワムツの稚魚を捕食してしまいました。カワムツの頭から食べ始めて、あっという間に飲み込んでしまう…まるでブラックバスの様な食べ方でした。

また、エビや小魚のための隠れ家を作れば混泳が可能では無いかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、エビが隠れ家に隠れたままになってしまうと、コケ取りとしての能力を発揮できない状態になります。

私の金魚水槽ではアヌビアス・ナナの陰に隠れたスジエビを金魚が襲っていたので、水草などがありエビが隠れられるという水槽レイアウトでも、エビ達は金魚の餌食になってしまう可能性が高いのかと思います。

ここの記事の終わりに

この記事では、金魚の水槽にエビや小魚を混泳させた結果、エビや小魚が金魚の餌食になってしまったことを紹介させていただきました。

金魚水槽にも熱帯魚水槽と同じように藻や苔が発生することがあるため、その抑制としてエビを金魚水槽に導入することを検討する方もいらっしゃるかと思います。

しかし、金魚の雑食性や食欲旺盛な特徴によって、私が導入したミナミヌマエビとスジエビは金魚の餌食となってしまいましたので、金魚とエビの混泳は絶対にお勧めしません。

今後、金魚水槽にコケ取りの要因としてエビを導入しようと思っている方は、是非その計画は中止していただき、別の方法で金魚水槽のコケを防ぐことを考えてみて下さい。金魚と混泳できるエビに代わるコケ取りとしては、アルジイーターやサイアミーズフライングフォックスなどの体が大きな魚が適切かと思います。