金魚はフナを祖先に持つ魚であり、日本の四季や環境に適合した生態を持つため、極寒の冬も暑い夏も生き抜くことができるとても強い生態を持つ魚です。
綺麗な容姿だけでは無く、その丈夫さがあることから、子供から大人まで飼育の敷居が低く、日本で最も飼育されている魚の一つになったのだと思います。
しかし、水槽環境や飼育方法が原因で、金魚が病気になってしまうことも多々あります。人間が風邪やインフルエンザに罹患するのと同じように、金魚も少しの環境変化で様々な病気に罹ってしまいます。
金魚は溶存酸素が少ない環境でも生き抜きますし、餌を少し食べなくても生命維持する力を持つます。そのため、金魚が水槽内でお星様になってしまう原因の多くは、病気や水質悪化が原因の場合が多いと言えます。
皆さんも子供の時に飼育していた金魚が、原因不明でお星様になってしまっていたことを経験したことがあるのではないでしょうか?(私は子供の頃に、その経験をたくさんしました。)
金魚の病気の中で、呼吸器に関わる病気の代表例が「エラ病」と呼ばれる細菌性の呼吸器関係の病気になります。
この記事では、私が飼育している「らんちゅう」がエラ病に罹患した時の症状や治療による回復の実例について、その詳細を紹介していきたいと思います。
突然「らんちゅう」 が水底で動かなくなりました
私の家では子供と一緒に金魚を複数匹飼育しているのですが、その中の「らんちゅう」の動きが鈍くなり、水底でじっとしていることが多くなりました。
健康で元気な時は、他の金魚と共に水面や中層を元気に泳ぎ回っていたのですが、突然水槽の底でじっとしている時間が長くなってしまいました。
餌の時間になると、少し餌を求めて泳ぎ始める状態だったので、重い病気ではないと思っていたのですが、1週間経っても水底でじっとしている状況は改善しませんでした。
過去の経験からも「これは何か病気の可能性があるな…」と思い、らんちゅうを別の隔離水槽に移すことにしました。
隔離水槽の中でも、餌は多少食べるのですが、らんちゅうは水底でじっとしてほとんど動かないような状況は変わりませんでした。
それ以外に見られた症状は次の項目で詳細を記載したいと思います。
体調不良の症状の詳細
毎日のように魚たちを観察していると、少しの異変にも目が向けられるようになり、いつもと違う部分が見えてくるものです。
以下では、らんちゅうの体に現れた変化について以下で詳細を記したいと思います。
① 水底で動かなくなる
まず最初の変化は、上でも記載しましたが、水底で動かない状態になってしまったことです。
冬になり水温が下がると、金魚は水底で動かなくなることがあるのですが、元々飼育していた水槽ではヒーターを用いて水温25℃で管理していました。
そのため、水温が原因で活動量が落ちたとは言えません。
また、他の金魚達は元気に泳ぎ回っていたので、水温や水質が悪いとも思えませんでした。
② エラ呼吸の速度が遅く開口も小さい
次に明確に違いが見えたのはエラ呼吸のスピードと、呼吸の時に口を開く大きさです。
まず、エラ呼吸のスピードについては、金魚は元気な時は泳ぎながら口をパクパクさせており、エラ呼吸の頻度が多い魚になります。
しかし、体調が悪くなったらんちゅうは、口を開け閉めする速度が通常の1/2程度に落ちていました。
また、口を開口する大きさも通常の1/2くらいであり、酸素を取得する量が明らかに少ないような状態が目で見て分かりました。
さらに、口を開いて閉じるという動作がぎこちない動きになり、呼吸をするのが辛そうな状態でした。
水底でじっとしているので、活動量が少なく、それほど酸素を必要としていなかったことも考えられます。
③ 鼻が真っ黒に変色
また、呼吸の状態が悪くなると同時に、らんちゅうの鼻が黒くなるという症状も出てきました。
元々は、オレンジ色に近いような色だったのですが、今回の病気を発症して以降、徐々に鼻の色が黒くなってきました。
その様子を下の写真で示します。
金魚を飼育されている方であれば分かるかとおもいますが、金魚の鼻はこんなに黒くは無いんですよね…。
飼育水がメチレンブルーで青くなっていますが、鼻が黒くなる症状はメチレンブルーを入れる前段階でも見られていました。そのため、メチレンブルーによる着色ではありません。
考えられる病気は呼吸器の「エラ病」
上記の①~③の症状から、何の病気に罹患しているのかを考えてみました。
①の症状は、様々な病気において見られるような症状なので少し参考にしにくい所はあります。
②③については、基本的に「呼吸器」に関わる症状だと考えられます。
金魚の呼吸器官系の病気は、細菌による感染症であり「エラ病」と称されることが多いです。エラだけでは無く呼吸器官系に関わる病気の総称となります。
原因は「カラムナリス」と呼ばれる細菌であると考えられていますが、その他にも数ある細菌が原因になってしまっている場合もあります。
今回のらんちゅうに関しては、呼吸器以外の部分は健康体そのものでした。
お腹が大きくなるわけではありませんし、白点病による白い出来物もありません。また、鱗も健康的な状態でしたので、エラ病であることは間違いなさそうです。
治療方法はメチレンブルーによる薬浴
エラ病は上記の通り細菌性の病気ですので、メチレンブルーによる薬浴から治療を開始します。
塩を使った塩浴でも治療が可能と言われています、今回はメチレンブルーの中でしばらく飼育をすることにしました。
飼育水の量にも依りますが、基本的に毎日1/2以上の水を換水して、常に綺麗な飼育水を維持してあげることが必要です。
特に隔離水槽は小さな水槽を選ばれる場合が多いかと思いますので、毎日必ず水替えを行い、新鮮な水に交換してあげるようにします。
約2週間の薬浴で回復し元気な状態に
メチレンブルーの中での薬浴を始めて約1週間経つと、薬浴の効果が見え始めてきました。
上で口の動きが少しぎこちない様子であることを記載しましたが、その口の動きが通常のらんちゅうの動作に戻ってきました。
また、エラを動かして呼吸をする回数も増え、口を大きく開いて呼吸をするように回復してきました。
2週間経つと、隔離水槽の中でも元気に泳ぎ回るようになったので、そのまま元の水槽へと戻して治療を完了としました。
何はともあれ、無事に回復くれて良かったです。
病気の原因は飼育環境の悪化と推定
では、らんちゅうがエラ病に罹患した理由は何だったのでしょうか?
その原因として思い当たることが一つありました。
実は、らんちゅうがエラ病を発症する前に、同じ水槽で飼育している出目金が松かさ病になり命を落としてしまいました。その時の記事は、下のリンクで紹介しています。
その出目金については、食べすぎによる消化不良を発端として免疫力が落ちたのだと考えました。それはそれで、考え方としては間違っては無いかと思っています。
しかし、今回のらんちゅうのエラ病のことも考えてみると、水槽内の環境が一時的に悪化し、細菌の数が多くなっていた可能性もあります。
出目金は消化不良になりやすい体質の中で細菌が増えて松かさ病に罹患し、らんちゅうは水槽内に発生した細菌によってエラ病に罹患したという結果なのかと推測されます。
そのため、らんちゅうの治療を行っている間に、金魚水槽のフィルターや濾材の清掃、そしてウールマットの交換を行いました。
また、金魚水槽の飼育水についても2/3を換水して、ソイル内の掃除も行い、細菌の数自体を減らすメンテナンス (準リセット状態) も行っています。
この作業が功を奏したのか、病気の再発や他の金魚への伝染などは起こっていません。
この記事の終わりに
この記事では、飼育している金魚のらんちゅうがエラ病に罹患した際の症状や回復までの治療の様子を詳細に紹介させていただきました。
金魚は比較的病気にも強い魚だと思われがちですが、水槽内の環境の悪化で病気になってしまう事が多々あります。
そのため、金魚も熱帯魚と同じように飼育環境の整備に努めるべきだと言えます。
今回のらんちゅうは無事に治療が完了しましたが、魚の病気は進行すると取り返しのつかない状態になることが多々あります。
魚の病気は「予防」が基本であると捉え、普段から水槽環境の維持を行っていきましょう!