水槽の水面に浮かび、アクアリウム (水槽) の美観を損ねてしまう存在…。
そうです…「油膜」です。
油膜の張った水槽は清潔度が悪く感じるだけではなく、油膜の膜厚が厚くなると飼育水への酸素供給の妨げにもなる厄介な存在と言えます。
アクアリウムを楽しんでいる方であれば、一度は油膜の発生に悩んだことがあるのではないでしょうか?
「水槽を立ち上げてから、油膜がずっと消えずに困っている…。」
「先週までは油膜は無かったのに、突然油膜が発生してしまった…。」
「水槽のレイアウトを変更したら、突然油膜が発生し始めた…。」
様々な原因で発生してしまう油膜ですが、主な原因としては「人口飼料に含まれる油分」「濾過性能の不足 (濾過バクテリアの状態が悪い) 」「水槽内の汚れ (魚の糞の堆積) 」「溶存酸素濃度」等であると言われています。
しかし、これらの原因の多くは、目には見えないものであるため、常にそれらを制御することは非常にレベルの高い水槽管理能力が必要になると思います。
そのため、発生した油膜を適宜除去することや油膜を吸い込んでくれる魚の導入などが主な解決策となってきます。
油膜を吸い込んでくれる魚としては金魚やプラティが有名ですが、実は「グッピー」も油膜を食べてくれる熱帯魚であることを御存じでしたか!?
この記事では、油膜の発生した水槽に何気なくグッピーを導入したら、あっという間に油膜が消えたという結果を紹介したいと思います。
【注意】本記事の内容や結果は、筆者の管理している水槽での結果となります。常に同じ結果が得られるとは限りませんので、あくまでも一例としてお考えいただけましたら幸いです。
メンテナンスフィッシュが華やかだと嬉しい! -個人的意見-
水槽に発生するコケを食べてくれたり、油膜を食べてくれる魚達は「メンテナンスフィッシュ」と総称されます。
具体的な例としては、珪藻の除去で有名なオトシン・クルスやヤマトヌマエビ、黒髭苔を除去してくれるサイアミーズ・フライングフォックスなどが有名ですね!
水槽に入れておくだけで、水槽の中を掃除してくれるため、ほぼ全てのアクアリストがお世話になった経験があるのかと思います。
そんなメンテナンスフィッシュですが、基本的に地味な色をした魚やエビが多いと思いませんか?!
オトシンクルスやサイアミーズ・フライングフォックスは、体側に黒いラインが入っていますが、その色は地味です。
ヤマトヌマエビやミナミヌマエビに関しては、日本の川や沼に生息している半透明なエビです。
決して華やかな存在とは言えない品種なんですよね。
もちろん、地味な体色の魚を飼育することもアクアリウムの楽しみではありますが、やはりできるだけ華やかな色を持つ熱帯魚を水槽に入れたいと思う方も多いのではないかと思います。
私自身もオトシン・クルスやサイアミーズ・フライングフォックスをメンテナンスフィッシュとして飼育していますが、「この子たちがもっと華やかな体色だったら良かったのに…」とも思ったことが何度もあります。
華やかな体色の熱帯魚がメンテナンスフィッシュとして働いてくれたら嬉しくないですか!?
ブラックモーリーが油膜取りとして有名だが…
本記事のテーマである水槽の油膜ですが、油膜を食べてくれるメンテナンスフィッシュもいます。
一般的には「プラティ」や「モーリー」が有名かと思います。
ただ、私の経験上ですが、ブラックモーリーは個体ごとの当たりはずれがあるように思います。
下の記事では、その詳細を記していますが、油膜をほとんど食べない個体を飼育した経験があります。
そのため、ブラックモーリーをメンテナンスフィッシュとしてお迎えするよりは、水槽のタンクメイトとして飼育して「油膜を取ってくれたらラッキー」くらいの感覚で考えた方が良いのではないかと思っています。
また、ブラックモーリーに対して失礼な発言なのですが、ブラックモーリーは真っ黒な体をしており、水槽の中であまり映えないんですよね…。
なので、この記事で紹介するように、グッピーが油膜を食べてくれた時は「救世主現る!」と思いました(笑)。
ただ、あのブラックモーリーの容姿が好きだという方も、たくさんいらっしゃると思います。
あくまでも個人的な意見です。
油膜に苦しめられた水槽の実例
さて、私が管理していた水槽の中で、油膜の発生に苦しめられていた水槽の紹介をしたいと思います。
下の写真の45cm水槽となりますが、コリドラスを飼育するために立ち上げた水槽です。
フィルターは壁掛けフィルターを使用している水槽ですが、水槽にコリドラスを導入する前に20日間かけて飼育環境の準備 (主にバクテリアの立上げ) を進めてきました。
フィルターの中に入れている濾材は、別の水槽であらかじめバクテリアを育てていた濾材でもあります。
立上げの準備期間は油膜が全く無い状態で管理できていたのですが、生体を導入してから1週間程度すると徐々に油膜が発生してきたのです。
原因としては、人口飼料に含まれる油分や、生体を入れたことによるバクテリアの状態変化等が挙げられますが、どれが原因なのかは定かではありませんでした。
油膜の発生が始まってからは、油膜を繰り返し除去しても、すぐに新たな油膜が発生してしまう状態となっていました。
生体を導入してしばらく経って、水槽環境が安定しても油膜は消えることはありませんでした。
グッピーを3匹導入したら油膜が消えた!
上記の通り、コリドラス水槽の油膜対策に苦しむ中でしたが、子供を連れてアクアリウムショップへ出掛けました。
消耗品のウールフィルターや魚の餌などを購入しに行ったのですが、その際に子供の目が色鮮やかなグッピー水槽に釘付けになっていました。
60cm水槽に泳ぐ約50匹の色とりどりのグッピーたち…
アクアリウムを趣味にされていない方でも、その水槽を見たら立ち止まってしまいそうな綺麗な水槽でした。
案の定、子供から「グッピーが欲しい!」「まだ水槽に入るから飼いたい!」とおねだり…
個人的には気は乗らなかったのですが、あまりにも強いおねだりに負け、3匹の外国産グッピーを購入して帰ることとなりました。
そして、油膜対策が難航していたコリドラス水槽のタンクメイトとしてグッピーを飼育する事に。
グッピーを導入した時点でも水槽には油膜が発生しており、水面は綺麗と言える状態ではありませんでした。
しかし、グッピーを飼育して1週間もしないうちに、油膜が綺麗に消えていったのです…。
その水槽環境の変貌を目の当たりにして、率直に「何故!?」と思いました。
特に油膜の発生に対して対策を講じたわけでは無く、3匹のグッピーを新たに導入しただけです。
そして、会社が休みの土曜日に、コリドラス水槽を眺めていると、油膜が消えた理由が判明したのです。
「グッピーが水面で油膜を吸い込んでいる…。」
しばらく水槽を見ていたのですが、上の写真の様に、頻繁にグッピーが水面に上がってきて、水面を浮遊している小さな油膜を吸い込んでいるんです。
正直、驚きました。
グッピーが油膜を食べる生態であるということを知らなかったので…。
グッピーたちのお陰で、今ではコリドラス水槽に油膜が浮かぶことがほぼ無くなりました。
少し油膜が浮き始めても、1日経つとグッピーたちが綺麗に掃除してくれています。
【注意】今回導入したグッピーは、所謂、外国産ミックスグッピーと呼ばれるものです。最も価格の安いグッピーになります。グッピーの種類・品種によっては、油膜を食べてくれない可能性もあります。
グッピーはカダヤシ目なので油膜を食べるのか…?
では、グッピーが油膜を食べるのが一般的な事なのか?と言う点を考えてみたいと思います。
グッピーは「カダヤシ目カダヤシ科グッピー属」の熱帯魚です。
カダヤシ目…熱帯魚を飼育していると良く耳にする言葉だと思います。特に、特定外来生物に指定されている「カダヤシ」が最も有名ではないでしょうか。
油膜を食べることで有名なプラティもカダヤシ目カダヤシ科、上で紹介したブラックモーリーもカダヤシ目カダヤシ科です。
そうなんです、グッピーはアクアリウムで油膜取りとして知られる熱帯魚と同じ科目に属する魚なんです!
つまり、グッピーが油膜を食べてもおかしくはないということなのだと思います。
カダヤシ目カダヤシ科の熱帯魚は、他にもソードテールやシルバーモーリーなどもいますが、それらの熱帯魚も油膜を食べてくれる可能性もあるということですね。
グッピーは見た目も美しいのでタンクメイトとして最適!
「メンテナンスフィッシュがもっと華やかだった良いのに…」という点を、本記事の一つ目の見出しに記載しました。
メンテナンスフィッシュが水槽の中をお掃除してくれるのは嬉しいのですが、個人的には、やはり体の色や鰭の長さなどに華やかさがあった方が嬉しく思います。
その観点で考えると、今回紹介した油膜取りのグッピーは、素晴らしいメンテナンスフィッシュになり得ると思います。
グッピーは品種が多く、色鮮やかなものばかりなので、とても鑑賞性の高い熱帯魚です。
そして、水槽の中を華やかにしてくれるだけでは無く、油膜も取ってくれるなんて…
さらに最近気付いたことですが、下の写真の様に、グッピーがフィルターのスポンジに付いたゴミも掃除してくれていました。
フィルターや流木に発生する少しねばねばしたゼリー状のものがあると思うのですが、それを一生懸命食べてくれているんです。
もちろん、毎日の餌やりは欠かさず行っていますが、それでも食べ足りないのか…水槽内にある食べれそうなものを食べてくれています。
こんなに綺麗で働き者の熱帯魚は、他に見たことがありません…。
この記事の終わりに
本記事では、油膜の発生した水槽にグッピーを導入したら、油膜が綺麗に無くなった実例を紹介させていただきました。
グッピーはカダヤシ目の熱帯魚であり、プラティ等と同様に水槽に浮かぶ油膜を吸い込んでくれる熱帯魚の一つと言えるのかと思います。
グッピーの油膜除去性能は高く、45cm水槽に3匹導入しただけで油膜が綺麗に無くなりました。もしかしたら、1,2匹でもその性能を発揮してくれるかもしれませんね。
グッピーは色鮮やかな体色と長い鰭を持っているため鑑賞性が高い熱帯魚です。そんなグッピーが水槽のメンテナンスフィッシュになるとは思ってもいませんでした。
もちろん、油膜を吸い込んでくれるか否かは、グッピーにも個体差があると思われます。そのため、グッピーによっては油膜を食べてくれない個体も存在することは御承知おき下さい。
もし皆様の管理されている水槽でも、グッピーが油膜を処理してくれていたら、コメント欄で情報を共有していただけましたら幸いです。