金魚の飼育は比較的容易なものだというイメージがあり、金魚水槽を立ち上げてみたのですが、実際に飼育をしてみると様々な課題も見つかります。
アクアリストとして、少しレベルの高い飼育をしてあげたいと思うと、気にしなくても良いような事でも、気になってしまう事もあります。
私にとってその中の一つが、以前の記事で紹介した「餌の食べ過ぎによって金魚の体が浮かび上がってしまう」という現象でした。下の記事でその詳細を紹介しています。
上のリンクの記事では、餌の時間が終わると金魚の体が浮かび上がってしまうということを紹介しました。まるで転覆病に罹ったような症状でしたが、餌の量を調整してあげることで改善しました。
しかし、新たな課題として、同一水槽で体格の異なる金魚 (消化能力の異なる金魚) を混泳させると、それぞれの金魚の餌の量が調整できず、体が浮かび上がってしまう金魚が出てくるという課題が出てきました。
この記事では、体格の異なる金魚を混泳させる場合の、餌調整の重要性について紹介したいと思います。
出目金の転覆病の原因は餌の食べ過ぎ
「またか!」
正直なところ、そう思いましたね…。
上でリンクを貼った記事では、金魚が餌を食べ過ぎたことによって、転覆病のような症状が出たことを紹介しました。その後、餌の量を調整して、食べ過ぎによる金魚の転覆病は回避できたと思っていました。
しかし、餌を与えた後、最も小さな体の出目金だけは転覆病を解消することができませんでした。
体の大きさの異なる金魚 (丹頂や琉金) を混泳させているので、体の大きなの金魚に合わせて餌の量を調整したのですが、出目金にとっては食べすぎになってしまう餌の量だったということになります。
出目金も金魚なので、胃袋が無く、体の大きさに似合わない餌の量を食べます。
そのため、下の写真の様に、餌の時間が終わった後には体が浮いてしまっている状態になります。餌を与えずに飼育すると状態が解消するので、食べ過ぎによって体が浮いてしまっていることは間違いは無いかと思います。出目金以外の体格の良い金魚達は体が浮かぶことは無く健康的な状態でした。
転覆病が一時的なものか否かを確認すること
この記事では、餌の食べ過ぎによって金魚が転覆状態になっていることを紹介しています。
しかし、細菌が原因でお腹が膨らみ転覆病となる場合もあります。
その場合には、薬浴を用いた治療が必要になりますので、症状を見分けることが大切です。
食べすぎによる転覆状態は、餌を与えないことで解消する場合がほとんどです。そのため、餌を与えない状態でも転覆状態が続くようであれば、薬浴を導入した治療が必要になります。
症状を見極めて、治療の対応をしてあげて下さい。
餌の食べ過ぎを防ぐサテライト水槽での飼育
餌を与えれば、どの金魚もまっしぐらに餌を食べに来ます。
複数匹の金魚を同一水槽で飼育している場合には、1匹だけ餌の量を調整することは難しいです。
私の管理する金魚水槽でも同じことが言えて、出目金にだけ餌を与えないようにすることは無理でした。
そのため、そもそも物理的に隔離するしか方法はありません。ただ、水槽の数も増やせない事情もあったので…
そこで、小さなサテライトを使って、出目金だけを餌の量を別で管理できるような状態にしました。別の水槽を用意すると、そちらでもフィルターなどの整備が必要になります。出目金1匹のために別水槽を用意する余裕が無かったです…。
このサテライトがあれば、出目金が少し大きく成長するまで、しばらくは餌の管理をすることができます。
サテライト水槽での飼育方法 (餌の量を調整)
今回の出目金は餌の食べすぎが原因で転覆病の症状が出ているので、基本的には餌の量を減らしていくことが第一優先の飼育方法となります。
上記の通り、私の水槽では体の大きな琉金や丹頂と混泳させていたので、出目金は琉金や丹頂と同じ餌を食べていました。餌のサイズが大きいこともあり、体の小さな出目金にとっては食べ過ぎの状態になったのだと思います。
そのため、まずサテライトの中では、熱帯魚向けの小さな粒形の餌を少量ずつ与えて、転覆病が出ないかどうか確認します。
その後、徐々に餌の量を増やしながら、転覆病にならない餌の量を確認していきます。
もし、餌の量を減らしても転覆病が出るようであれば、餌の種類を変更することや、飼育環境 (水温やpHなど) を変えるということが必要になるかもしれません。
結果として、サテライトでの飼育を開始して、餌の量を制限したことで、出目金の転覆病の再発が無くなりました。
転覆病による出目金の外傷について
金魚の体が浮かび上がると、実は体に外傷が発生する場合があります。
金魚の体が水面から空気中に露出することで、体を保護する粘膜が乾燥気味になります。すると、粘膜が傷ついてしまい、下の写真に示すように、体の所々に外傷が見えます。出目金は色が黒いので、この粘膜の損傷部分がとても目立ちます。
次の写真は別の角度から見たものですが、尾ビレや背ビレなどにも粘膜の損傷部分があることがわかります。浮かび上がってしまう時間が長くなれ、それに伴って粘膜が傷つく可能性が高くなるので、転覆病は早急に完治させることが重要になるのです。
この粘膜の損傷は、時間と共に自然治癒力で完治はしますが、体を保護している粘膜が傷ついていることになるので、他の病気や細菌侵入の原因になる可能性もあります。
特に細菌関係は目に見えないところで病気が進行していくので軽視できません。
餌を食べると転覆するという症状は治るのか?
餌を食べると体が浮かび上がってしまうという症状は、上で紹介した別の記事でも記載していますが、基本的には消化不良や餌の量が原因だと思われます。
そのため、成長と共に消化器官の能力が上がれば、解消していく可能性もあります。
しかし、もしも治らなければ、その出目金に適した飼育環境を作るため、他の金魚とは別の水槽で管理するということも考えなければいけないかと思います。
今後の対応については、出目金の成長、症状の出方によって最適な環境を考えていこうと思います。
この記事の終わりに
この記事では、金魚飼育の難しさの一つとして、体格の異なる金魚の混泳に起因した餌の食べ過ぎと転覆病の例を紹介させていただきました。
金魚水槽は様々な種類の金魚を混泳させることが多々あることから、それぞれの金魚に適した飼育環境の最適化がおろそかになりがちです。
食べすぎによる転覆病については、目に見えた症状が出てきたら対応するということでも問題は無いと思いますが、重い病気の場合にはそうはいきません。
混泳と言う飼育スタイルを行う以上、避けては通れない課題ではありますが、それでも金魚1匹1匹の様子を観察して、異常な状態が出たら直ぐに対応してあげるようにしたいですね!