淡水アクアリウムにおいて、人気の耐陰性水草…その代表格と言えるのが「ブセファランドラ」だと思います。
ボルビティスやミクロソリウムなども人気の耐陰性水草ではありますが、葉の美しさの観点を出すと、ブセファランドラの右に出るものはいないのではないかと個人的に思います。
そんなブセファランドラには多くの品種がありますが、その中でも最も有名なのが「ブセファランドラ・クダガン」です。
他のブログでもブセファランドラ・クダガンのことは紹介されているので、ここであらためて紹介をする必要が無いのかもしれませんが、私なりの言葉でクダガンのお勧めポイントを伝えられればと思います。
お勧めの水草として自分も記事を書いてみたいと思えるくらい素晴らしい水草です。
「ブセファランドラは高価な水草だから…初心者には無理…。」と思われている方もいるかもしれませんが、実はブセファランドラは初心者でも安心して育てられる水草でもあるんです。
ボルネオ島に自生するブセファランドラ・クダガン
ブセファランドラは、東南アジアにあるボルネオ島に自生するサトイモ科の植物です。
アヌビアス類と同じサトイモ科の植物であり、一般的なアクアリウム用のライトがあれば栽培が可能と言う、耐陰性の性質を兼ね備えた植物になります。
ブセファランドラには多くの品種が存在しており、全てを把握することは難しいです。未だに品種が定まらないものについては「sp.」という名前が付いて日本に輸入されてきます。「sp.」の表記は「species (種)」の略で、ブセファランドラの種類に属する植物であると考えられるが確証がないような場合や、正式な学名が付けられていないものなどに用いられています。
「ブセファランドラ・クダガン」は、そんなブセファランドラ属の植物の中の一つの品種となります。
以下では、実際にブセファランドラ・クダガンの栽培をしてみて、私が考える長所やおすすめのポイントを項目別に紹介したいと思います。
長所① 水質の変化に鈍感で枯れる心配が少ない
「鈍感」というのは、ポジティブな意味で使われることは少ないのですが、ブセファランドラは良い意味で水質の変化に鈍感です。
というのも、私自身が様々な水質条件で育ててみても、枯れることや株の調子が崩れてしまうことが無いのです。
例えば、金魚の水槽に一時的に入れていた場合、カルキの入っている水に浸してしまった場合、そして換水をあまりしていない水槽で栽培した場合でも新しい葉を展開させて成長してくれます。
つまり、かなり広範囲な水質に対応したブセファランドラであると考えられ、水質による栽培の失敗は起こらないのではないかと思います。
「高価な水草は水質の管理が大変なんでしょ？」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、ブセファランドラ・クダガンは良い意味でその予想を裏切ってくれるかと思います。
長所② 低光量でも育つため、高価なライトは不要
ブセファランドラは、弱い光の中でも育つ耐陰性のある水草です。
水草栽培と言うと、とても強度の強いLEDを用いて、二酸化炭素を添加して管理することが必要というイメージがあるかと思います。
しかし、ブセファランドラは、一般的なアクリウム用LEDがあれば十分に光合成をすることができます。そのため、高価な強いLEDは不要です。
逆に強度の強いLEDライトは、下で説明するブセファランドラ・クダガンの葉を美しく見せるのに適していないと思います。
少し弱い強度のLEDライトで、幻想的な雰囲気を醸し出せるような光量くらいがブセファランドラ・クダガンの葉の美しさを表現するのには最適です。
私自身は、GEXのPower LEDというライトを使用していますが、ライトの強度による弊害や問題は皆無です。
長所③ ブセファランドラの中では大きな葉を持つ種類
ブセファランドラ・クダガンは、ブセファランドラの中では比較的大きな葉を持つ品種となります。
そのため、水槽の中で他の水草に対して存在感を主張することができます。
ブセファランドラは、水槽の中にワンポイントの水草として導入されることが多いですが、クダガンの場合には水槽の前面にあると存在を主張できるブセファランドラになります。
ブセファランドラの種類の中には、とても小さな葉で株自体も小さなままである品種も存在します。それらの小柄なブセファランドラに比べると、水槽の中で目立つのでレイアウト作りでも扱いやすい品種と言えます。
そんな大きな葉に対して、次に紹介する美しい模様やラメが入るので、淡水アクアリストの心を擽る水草にになるんですよね。
長所④ ラメの入った美しい葉は見る角度で色が変わる
ブセファランドラ・クダガンの一番の特徴と言えば、見る角度によって葉の色が変わるという点です。
「これは本当に植物なの？工業製品では無いの？」と思えるくらい、光の当たり具合で葉の色や模様が変わるんです。まさに「ボルネオ島の宝石」と言う言葉が似合う植物です。
下の写真はブセファランドラ・クダガンを上から撮影した写真になります。葉の色は緑色を基調として、少し輝いているように見えます。
そして同じ株を横から撮影したのが次の写真です。葉の色がかなり変化していることが分かるかと思います。
写真で撮影すると変化が分かりにくいことはあるのですが、実際に肉眼で見ると、葉の表面のラメ状の模様も変化しています。
もしブセファランドラ・クダガンを見たことが無い方は、是非一度現物を見ていただきたいです。
私はアクアリウムショップで初めてブセファランドラ・クダガンを見た時、見る角度によって葉の色が変化するという点が気に入って購入した経緯があります。
長所⑤ エビによる食害を受けにくい
水草の種類によっては、コケ取り生体として導入しているエビに食害されてしまうものがあります。
特に葉が柔らかく薄いものはヤマトヌマエビや大きいサイズのミナミヌマエビに狙われてしまうことがあります。
しかし、ブセファランドラ・クダガンは葉の厚みがあり、葉のサイズも比較的大きいため、エビによる食害を受けにくいという特徴があります。
レッドビーシュリンプ等の小さなエビ達に対しては、食害の心配はほとんど無いかと思います。私自身、レッドビーシュリンプを飼育していた時にブセファランドラを水槽内に入れていましたが、全く食害が起こりませんでした。
ただし、金魚やエンゼルフィッシュの様な大型の魚に対しては耐久性が無いと思われますので、一緒に水槽に入れない方が無難です。金魚もエンゼルフィッシュも、口に入るものは全て食べてしまいますし、水草の葉をちぎってしまったり、水草をソイルから抜いてしまうことが多々あります。
長所⑥ 肥料は少なくても育つ
ブセファランドラは、成長速度が非常に遅いので必要とする肥料分もそこまで多くありません。
じっくりゆっくり育つので、一緒に飼育している魚の糞がバクテリアによって分解された硝酸成分があれば成長できます。
上述の通りライトにも特に気を遣う必要もないですし、肥料分もそこまで必要ありません。とても経済的な植物であると言えますね。（ブセファランドラそのものは高価なのですが…。）
もちろん、液体肥料を入れてあげても良いかと思いますが、液体肥料の中にはブセファランドラに吸収されにくいものもあるので、事前に液体肥料の特徴をチェックをしておく必要はあります。
ブセファランドラの栽培で注意すべきはコケや藻の発生と水温管理
ブセファランドラを水槽内で育てる際、特に注意すべきは「コケや藻の発生」と「水温管理」です。
水草水槽を立ち上げている方からすれば、成長速度の遅い水草がコケや藻の被害に合うことは有名な事実かと思います。
ブセファランドラもアヌビアス・ナナと同様に成長速度が遅いので、対策をしなければ確実にコケや藻が生えてきます。ミナミヌマエビやヤマトヌマエビを入れても防ぎきれないことが多々ありますので、必要に応じてコケ抑制剤を使用するなどして対応が必須です。
また、ブセファランドラはボルネオ島に自生する植物のため、日本の寒い冬の中では枯れ込んでしまう懸念があります。
そのため、冬の間はヒーターを使用して25℃程度に水温を維持する必要があります。
日本に自生する水草であればヒーターなしでも冬越し出来ますが、ブセファランドラはそうはいきません。確実に冬を越すためにも、晩秋からヒーターを設置していきましょう。
また、夏の高水温もブセファランドラには良くないと聞きます。私自身、夏場は水槽にクーラーを導入して25℃程度に管理しています。
その効果もあってか、今までにブセファランドラを枯らしてしまったことはありません。枯れてしまいそうになったことはありますが、枯れしたことは無いです！
この記事の終わりに
この記事では、耐陰性の水草として人気のブセファランドラ・クダガンについて、そのお勧めできるポイントを紹介させていただきました。
ブセファランドラ・クダガンは、その特徴的なラメの入った葉が美しく、どんな水槽レイアウトにもマッチする万能な水草であると言えます。
また、少ない光量で育ちますし、枯れる心配も少ないので、初心者の方でも安心して育てることができるかと思います。
「ブセファランドラは高価な水草なので育てるのが大変そう」と考える方も多いかと思いますが、私も水草の知識が少ない時から育てることができていたので、何の心配もないと思います。
皆さんの淡水水槽に、ブセファランドラ・クダガンを一株いかがでしょうか！？
